大塚家具の凋落はイノベーションマネジメントの失敗

親娘の諍いとしては一旦決着した大塚家具の騒動ですが、先日決算結果が発表され問題の本質は治っていないことが明らかになりました。 

ここで争いが起きた当時に大塚家具を取り巻いていた状況を整理してみましょう。

  • ニトリやイケアなどの低価格家具が増えるなか、人口も増えず、経済の低成長という外部環境の厳しさ
  • 高級家具を手厚い個別営業で販売するモデルが若者を中心に支持されなくなった市場環境
  • 創業者の勝久氏は、従来からの高級路線を維持する戦略、娘久美子氏は低価格化を志向する戦略を主張
  • 勝久氏と久美子氏との間のコミュニケーション問題

株主らは、久美子氏の戦略の方が時代に合っているとして、久美子氏を社長に擁立したことは記憶に新しいはずです。
しかし、イノベーションマネジメントの観点から、もっともっと前から取り組むべきことはあったはずです。 

例えば:

  1. ニトリ・イケア等の勢力を「低級品」と見なさず「破壊的技術」と見なす
  2. 家具を必要とする若者のジョブの理解
  3. 高価格戦略、低価格戦略のそれぞれが成功するための重要な仮説の洗い出し
  4. 戦略議論ではなく実験を行う素地作り

おそらく、今後利益率では父の匠大塚は善戦するでしょう。大塚本体から切り離した小さなチームで、ハイエンド家具を販売するのですから。
一方、本体の大塚は低価格戦略に一気に舵を切った格好になりました。古いビジネスモデルのなかで業務を行っていた社員ばかりで、一気に業務変革も進まないことが予想されます。低価格路線での成功パターンを見つけるまである程度の試行錯誤が必要なのにも関わらず、組織が大きすぎるからです。

 

イノベーションマネジメントでは何を考える?

過去起きてしまったことは仕方がないので、少し未来志向で考えてみましょう。

  • 新しいアイデアは小さく試す。新しいアイデアを試す仕組みを構築できないだろうか?
  • 新しいアイデアと古いやり方の間では、ガチンコの議論は成立しない。コミュニケーション方法を変えられないだろうか?
  • 低価格の競合は将来の破壊者になる可能性を秘めている。馬鹿にせずに、危機感を醸成できないだろうか?
  • 伝統を守りながら改善を続けるタイプの人と、新しい機会をとらえるタイプの人は異なる。既存の業務よりも新しい事業立ち上げに向いていそうな人は社内にいるだろうか?
  • 既存事業を補完したり、破壊しうる事業に投資する。どうやって機会を見つけ、投資をすればいいだろうか?

これらの問いに一つ一つ答えていくことが再生の鍵となるはずです。

Written by Shingo Tsuda on 2016-06-07