思考・行動の習慣 「役割を決めるな?!」「計画を立てるな?!」

役割を決めるな!.jpg

 

「役割を決めるな!」

「計画を立てるな!」

 こう言い切ってしまうと誤解が生じるかもしれませんが、普段多くの人が当たり前と思っている考え方が上手く機能しない場合があります。これは、良い悪い、出来る出来ないの問題ではなく、思考・行動の習慣によるものです。

 人が持つ思考・行動の深い所は、価値観や世界観に支配されています。このレベルは簡単に変えられませんし、ころころ変えるべきものではありません。しかし、習慣として染み付いているものは、所属する環境で最適化されてくるものですので、環境が変わり・目的が変われば、修正して行く必要があります。

 新しい環境に行けば、その場を知ろうとする事は自然な事として受け入れ易いでしょう。業界の知識を学んだり、周りの人が持つスキルをキャッチアップしようとします。しかし、習慣はそう簡単には変わりませんし、そもそも、習慣を変える必要性も感じないかもしれません。多くの人は、何となく今までと違う、やり難いと感じる所で停まってしまい、自分の思考・行動の習慣を見直す所には至りません。これが習慣のやっかいな所です。正に癖の様なものです。自分の癖って意外と気付き難いものです。

  • 知識・スキル :訓練で身に付けて行くもの、忘れたり錆び付く事もある
  • 思考・行動の習慣:日々の個人の振舞いに強く影響する、いわゆる癖の様なもの
  • 価値観・世界観 :習慣の積み重ねで形成され、個人に深く根ざしたもの
  •  

     私自身、思考の癖・行動の癖には気付いているのですが、なかなか直りません。そもそも直す様なものではないのかもしれません。では、どうすれば良いのか?直すのではなく、切り替えるという発想が有効です。冒頭に敢えて極端な表現をしたのは、自分の常識を疑い自分の癖を切り替えるための”問い”だととらえてください。

    敢えて普段の常識とは異なる問いを立てる事で見えてくるものを考えてみるのです。

    「役割分担を明確にする事で作業の抜け漏れがなくなる」、「役割を明確にする事で指揮命令がし易くなる」、「役割を明確にする事で各自の責任感が生まれてくる」等、役割を決める事の良さは沢山思い浮かびますが、役割を決める事の弊害は何でしょうか?

    弊害は、役割が決められない様な状態でも、決める事に固執してしまう事です。例えば、これから新しいものを造ろうというときです。何を造るか決まっていない時に、役割を振るのは無理があります。そもそもどんな役割が必要か分かりません。こういう時に無理やりリーダーを決めて進めると、そのリーダーの思考が律速となってアイデアを狭めてしまう可能性があります

    計画を立てる事の弊害も同様です。計画を立てる段階ではないのに計画を立てる事に固執してしまう事です。未知のものに挑戦する時に、既存の作業の様に細かい計画を立てようとし過ぎて時間を浪費してしまう事です。
    適切な粗さの計画というのは意外に難しいものです。特に普段詳細な計画になれている人には、先が見えずに進むのはとても不安な事です。

    どちらも過剰に型に嵌ってしまう事が問題です。言われてみれば、なるほどと思えるけど、それまでは気付けない、これぞ正に癖です。

    但し、癖というか習慣が不要な訳ではありません。習慣は効率的な作業をする上で必須のものです。人はそんなに器用ではありません。積み上げた成功パターンは武器になります。ただ、時としてこれが自分を雁字搦めにしてしまう。「効率を上げるための習慣化」を進めると、「現状を打破するための柔軟性」が失われてしまう。これもまたジレンマです。

    習慣を変える事は、スポーツのフォーム改造の様なものです。一気に変え過ぎると、自分がなくなり、型がなくなり、型無しになってしまいます。型を変えるというより増やすのが大事です。そして、その上での使い分けです。自分を客観視し、強制的に型を切り替える、文脈に応じた、一段上のメタ思考が必要です。

    新規事業開発はまさに異なる文脈です。今までの成功パターンが仮説の一つになってしまう。こうした時こそ、自分の思考・行動の習慣が機能するかどうかの問いかけが必要です。

    「役割を決めるな!」

    「計画を立てるな!」

    少し立ち止まって、自分に必要とされている行動が何かを考えてみてください。

     人は習慣の生き物です。習慣の積み重ねが、その人をつくります。習慣をコントロールできれば、自身の幅を広げる事が出来ます。幅を広げながら修正して行けば、なりたい自分になる事もできます。

     いつもとは違う思考・行動を試してみてください。やり方を変えれば、自ずと結果も変わります。先ずはこの違いを体感する事が自身の習慣を見直す第一歩です。

    Written by Tatsuya Yamada on 2014-02-10