新規事業と掛けて、ダイエットと解く

喫茶店でブログを書こうとパソコンを開いたところ、隣のお客さんの会話が耳に入ってきました。
見たところ50代のサラリーマン風の男性3人のダイエット話です。ある程度食べた方が痩せるだとか、筋トレも代謝を上げるためにした方がいいだとか、どういう食べ物を控えるだとか。かなり盛り上がってそれぞれの方法論を語り合っていました。ついにダイエットにもっとも縁遠い人たちにも普及したか、という気づきとともに一種の違和感がありました。

彼らは本当に痩せたいのでしょうか?
どの位強く痩せたいと思っているのでしょう?

そういえば、ダイエット法の話をする割には、どの位痩せたいのか、という話はあまり聞かないのはなぜなのでしょう。
「どの位」というのはどの程度、つまり何キロではなく、どれだけ強くダイエットしたいと思うか、です。例えば、「海外旅行に行きたい」といったような願望については、「私はすごくハワイに行ってみたいので、貯金をしている」と、対象に対する夢や熱意、行った時の期待に対する話に華が咲くことでしょう。あまり貯金の手法について侃々諤々とやることは少ない気がします。しかし、ダイエットの話題はいつも新しい手法や方法論についてばかりです。

私はダイエットの専門家ではないので、何もダイエットの話をしたいわけではありません。でもダイエットと新規事業にはおかしな共通項がありそうです。

新規事業と掛けて、ダイエットと解く

その心は…

1.いつかは取り組まないといけないと誰もが思うこと
2.数多くの方法論があるものの、万能なものはないこと

多くの人はダイエットを試みたことがあったり、してみたいと思っているかと思います。同様に、新しい事業を望んでいる会社は数多くありそうです。ところが、どの程度強く新規事業を望んでいるか、というのが明確になっていることはあまりありません。そして、取り組む際も、アイデア募集をしてみたり、事業買収に取り組んでみたり、とりあえず子会社を作ってみたり、と色々な方法を検討したり、試してみたりします。


ここで、ダイエット失敗パターンについて考えてみましょう。

すると、ダイエットは痩せる前に続かなくなるか、痩せた後、リバウンドしてしまうかの二つのパターンがあることがわかります。実はいずれも痩せ方にばかり着目していて、痩せた体を維持することを忘れているからです。

痩せるために食事はバナナだけにして無事に痩せることに成功したとして、そのままバナナだけの一生を過ごすのでしょうか。コンテストで勝つために一瞬だけ痩せれば良いというのでない限り、よりスリムで健康的な体を維持したいというのがダイエットの目的のはずです。

これを新規事業に当てはめてみると、立ち上げるべき事業は、瞬間風速で収益を上げるような「取引」ではなく、継続性のある「営み」であるはずです。つまり、続けることができるような「形」を見つけるのがスタートアップのゴールです。そのための方法論はたくさんありますが、万能な方法論はたった一つしかないと考えています。
それは ―試行錯誤― です。

「試行錯誤なんて方法論じゃない」という苦情も聞こえてきそうですが、試行錯誤にもノウハウがあります。いくつか紹介しましょう。

  • 好きなことからやってみる
     続けるにはこれしかありません。「強み」から考える人もいますが、強いことと好きなことは少し違うことが多いです。続けることを考えて、好きなことからやってみてはどうでしょうか。私自信は食べるのを我慢するよりは、体を動かすのが好きなので、意識して運動することをしています。
  • 機会に着目する
     着たい洋服がある人はダイエットに成功しやすいと言われています。痩せたらどうなるか、という機会に着目しているからです。繰り返しになりますが、現在持っている「強み」にこだわり過ぎず、事業が成功したらどうなるか、ということから考えてはどうでしょう。機会はなくなることはありますが、強みははなくなることはありません。

  • 上手にやることにこだわらない
     新しい取り組みなのですから、上手なわけがありません。続けながら上達すればいいのです。初めての携帯電話は音声もとぎれとぎれで、非常に重いものでした。それが現在は、小型化軽量化と通信の品質向上が進み、近い将来、光通信よりも早いデータ通信までできるようになると言われています。むしろ、伸びしろがある方が、学習意欲は高まり、続けやすいです。
  • 徐々に始める
     ジョギングを始めるならいきなり42.195kmを毎日走る計画を立てても無理があります。徐々にペースを上げたり、距離を延ばしたり、自分にあった運動の仕方を考えた方が良いでしょう。新規事業もいきなり100億円のビジネス計画を立てるのは無理があります。
  • 他人の力を借りる
     新しい取り組みなので、どうしても情報は不足します。友人がやっているスポーツジムに通ってみてはどうでしょう。思いがけず、相性のいい運動に巡り合えるかもしれません。同様に、仮にそれが断片的で理解しにくいことであっても、社外の情報を頼ってみてはどうでしょう。新しいビジネスのタネになるかもしれません。人はどうしても自分が経験したことがあり、理解できる情報ばかりを求めてしまいますが、この心理バリアを乗り越えることで新しいことを起こすきっかけになります。
  • 失敗ではなくトライととらえる
     新しい取り組みなのですから、難しいこともあります。トライしてみて結果が出なかったり、続かない場合は、理由を振り返って方針を変えましょう。「痩せるのが無理だった」と結論づけるのは早すぎます。理由を振り返って、次の一手を考えます。人間は学ぶ動物です。トライから学ぶことで、より早く自分に向いたやり方に辿り着くことができます。新規事業においては、顧客について学ぶことは果てなく続くと考えた方が良さそうです。

ぜひ取り組むべき新規事業と自分にあったダイエット法を見つけてください。

Written by Shingo Tsuda on 2013-09-10