新規事業をやらねば!という声は良く聞くが、やりたい!という声は意外と少ない。

 とても残念な事だ。
 新しい事に取り組む事は本来は楽しいはずなのに、いろんな制約が楽しさを台無しにしてしまっている。もちろん一個人に取っては、新しい取り組みより今の仕事を極める事に関心がある場合もあるが、様々な人がいる企業においては、新規事業開発は日の当たるものであって欲しい。つまり、企業としては新規事業向きの人材をアサインし良い意味で注目が集まる様な工夫が必要である。
 新規事業開発を楽しもう!と言うと語弊があるかもしれないが、”楽しむ”はクリエイティブな仕事をする上で重要な要素だ。もちろん真剣に取り組む必要はあるが、そもそも”楽しむ”=”不真面目”ではないはずだ。悲壮感満点では上手く行くものも行かない。楽しくやらなければ、アイデアも出ない。既存の思考の枠から抜け出すことは出来ない。
 きちんとテーマ(Why)を設定し、ゴール(What)を見据え、その上で、楽しく(How)取り組む。How to としての工夫をすることで、やらねば!という責任感とやりたい!という主体性を両立することができるはずだ。
 では、どうすればHow to の工夫をすることができるのか?いろいろ考えられるが、例えば、アイデアを出すことを阻害していることは何だろう?皆で議論していて、パッと何かが閃く、でも、ちょっと言えないな~と思う時の三大要因は以下である。
 ・正しくないかもしれない
 ・くだらないかもしれない
 ・情動的、感情的な思いつき付きって言われそう
 これらは皆、既存の枠組みからの逸脱してはいけないという所に端を発している。
 新しいことを考えようとしているのに、既存の枠組みで評価してしまっているのだ。
 これではアイデアは皆殺されてしまう。本当に必要なワイルドなアイデアこそが生き残れないというジレンマに陥ってしまう。
 このジレンマに陥らないように、思考を切り替えなければいけない。
 ・正しいかどうかの基準は変わっていく、新しい価値は既存の基準では評価できない。
  むしろ正しいと思われていることを変えていくことが新しい価値を生む。
 ・くだらないかどうかを今の価値観で判断してはいけない。
  こんなもの誰が喜ぶんだ?!という様なものからヒットが生まれる。
 ・全てのアイデアは思い付きから生まれる。不連続な解は論理的には求められない。
  情動的、感情的な思いつきがジャンプするパワーになる。
 こうした思考を維持できる環境を作っていく必要がある。
 よくあるブレストの時は批判しないようにしようというレベルではなく、全ての活動で枠を外していくのだ。そのためには、想像以上にチームに流れるコンテキストの醸成が大切だ。平たく言うと、真剣に雑談できる場づくりかもしれない。
 どれだけタレントを集めてもハーモニーを奏でられるかは、メンバーの意識による所が多い。「普段とは仕事のやり方を変えなければならない!」と頭ではわかっていても、実践出来てないケースが多すぎる。優秀な人ほど既存の枠組みの中の実績にしがみ付いてしまう。イノベーションのジレンマは巨大企業だけではなく、個人の中にも存在するのだ。

 だからといって、個人を責めて根性論で頑張らせても上手くはいかない。そう、アイデアが欲しかったら、根性で結果を捻り出すのではなく、普段とは違った考え方・行動をする事が大切だ。
今まで・・・
 成熟した既存事業のルールを順守し、長い年月をかけて醸成してきた価値観のもと、
 不安感を潰しながら進めていく。
これから・・・
 既存のルールで縛られずに、新しく共感した価値観のもと、
 皆が楽しく、不安感を友として進めていく。
 少し極端な表現かもしれないが、それぞれの進め方はこんなに違う。
 不安で当たり前、むしろ不安が少なかったら、新しさが不足していると思った方が良い。
 不安≒ワクワク感
 ワクワクしながら、新規事業を楽しもう!

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