起業 or 独立?

 実はINDEE Japanを立ち上げから密かにこだわっている些細なことがあります。
それは「独立」「起業」を使い分けていることです。どうでもいいことかも知れないんですけど。
「独立したんですね」と言われると、「いいえ、起業しました。」と言いたくなってしまいます。実際に、言っていることも多いかもしれません。些細な違いですが、個人的には大きな違いがあると感じてます。

 「独立」というのは、プロフェッショナルとして組織に頼らずとも自分の看板だけで仕事ができるという「成長」という意味を感じます。しかし、同時に響きとして何らかの枠や縛りから、「解放」されることを目指しているように、聞こえるのです。アナウンサーがフリーになると、違う局でも出演したり、変なバラエティに出なくてもよくなったり、自由を求めての独立や、ギャラをピンハネされないようにするためにフリーになっているような例があります。そのように、「独立」にはプロとしての「成長」と同時に現状の不満がきっかけにあるような気がします。
 一方、「起業」には新しい事業を創っているという意味が主にあるのではないでしょうか。実際に社内ベンチャーとして、独立せずに起業を成功させている人も沢山います。私は長年組織にいた人間としては、かなり自由にさせて頂いていたので、そもそも何かから逃れたいと思うこともありませんでした。
 つまり、何が言いたいのかと言うと、現状から不必要なものや邪魔なものを取り除いたような未来はイメージできないということです。実際に起業してみると、もちろん自由になったような部分もあるにはありますが、やっぱり面倒なことは面倒だったりします。しかし、余計に避けて通れない面倒だということも痛く理解することができます。

少し話題を変えると、ALSのアイスバケツチャレンジが相当広まって、物議を醸すほどになってきましたね。個人的に驚いたことには、Bill Gateがやってから4日もの短期間に私の直接の知人が4人もfacebook上で氷水を被ったということです。ムーブメントが地球をここまでの速度で伝わるようになったのは、多くの人が新しいことにチャレンジした結果にほかありません。
「起業」(独立を伴おうと、伴わなかったとしても)というチャレンジが今後も増えることを願います。そして応援します!
Written by Shingo Tsuda on 2014-08-27

ビジネスモデルのイノベーションを遅くしているのは何か?

今日は、以前あげた以下の3つの課題領域から、「ビジネスモデル等プロジェクトの方針」について考えて見ましょう。

  • 会社の仕組みや方針
  • ビジネスモデル等プロジェクトの方針
  • 人選や人の能力

ビジネスモデルとは?

ビジネスモデルとは何か、と聞かれると一言で言えば、「儲け方」と答えるようにしています。つまり、何を誰にどんな形態で提供し、誰からどんな形態でお金を頂くか?

クックパッドのビジネスモデルは、みんなが作った献立を、料理をしたい人たちに、インターネットを介して一部無料で提供し、広告主や一部のプレミアムユーザから広告費や会員料としてお金を頂く、となります。

クックパッドは最初、広告モデルだけでした。それが、発展し機能を増やしながらプレミアム会員からの月額使用料という新しいモデルを構築しました。このように、企業のビジネスモデルは変わっていきます。特に、ベンチャーはビジネスモデルをグルグル変えます。ハーバード大の研究によると、成功した起業家のうち、最初のビジネスモデルを変えなかったのは、たった7%しかいませんでした。ビジネスをしながらビジネスモデルを変革させる能力が、スタートアップに最も必要な力といっても過言ではありません。ピボットという言葉は、浸透しつつありますが、ピボットをしないで最初の構想通りに事業ができあがることはほとんどないのです。

高速仮説検証

ビジネスモデルの試行錯誤を高速化することが、このフェーズでは最重要項目です。単に上手くいくビジネスモデルを沢山試すことができるだけでなく、間違ったコンセプトを深追いしすぎないための高速仮説検証なのです。つまり、的中率を上げつつ、外した時の痛みも小さくします。ビジネスモデルの中でも、顧客は何人いて、どれだけお金を払ってくれるかというのが、最も不確実な要素です。この点を早期に検証することを「リーンスタートアップ」、その結果としてビジネスモデルを変えることを「ピボット」と言います。

最近では、「リーンスタートアップ」「ビジネスモデル」「ピボット」などのキーワードが浸透してきました。ところが、行動が伴っていないのも事実です。『リーンスタートアップ』を愛読書とする人が、20人もの部下がいながら、社内ベンチャーチームにあと100人欲しいと言ってみたり、ビジネスモデルを変えたいと言いながら、ハードウェア販売以外に興味がなかったり、顧客の評価が良かったビジネスモデルが以前報告した戦略と異なるからという理由で、軽視したりするケースは、実際にあります。笑えない話です。

まずやってみよう!

なぜこうした笑えないことが起きるのか?実は、イノベーションを阻む2つのことが起きています。

  • アイデアを出すが、試さない
    アイデアを実行に移すための基準が高すぎるケースがよくあります。販促のアイデアや、追加機能のアイデアが90%成功する可能性がないと、やってみないのです。品質に対して文化的に染みついているものかもしれませんし、失敗を恐れてのことかもしれません。しかし、成功した起業家の話を総合すると、彼らがアイデアを試す基準は勝率なら51%~70%以上と答えます。決して無暗矢鱈に試すのではなく、ちょっと冷静に勝率を考えてみて、五分五分以上の可能性があれば、試してみて、その結果から学ぶ姿勢を持っています。私も仮説の30%~40%は間違っている前提で、一見まずそうなアイデアも試してから結論を出すようにしています。アイデアの実行規準を考え直してみてください。
  • コンセンサスを取りすぎる
    人が持つ仮説の30%が間違っているとしたら、成功するアイデアの30%は悪いアイデアのように見えます。二人いたら、二人ともが良いアイデアだと思うことは51%になり、三人なら66%、十人が一致して良いアイデアだと思うものは、たった3%しかないことになってしまいます。これでは、実験すらほとんど行われないことになりますね。ましてや、イノベーションは普通のことからは生まれないのです。議論を生むような、賛否が分かれるようなアイデアを試さなければいけません。あくまでも『コンセンサスを生むための仮説検証』として位置づけ、決してコンセンサスの下の予定調和的実験にしないようにしたいものです。
Written by Shingo Tsuda on 2014-04-30

アウトサイダーの使い方

 何か新しい事を始めるとき、新しい考え方が必要なとき、アウトサイダーは大きな力になる。それは既存のメンバーだけでは古い箱の中から出られないからだ。いわゆるOut-of-box-Thinkingが出来ないからである。

 アウトサイダーは箱の外にいる事こそが、その最大の価値である。ただし、箱の外の人なら誰でも良い訳ではない。箱の外の人に何処を頼めば良いのか?ここが難しい所だ。相談したい内容は内部の事であれば、相手の知識やスキルの評価もし易いが、それでは箱の外にいるだけのインサイダーに依頼する事になってしまう。情報共有はし易いかもしれないが、新しい考え方を得るには必ずしも得策とは言えない。

 こうしたジレンマの中、「外部の知恵を取り入れたい、オープンイノベーションを進めたいと思っているが、なかなか進まない・・・」という企業が多い。

 では何か指標は無いのか?以下のチャートが役に立つ。

アウトサイダーの使い方1.png


 多少のアレンジは必要かもしれないが、基本的にはこの構造で整理可能だ。視点は2つ。1つ目は依頼の相談内容、何を支援して欲しいか?、もう一つはアウトサイダーの保有リソース、何を提供出来るか?。このニーズとシーズの組合せ毎にアウトサイダーの属性を示すしたものが先ほどのチャートである。
 ここでコンテンツとは依頼主が知りたい情報や答えである。業界情報の取得、制度変更の予測等が該当する。一方でプロセスとは(答えは誰も知らない、これから自分たちで考えなければ行けないという前提で)考え方の導きや考え続ける支援を行うものである。自社のビジョンの構築や戦略の組織への落とし込みなどではプロセスの支援が重要になる。
 知識・スキル・マインド・人脈は、特定の個人と切り離されたもの〜特定個人に根ざしたもののグラデーションである。下になるほどプロセス的な支援において大切になるのは感覚的に理解して頂けるだろう。

 以上、ステレオタイプな分類である事はご容赦頂きたい。何処の世界でもそうだが、昨今、職分の境目は曖昧になってきており、一つの役割だけでビジネスを行っているものは少ない。ただ、役割として整理する事で、適材を探す上での指針にはなるだろう。

 例えば、いわゆる士業に代表される専門家は、依頼主が求める正しい答えをその知識から見つけるのが役割だが、依頼主の納得感を高めるには、よりプロセス的な踏み込みも必要になる。コーチだからコンテンツは知らなくて良いでは、経営者を相手にしたビジネスコーチングは勤まらない。また、経営者のメンタルサポートという観点ではカウンセラー的な要素も必要になってくる。アウトサイダーへの依頼をする際には何を支援して欲しいか、何は自分たちが主導したいかよく整理してみると良い。その上で胸襟を開いて期待に応えられるかを率直に問う事が、アウトサイダーをパートナーとして活用するポイントだ。

 ちなみに私たちINDEE Japanは、事業開発のメンバーとしてプロジェクトに深く入り込むところを強みとしている。このパターンの弱みは、一般的には担当メンバーの属人性が高くなってしまう事にある。対策として我々は各プロジェクトにチームで対応する事をモットーとしている。また、個々が深く個別課題に取り組みつつ、チームとしてのレバレッジを効かせるために、メンバーが底流となる共通言語・原理原則を共有している。これにより、たとえその場には1人のメンバーしかいなくても、チームの総力を提供する事が出来る。


 いわく、イノベーションとは何か?Sカーブとは何か?イノベーターのDNAとは何か?といった部分である。ちなみにこうした手法は門外不出の秘伝の書ではなく、私たちが広めていきたい考え方そのものである。
 私たちのDNAとも言えるメソドロジーを世の中に広く伝えていくために、スタートアップ支援、イノベーションコンサルティングとは別に、オープンセミナーも開催している。

 次回は11月27日(水)に日本橋野村カンファレンスで開催する。ジョブスの発見!と題して、価値あるビジネスチャンスを発見するポイントをお伝えする。アウトサイダーの活用の一つとして、是非ご参加頂きたい!!

Written by Tatsuya Yamada on 2013-11-12

事業開発とは (2)

事業開発とは何か?

事業=価値×顧客 であると、以前書かせて頂いた。今回はその続きを書こう。

この公式に従うと、事業開発とは価値の開発と、顧客の開発に分けて考えることができる。
しかし、新規事業の場合、この二つを分けて行うことができません。既存事業であれば、改良した製品やコストダウンした製品を開発し、別の部隊が営業する。それは、既存顧客に売ることを前提としていて、顧客を新たに開発する必要がないためだ。ところが、新規事業の場合、新たな顧客の開拓もしくは既存顧客の新たな需要を開拓する必要性がある。製品開発と同時並行的に行なう「リーンスタートアップ」のようなプロセスがベンチャーおいて実績があるので、参考にしたいところだ。

ではこの顧客開拓というのが、製品開発とどのように結びつくのだろうか?製品開発と営業は従来、共通言語がなく、視点も180度違う。つまり同時に行うのがやっかいだったりする。良いものを作れば売れる、とばかりに製品開発を先行させると、作り手にとって良いものであっても、買い手にはそれほどでもない・・・というような失敗は枚挙にいとまがない。逆に、顧客の要望を聞いてから開発に着手しようとすると、二つの問題が生じる。

  • 顧客は欲しいものを言語化できない。
    スティーブ・ジョブスはかつて『人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ』と言っている。一般に、顧客は既存製品の欠点には気づくが、新しい何かについての意見は出せないものなのだ。同様に、一大自動車産業を作り上げたヘンリー・フォードは『もし顧客に、 彼らの望むものを聞いていたら、 彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう』と言っていた。
  • 多くの顧客に聞けば、要望が膨らみ、少ない顧客に聞けば、ごく一部の顧客向けの要望になってしまう。
    念入りに市場調査をすると、多くの要望が出てくる。それらをすべて盛り込んだ製品をつくれば、相当オーバースペックなものになってしまうだろう。多くのガラパゴス製品のように、良すぎて売れない製品になってしまうのだ。逆に、ある顧客の要望ピンポイントで開発をすると、その顧客には満足いくものになるかも知れないが、他の顧客のニーズには合わないものになってしまう。受託開発のような状況とも言えるだろう。

Jobs to be done に着目する

では、どうしたら良いだろうか?
ポイントは顧客の代わりに、何が欲しいのかを表現してあげることにある。
Jobs to be done.png

一言で言うと、顧客がやりたいこと(Job)ができるような、解決方法を提供することだ。顧客が何をやりたいのか、に着目し、それを手助けする方策を提供するのだ。クリステンセンは、これを Jobs to be doneの発見と呼んでいる。こう書くと簡単だが、顧客がやりたいことは、あいまいだったりする。また、「ジョブ(用事)」という名のもと、やりたいことが「不安を解消したい」とか「いい気分になりたい」など、感情的な場合もあるだろう。さらには「周囲に認められたい」、「無難に済ませたい」などといった社会的なジョブもある。
そのため、粘り強く多面的に観察し、顧客を知ることを行う必要がある。場合によっては、調査する人に日記までつけてもらい、家の中まで追跡することも行うのだ。このとき、売りたいものがはっきりしすぎていると、恣意的な目で見てしまい、顧客の本当の姿を見誤ってしまうので気をつけたい。

この一見主観的な方法論をJOBSメソッドとして、学びやすい形にしています。ワークショップの形でJOBSメソッドを学べるような講座や、新規事業のための調査も行なっているので、事業立ち上げのきっかけにしてみてください。

Written by Shingo Tsuda on 2013-11-04

ベンチャー起業家の自信?!or 勘違い?!

INDEE Japanを設立してもうすぐ2年目の締めを迎える。多くのみなさまから素晴らしいご縁やチャレンジの機会をいただき、弊社も無事3年目を迎えることが出来そうである。本当にありがとうございます。
会社を設立してからの2年間を振り返ってみて印象的な事の一つとして、仕事としていただいたセミナー、講演および自主的に参加した交流会の場で何度も下記の質問をいただいた。
 ・この不景気なご時世によく起業を決断されましたね?
 ・ご家族には心配されませんでした?どう説得されましたか?
これらは確かに起業を目指す多くの人にとっては重要な質問のように思われる。しかし失礼ながらこの質問をしている、あなたはまだまだ起業するには早いと考えた方が良いかもしれない。
1つ目の理由は、この問い対してどんなに明確で納得感の高い回答が得られたとしても、残念ながら聞き手が学べることは殆どない。こうした決断の裏にある心理は究めて個人的な特性に依存しており、家族の同意や理解という外部環境もある意味多くの人にとってコントロールできない要因であることが多いからである。
そして2つ目の理由は、こうした質問が真っ先に思い浮かぶあなた自身の中に、起業に対するイメージがまだ明確でないことが伺われるからである。
hills.jpg
では、実際のアントレプレナーシップと言われる志向を持つ人が弊社のような何をしているか分かりにくいベンチャー企業を見ると何を考えるか?何を知りたいと思うか?恐らく下記のような問いをしたくなるのではないかと思う。
 ・そもそも何をするために起業されたんですか?
 ・モチベーションの源泉はなんですか?
 ・提供価値とビジネスモデルはなんですか?
 ・なにが切っ掛けでそのビジネスモデルに気づきました?
 ・なぜそのビジネスモデルが実現可能だと思いました?
根っからのビジネス志向がある人種の興味は、重みは違えど起業家であるその”人物”と”提供価値”そして儲けの仕組みである”ビジネスモデル”にあると思う。そしてその領域における自分自身の仮説と他人の考え方とを比較検証して戦わせることを楽しいと感じる人達だと思う。そして自らが正しいと思う価値を世の中にぶつけてみてその反応を伺いながら試行錯誤することにワクワクする人達である。
そう考えると起業を決断した裏には、景気がどうこうとか、家族の説得の不安がどうこう以上に、自ら提供したい価値が具体化しており、それを世に問うてみることにやれそう感を感じているのは間違いないと考えた方が妥当であろう。
つまり、起業というチャレンジは、起業家本人の思考や心理に共感できない他人にとっては無謀のように見受けられるが、彼ら本人の中ではやりたい事が具体的であり、強い”やれそう感”を感じているものである。もし、そうでなければ、恐らくその企業は来年にはないかもしれないし、結果が出るまでには間違いなく相応な遠回りをすることになるであろう。
あなたの中で具体的な提供価値とそしてあなたの中でそれをビジネスとして回せているイメージを構築することが出来たら、それは起業の準備ができた時である。そしてそのイメージは事実かもしれないし、単なる勘違いかもしれない。でもそこへ向かうチャレンジを語るあなたにワクワクしてくれる人がいれば仲間が増えるし、それにお金を払ってくれるお客さんが現れそうだと思う人がいればお金も集まる。こうした人、モノ、金の流れは外から見ると偶然のように見えるが、中にいると結構必然の世界なのである。

そう世界はいつでもあなたの準備を待っている。

Written by Tatsuro Tsushima on 2013-10-29