atd2018ICEで感じた3つのこと

ASTDの頃から参加しようと思いつつ、周りから話を聞くだけに終わっていたatdに参加してきました。今年のatd2018ICE(International Conference & Expo)は5月6(日)~5月9日(水)に米国カリフォルニア州サンディエゴのサンディエゴ・コンベンション・センターにて開催されました。今年は設立75周年、しかも基調講演が元アメリカ合衆国大統領のバラク・オバマ氏ということもあり、参加者の合計は13,000名と過去最高となりました。日本からの参加も昨年より大幅増加の269名、米国外からの参加者2,450名の中では、カナダの349名、韓国の298名についで3番目でした。

atdはまだまだ日本での知名度は低いものの、世界最大級の人材開発、組織開発、トレーニング等のプロのための非営利団体です。atdの前身であるASTD(American Society for Training & Development=米国人材開発機構)は1944年に設立されている。1945年、日本でいう終戦の前の年から脈々と活動が続いていることに改めて感動しました。

全体感に関しては多くの方がレポートしていると思うので、自分が感動したポイントに絞ってお伝えします。結論としては「人材開発、組織開発、トレーニング等に関わる人は参加すべきイベント、現地でしか感じ取れないものがある!」ですが、想定と違い期待を超えていたことを3つあげます。

・大規模なのに、寄せ集めではない、目的を持ったプロの集まり
・発表会ではなく、研究会である、しかも象牙の塔では無い
・セッションとエクスポの両面でトレンドを一覧できる、日本からの出展はゼロ!?

 

大規模なのに、寄せ集めではない、目的を持ったプロの集まり

とにかく規模がでかい。日本国内でも人事関連のイベントはあるが、1日の来場者として数千名規模のものが多い。しかも、一般の参加者はほとんど無料なので、展示会に集客のためのセッションが付いているという感じが否めないが、atdはセッションだけで、14種類のトラックに分かれて300以上のコンカレントセッションがある。そして同時開催のエクスポのブースは400を超える。そこに有料の参加費を払った参加者が13,000名なので、小さな街がコンベンションセンターに移動してきた感がある。

帰りのLYFTのドライバーに聞いたのだが、Comic-Con(コミックブックのコンベンション)では50,000人以上が集まり、タクシー等では身動きが取れなくなるらしい。当然街中のホテルも満室になり、参加者の多くは数十キロ離れた街から通うようだ。こうした状況を目の当たりにすると、Airbnbが生まれたのも必然と感じられる。

これだけ大規模になると、どこで、どんなセッションがやっているのか?効率よく回れるのか?と不安になるが、事前説明会での忠告に従い、アプリをDLしてタブレットに回ったおかげで、お目当てを逃さずに回ることができた。この辺りのロジスティクスは流石に洗練されていると感じた。過去から脈々と改善されてきたのだろうが、おかげで初めての参加でも快適だった。

イベント当日のためだけのツールととらえるとアプリは冗長なのかもしれないが、参加段階で計画を立てたり、スピーカーの著作を探したり、セッションのハンドアウトを共有したりと、アプリは大活躍だった。要はちょっとしたLMSである。こうした仕組みが目的を持った学習者としてイベントに参加する上では非常に役立った。atdは単なるイベントではなく、学びのプラットフォームであることを納得した。

当然多くのスポンサーがいるものの、商品・サービスの宣伝という色はほとんど感じなかったのも、atdとしてのテーマがきちんと打ち出されていて、寄せ集めではないところが理由だったのかもしれない。いわゆる教育ベンダー側も、エコシステムを支える一つとして機能していると感じた。ブースでも無理やりの売り込み感はなく、むしろ一緒にこの会を楽しんでいるようだった。

スピーカーも出展社も参加者もスタッフも、皆が等しくプロフェッショナルとして参加している、稀有な場所だった。

 

発表会ではなく、研究会である、しかも象牙の塔では無い

各コンカレントセッションは概ね1時間〜1時間半、講演、インタラクティブセッション、グループ討議を含むワークショップありと形式は様々だ。きっちり並べられた椅子に座って話を聞くだけというものは少ないし、スピーカーも全員がプロのプレゼンターなので、内容が期待と違ったということはありうるが、事前にハンドアウトや著作などで確認できるので、外す率は少ない。

そもそも、この時間帯はめぼしいものがないということが少なかった。14のセッショントラックで300にまたがる分科会から選ぶのだから、間違わなければ、一定レベルは担保されている。むしろ、参加したいものが同時間に重なっていて悩むことも多かった。

中身に関しては、どのセッションも単なる発表会ではなく、理論的背景があり、かつ、実践的なソリューションを伴っているものが多かった(つまり、使えるナレッジになっていた)ベンダーがスピーカーになっている場合でも、商品説明に終始することはなく、なぜ、そのテーマが必要かという問題提起から始まり、トレンドによる背景の補足があり、最後にソリューションとしてツールが紹介されるという形式だった。「発表会ではなく、研究会である」という理由は、この辺りにある。

例えば、初日の初回に参加したセッションは、elearningbrothers (https://elearningbrothers.com/)の以下のセッションだったが、eLearningにおいてゲーミフィケーションする際に見落としてしまいがちが重要な要素について語っていた。
タイトル:The Hero’s Journey: Exploring Often Overlooked Elements in Learning Games
スピーカー:Richard Vass, Daniel Dellenbach
ベースにあるのはジョーゼフ・キャンベルの千の顔をもつ英雄である。彼らのソリューションはeLearningの制作だが、単にインタラクティブにしただけのeLearningが多い中で、自分たちの違いをシンプルに訴求できていた。

最初は、atdの場でゲーミフィケーション?と違和感を覚えたが、人材開発に関わる人はテクノロジーには関心を持ってい無いという自分の完全な偏見だった。テクノロジーをツールとして利用するだけではなく、AIが人間の仕事を奪うと言われるような世界の変化の中で、タレント開発に関わる自分たちが仕事を再定義しなければならないという危機意識を持っていることに視座の高さを感じた。Together We Create a World That Works Better(共により良い世界をつくる)というatdのミッションに改めて共感した。

 

セッションとエクスポの両面でトレンドを一覧できる、日本からの出展はゼロ!?

「日本人から、あの、NTTか?」と聞かれることが多いと言っていたNTT Training inc. (NATIONAL TECHNOLOGY TRANSFER, INC.) Learn by doing をモットーとする技能伝承の会社です。

 

セッションできっかけを得て、エクスポでソリューションを探す。スピーカーに触発されてブースに足を運ぶ。広い会場を行ったり来たりするのは大変だが、セッションでテーマの全体感を掴み、エクスポでソリューションのトレンドが掴めるのは有益だ。テーマとしては盛り上がっていてもソリューションがなければ、課題提起だけで終わってしまう。最初はエクスポよりセッションを重視していたが、エクスポはatdの重要な要素だと再認識した。

Meet to Eat(交流食事会)で会ったサウジアラビア航空の人は、連続11年参加、4日間をかけてエクスポの全てのブースを周り、翌年の活動のネタとしていると言っていた。誰もがサムシングニューを求めている。それに答え続けていることがatdが75年も続いてきた秘密なのだろう。

残念なことに、日本企業の展示は一つもなかった。国内の展示会ではSI的に日本企業の事情に合わせた出展はよく見るが、世界的に普及させられるような製品が無いということだろう。テーマとしては禅に通じるマインドフルネスや働き方改革の最先端とも言える “ikigai” (生きがい)という言葉を耳にするのに、本来、強みでありルーツを持っているはずの日本は発信できていない。

 

厳しく言えば、「どんなに良いことを言っていても、普及させられることができなければ、存在しないに等しい」、最先端を輸入することも大事だが、せっかく良いものを持っているのだから、周りの情報に踊らされずに、本質的な発信をしていくことが大事だと思わされた。学習者として学ぶことは大事だが、貢献者として発信することにフォーカスしていくべきですね。

 

来年のatdは5/19〜22にワシントンDCで開催

興味がある方は、今から https://www.td.org/ をチェックしておくことをお勧めします。一過性のイベントへの参加ではなく、継続した学習プラットフォームとして活用すれば、その価値は何倍にもなる。そして、イベントへは目的を明確に定めて!そうすれば、収穫が得られることは間違いない!

Written by Tatsuya Yamada on 2018-05-29

考える戦略と考えない戦略

「もうちょっと考えた方が良いんじゃないか?」

戦略上の失敗には、ちゃんと考えようよ。と誰もが思う場面がある一方で、

「考えすぎじゃない?余計なことを考えずに行動あるのみ」

考えずに動いた方が良いというアドバイスが適切な場面も存在します。

 

なぜかな〜と考えていたところ、実は、これら2つのアドバイスにはパターンがあることを発見したのです。

まず、前者のもっと考えた方がいいケースというのは、新しいことに“取り組もう”としているときや、“変わろう”と思っている時に起きるのです。「新しいことをやらなきゃ」「変わらなきゃ」というときに、あまり考えずに過去の「クセ」で行動してしまう。意識して変えることを忘れてしまったときに「考えようよ」ってなるんです。いつも行っていることは習慣化しているので、「自動操縦」モードで従来のやり方になってしまいます。新しいことにチャレンジしようとしているとき、古い習慣に抵抗するために「考え」が必要になりますね。

 

「考えすぎ」になるのは、もうチャレンジが始まっているにも関わらず、同じモードで「考え」ばかりが先行してしまうときです。動いてみないとわからないことを考えばかりが先行してしまって、余計に動けなくなる症状のことです。この症状は「何事も深く考えないと…」という思い込みがある場合に発症しやすいように見えます。考えた結果、覚悟を決めているにも関わらず、そのまま考えっぱなしというのはもったいない。「やるやる詐欺」に陥る前に動きたいところです。

とにかく一歩踏み込んでから考える習慣は大事かなと。

Written by Shingo Tsuda on 2018-02-13

KLIでやってはいけないこと

前回はイノベーションの進捗をはかる指標としてKLIをご紹介しました。
「行動した結果、どんな学習をしたか、どれだけ顧客のことを理解したか」を
評価指標としておいても、それだけでは人はなかなか動けません。
そもそも新しいことをやるのには抵抗があるし、
それを慣れていないやり方でいけないとなれば、なおさらです。
その気にさせるのが先か?
まずは黙ってやらせてみろなのか?
有名な
「やってみせ
 言って聞かせて
 させてみて
 ほめてやらねば
 人は動かじ」
の一節が頭をよぎります。
社内にイノベーターのメンターがいれば良いですが、そもそもそういう人がいなくて困っているわけなので「やってみせ」の段階でつまづいてしまうのが現状です。
思考よりも行動、行動することで一次情報を得る
結論としては、ここは、「とにかく行動させる」ということに尽きます。
だからと言って、「イノベーションを起こせ!」「ビジネスチャンスを見つけろ!」と掛け声をかけるだけでは空回りします。
もう少しフォーカスを絞りましょう。
KPIで言うと結果系だけでなく、そこに至る過程となるプロセス系の指標を追加するイメージです。
行動の方向性を示す前に、そもそも、なぜイノベーションが必要か?という認識を醸成しておくことが必要です。
危機感だけだと余計既存ビジネスを守る方向にも走りやすいので、既存ビジネスで稼ぎつつ、イノベーションへの新規の投資を続けることを大方針として打ち立てる必要があります。ここは仕組みを作るというよりも、トップや部門長の本気のメッセージでしか示すことはできません。
方針が示されて、どんな分野を狙えば良いのか(目指すべき成長分野)、どんなビジネスが求められているのか(自社の顧客ベースや組織能力に対しての新規度合い)、事業コンセプト(ハードウエアからサービスへのシフト等)が見えてくると、そのためにとるべき行動を考えやすくなります。また、ここが具体的に示されるほど、トップの本気度は伝わります。反面、賛否も別れます。停滞した組織にインパクトを与えるには、賛否が大きく分かれるぐらいの劇薬が必要なときもあります。
この辺りがイノベーションマネジメントとして工夫すべき最初のポイントになります。
  KLIを設定するときにやってはいけないこと①: 結果系だけを定義する
やることだけではなく、やらないことを決める
プロセス系のKPIを設定するときには、やることだけでなく、やらないことを決めることも必要です。
イノベーションも、やりましょうだと、結局やらずに終わってしまいます。退路を絶ってまでやらせるとなると、やる側もやらせる側もハードルが高くなりますが、失うものが多すぎる大企業の中で敢えて取り組ませるには、既存のしがらみから解き放つ必要があります。
一つのやり方としてよく紹介されるのが、__%ルールです。
ここで注意しなければいけないのは、「やってもいいよ」では機能しないということです。
3MやGoogleの成功例は、”やりたいことで価値を生み出したい”、”単におもしろいことをやりたい”というモチベーションを持った人が沢山いるという前提があります。こうした文化がない企業で導入しても、よほど余裕がある人か、本業が上手くいかない人の加点狙いに使われてしまいます。
「やってもいいよ」ではなく、「やれ!」にすると行動は少し変わってきます。好きにやれと言われても・・・という人には明確なテーマを与えたほうが効果的です。ただし、この場合はテーマをどう選ぶかという課題が残ります。会社としての取り組みテーマを示せていないと実行できません。
もう一つは「やらないことを決める」です。これには既存の研究テーマに期限をつけて強制退場させるという、相当現場から反対を受けそうなものもありますし、もう少しソフトにテーマそのものは変えないにしてもアプローチ方法を変えさせるというやり方もあります。
要は、「同じテーマに同じアプローチで取り組み続けて、いつまでたっても進展がない」という事態をなくすのが目的です。惰性で続けてしまっているプロジェクトを見つけたら、テーマとアプローチの双方での見直しをオススメします。
  KLIを設定するときにやってはいけないこと②: やることだけを定義する
Written by Tatsuya Yamada on 2016-11-30

既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?

dna_result.png
ここ数年、イノベーション人材育成の活動が増えてきています。上の図はイノベーターDNA診断の結果ですが、おかげさまでこうした人材に関する面での当社への問い合わせも増えています。
どの企業も10−15年後に今の製品・サービスで稼ぎ続けられるとは思っていないでしょう。既存事業を上手く回す人材だけでなく、新規事業を作れる人材、それもイノベーティブな新規事業を生み出して将来の自社の基盤を作れる人材が必要だと考え、イノベーション人材を作ろう!イノベーションを起こす力を身につけるトレーニングを導入しようとなっています。
イノベーションというテーマへの取り組みが、R&Dや経営戦略から人材育成の観点まで活動が広がっているのは嬉しい事なのですが、育成プログラムを企画する段階で、工夫すべきと感じることがあります。それは、選抜とスキルのとらえ方です。
選抜
将来を担う人だからということで、経営幹部候補いわゆる既存ビジネスのエースが集められることが多いのですが、ここで押さえておかなければならないのが、本当に新規事業の立ち上げを任せられるかです。
エースなので当然彼ら彼女らには背負うべき事業や部署があるでしょう。既存ビジネスを守るだけでも大変なのに、将来のビジネスを考えろと言われても困るというのが参加者の本音かもしれません。そんな中で新規事業を立ち上げるための一連の知識やスキルを身につけ、日々の業務をこなしながら、新規事業の企画書を作り上げるのはけっこう辛いことです。気合を入れて最終プレゼンに臨み、パフォーマンスを発揮し、これは事業化を進めよう!という評価を得ても、「既存事業もしっかり進めてくれ!」という一言がつくと、所詮は研修かと一気に気持ちが冷めてしまいます。
新規事業を生み出す考え方を将来の経営幹部にも学ばせるという目的であれば研修として割り切るだけですが、もし、より新規事業のアイデアそのものにフォーカスするのならば、既存ビジネスのエースばかりではなく、選抜よりも自主的な手挙げでの参加を重視して参加者を募ることをオススメします。
むしろ既存ビジネスでは上手く動けていない人材にこそ任せるべきかもしれません。既存ビジネスと新規事業開発に求められるスキルセットは違うし、今失うものが無い人の方が思い切って新しいことに飛び込めます。
スキルのとらえ方
既存ビジネスを上手く行うためには理解して身につけるべき知識やスキルが沢山あります。成熟したビジネスであるほど、その量は増えていきます。一方で新規事業の立ち上げにおいて大事なスキルは行動して学習することにあります。身につけるべき知識や考え方もシンプルな原理原則が多いので机上で知識を詰め込むというより原理原則を理解して実践しながら学習するのが効果的です。
イノベーター(新規事業に飛び込める人)とそうでない人を分けるのは、知識や考え方よりも行動特性にあります。知識が足りないのではなく、分かっていても出来ない/やらないということがほとんどです。
ちなみに行動特性とは以下のようなものです。
・その場を凍りつかせるような本質的な質問を呼吸をするように自然に問い続けられるか?
 (例えば、熱っぽく技術の凄さを語っているエンジニアに、「それは誰にとって価値があるの?」と聞く)
・普段の業務と直接関わらない多様な人たちとのネットワーキングを行っているか?
 (単なる飲み会ではなく、事業機会の発見等の明確な目的をもって行っているか?)
・思いついたアイデアを既存ビジネスのしがらみをおそれずに気軽に実践できるか?
 (手間と時間のかかる承認プロセスを無視して、直感とスピード感で振る舞えるか?)
既存ビジネスの円滑なマネジメントとは反するような行動も必要になってきます。
既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?
「考え方を学んで欲しいのか?新規事業のアイデアが欲しいのか?」
白黒つかない、グレイな問題ですが、指針がないと中途半端な結果に終わってしまいます。
「既存ビジネスのエース、経営幹部候補が、
  イノベーターを活用するための考え方を学ぶ 」
「新規ビジネスに挑戦したい人材が、
  イノベーションを起こすための考え方と行動の機会を得る 」
プログラムのコンセプトを明確にするのが、人材育成の適切な企画づくりの第一歩です。 
Written by Tatsuya Yamada on 2016-08-18

原体験を生み出す動機

paragliding-373936_1280.jpg

イノベーターには一定の行動特性が備わっているというのは、以前にも述べてきました。『イノベーションのDNA』といった優れた研究結果も出ていて、どのような行動特性が必要なのかということもわかってきました。すなわち、現状を問いただし、行動する勇気や、問題を発見する発見力が備わっていることが要件になってきます。

すると、その「行動特性はどのように身につければ良いか?」いうのが次の質問になってきます。
つまり質問を変えると、「イノベーションを興したくなる動機とは何か?」
motivation.jpg
イノベーションに限らず、新しいことに取り組むことには様々なリスクがあります。例えば、
  • 失敗するかも知れないリスク
  • これまでの能力が役に立たないリスク
  • 変なことをやっている人」として周囲から評価されないリスク
  • 慣れ親しんだ仲間や環境を離れるかもしれないリスク
  • 未知の見えないリスク
どれも避けられないリスクですが、敢えて取る人にはどういう動機があるのでしょうか。
これを考えるにはそもそも「動機」とは何かを考えると良いかもしれません。
動機とは、何かを行うきっかけとなるような欲求です。そして、動機を実際につくっているのが「感情」だということが、最近の脳科学でもはっきりしてきました。論理は、正しくことを行う際に役に立ちますが、意欲には役立ちません。強い感情を伴うようなことに対して、人は動機を強く喚起されます。「怒り」「悲しみ」「喜び」「無力感」「達成感」、このような感情もたらすような原体験を実際にイノベーターたちはしています。修羅場体験とも呼ばれています。
ではどうやって、原体験をすればいいのでしょうか?
ここまで来ると、もはやハウツーは役に立たないと思っています。素直に人のムチャぶりに対応してみたり、時には意思に反して厳しい環境に引き寄せられたり、自然の力に任せるしかないのではないでしょうか。そして、これが素直にできるのが、若いうち、とりわけ子供の頃だったりします。たまには、そしてこういう年末の時間のある時くらいは、非日常の無計画な体験に身を没してみてはどうでしょう。
Written by Shingo Tsuda on 2014-12-29