今回は少し大げさに思えるタイトルをつけてみましたが、この言葉にピンと来ていただけるかどうかが今回のテーマになります。

 前回のブログではビジネスのスタートアップに共通する罠のとして”顧価値提供者とユーザー間でのコミュニケーションのずれ”の原因。そしてそれを解消するために有効な施策は”高速仮説検証プロセスをプロジェクト計画に盛り込む”ことだとご紹介しました。今回はこの続きです。

まず前提としての重要な問いは、

人が関わる事象において誰もが共通して陥る罠の裏には、
人間の特性としての原因があると仮定した方が自然だと思いませんか?

言い換えると、人が普通に行うとそうなるという事象の原因は、まさに人の本能的な判断や行動にあるということです。我々はスタートアップの難しさもまさにこの点にあると考えています。

今回のテーマである施策の本質は、この人の本能的な思考や行動特性を意図的に変えるための手法とも言えます。この点をご理解いただければ、これからの説明により深く納得いただけるはずです。

前回、メーカーとしての提供価値がユーザーニーズとずれる原因は、プロジェクトが進むにつれて初期に設定した目標仕様がそもそも仮説であるという事を忘れてしまう点にあると紹介しました。この問題を解決するために必要となる具体的なしかけとは、開発当初設定している目標仕様を、ユーザーとのコミュニケーションを通して改良、改善させていくというタスクを忘れず実行させてくれるものであれば有効ですね。

そしてプロジェクトを進める上での問題が、もう一点あります。それは人の行動は”計画”というものに引っ張られ易いという特性です。みなさまもご経験がおありかと思いますが、先が見えないようなプロジェクトにおいて初期に立てた計画の精度や納得感は往々にして低い。この事実もプロジェクトが進み、関わる人が増えていくいくうちにいつのまにやら忘れ去れてしまいます。そして、なんとなく違和感を感じつつも、プロジェクトは初期の計画通りに進められ結果火を吹き始める。つまり、一度立てた計画を途中で修正、改善するということは、想像以上にハードルが高いという点も人の本能的な行動として必然的な現象だと言えます。

この二点の問題を解決するしかけが、今回のテーマである”高速仮説検証プロセスをプロジェクト計画に盛り込む”という事になります。

つまりこれは、初期の目標仕様は仮説であり、それを検証しつづけるプロセスが必要という事をチームメンバーにリマインドし続ける”しかけ”です。さらに、そのこの仮説検証プロセスを初期計画に入れることにより、いきなり数年もしくは莫大な費用を要するような製品開発に着手することを避けることができます。つまり、開発メンバーおよび事業化メンバー双方が如何に初期の仮説を検証するためにまず何から着手すべきか?どんなレベルの製品プロトタイプを作るか?または形にするまえのコミュニケーションツールとしての提案資料を作るか?という事に頭と時間を使うようになります。この結果、提供価値とユーザーニーズのずれが低減されていきます。

そしてイノベーティブな提供価値のスタートアップのように世の中にまだ存在しないような新しい価値を生み出す場合はより難しくなります。なぜならば、まだマーケットが存在せず、ベンチマークとなる競合製品も存在しないため、初期の目標仕様および計画の精度が低くなります。そのために仮説検証の”高速性”つまりより多くの検証サイクルが必要になります。そして、提供価値を形にできない段階での、ユーザーとのコミュニケーションが不可欠になります。これは誰も進んではやりたがらない非常に不安定なコミュニケーションです。これ乗り越えていくためには、高いレベルの創造力と表現力、そして行動力が不可欠であることは容易に想像できると思います。

繰り返しになりますが、スタートアップは既存マーケットに提供価値を投入するという通常のプロジェクトの進め方では失敗します。それを回避するために有効な施策は、

高速仮説検証プロセスをプロジェクト計画に盛り込む

だということです。

この事実をベンチャーのスタートアップおよび企業内新規事業立ち上げのチームメンバーそしてあなたご自身と共有できれば、より多くの努力が実を結ぶと確信しています。そして今、私自身もこの罠にはまらないように仮説検証を繰り返しています。




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