大企業がアクセラレーターをやる意味

最近はメットライフが最近立ち上げたCollabや東急アクセレートプログラムのような「ポストアクセラレーター」「スケーラーレーター」と呼ばれる施策を取り入れている企業が増えています。これはとってもいい流れだと感じています。

元来、アクセラレーターは資源のないシード期やアーリーステージのスタートアップを発掘し、投資・育成するのが狙いですが、大企業の持っている資源は貯蓄とリスク回避の結果の賜物なので、どうなるかわからないようなスタートアップにスパッと使うような価値観を持ち合わせていません。むしろ、プロダクト・マーケット・フィット(PMF)の検証を終えたベンチャー(厳密にはこのステージに来るとスタートアップと呼ばない)とコラボをして双方にとってのシナジーを創り出すのがこのポストアクセラレーターやスケーラーレーターの狙いです。

目に見えないもの

大企業は優秀な人材、資本、信頼のブランド、顧客基盤、設備、どのアセットを見てもスタートアップを圧倒する力を持っています。しかし、イノベーションの歴史を見ても、そして社内の新規事業で頑張っている人たちを見ても、イノベーションを阻害するものが山積みなのも事実です。

部分が良くて、全体がダメだということは組み立て方が間違っているからで、「仕組み」「プロセス」という言い方をする人や、KPIや戦略に起因すると考えている人もいますし、クリステンセンのように「価値観」「行動規範」だという人もいます。

それを部分的に打開し、ベンチャーのような仕組みで動く別部隊を立ち上げている企業が増えています。古くは社内ベンチャー制度が流行し、その後CVCのようにベンチャーキャピタルを模したアプローチ、近年では企業内アクセラレーターを導入する企業が増えています。

導入したはよいけれど、必ずしもうまく動いている訳ではないのでしょうか。しっかり予算割り当てて、トップもコミットし、人数も掛けている。しかしうまくいかない。


それは、目に見えるものばかりに対処しているからです。その結果、目に見えないものに足を引っ張られて、イノベーションが頓挫します。ブレーキ解除を忘れてアクセルを踏んでいます。前述した「仕組み」「プロセス」「KPI」「戦略」は目に見えます。しかし、「価値観」や「行動規範」は目に見えません。目に見えないものを変えるのは骨が折れますし、本当に変わったかどうかを検証するのはさらに難しい作業です。どこかのコンサル会社による「戦略」で変わると思うのは相当楽観的な考えではないでしょうか。

価値観に合うもので「違うもの」

価値観に合うものでも新しいものは存在します。時代に合わせる力を持つベンチャーがいたら、自社の資源をそこに投入し、今の時代に適合したビジネスモデルイノベーションを起こすことは可能です。例えば、メットライフはデジタルの力を活用した保険ビジネスを展開するベンチャーを探しています。東急アクセラレートプログラムは沿線住民の課題の変化に適合した商品やサービスを募集しています。スケーラーレーターという名前どおり、PMFの検証が終わったものであれば、スケールを求めて大企業と組むのはどちらにとっても理に適ったやりかたです。

たまに、シードやアーリーのスタートアップに関われないことを自嘲気味に語る人がいます。ですが、人のダイバーシティーが求められるように、企業のダイバーシティーだととらえた方がよいのではないでしょうか。皆さんどう思います?

Written by Shingo Tsuda on 2016-12-05