5月15日、16日とInnosight社COOケビン・ボーレン氏を招いたワークショップを開催しましたので、開催報告を兼ねて、実際の様子をご紹介したいと思います。

ワークショップではクリステンセン氏の理論を少しでも身近なものに感じて頂けるよう、参加者同士で議論する機会を設けました。例えば、「あなたのメイン事業と、それを脅かす可能性のある破壊的な事業のタネをシェアしてください」といったテーマを3~4人の小グループで議論します。このディスカッションでは、現在の事業を初対面の人たちに一言で説明するとともに、新規参入によって今のやっていることが駆逐されるかもしれない可能性を発見することが求められます。そして、場合によっては隣の人から正直なフィードバック、つまりどの位迫っている脅威なのかを聞くことができます。INDEE Japanが開催するワークショップはこのようなグループワークを多く行いますが、今回の開催も単に知識を得た以上の成果を得た方が多くいらしたように感じます。

まず、ワークで問われたこと以上の深い議論が行われたことは特筆すべきでしょう。自社の経営課題を極力わかりやすく説明し、他社のビジネス課題を真剣に聞いていたグループが数多くありました。どのようなことに悩んでいるのか、なぜなのか、といったことをグループ内で質問し合いながら共有していました。このように異なる立場や経験を持つ人同士で対話することは、イノベーションの必要条件とも言われますが、まさにイノベーティブな創発が所々で起きていました。その価値を感じて、連絡先を交換し合っている方々もいたようです。

そして、このような創発の場をきっかけに、知識ではなく、意識を獲得できていたように見受けられました。例えば、とある参加者は「弊社はECサイトとして、店舗型の小売業をイノベーションで破壊しましたが、私たちも安住できません。新たなビジネスモデルで参入してくるIT業者が沢山います。」つまり、イノベーターですらも他のイノベーターに駆逐される危機感を共有してくれました。確かに「イノベーションのジレンマ」を超えることは一度成功すれば良いようなものではなく、継続的な経営課題として取り組み続けるべきことだと考えています。

同様に、「イノベーション」というテーマは講演を一方的に聞いて終わりということはありません。むしろ、最近「イノベーション」というのは成果というより姿勢のようなものと私も捉えています。“未来の当たり前”を創造することは、一つの作業というよりは、継続的な活動だからです。参加者の皆さんにもその姿勢が表れていたよう感じ、数多くの仲間の発見に喜んだ二日間でした。

当日のワークショップに関連した記事をあわせてご紹介します。
「フューチャーバック」による戦略策定
イノベーションのDNAを組織に根付かせる
イノベーションに潜む「不確実性とリスク」
『イノベーションへの解 実践編』等の翻訳を手がけた栗原さんによるレポート
Innosight社とINDEEの接点


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