イノベーションにはチームが不可欠 人材発掘編

今、大企業内の新規事業プロジェクトの最大の課題は何か?と問われれば、私は自信を持って”チーム”と答える。私自身のスポーツそしてビジネスにおける成功・・・そして失敗体験からも、チームこそがコントロール可能な目的達成ために最も効果的なパラメーターだと確信しているからである。
チームの重要性については、例えば、ジェームズ・C・コリンズがシリーズの中でも最もインパクトが大きいと考える”ビジョナリーカンパニー2”における名言、
だれをバスに乗せるか? 最初に人を選び、その後に目標を選ぶ
であったり、IDEOのトム・ケリーも”イノベーションの達人!”において、ダイバーシティーの重要性としてチームに必要な10種類の人材要件を挙げている。また個人的な好みでは、ジーン・リップマンブルーメンとハロルド・J・レヴィットの共著の“ホットグループ”。この中で述べられている、ミッションドリブンの熱い最強集団として表現されるチームが、イノベーションを興してきているという事実は古今東西、分野を問わず疑う余地がない。しかし、今まで企業内ベンチャーの課題として、新規事業をどう興していくかというHow toが議論されるほど、チームの作り方がテーマアップされることがないように思う。
これこそが企業内ベンチャーの最大の課題なのではないか?
どこかで人材は事業側からは非制御であり、特に日本の大企業内では人事の仕事として不可侵な領域というすり込みが大きく働いているような気がしてならない。この枠をとっぱらわなければイノベーションに必要なチームの構築は難しいと感じている。
我々は新規事業創出というチャレンジは、ベンチャー企業のスタートアップと変わらない取り組みだと考えている。特に社内を説得していく初期においては、ベンチャー起業以上にエネルギーとパワーが必要になる。そういう意味では、思いや能力だけでなく社内の人脈や経営層からの信頼など通常のベンチャーとは違う外部環境要因の中での突破力が必要とされる。しかし、行動特性という要素に着目すると事業化を実現するという目的においては、ベンチャー起業家も企業内イノベーターもほぼ同じである。
ではこうした行動特性を持つ人材をどのように評価して抽出するか?そのツールの一つとして、クリステンセン教授の研究から導き出されたInnovator’s DNAがヒントになると考えている。
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これはイノベーターに共通する行動特性とそれによって身につけられる重要なスキルセットを見出すという研究から導かれた指標である。その結果として、イノベーターにとって重要なスキルは下記の5つの要素が特定された。
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今回はその詳細に触れることはしないが、この指標は、Appleのスティーブジョブス、Amazonのジェフ・ベゾス、スターバックスのハワード・シュルツ、salesforce.comのマーク・ベニオフ、eBayのピエール・オミダニアなど近年を代表するトップイノベーターの研究から生まれた。既に世界5000人以上のイノベーターに関するデータベースを有し、またはこうした企業家だけでなく、企業内イノベーターとのベンチマークも可能となる。
我々INDEE JapanもこのInnovator’s DNA診断を日本において提供できる準備を整えることができた。正式にはまた改めてアナウンスさせていただく予定であるが、これは個人として受けていただいても参考になるし、新規事業チームを作ろうと考えている企業全体として受けて頂いても有効である。行動特性に着目するということは、良い悪いの全体的な評価ではなく、新規事業プロジェクトを推進する人材として向いているか?いないか?つまり向き不向きを診断するものであるため、自己申告としての主観的評価と客観的評価の差も生じにくいものでもある。また新規事業プロジェクトはある意味社内において煙たがられる存在でもあるという現実を考えても、誰もが進んで行きたいという場所ではないかと思う。まさに社内でも際物的な人材こそが向いているわけですから、改めて際物診断と思って活用すると特に日本企業においては有効だと考えている。
こうしたチームに必要な人材の特性を私自身の言葉で5つ挙げる。
 ・分析的だけでなく、新たな事象のつながりを考え出そうとするメタな思考習慣がある。
 ・思いついたらまずやってみる行動習慣がある。
 ・自分自身の感性(知識、経験から導き出される直感)の可能性を信じている。
 ・やると決めたらどっぷりのめり込めるオタク的な特性がある。
 ・人や世界に関する自分自身の思想、理念を持っており現状に満足していない。
当然これにプラスアルファ、ビジネススキルや各分野の知識が必要となる。しかしこれらは後からでも学習可能であるが、上記の特性は変えようがない。だからこそこのチームメンバー選出はこれらの特性を見極める事が非常に重要になる。当然、我々自身の仲間探しにおいてもこれらの要素を非常に大切にしている。

最後にも前述の個人的な趣味の一冊で恐縮であるが、“ホットグループ”のP246からのおわりにの章をに目を通していただきたい。そこには不確実性の高いミッションにチャレンジするチームの不安をぬぐってくれるヒントが隠されている。今回はチームに向いた個人についての話であったが、そうした尖った個人が活きるチームについて考えてみたいと思う。
Written by Tatsuro Tsushima on 2014-01-25