原体験を生み出す動機

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イノベーターには一定の行動特性が備わっているというのは、以前にも述べてきました。『イノベーションのDNA』といった優れた研究結果も出ていて、どのような行動特性が必要なのかということもわかってきました。すなわち、現状を問いただし、行動する勇気や、問題を発見する発見力が備わっていることが要件になってきます。

すると、その「行動特性はどのように身につければ良いか?」いうのが次の質問になってきます。
つまり質問を変えると、「イノベーションを興したくなる動機とは何か?」
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イノベーションに限らず、新しいことに取り組むことには様々なリスクがあります。例えば、
  • 失敗するかも知れないリスク
  • これまでの能力が役に立たないリスク
  • 変なことをやっている人」として周囲から評価されないリスク
  • 慣れ親しんだ仲間や環境を離れるかもしれないリスク
  • 未知の見えないリスク
どれも避けられないリスクですが、敢えて取る人にはどういう動機があるのでしょうか。
これを考えるにはそもそも「動機」とは何かを考えると良いかもしれません。
動機とは、何かを行うきっかけとなるような欲求です。そして、動機を実際につくっているのが「感情」だということが、最近の脳科学でもはっきりしてきました。論理は、正しくことを行う際に役に立ちますが、意欲には役立ちません。強い感情を伴うようなことに対して、人は動機を強く喚起されます。「怒り」「悲しみ」「喜び」「無力感」「達成感」、このような感情もたらすような原体験を実際にイノベーターたちはしています。修羅場体験とも呼ばれています。
ではどうやって、原体験をすればいいのでしょうか?
ここまで来ると、もはやハウツーは役に立たないと思っています。素直に人のムチャぶりに対応してみたり、時には意思に反して厳しい環境に引き寄せられたり、自然の力に任せるしかないのではないでしょうか。そして、これが素直にできるのが、若いうち、とりわけ子供の頃だったりします。たまには、そしてこういう年末の時間のある時くらいは、非日常の無計画な体験に身を没してみてはどうでしょう。
Written by Shingo Tsuda on 2014-12-29

お手本 vs 見本、それぞれの価値

先日ドラマの中で「先生が見本を見せるから、」というセリフに気持ちがひっかかった。 特段重要なセリフではなかったようなのだが、個人的にファンな宮藤官九郎氏の脚本という事もあり妙にひっかかった。”お手本”、”見本”どちらなのだろう?と。

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この場面、このキャラクターには合っているという事で納得したが、自分がこの先生の立場にいたら、若干の抵抗を感じながらも反射的に”お手本”という言葉を使っていただろう。 根底にあるのは教える側は”お手本”となる様なものを示さなければならないという意識にある。もちろん、正解がある問題に関してはお手本を示す必要があるが、自分自身の体験を一つの見本として示すことの方が、より現実を伝えられるし気づきにもなる。お手本、見本、それぞれに価値がある。

敢えてステレオタイプに比較すると、お手本を示すには、その問題に対しての正解があることが前提になっている。さらに言うと一つの正解があるという一軸での評価モデルがあるとも言える。

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こうしたモデルで評価すべき問題もあるが、全てではない。軽んじるべきものではないが、これだけでは不十分というのが21世紀型スキルで言うところの生きる力につながっていくのだろう。
また、そこまで話を大きくしなくても、そもそも正解がないものもある、美術や音楽等の自己表現の世界がそうだ。これも基本はあるが評価として良い悪いではない。表現できるかどうかが問われる。ある意味評価軸としては自分を表現できているか?自分の軸を見いだせているかにあるとも言える。イノベーターは正にこの軸が人と違っていて、かつ強くぶれない人だ。自分の軸で世界を見て、より良い姿を描いていく、それが普及し世界が変わることがイノベーションだ。

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お手本、見本、場合により使い分けていく必要がある。強いて言うと、絶対評価の一軸にしろ、各自が持つである軸にしろ、それが弱かったりぶれたりしているのは良くないと言える。
どんな状況においても揺るがない価値観だったり、自分の主張を出し切る力だったり、することがつなわち生きる力につながっていく。そして、そうした強い個人が集まることがより良い世界につながっていく。

お手本か見本かの二元論から抜け出して、できるところから両立させていくことが大事だ。例えば、詰め込み、丸暗記ときいてよく頭に浮かぶ歴史も、「未来の歴史を考える授業」を行ったら、どうだろう?、単純にありたい世界の夢を語るのも良いかもしれないが、過去の歴史を知り世の中の大きな動きや、人間の思考や感情の流れを理解することと合わせれば、とても深い学びになるだろう。そうすれば情報も詰め込んだ丸暗記のデータではなく、リアルな血や肉の通ったストーリーになる。

学校だけに頼り切らないで、自らも考え教育に参加していく、そんな仲間を探してます!

Written by Tatsuya Yamada on 2014-11-26

未来思考リーダー

リーダーとは諸説あるが、単純にいえばリードする人だろう。人望があり、決断でき、大局感を持つ人はいずれも素晴らしく、尊敬するが、誰もが持ち合わせたい資質だが、未来思考であることがリーダーに特段必要だと考えている。一方で対比されるマネージャーとは、マネージする。現状をやりくりする役目だ。誤解なきように補足すると、どちらが良いなどと言うつもりではない。誰の中にもマネージャーの部分とリーダーの部分は同居しているので、未来思考だが現状のやりくりも上手な人は数多く存在し、リーダーシップのあるマネージャーとして評価されている。

さて、もしあなたがより良きリーダーとして未来思考を身につけたいとしたら何をしたらいいだろう。

例えば、私はこの人はリーダーだと思った身近な人を観察して真似をしようと思った。もしくはリーダーシップを発揮して成功した人を研究した本を数多く読んだ。
そういったリーダーシップに関する本は玉石混淆。しかし、中でもクリステンセン、ダイアー、グレガーセンによる8年ものイノベーター研究をもとに書かれた『イノベーションのDNA』はリーダーとマネージャーの違いをくっきりと浮かび上がらせている。スティーブ・ジョブスのようにゼロから独自のコンピューティングの世界を創り上げ、世界を変えるようなリーダーは、イノベーターとも言われる。こうしたイノベーターはリーダーの中でも、大きな意義のある課題を取り上げ、率先して取り組むタイプのリーダーである。こうしたイノベーターを、非常に優秀なマネージャーであるトップ経営者と比べ、イノベーターの資質を抽出した研究がこの本では紹介されている。マネージャーが高い「実行力」を持つ一方で、イノベーターには高い「発見力」があることが分析の結果、明確になったのだ。現業を発展させ、推進し続ける力(実行力)と、未来の可能性を発見する力(発見力)を明確に分けたという意味で非常に有意義な研究である。

もう一点、この本で明らかになったことがある。それは、行動パターンである。イノベーションの種を発見し、未来を創造する力の源は思考パターンではなく、行動のパターンであることが研究の成果として発表されている。あながち「とりあえず真似をする」 という行動は間違っていなかったのだ。新たな機会に気づく力である「発見力」は「質問力」「観察力」「ネットワーク力」「実験力」「関連づける力」という5つの力で構成されているのだが、前者の4つの力は個人の行動特性を指す。すなわち、リーダーはどれだけ質問をするか、どれだけ観察しているか、どれだけ多様な人と交流するか、どれだけアイデアを試すのか、という活動量に違いがあるのだ。最後の「関連づける力」ですら、4つの行動特性の結果の下、成立する。これは、二つの点で大きな意味がある。

  • イノベーターかどうかを客観的に評価することができる
  • 行動を変えればリーダーになれる

生きていくにはさまざまな”力”が必要とされる。「忍耐力」「鈍感力」「体力」「知力」「人間力」等々、多くの力はいざとなったら発揮されたり、深層にあって見えにくい力だったりする。こうした力が必要であることは間違いないのだが、果たして自分にあるのかどうか、正直分からない。さらに、つかみどころのない力であるため、高めることは困難だ。「人間力」を高めたいと思っても、一体どこから手をつければよいか、悩んでしまう。

かなり宣伝になってしまうのは承知で、イノベーター診断を勧めたい。『イノベーションのDNA』を構成する行動特性を一つ一つ問われることで、私自身、日々の行動に関する気づきはいくつもあった。日頃の行動を振り返り、小さな改善ポイントがいくつも出てきたことで、半年前に受けたときよりも、今では発見力が高まっていると実感できる。誰しもがイノベーターとして起業家になる必要はないかもしれない。しかし、未来の中に自分がやるべきことを発見できたら、それこそリーダーであり、幸せではないだろうか。

Written by Shingo Tsuda on 2014-07-03

良い会議はなぜ、「言い換え」が多いのか?

先日、「良い会議」の直後に「悪い会議」に遭遇したので、その経験を今日は書いてみようと思う。

参加者でありながら、遭遇したという無責任な発言にはぜひご容赦頂きたい。なぜなら、中には「良く」しなくてもよい会議がどうしてもあるからだ。それは置いておいて、その落差からたった一つの特徴が浮かび上がってきた。

良い会議には、人の意見に対して他の人が言い換える場面が極めて多かった。

その違いに気づいてみると、会議を生産的にする秘訣がいくつか浮かんでくる。その秘訣とやらを書き出す前に、なぜ「言い換え」がそこまで重要なのかを考える必要があるだろう。

何が重要なのかを議論するには、その目的を明確に定義しなくてはならない。
会議の目的は、以下の二つに集約されるとしよう。

  • 合意を取るため(言い換えると、会議室を出ると、参加者の意識が合うように)
  • 新たなアイデアを得るため(言い換えると、参加者が会議室に入る前よりも賢くなるため)

情報を共有するための会議がある、という反論もありそうだが、単なる情報共有なら会議は無駄になる。情報共有を会議の際にするのは、相手が理解しているかどうかをその場で確認しながら、情報を補い、その場で納得してもらうとういう隠れた目的がある。仕事を離れて、ご近所との井戸端会議においても、「私たちは仲間だ」ということを確認し合っていると解釈すれば、合意目的であると言える。仮に「悪い井戸端会議」というものがあったとすると、みんながバラバラな事を言ったり、ケンカした状態が想像できるだろう。仲間であることが合意できなかったのである。

ではなぜ、「言い換え」がそれぞれに目的に対して、どう貢献するか考えてみたい。

まず、第一の目的である合意を考えてみよう。
合意するには、合意する内容をお互いに確認し合うことが必要である。例えば、「北海道は魅力的な場所だ」ということを議論してたとしよう。もし、相手が「北海道は楽しいところだよね」と言い換えたとすると、「魅力」というざっくりとした良さではなく、「楽しさ」という具体的な視点で合意したことを示したことになる。最初の命題に完全に合意できなかったとしても、言い換えた意見がでることにより、合意できる部分が浮かび上がるのだ。実際のテーマはここまでシンプルではないかもしれないが、合意できることは何か、という前進した議論ができたことになる。すなわち、言い換えられた部分と、言い換えた部分の共通項が着目点になるのである。

第二の目的である新たなアイデアを得るという目的ではどうなるだろう。
この場合は、言い換えられた部分と、言い換えた部分の差に着目する。例えば、「北海道には自然がある」という発言に対して、相手が「北海道の知床半島は自然が豊富で、世界遺産になった」という発言で返した場合は、「北海道には知床半島がある」「知床半島は世界遺産である」という新たな情報が加わったことになる。いささか簡単すぎる例で申し訳ないが、単純化するとこうした意見の交換により共創が生まれる。

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ブレーンストーミングが有効に機能するためには、人の発言をちゃんと聴き、たくさん発言することが重要だと言われているが、ぜひ「言い換え」に着目して聴いた内容を消化した後に発言して見てはどうだろう。

Written by Shingo Tsuda on 2014-06-25

行動は、結果であり、要因である。

 「行動は、結果であり、要因である。」

 これだけ聞くと一体何を言いたいのか?と思うだろうが、最近特に重要だと感じている事なので敢えてこんな表現をした。一言で言うと「行動が全て!」ということなのだが、これでは言外のメッセージが伝わらない。簡単な例えで考えてみよう。もしあなたが新人の営業だとして、なかなか売上げが立たずに困っているとする。どうしたら良いだろうか?

 ここでピンと来た人は「つべこべ言わずに先ず行動でしょ!」と答えるだろう。前段の伏線から考えれば正にその通り。例えば、ビル一棟を端から一軒一軒回って行けば、セールストークも上手くなるし度胸も付く、営業としての精神力は相当鍛えられるだろう。だが、少し足りない。かといって、「きっちり要因を分析して顧客のニーズや売れ筋を見極めましょう!」という事ではもちろん無い。

 言いたいのは「行動が全て」なのだが、ポイントはどんな行動を取るかにある。特に自身の成長を考えると顧客ニーズや売れ筋といった外的な条件に対処するだけでなく、自身の行動を変える事の方がレバレッジが効く。しかも、行動の変容は顧客や商品が変わっても継続して自分の中に残る一生涯の力となる。行動はいろいろな要因を考えた上で結果としてとるものであると同時に、その後の自身の成長や成果を導く要因でもある。これが冒頭の問いかけで伝えたかった事だ。

 心理学者ウィリアム・ジェイムズの言葉で、スポーツの世界でもよく引用されている言葉がある。

   「心が変われば行動が変わる
     行動が変われば習慣が変わる
      習慣が変われば人格が変わる
       人格が変われば運命が変わる」

 心が変われば行動につながるのは間違いないのだが、自分の本心はそんなに変わるものではない。しかも、心の変え方はと聞かれると答えに窮する人が多いだろう。人が変わるのは3つの場合しか無い。大病をわずらう、大失恋を経験する、ろう屋に入れられるの3つだ。確かにこれだけの体験をすれば変わるかもしれないが、これはどちらかというとネガティブな状況であり、変わってしまった場合だ。では、自らが主体的にポジティブな方向に変わるには、どうすれば良いのか?実は心を変えるために行動を変えるというアプローチがある。人は悲しいから泣くのか?泣くから悲しくなるのか?泣いている内に余計に悲しくなってきた。顔を洗って笑顔をつくったら気分が晴れてきた。こんな経験は誰もが持っているはずだ。

 つまり、行動は結果でもあり、要因にもなるのだ。

 しかも、行動を変えて行く事で、習慣、人格、運命と、人生そのものにも影響して行ける。正に行動はレバレッジポイントだ。

 では、どんな行動を取れば良いのか?

 これを考える上で、2つのアプローチがある。1つは自分自身の事を良く知り自分にあった行動を探す事。もう1つはお手本となる行動を決め愚直に努力する事だ。この2つは補完関係に見えるが、実はそうではない。前者は自分が出来る事、心地良い事は何かを知り、やる事を選んで行く場合である。後者は自分が出来そうかは、本当にそのやり方が良いのかは、一旦保留してお手本となる人を愚直に真似る事だ。これにより前者とは違うブレイクスルーを起せる可能性が出てくる。

 どちらかが悪いという話ではない。目指す姿によって取るべき行動が異なるという事だ。

 前者の様に自分を知る方法としては、MBTI、ストレングスファインダー、エニアグラム、ハーマンモデル等の有名なツールに加え、各社オリジナルの分析方法がある。

 後者の場合は目指す姿が自分の外にあるので、ロールモデルの設定も有効になる。もしイノベーターを目指したい、目指させたいというのであれば、当社のイノベーターDNA診断というツールがある。自分が想定するイノベーターとの行動の違いを見る事が出来る。設問のほとんどは行動を聞いているので、不足していると思えば、その行動こそが改善テーマにもなる。

 行動は、結果であり、要因であり、自身を変えるためのレバレッジポイントである。

 イノベーターDNA診断 http://www.indee-jp.com/page/idna

Written by Tatsuya Yamada on 2014-06-16