適切な差別化のポイントを探す

どうやって商品の差別化を図るかは多くの企業が取り組んでいる課題です。
的確に差別化ポイントを見極めていくには、顧客の立場に立って、本質的にやりたい事を整理し、何に不満足か?何が過剰か?を見極め、「そうそう、今まさにこういうのが欲しかった!」とライトスポットをつくことが重要です。
ここで不満足とは顧客がやりたい事を十分に解決できていない部分、過剰とは顧客がそれほど関心が無いのに提供側の論理で過剰な機能やサービスを提供し、かつ価格に転嫁している部分を指します。
このライトスポットは商品が最初に市場に提供され始めてから(正確にはその商品カテゴリーが誕生してから)しだいに変化していきます。そのため、継続的に市場での地位を得ていくためには、この差別化ポイントを的確に見極めつつ、タイミングよく変化させていくことが必要です。
ところが、これはいうほど簡単ではありません。
  • 最初に商品を提供した企業(新カテゴリーをつくった企業)はいつの間にか顧客よりも自社の基準をドグマ(教義)として掲げるようになり、いつしか顧客の信頼を失って自社満足な過剰な商品を売り込むようになります。一部のコアなファンの評価は受けますが、市場のメインストリームからは外れていきます。
  • 後発で参入した企業は先行者のリプレイス(分かり易いターゲット)ばかりを追いかけて、よく似た商品の投入をしてしまいます。微差の性能での競争を続け、同じような商品が乱立し、誰も儲からないレッドオーシャンにしてしまいます。消費者からも「似たような商品ばかりで何を選んだらよいのかわからない」と提供側の苦労が報われない声が上がってきます。
こうした不毛な競争に陥らないために、何が顧客にとって意味のある差別化かを見極めるためのポイントを紹介します。
背景にあるのは「イノベーションのジレンマ」「Jobs to be done」の理論です。
具体例として、国内におけるホテルの旅行予約サイトで考えてみましょう。
まずは新カテゴリーをつくった企業として、旅行予約サイトの草分けである楽天トラベルを考えてみます。楽天トラベルは2001年に楽天により開設され、2015年度の取扱額ではJTBグループに次ぐ旅行業者第2位です。その強さは品揃えにあり、登録宿泊施設数は日本国内が2万8千前後でトップです。出張の多いビジネスパーソンであればおそらく何度かはお世話になっているのではないでしょうか。
改めて、楽天トラベルが差別化しているポイントを挙げてみます。
  • 新価値 : ネットで簡単予約
  • 機能性 : 登録件数No1!
  • 信頼感 : 安心!、大手企業のグループ
  • 利便性 : お手軽!、検索し易い
  • 価格  : ポイント獲得!、楽天で利用可能、航空会社との提携
出発点としては、インターネットで予約できるという所で差別化を図りました。宿泊施設の数、航空券、パックツアー等の旅行用商品の品揃えを拡大しサイトとしての機能を増強し、大手企業のグループという事で知名度をあげ、顧客に対して信頼感、安心感を提供。イントや航空会社との提携で、お得感や利便性も高め、格安ビジネスパックによる価格面の訴求もされています。
ここまで差別化のポイントを追加されると、後発の参入は難しいと思っていたのですが、
最近CM等で目立ってきている別のサイトが、異なる差別化ポイントをついてきました。
ホテルズ160628.png
上の画像でお気づきでしょうか?お得感をゲーミフィケーションで補っています。
こちらは2008年に海外から日本に参入してきた後発サイトですが、日本版オリジナルキャラクター「ナンパグ」を設定したブランディングを実施し、10泊宿泊で1泊無料という分かり易いお得感を訴求しています。無料*と注意書きがついているように実は何でも無料という訳ではないし、ポイント還元率ではそれほどお得ではないかもしれないが、メッセージとしてお得感が伝わり易く、スタンプが溜まっていくゲームとしての面白さがあるところが特長です。
国内での品揃えで勝負せずに、新しい切り口での差別化ポイントをついているのは、レッドオーシャンを避けた適切な差別化といえます。これが成功したのも、消費者は、どうせ泊まるなら「得したい」というジョブを持っているからです。
ここで改めて差別化のポイントを整理します。
日本では後発のHotels.comは全方位ではとてもかないません。新価値という意味ではAirbnbがローカルの家に友達のように泊まれるという価値を提供しましたが、旅行予約サイトとしては簡単に真似できません。また、旅行予約サイトは既にプレーヤーが沢山いるので、機能性・信頼性で圧倒するというのも難しいですし、利便性だけでインパクトを出すのは難しくなっています。残った価格という競争軸で最安値保証、ポイント還元等で、どちらが得かという競争が行われていました。ここで数字としてのお得感から、「10泊で1泊無料!」というお得感の分かり易さで差別化したのがHotels.comです。
差別化ポイント(中).jpg
今回とりあげた差別化のための法則の背景にあるJobs to be doneから差別化への応用までを
としてお伝えします。
この機会に是非、背景の理論から差別化のポイントを理解し、皆さんのビジネスに役立ててください。
Written by Tatsuya Yamada on 2016-06-29