何を効率化しますか?

部分最適とは何か?

既存事業、特に大企業では仕事の枠組みやプロセスは整っています。ある意味で完成形を示していると言っても良いでしょう。一般的に起きるような多く業務については、あまり非効率を感じることなくこなすことができるのではないでしょうか。もちろん、まだ成長過程にある中小企業においては十分に仕組みづくりができていないところも多いと思います。ところが、大企業では、通常のビジネスを回すための役割分担やルールは整備されており、各マネージャーはルールや前例に従って効率的に意思決定することができるようになっています。

ところが、このような大企業であればあるほど、会社の仕組みについて尋ねると、「部分最適」だと口々に言います。部分的に「最適」であるということはどういうことでしょう?
「最適」と自称できるほどの完成度にありながら、なぜ「部分最適」という言葉には不満の響きを感じるのでしょうか。実は、言っている本人も「最適」という最高の褒め言葉と自身の不満が同居していることに気づいていないことが多いのです。この点について考察してみます。なぜなら、この点がイノベーションとオペレーション(運営)あるいはオプティマイザーション(最適化)との最大の違いだからだ。

これらの部長さん方が「部分最適」という言葉を発する時の状況を注意深く観察すると、ちょっとしたイレギュラーなことをやろうとしている時であることに気づきます。例えば、少し背伸びをした開発、あるいは顧客との深い関係づくりをしようとすると、会社の仕組みが邪魔になってきます。これは、現状の業務をこなすことに特化した組織ができあがっていることの証です。なので、最近起きているような環境変化に対応しようとすると、足かせになり、部長さんも不満を感じることになります。

次のような事例は皆さんの会社にも少なからずあるのではないでしょうか。

“最近の引き合いトレンドは、技術提案を求められる”
“技術的に突っ込んだ商談が増えている”
“設計を始める前にマーケティング戦略を立てないと失敗する”
“既存の枠を超えたコストダウンが求められている”

「最適化」というのは、ある一定の条件が与えられたとき、結果を最大化することである。
例えば、特定の市場における特定製品の価格設定などは正解が求まるような格好の最適化問題である。

最適値からずれた価格設定をすると「損失」が発生し、効率が失われる。

ところが、その一定の条件が変わると、結果が最大となる条件は異なる。
例えば、同じ製品を新興国に持ち込んだ場合に、最適価格が異なることは容易に想像がつくことと思います。

さて、先ほどのよくある事例というのは、一般に仕組みの範囲外で活動することで改善することができます。
“最近の引き合いトレンドは、技術提案を求められる”  → 営業・技術間
“技術的に突っ込んだ商談が増えている” → 営業・技術間
“設計を始める前にマーケティング戦略を立てないと失敗する” → 企画・開発間
“研究テーマにビジネス視点が求められる” → 研究所・事業部間
“既存の枠を超えたコストダウンが求められている” → 設計・製造間

問題を変える

これらの例の様に、既存の枠組みを超えた課題解決をするということは、最初に与えられた問題を変えて取り組むということになる。

そもそもグラフの形が見えないので、最適値は把握できず、効率を図ることができなくなります。また、新たな変数が加わっています。当初最適化した数式すら変わったと認識すべきなのです。新たな変数が加わったことによる影響は、新たに学習する必要があります。曲線の形を知ってこそ、次の「最適化」を行うことができると認識しましょう。部門間連携と新規事業開発は程度の差はありますが、この点で同じです。どんな仕組みであれ、それはある特定の状況を効率よくこなすための手段でしかありません。

緩やかな業務変革であろうと、新規性の高い事業開発であろうと、もし既存の組織が個別最適化されていて不都合だと感じたならば、以下の点を心得ておくとよいのではないでしょうか。

  • 異なる状況で出来た仕組みには解けない事が多い
  • 新しい取り組みをする際には過度な効率を求めない
  • ベストな解でなくても、トライアンドエラーを通じて学習する
Written by Shingo Tsuda on 2012-10-26