良い会議はなぜ、「言い換え」が多いのか?

先日、「良い会議」の直後に「悪い会議」に遭遇したので、その経験を今日は書いてみようと思う。

参加者でありながら、遭遇したという無責任な発言にはぜひご容赦頂きたい。なぜなら、中には「良く」しなくてもよい会議がどうしてもあるからだ。それは置いておいて、その落差からたった一つの特徴が浮かび上がってきた。

良い会議には、人の意見に対して他の人が言い換える場面が極めて多かった。

その違いに気づいてみると、会議を生産的にする秘訣がいくつか浮かんでくる。その秘訣とやらを書き出す前に、なぜ「言い換え」がそこまで重要なのかを考える必要があるだろう。

何が重要なのかを議論するには、その目的を明確に定義しなくてはならない。
会議の目的は、以下の二つに集約されるとしよう。

  • 合意を取るため(言い換えると、会議室を出ると、参加者の意識が合うように)
  • 新たなアイデアを得るため(言い換えると、参加者が会議室に入る前よりも賢くなるため)

情報を共有するための会議がある、という反論もありそうだが、単なる情報共有なら会議は無駄になる。情報共有を会議の際にするのは、相手が理解しているかどうかをその場で確認しながら、情報を補い、その場で納得してもらうとういう隠れた目的がある。仕事を離れて、ご近所との井戸端会議においても、「私たちは仲間だ」ということを確認し合っていると解釈すれば、合意目的であると言える。仮に「悪い井戸端会議」というものがあったとすると、みんながバラバラな事を言ったり、ケンカした状態が想像できるだろう。仲間であることが合意できなかったのである。

ではなぜ、「言い換え」がそれぞれに目的に対して、どう貢献するか考えてみたい。

まず、第一の目的である合意を考えてみよう。
合意するには、合意する内容をお互いに確認し合うことが必要である。例えば、「北海道は魅力的な場所だ」ということを議論してたとしよう。もし、相手が「北海道は楽しいところだよね」と言い換えたとすると、「魅力」というざっくりとした良さではなく、「楽しさ」という具体的な視点で合意したことを示したことになる。最初の命題に完全に合意できなかったとしても、言い換えた意見がでることにより、合意できる部分が浮かび上がるのだ。実際のテーマはここまでシンプルではないかもしれないが、合意できることは何か、という前進した議論ができたことになる。すなわち、言い換えられた部分と、言い換えた部分の共通項が着目点になるのである。

第二の目的である新たなアイデアを得るという目的ではどうなるだろう。
この場合は、言い換えられた部分と、言い換えた部分の差に着目する。例えば、「北海道には自然がある」という発言に対して、相手が「北海道の知床半島は自然が豊富で、世界遺産になった」という発言で返した場合は、「北海道には知床半島がある」「知床半島は世界遺産である」という新たな情報が加わったことになる。いささか簡単すぎる例で申し訳ないが、単純化するとこうした意見の交換により共創が生まれる。

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ブレーンストーミングが有効に機能するためには、人の発言をちゃんと聴き、たくさん発言することが重要だと言われているが、ぜひ「言い換え」に着目して聴いた内容を消化した後に発言して見てはどうだろう。

Written by Shingo Tsuda on 2014-06-25

行動は、結果であり、要因である。

 「行動は、結果であり、要因である。」

 これだけ聞くと一体何を言いたいのか?と思うだろうが、最近特に重要だと感じている事なので敢えてこんな表現をした。一言で言うと「行動が全て!」ということなのだが、これでは言外のメッセージが伝わらない。簡単な例えで考えてみよう。もしあなたが新人の営業だとして、なかなか売上げが立たずに困っているとする。どうしたら良いだろうか?

 ここでピンと来た人は「つべこべ言わずに先ず行動でしょ!」と答えるだろう。前段の伏線から考えれば正にその通り。例えば、ビル一棟を端から一軒一軒回って行けば、セールストークも上手くなるし度胸も付く、営業としての精神力は相当鍛えられるだろう。だが、少し足りない。かといって、「きっちり要因を分析して顧客のニーズや売れ筋を見極めましょう!」という事ではもちろん無い。

 言いたいのは「行動が全て」なのだが、ポイントはどんな行動を取るかにある。特に自身の成長を考えると顧客ニーズや売れ筋といった外的な条件に対処するだけでなく、自身の行動を変える事の方がレバレッジが効く。しかも、行動の変容は顧客や商品が変わっても継続して自分の中に残る一生涯の力となる。行動はいろいろな要因を考えた上で結果としてとるものであると同時に、その後の自身の成長や成果を導く要因でもある。これが冒頭の問いかけで伝えたかった事だ。

 心理学者ウィリアム・ジェイムズの言葉で、スポーツの世界でもよく引用されている言葉がある。

   「心が変われば行動が変わる
     行動が変われば習慣が変わる
      習慣が変われば人格が変わる
       人格が変われば運命が変わる」

 心が変われば行動につながるのは間違いないのだが、自分の本心はそんなに変わるものではない。しかも、心の変え方はと聞かれると答えに窮する人が多いだろう。人が変わるのは3つの場合しか無い。大病をわずらう、大失恋を経験する、ろう屋に入れられるの3つだ。確かにこれだけの体験をすれば変わるかもしれないが、これはどちらかというとネガティブな状況であり、変わってしまった場合だ。では、自らが主体的にポジティブな方向に変わるには、どうすれば良いのか?実は心を変えるために行動を変えるというアプローチがある。人は悲しいから泣くのか?泣くから悲しくなるのか?泣いている内に余計に悲しくなってきた。顔を洗って笑顔をつくったら気分が晴れてきた。こんな経験は誰もが持っているはずだ。

 つまり、行動は結果でもあり、要因にもなるのだ。

 しかも、行動を変えて行く事で、習慣、人格、運命と、人生そのものにも影響して行ける。正に行動はレバレッジポイントだ。

 では、どんな行動を取れば良いのか?

 これを考える上で、2つのアプローチがある。1つは自分自身の事を良く知り自分にあった行動を探す事。もう1つはお手本となる行動を決め愚直に努力する事だ。この2つは補完関係に見えるが、実はそうではない。前者は自分が出来る事、心地良い事は何かを知り、やる事を選んで行く場合である。後者は自分が出来そうかは、本当にそのやり方が良いのかは、一旦保留してお手本となる人を愚直に真似る事だ。これにより前者とは違うブレイクスルーを起せる可能性が出てくる。

 どちらかが悪いという話ではない。目指す姿によって取るべき行動が異なるという事だ。

 前者の様に自分を知る方法としては、MBTI、ストレングスファインダー、エニアグラム、ハーマンモデル等の有名なツールに加え、各社オリジナルの分析方法がある。

 後者の場合は目指す姿が自分の外にあるので、ロールモデルの設定も有効になる。もしイノベーターを目指したい、目指させたいというのであれば、当社のイノベーターDNA診断というツールがある。自分が想定するイノベーターとの行動の違いを見る事が出来る。設問のほとんどは行動を聞いているので、不足していると思えば、その行動こそが改善テーマにもなる。

 行動は、結果であり、要因であり、自身を変えるためのレバレッジポイントである。

 イノベーターDNA診断 http://www.indee-jp.com/page/idna

Written by Tatsuya Yamada on 2014-06-16

桜が散る頃に、改めて思う。

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 この写真はオフィスの前、日銀の隣の桜です。今年は個人的には桜の当り年でした。職場や家の周りでちょうど見頃に出会う機会が多かったし、天気にも恵まれました。年に一回、こうして季節を知らせてくれる自然に改めて感謝の念が湧きました。熱帯化してきている感のある日本ですが、四季の素晴らしさは残して行きたいですね。自然に対してどう取組むかは難しいですが。
 四月から年度が始まりバタバタしている間にGWが来て、これからの準備のために第一四半期の大半が過ぎてしまう。なぜ四月に足並み揃えてリセットするんだろう。ビジネス的にはデメリットも多いと感じますが、この桜の季節に新年度が始まり新たな仲間に出会えることの素敵さも捨てがたいものです。

 新しい世界に入る時、環境が大きく変わる時、至る所に自分が変わる、成長するきっかけがあります。不安や緊張、そして怠惰できっかけを取り逃がしてしまうのは、本当にもったいない事です。せっかくの季節がくれたリマインドを大切にしましょう。
 特にこの時期はいろいろな新しい出会いがあります。人との出会いは大きなきっかけです。全ての出会いを大切にしたいものです。

 一期一会

 一期は人が生まれてから死ぬまでの間、つまり人生そのもの。一会はその中での一つの出会い・会合。茶道の心得として、この出会いはもう二度と無いかもしれない、一瞬を大切に、誠意を尽くせという教えです。今の時代、SNSで簡単につながる事が出来ますが、その分最初の出会いを疎かにしてしまっていないでしょうか?相手の事を手帳に記録するだけでなく、きちんと頭に記憶することが大切です。

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 この写真は二週間後の同じ場所です。鮮烈な満開の桜から日常へと急速に記憶は薄れて行きます。一期一会の気持ちも徐々に忙しさの中に薄れて行きます。不安がなくなり緊張がほどけて仕事や生活に慣れるという事は良い事でもありますが、初心を忘れてしまうと、ただ何も考えずに日々を過ごす様になってしまいます。せっかくのきっかけが活かされないまま記憶の底に埋もれて行きます。

 せっかくのきっかけを行かせない原因は自分が置かれた環境・仕組みにあります。どんな環境・仕組みでも本人の意志が強ければ大丈夫という考え方もありますが、多くの人には難しい事です。環境・仕組みのせいにすると他責にしているようですが、個人の意識にばかり頼っていては何も変わりません。イノベーションを起すにはイノベーターが必要ですが、アーリーアダプター、更にアーリーマジョリティを巻込んで行くには環境・仕組みづくりも大切です。常に両面で考えて行きましょう。

 桜の散る頃に、改めて思います。
どうすれば初心を維持し続け、環境・仕組みを変えて行けるのか?
 シンプルな答えは、師や同志を持つ事です。一期一会でこの人と思ったら勝手に師や同志にしてしまいましょう。特別なものは必要ありません。もちろん契約関係も不要です。必要なのは定期的に会うことぐらいでしょうか。大切なのは単に趣味が同じとか居心地が良いとかだけでなく、お互いに切磋琢磨し合える関係を築く事です。
 師は一人に絞る必要はありません。同志の集まるコミュニティも出会いのきっかけやテーマ毎にいくつも出来るでしょう。

 その中には一緒にビジネスを進める仲間がいるかもしれません。特に新しいビジネスを立ち上げる歳には根っ子の価値観を共有出来るかが大切です。価値観を揃える必要はありません。むしろ多様な価値観を持った仲間がいろんな観点で考えた方が価値あるものを生み出せます。
 その上で、力を束ねるものが目指すべき北極星(在りたい姿、ビジョン)です。ここに共感できるかどうかがビジネスにおいて同志になれるかどうかの条件です。

 新しい季節、新しい出会い、きっかけを大切に一期一会で接する。
 そこで得た関係を維持して、師として自身の成長に繋げる。
 テーマを見つけ同志を見つけ切磋琢磨しあって新しい価値を生み出す。
 季節がくれたきっかけを活かして成長して行きましょう。

Written by Tatsuya Yamada on 2014-04-14

「環境」は大事だけど、どうやって変えるの?

社内ベンチャーや新規事業の課題に関するワークショップ等を行うと、挙がってくるテーマは大きく分けて、次の3つのどれかになる。

  • 会社の仕組みや方針
  • ビジネスモデル等プロジェクトの方針
  • 人選や人の能力

この中でも最も議論が盛り上がるのは、ほぼ例外なく「ヒト」の問題だ。その中でも、メンバーの能力に不安を抱えているというディスカッションが盛り上がる。なんとなくスキルが不足している感じがするものの、何がどう足りなくて、同補充したら良いか分からない症状である。そして、議論が進むと「アイツはダメだ」や「アイツは不十分だ」といった評価が始まる。

もちろん、そういう評価は不毛なもので、いかにして鍛えるのか?いかにして人材を集めるのか?という前向きな話がしたい。すると、話は必然とイノベーションのDNAの話になる。DNAは鍛えることはできるが、従来の環境では育たない。真剣に新たなチャレンジをするか、丸っきり新しい環境に身を置くことしか解決策はない。教育の専門家も同じことを言っていたが、変人と付き合うか、修羅場体験をするか、啖呵を切って新しいチャレンジに踏み出すか、この3つの方法しか大きく人は成長しない。

新たなDNAを手に入れる際、私が重視しているのが「環境」である。「環境」という言葉は分かっているようで、分かりにくい。周囲のことを指して「環境」ということが多いが、このように自分以外のことと捉えてしまうと他責のような響きがあり、あまり生産的ではない。代わりに私の人に関する「環境」の定義をお勧めしたい。それは、「そこでは何がフツウなのか?」である。例えば、英語の上達のためにアメリカに留学をするとすると、英語が普通になる。起業家になりたいなら、起業が普通な環境に身を置くべきだろう。人は日常的に普通な判断をしたり、意識せずに周囲と同じような行動を取ってしまう。そのため、「フツウ」を変える必要がある。

先ほどの英語の例で「フツウ」を変える方法は2つしかないというのが、私の考えだ。
つまり、

  1. 異質な人のチームに加わる 先ほどの英語の例で言えば、留学にあたるのがこれだ。できれば単なる異業種交流は避けた方が、効果は大きい。経験上、異業種交流会に来る人の多くは同じ課題を抱えていて、違う業界や会社に勤めていても、似た環境であることが多いためだ。
  2. 違う人をチームに加える 英語ネイティブな人のホームステイを受け入れるイメージである。ここで気をつけたいのは、外人を入れたものの、「普通」を変えない行動パターンだ。想像してみて欲しいが、せっかく英語が普通の環境にするために外国人を招いたにも関わらず、日本語が普通だからという理由で日本語を使っていたり、使わせたりしていたら英語は上達しないのも仕方がない。
先に上げた「変人と付き合う」のも「修羅場体験」をするのも「チャレンジに踏み出す」のもフツウを変える効果がある。変人という特異的な友人が近くにいると、人がやることや出来ることの平均値はズレる。修羅場体験によって、自分の限界が見え、普通に発揮できる能力は広がる。チャレンジに踏み出すと、明らかに違う世界が待っている。「普通」という言葉が違う意味を持つようになる。自分の新たな面に出会うことができるのではないだろうか。

Written by Shingo Tsuda on 2014-02-18

5W1Hはもう古い?これからは7W1H!

先日「今でしょ」で有名な林修先生がテレビで現代文のコツを紹介していた。

読書は好きだったわりに国語の成積がすこぶる悪かった私は見入ったのだが、先生はそのコツを例の得意げなしぐさとともに惜しげなく紹介してくれた。その分析によると、小説問題の大半は傍線問題という文章の意味するところを答えさせるものだそうだ。しかも、その傍線は主人公の心情に変化があったり複数の感情が入り混じった所に引くのが出題者の傾向として強い。つまり、回答欄には心情を2つ書くのが必勝パターンということになる。

この分析にはナルホドと唸らされる。もう一回大学受験をしてみても…とは一瞬だけ思ったりもした。

いずれにせよ、受験には役立つ勝利の公式であると感じた。  このような分析や公式に精通すれば、大学受験には大きな武器となるだろう。国語の先生にもなれるかもしれない。しかし、こういう公式をいくら覚えたところで小説家にはなれない。クリエイティブな小説を書くのは、受験テクニックとはまったく異なるスキルセットが求められる。

受験テクニック的な力を私は4W1H力と呼ぶ。事実をWho(誰が) What(何を) When(いつ) Where(どこで) How(どのように)という事実を整理する力だからだ。小説家になるにはその事実を捉える力を超えて、創造的な力が必要となる。
小説家は人の心という入り組んだものを洞察し、底にある真理を浮び上がらせ、読み手にとっても共感できる形で言葉を操るという意味で4W1H以外の問いを立てることが必要になる。商品開発にとっても同じだ。すでにある製品の品質を高めるのは、4W1Hで問題事象を捉え、解決して行くことが求められるが、新たな価値を提案するには人の心を洞察し、まだ明確になっていない問題を浮かび上がらせる道のりを歩む必要がある。

その道のりの最初の問いはWhy(なぜ)。現在の事実の背景を探る質問は未来創造のきっかけとなる。さらに、Why Not? What If?と組み合わせた 3W が創造的な質問のコツだ。

Whyはことの本質を探る問いであり、創造の初動である。なぜ、パソコンにはファンが付いていないといけないのか、スティーブジョブスはしつこく聞いたという。
Why Not? (なぜ、そうしない)とWhat If?(もし、そうしたら) はより良いものの仮説であり、創造したものの提案である。

もちろん、4W1H力も大切だ。これは誤解ないようにお伝えしたい。実を捉える力が低いと、問題が発生したところで感覚的に物事を捉えてしまい、改善する機会を損なってしまう。 しかし事実は過去のものなので、未来を創造する力にならない。過去を何に使うかといえば、それは未来のため他ない。

少し違う言い方をしよう。世の中の動向に敏感で、ビジネスアイデアが豊富に生み出せる人を「アンテナが高い」と呼ぶ。そういう人は単に5W1Hだけを見ているのではなく、WhyやWhat Ifを常に見ている。まさに3W力を4W1H力に加えることで7W1Hという強力なアンテナが手に入ると言える。

クリステンセン他はInnovator’s DNA(邦訳『イノベーションのDNA』)にて4W1H力のような既存業務の遂行能力を「実行力」、3W力のように創造性を部分を「発見力」というスキルセットに分け、イノベーションのDNAと呼んだ。優れた起業家や社内ベンチャーのリーダーは「実行力」が平均的であったとしても、必ず「発見力」備わっていたのです。イノベーションのDNAをセルフチェックするイノベーション力診断を受け、アンテナを増やしてみませんか?

翔泳社のウェブメディアEnterprizeZineにも関連記事を書きました!
Written by Shingo Tsuda on 2014-02-04