ビジュアルシンキング Visual Thinking ~ファシリテーション・グラフィックのHow to~

 前回は考え方としてのVisual Thinkingを紹介した。ポイントは「描きながら考える、発言を描きながら議論する」という進め方にある。今回は具体的なHow toを伝えていく。How toに関してはいろいろと応用範囲が広いのでVisual Thinkingだけのものというより、いわゆるファシリテーション・グラフィックのHow toの1つとしてとらえると良いだろう。
 ちなみにこの辺りの手法の名前は造語も多いので自分なりの解釈を持って理解しておくことをお勧めする。以下は私の解釈だ。
 ◆板書
   議論された事を記録する。事実や結論を重視する
 ◆Visual Thinking
   考えるために描く、議論するために描く、議論の活性化を重視する
   思考・議論の過程を見える化する
 ◆ファシリテーション・グラフィック
   記録だけでなく会議の進行やプロセスにも関与する
   上記の2つも含む広い概念
 図に示すと以下の様になる。
グラ分類1.png
 How toとしては同じでも、手法の狙いによってHow toの意味づけは変わる。
 「考えるために描く、議論するために描く」という狙いのために、1つ1つのHow toがどんな意味を持つか、効果があるかを理解して欲しい。
◆How to1 テーマを書く
 当り前じゃないか!と笑う前にこういう事が無いか振返ってみて欲しい。議事次第などの資料が紙で配られている場合に多い。議論が始まってしばらくして、「すみません。今、どこを話してるんでしたっけ?」という様な事は無いだろうか?
 こうした事態は皆が議事次第をバラバラに見ているから起こる。ホワイトボードや模造紙などを使い、敢えて皆の視線を一点に集める事で、この事態は簡単に回避できる。同時に物理的に視線を上げさせることで前向き感をつくっていく事もできる。
 コツはテーマを読みながら書く事。こうする事で皆の意識を切り替える事ができる。特段テクニックも要らないし、きっちりやるだけで誰でも出来る。先ずは試してみて欲しい。
How to1.png
◆How to2 発言を分かり易く、かつ生々しく残す
 次はちょっと忙しい所だが、発言者の声を拾う部分だ。速く書けるにこした事は無いが、難しかったら発言をオウム返ししながら書くと良い。時間も稼げるし内容や意図も確認できる。
 最初からきれいに書く事は難しいかもしれないが、先ずは書く事が大切だ。一言一句を写し取る必要は無いが、発言を尊重し、汚くても良いから出来るだけ拾ってみよう。言葉が消えてしまうよりは良いし、間違っていたら後から直してもらえば良い。慣れてくると上手く要約して相手の意図をより分かり易くする事もできる。但し、要約・意訳が行き過ぎると発言者のオーナーシップ(言霊)が消えてしまうので、必ず表現の確認をした方が良い。
 コツは生の声を残す事。分かり易く要約するのには訓練が必要だが、生の声を残す事は発言者の声に少し耳を傾けるだけで出来る様になる。前提として傾聴のスキルは必要かもしれない。先ずは発言者の言葉遣いと語尾の強弱を意識しよう。
◆How to3 色に意味を持たせる
 最後はよりテクニック的な部分になるが、自身の思考の整理にもなるし、上手く活用できると議論の効率を大幅に上げる事が出来る。色に意味と言ってもいろいろあるが、私の場合は基本的に以下の3色を意識している事が多い。
 ●赤:問題、課題、ネガティブ
 ●青:解決、対策、ポジティブ、アクション、宿題
 ●緑:補足、詳細、ニュートラル、単なるコメント
 テーマや発言は●黒で書いていて、そこにアンダーラインという形でやる事もあるが、正しく分ける事ではなく、議論を活性化させるための色分けなので、直接文字色を変えるのをお勧めする。色遣いにはペンを握る者の意図が入るので誤解は生じるかもしれないが、それこそが活性化の糸口となる。どんどんカラフルにしていきたい。同系色の薄い色(ピンク、水色、黄緑色)があるとアンダーラインや囲みで強調するのに役立つ。
 コツはその場での一貫性を保つ事。ネガティブに青色を使ってしまって戻れなくなったら、その場はそれで通せば良い。途中で変えると混乱を招く。目的はあくまでも議論を活性化させる事なので、意見を赤か青かに敢えて仕分けて見るのも手だ。全体での色合いも議論の呼び水として使える。緑しかなかったら単なるコメントばかりで、誰も本音を言っていないという事かもしれない。
How to2,3.png
 他にもHow toはいろいろあるが、今回は思考の過程を残しつつ議論を見える化していく際のポイントを紹介した。
 議論の方向性を探したり、検討漏れを探したり、まだまだHow toは沢山ある。大事なのはHow toを沢山知っている事より、”いつでも”、”どこでも”、使えるHow toをしっかり身に付ける事だ。その意味でこの3つはかなり使い勝手のある基本技だ。是非、活用して欲しい。
Written by Tatsuya Yamada on 2013-04-30