既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?

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ここ数年、イノベーション人材育成の活動が増えてきています。上の図はイノベーターDNA診断の結果ですが、おかげさまでこうした人材に関する面での当社への問い合わせも増えています。
どの企業も10−15年後に今の製品・サービスで稼ぎ続けられるとは思っていないでしょう。既存事業を上手く回す人材だけでなく、新規事業を作れる人材、それもイノベーティブな新規事業を生み出して将来の自社の基盤を作れる人材が必要だと考え、イノベーション人材を作ろう!イノベーションを起こす力を身につけるトレーニングを導入しようとなっています。
イノベーションというテーマへの取り組みが、R&Dや経営戦略から人材育成の観点まで活動が広がっているのは嬉しい事なのですが、育成プログラムを企画する段階で、工夫すべきと感じることがあります。それは、選抜とスキルのとらえ方です。
選抜
将来を担う人だからということで、経営幹部候補いわゆる既存ビジネスのエースが集められることが多いのですが、ここで押さえておかなければならないのが、本当に新規事業の立ち上げを任せられるかです。
エースなので当然彼ら彼女らには背負うべき事業や部署があるでしょう。既存ビジネスを守るだけでも大変なのに、将来のビジネスを考えろと言われても困るというのが参加者の本音かもしれません。そんな中で新規事業を立ち上げるための一連の知識やスキルを身につけ、日々の業務をこなしながら、新規事業の企画書を作り上げるのはけっこう辛いことです。気合を入れて最終プレゼンに臨み、パフォーマンスを発揮し、これは事業化を進めよう!という評価を得ても、「既存事業もしっかり進めてくれ!」という一言がつくと、所詮は研修かと一気に気持ちが冷めてしまいます。
新規事業を生み出す考え方を将来の経営幹部にも学ばせるという目的であれば研修として割り切るだけですが、もし、より新規事業のアイデアそのものにフォーカスするのならば、既存ビジネスのエースばかりではなく、選抜よりも自主的な手挙げでの参加を重視して参加者を募ることをオススメします。
むしろ既存ビジネスでは上手く動けていない人材にこそ任せるべきかもしれません。既存ビジネスと新規事業開発に求められるスキルセットは違うし、今失うものが無い人の方が思い切って新しいことに飛び込めます。
スキルのとらえ方
既存ビジネスを上手く行うためには理解して身につけるべき知識やスキルが沢山あります。成熟したビジネスであるほど、その量は増えていきます。一方で新規事業の立ち上げにおいて大事なスキルは行動して学習することにあります。身につけるべき知識や考え方もシンプルな原理原則が多いので机上で知識を詰め込むというより原理原則を理解して実践しながら学習するのが効果的です。
イノベーター(新規事業に飛び込める人)とそうでない人を分けるのは、知識や考え方よりも行動特性にあります。知識が足りないのではなく、分かっていても出来ない/やらないということがほとんどです。
ちなみに行動特性とは以下のようなものです。
・その場を凍りつかせるような本質的な質問を呼吸をするように自然に問い続けられるか?
 (例えば、熱っぽく技術の凄さを語っているエンジニアに、「それは誰にとって価値があるの?」と聞く)
・普段の業務と直接関わらない多様な人たちとのネットワーキングを行っているか?
 (単なる飲み会ではなく、事業機会の発見等の明確な目的をもって行っているか?)
・思いついたアイデアを既存ビジネスのしがらみをおそれずに気軽に実践できるか?
 (手間と時間のかかる承認プロセスを無視して、直感とスピード感で振る舞えるか?)
既存ビジネスの円滑なマネジメントとは反するような行動も必要になってきます。
既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?
「考え方を学んで欲しいのか?新規事業のアイデアが欲しいのか?」
白黒つかない、グレイな問題ですが、指針がないと中途半端な結果に終わってしまいます。
「既存ビジネスのエース、経営幹部候補が、
  イノベーターを活用するための考え方を学ぶ 」
「新規ビジネスに挑戦したい人材が、
  イノベーションを起こすための考え方と行動の機会を得る 」
プログラムのコンセプトを明確にするのが、人材育成の適切な企画づくりの第一歩です。 
Written by Tatsuya Yamada on 2016-08-18