人材育成の最近のブログ記事

 人材育成という、誰もが語るけど、誰も語り尽くせないテーマを少しでも捉えやすくするために整理してみました(だいぶ私見が混じっていますので、複雑なテーマを整理する叩き台として、読んでくださいね)

 人材育成に関する世界最大のコミュニティは atd(元ASTD)ですが、2017年5月に開催されるカンファレンスのコンテンツトラックには、キャリア開発、グローバル人材開発、人財、インストラクショナルデザイン(教育工学)、リーダーシップ開発、ラーニングテクノロジー、学習の測定と分析、マネジメントとのエンゲージメント、トレーニングデリバリー、学びの科学といった内容が並びます。あふれる情報は専門家としては知っておくべきことかもしれませんが、逆にこれら全てを押さえたからといって、効果的・効率的で、経営者・管理職・社員の要望を満足する育成が行えるわけではありません。

 人材育成に限らず、情報収集の前に、そもそも何のために?という目的を設定することが大切です。やっかいなのは、この目的が時代とともに移り変わること、業界や環境において異なることです。そこで、人材育成の変化を4つの段階に見ることで、目的と手段の組み合わせを考えてみたいと思います。ちなみに、古いものは不要ということではありません。むしろ、やり方が増えているという理解をした方が、ステレオタイプなバズワードに踊らされずに済みます。

 暗黙の前提として、企業内の人材育成を想定していますが、「働き方改革」が叫ばれる昨今、企業という枠の捉え方が変わってきています。企業という虚構が崩れようとしている?のかもしれません。
 枠が外されて自由になった時、改めて、過去に主流だった手段(の現代版)も含めて様々な人材育成の選択肢が活用されます。人材育成に関わる方にとっては腕をふるうチャンス、企業研修に関わる企業にとってはビジネスチャンスです!


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人材育成1.0 徒弟制度

 1.0は徒弟制度です。いわゆる現在の企業内における人材育成から見ると、育成とは言えないという意見もあるかもしれませんが、実は現在も続いて行われている最も基本的な人材育成です。
 多くの技術(工芸、工学の分野だけでなく、コミュニケーション、営業術等のソフトスキルも含めて)が、現在もOJTという名の徒弟制度で伝達されています。
 徒弟制度だけでは一度に大勢を育成することはできないので、多くの技術が書籍やトレーニングプログラムとして安価に広く提供されています。しかし、現場の実践者(上司も部下も)から、「こうしたパッケージ化された育成は現場で使えない!現場での実践こそが大事だ!」という声を聞きます。少しでも実践的になるようにとカスタマイズで対応しますが、限界があります。
 こうなってしまうのは、目的と手段が合っていないからです。左の写真のように、一人の弟子を一人の親方が時間をかけて、仕事の最初から最後までを教えていくことができれば、少年はやがて立派な親方へと育っていくでしょう。その代わりこのやり方は多くの弟子を一度に抱えることはできないですし、親方が十分に優秀で、教えられることが少年の時代にも通用することが前提になっています。守破離の守の段階を伝達するためのやり方です。
 現代ではこの様に少人数でじっくり基本を叩き込むといった育成機会は、非常に貴重なものです。仕事の最初から最後までのどの部分で活用するか?残りの部分をどうやって補完するか?目的に応じた人材育成の全体設計を工夫すれば、徒弟制度は有効な武器になります。


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人材育成2.0 階層別研修

 2.0は階層別研修です。ここからがいわゆる企業でイメージする研修です。社員が増え、OJTだけではまわらなくなり(上司や部下のバラツキが大きくなりすぎ上手く育成できなくなり)、職種や階層に合わせて一定レベルの人材を育成するための手段として必要になってきました。
 企業がオペレーショナルな業務を抱え、それを回すために均質な人材を必要としていることが前提になります。工場の操業の様な常に安定した品質が求められる職場には必須のものですが、組織の維持・管理という観点で、主任・係長・課長・部長、更には役員まで、ピラミッド型の階層を維持するために広まっていきました。テーマ的にも時間管理やマネジメントの基本的なものからリーダーシップ等へと広がっており、研修全体のボリュームとしては未だに多くをしめるでしょう。
 この手段はどの会社でも必要となる様な汎用的な内容で、どちらかというと組織の維持に重点がおかれていますが、問題解決、課題形成、戦略策定といった各企業・職場ごとの特性に合わせた(いわゆる実務により直接的に結びつく)テーマが研修の場で取り上げられる様になってから、少し様相が変わってきました。
 親方の技を伝えるでもなく、組織を維持する均質なスキルを広めるでもなく、自分たちが今抱えるテーマに取り組みながら、学習とそれによる効果を一度に得ようというやり方です。答えを学ぶのではなく、答えの出し方を学ぶ必要性が出てきました。全ての階層がより多くのスキルを身につけなければならなくなってきています。


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材育成3.0 アクションラーニング

 3.0はいわゆるアクションラーニングです。この言葉自体、いろいろな解釈をする方がいますが、ここでの定義としては、「業務上の重要な課題を扱う」「異なる専門分野の関係者が知恵を出し合う」「講師ではなくファシリテーターが学習プロセスを導く」ととらえてください。
 徒弟制度は、あるギルドの中に閉じこもっている。階層別研修は均質な知識の伝達に止まってしまう(問題解決のスキルを全員に伝えたとしても、問題解決への行動は担保されない)。もっと短期に成果のでる研修を行え!という要求から生まれてきたものがアクションラーニングの様な実際の課題を扱った手段です。
 時代背景としては、企業が直面する問題が複雑になり、複数のステークホルダーが絡み、特定のやり方や特定のメンバーだけでは対処できなくなってきた。より短期の業績が重視され、将来につながる人材育成(このやり方が将来につながらない訳ではないですが)よりも、直接の問題解決の方が重要になってきた。といったことが挙げられます。
 アクションラーニングで押さえておきたいポイントは、コンテンツをいかに上手く伝えるかという講師の腕から、学習者がいかに本当の問題を見つけそれに対してアクションを起こせる様になるかという、ファシリテーターの導きや、学習プロセスの設計が重要になってきたということです。伝達するから気づきの機会をつくりゴールに導く!へ、手段としては大きく変化しました。


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人材育成4.0 学習者中心

 4.0は(ここが一番知りたいところだと思いますが)学習者中心です(なんだ、それだけか・・・とがっかりされた方、もう少しだけお付き合いください)。
 左の写真を見てください。子供ですよね。この子たちを安定しているかもしれないが、画一的なレールに乗せて育てたいと思いますか?安定の保証ができなくなっている昨今、Yesという方は少数派ではないでしょうか。
 人生において学ぶべきことは不変なのかもしれませんが、そこから先に必要なことは、学ぶべきことを学習者自身が探していく必要があると考えています。学習者中心のポイントはまさに学習者を中心とすることにあります。
 組織があって、その組織を維持するためではない。
 個人がいて、その個人が世界により大きな影響を与えていくために学ぶ。
 この手段の前提は、既存の組織よりも、これから作られる組織が目的となっていることです。企業が新しい事業(将来の企業)を必要とし、従来の会社の枠が外れ新しい働き方が必要とされる今、学習者中心の手段はより重要になってくるはずです。企業内の人材育成において活用していくには、会社の色やルールに染めるのではなく、会社を変えていくような人材をどう育てるかという視点に立つのが有効です。

 学習者中心の手段を導入するには、そこで育った人材をどう活用するか?を決めておく必要があります。
 これは、社内でイノベーターをどう活用するか?という問いに答えるのと同じです。

 イノベーション、新規事業を起こしたいという企業はたくさんありますが、そのために既存の社内のリソースやプロセスや価値観をどこまで変える気があるか、全ステークホルダーで合意が取れている企業はほとんどありません。企業内でイノベーション人材を育成していくには、様々なステークホルダーと対峙していく必要があります。人材育成が先か、イノベーション・新規事業開発が先か、ニワトリ玉子の課題に取り組むには、いずれにせよ覚悟が必要です。
前回はイノベーションの進捗をはかる指標としてKLIをご紹介しました。
「行動した結果、どんな学習をしたか、どれだけ顧客のことを理解したか」を
評価指標としておいても、それだけでは人はなかなか動けません。
そもそも新しいことをやるのには抵抗があるし、
それを慣れていないやり方でいけないとなれば、なおさらです。

その気にさせるのが先か?
まずは黙ってやらせてみろなのか?

有名な
「やってみせ
 言って聞かせて
 させてみて
 ほめてやらねば
 人は動かじ」

の一節が頭をよぎります。

社内にイノベーターのメンターがいれば良いですが、そもそもそういう人がいなくて困っているわけなので「やってみせ」の段階でつまづいてしまうのが現状です。


思考よりも行動、行動することで一次情報を得る

結論としては、ここは、「とにかく行動させる」ということに尽きます。

だからと言って、「イノベーションを起こせ!」「ビジネスチャンスを見つけろ!」と掛け声をかけるだけでは空回りします。
もう少しフォーカスを絞りましょう。
KPIで言うと結果系だけでなく、そこに至る過程となるプロセス系の指標を追加するイメージです。

行動の方向性を示す前に、そもそも、なぜイノベーションが必要か?という認識を醸成しておくことが必要です。
危機感だけだと余計既存ビジネスを守る方向にも走りやすいので、既存ビジネスで稼ぎつつ、イノベーションへの新規の投資を続けることを大方針として打ち立てる必要があります。ここは仕組みを作るというよりも、トップや部門長の本気のメッセージでしか示すことはできません。

方針が示されて、どんな分野を狙えば良いのか(目指すべき成長分野)、どんなビジネスが求められているのか(自社の顧客ベースや組織能力に対しての新規度合い)、事業コンセプト(ハードウエアからサービスへのシフト等)が見えてくると、そのためにとるべき行動を考えやすくなります。また、ここが具体的に示されるほど、トップの本気度は伝わります。反面、賛否も別れます。停滞した組織にインパクトを与えるには、賛否が大きく分かれるぐらいの劇薬が必要なときもあります。
この辺りがイノベーションマネジメントとして工夫すべき最初のポイントになります。

  KLIを設定するときにやってはいけないこと①: 結果系だけを定義する


やることだけではなく、やらないことを決める

プロセス系のKPIを設定するときには、やることだけでなく、やらないことを決めることも必要です。
イノベーションも、やりましょうだと、結局やらずに終わってしまいます。退路を絶ってまでやらせるとなると、やる側もやらせる側もハードルが高くなりますが、失うものが多すぎる大企業の中で敢えて取り組ませるには、既存のしがらみから解き放つ必要があります。

一つのやり方としてよく紹介されるのが、__%ルールです。
ここで注意しなければいけないのは、「やってもいいよ」では機能しないということです。
3MやGoogleの成功例は、"やりたいことで価値を生み出したい"、"単におもしろいことをやりたい"というモチベーションを持った人が沢山いるという前提があります。こうした文化がない企業で導入しても、よほど余裕がある人か、本業が上手くいかない人の加点狙いに使われてしまいます。

「やってもいいよ」ではなく、「やれ!」にすると行動は少し変わってきます。好きにやれと言われても・・・という人には明確なテーマを与えたほうが効果的です。ただし、この場合はテーマをどう選ぶかという課題が残ります。会社としての取り組みテーマを示せていないと実行できません。

もう一つは「やらないことを決める」です。これには既存の研究テーマに期限をつけて強制退場させるという、相当現場から反対を受けそうなものもありますし、もう少しソフトにテーマそのものは変えないにしてもアプローチ方法を変えさせるというやり方もあります。
要は、「同じテーマに同じアプローチで取り組み続けて、いつまでたっても進展がない」という事態をなくすのが目的です。惰性で続けてしまっているプロジェクトを見つけたら、テーマとアプローチの双方での見直しをオススメします。

  KLIを設定するときにやってはいけないこと②: やることだけを定義する



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ここ数年、イノベーション人材育成の活動が増えてきています。上の図はイノベーターDNA診断の結果ですが、おかげさまでこうした人材に関する面での当社への問い合わせも増えています。

どの企業も10−15年後に今の製品・サービスで稼ぎ続けられるとは思っていないでしょう。既存事業を上手く回す人材だけでなく、新規事業を作れる人材、それもイノベーティブな新規事業を生み出して将来の自社の基盤を作れる人材が必要だと考え、イノベーション人材を作ろう!イノベーションを起こす力を身につけるトレーニングを導入しようとなっています。
イノベーションというテーマへの取り組みが、R&Dや経営戦略から人材育成の観点まで活動が広がっているのは嬉しい事なのですが、育成プログラムを企画する段階で、工夫すべきと感じることがあります。それは、選抜とスキルのとらえ方です。

選抜

将来を担う人だからということで、経営幹部候補いわゆる既存ビジネスのエースが集められることが多いのですが、ここで押さえておかなければならないのが、本当に新規事業の立ち上げを任せられるかです。

エースなので当然彼ら彼女らには背負うべき事業や部署があるでしょう。既存ビジネスを守るだけでも大変なのに、将来のビジネスを考えろと言われても困るというのが参加者の本音かもしれません。そんな中で新規事業を立ち上げるための一連の知識やスキルを身につけ、日々の業務をこなしながら、新規事業の企画書を作り上げるのはけっこう辛いことです。気合を入れて最終プレゼンに臨み、パフォーマンスを発揮し、これは事業化を進めよう!という評価を得ても、「既存事業もしっかり進めてくれ!」という一言がつくと、所詮は研修かと一気に気持ちが冷めてしまいます。

新規事業を生み出す考え方を将来の経営幹部にも学ばせるという目的であれば研修として割り切るだけですが、もし、より新規事業のアイデアそのものにフォーカスするのならば、既存ビジネスのエースばかりではなく、選抜よりも自主的な手挙げでの参加を重視して参加者を募ることをオススメします。
むしろ既存ビジネスでは上手く動けていない人材にこそ任せるべきかもしれません。既存ビジネスと新規事業開発に求められるスキルセットは違うし、今失うものが無い人の方が思い切って新しいことに飛び込めます。

スキルのとらえ方

既存ビジネスを上手く行うためには理解して身につけるべき知識やスキルが沢山あります。成熟したビジネスであるほど、その量は増えていきます。一方で新規事業の立ち上げにおいて大事なスキルは行動して学習することにあります。身につけるべき知識や考え方もシンプルな原理原則が多いので机上で知識を詰め込むというより原理原則を理解して実践しながら学習するのが効果的です。

イノベーター(新規事業に飛び込める人)とそうでない人を分けるのは、知識や考え方よりも行動特性にあります。知識が足りないのではなく、分かっていても出来ない/やらないということがほとんどです。

ちなみに行動特性とは以下のようなものです。
・その場を凍りつかせるような本質的な質問を呼吸をするように自然に問い続けられるか?
 (例えば、熱っぽく技術の凄さを語っているエンジニアに、「それは誰にとって価値があるの?」と聞く)
・普段の業務と直接関わらない多様な人たちとのネットワーキングを行っているか?
 (単なる飲み会ではなく、事業機会の発見等の明確な目的をもって行っているか?)
・思いついたアイデアを既存ビジネスのしがらみをおそれずに気軽に実践できるか?
 (手間と時間のかかる承認プロセスを無視して、直感とスピード感で振る舞えるか?)
既存ビジネスの円滑なマネジメントとは反するような行動も必要になってきます。

既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?

「考え方を学んで欲しいのか?新規事業のアイデアが欲しいのか?」
白黒つかない、グレイな問題ですが、指針がないと中途半端な結果に終わってしまいます。

「既存ビジネスのエース、経営幹部候補が、
  イノベーターを活用するための考え方を学ぶ 」

「新規ビジネスに挑戦したい人材が、
  イノベーションを起こすための考え方と行動の機会を得る 」

プログラムのコンセプトを明確にするのが、人材育成の適切な企画づくりの第一歩です。 
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イノベーターには一定の行動特性が備わっているというのは、以前にも述べてきました。『イノベーションのDNA』といった優れた研究結果も出ていて、どのような行動特性が必要なのかということもわかってきました。すなわち、現状を問いただし、行動する勇気や、問題を発見する発見力が備わっていることが要件になってきます。
すると、その「行動特性はどのように身につければ良いか?」いうのが次の質問になってきます。




つまり質問を変えると、「イノベーションを興したくなる動機とは何か?」



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イノベーションに限らず、新しいことに取り組むことには様々なリスクがあります。例えば、
  • 失敗するかも知れないリスク
  • これまでの能力が役に立たないリスク
  • 変なことをやっている人」として周囲から評価されないリスク
  • 慣れ親しんだ仲間や環境を離れるかもしれないリスク
  • 未知の見えないリスク

どれも避けられないリスクですが、敢えて取る人にはどういう動機があるのでしょうか。


これを考えるにはそもそも「動機」とは何かを考えると良いかもしれません。
動機とは、何かを行うきっかけとなるような欲求です。そして、動機を実際につくっているのが「感情」だということが、最近の脳科学でもはっきりしてきました。論理は、正しくことを行う際に役に立ちますが、意欲には役立ちません。強い感情を伴うようなことに対して、人は動機を強く喚起されます。「怒り」「悲しみ」「喜び」「無力感」「達成感」、このような感情もたらすような原体験を実際にイノベーターたちはしています。修羅場体験とも呼ばれています。


ではどうやって、原体験をすればいいのでしょうか?

ここまで来ると、もはやハウツーは役に立たないと思っています。素直に人のムチャぶりに対応してみたり、時には意思に反して厳しい環境に引き寄せられたり、自然の力に任せるしかないのではないでしょうか。そして、これが素直にできるのが、若いうち、とりわけ子供の頃だったりします。たまには、そしてこういう年末の時間のある時くらいは、非日常の無計画な体験に身を没してみてはどうでしょう。




先日ドラマの中で「先生が見本を見せるから、」というセリフに気持ちがひっかかった。 特段重要なセリフではなかったようなのだが、個人的にファンな宮藤官九郎氏の脚本という事もあり妙にひっかかった。"お手本"、"見本"どちらなのだろう?と。

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この場面、このキャラクターには合っているという事で納得したが、自分がこの先生の立場にいたら、若干の抵抗を感じながらも反射的に"お手本"という言葉を使っていただろう。 根底にあるのは教える側は"お手本"となる様なものを示さなければならないという意識にある。もちろん、正解がある問題に関してはお手本を示す必要があるが、自分自身の体験を一つの見本として示すことの方が、より現実を伝えられるし気づきにもなる。お手本、見本、それぞれに価値がある。

敢えてステレオタイプに比較すると、お手本を示すには、その問題に対しての正解があることが前提になっている。さらに言うと一つの正解があるという一軸での評価モデルがあるとも言える。

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こうしたモデルで評価すべき問題もあるが、全てではない。軽んじるべきものではないが、これだけでは不十分というのが21世紀型スキルで言うところの生きる力につながっていくのだろう。
また、そこまで話を大きくしなくても、そもそも正解がないものもある、美術や音楽等の自己表現の世界がそうだ。これも基本はあるが評価として良い悪いではない。表現できるかどうかが問われる。ある意味評価軸としては自分を表現できているか?自分の軸を見いだせているかにあるとも言える。イノベーターは正にこの軸が人と違っていて、かつ強くぶれない人だ。自分の軸で世界を見て、より良い姿を描いていく、それが普及し世界が変わることがイノベーションだ。

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お手本、見本、場合により使い分けていく必要がある。強いて言うと、絶対評価の一軸にしろ、各自が持つである軸にしろ、それが弱かったりぶれたりしているのは良くないと言える。
どんな状況においても揺るがない価値観だったり、自分の主張を出し切る力だったり、することがつなわち生きる力につながっていく。そして、そうした強い個人が集まることがより良い世界につながっていく。

お手本か見本かの二元論から抜け出して、できるところから両立させていくことが大事だ。例えば、詰め込み、丸暗記ときいてよく頭に浮かぶ歴史も、「未来の歴史を考える授業」を行ったら、どうだろう?、単純にありたい世界の夢を語るのも良いかもしれないが、過去の歴史を知り世の中の大きな動きや、人間の思考や感情の流れを理解することと合わせれば、とても深い学びになるだろう。そうすれば情報も詰め込んだ丸暗記のデータではなく、リアルな血や肉の通ったストーリーになる。

学校だけに頼り切らないで、自らも考え教育に参加していく、そんな仲間を探してます!

リーダーとは諸説あるが、単純にいえばリードする人だろう。人望があり、決断でき、大局感を持つ人はいずれも素晴らしく、尊敬するが、誰もが持ち合わせたい資質だが、未来思考であることがリーダーに特段必要だと考えている。一方で対比されるマネージャーとは、マネージする。現状をやりくりする役目だ。誤解なきように補足すると、どちらが良いなどと言うつもりではない。誰の中にもマネージャーの部分とリーダーの部分は同居しているので、未来思考だが現状のやりくりも上手な人は数多く存在し、リーダーシップのあるマネージャーとして評価されている。
さて、もしあなたがより良きリーダーとして未来思考を身につけたいとしたら何をしたらいいだろう。

例えば、私はこの人はリーダーだと思った身近な人を観察して真似をしようと思った。もしくはリーダーシップを発揮して成功した人を研究した本を数多く読んだ。
そういったリーダーシップに関する本は玉石混淆。しかし、中でもクリステンセン、ダイアー、グレガーセンによる8年ものイノベーター研究をもとに書かれた『イノベーションのDNA』はリーダーとマネージャーの違いをくっきりと浮かび上がらせている。スティーブ・ジョブスのようにゼロから独自のコンピューティングの世界を創り上げ、世界を変えるようなリーダーは、イノベーターとも言われる。こうしたイノベーターはリーダーの中でも、大きな意義のある課題を取り上げ、率先して取り組むタイプのリーダーである。こうしたイノベーターを、非常に優秀なマネージャーであるトップ経営者と比べ、イノベーターの資質を抽出した研究がこの本では紹介されている。マネージャーが高い「実行力」を持つ一方で、イノベーターには高い「発見力」があることが分析の結果、明確になったのだ。現業を発展させ、推進し続ける力(実行力)と、未来の可能性を発見する力(発見力)を明確に分けたという意味で非常に有意義な研究である。

もう一点、この本で明らかになったことがある。それは、行動パターンである。イノベーションの種を発見し、未来を創造する力の源は思考パターンではなく、行動のパターンであることが研究の成果として発表されている。あながち「とりあえず真似をする」 という行動は間違っていなかったのだ。新たな機会に気づく力である「発見力」は「質問力」「観察力」「ネットワーク力」「実験力」「関連づける力」という5つの力で構成されているのだが、前者の4つの力は個人の行動特性を指す。すなわち、リーダーはどれだけ質問をするか、どれだけ観察しているか、どれだけ多様な人と交流するか、どれだけアイデアを試すのか、という活動量に違いがあるのだ。最後の「関連づける力」ですら、4つの行動特性の結果の下、成立する。これは、二つの点で大きな意味がある。

  • イノベーターかどうかを客観的に評価することができる
  • 行動を変えればリーダーになれる

生きていくにはさまざまな"力"が必要とされる。「忍耐力」「鈍感力」「体力」「知力」「人間力」等々、多くの力はいざとなったら発揮されたり、深層にあって見えにくい力だったりする。こうした力が必要であることは間違いないのだが、果たして自分にあるのかどうか、正直分からない。さらに、つかみどころのない力であるため、高めることは困難だ。「人間力」を高めたいと思っても、一体どこから手をつければよいか、悩んでしまう。

かなり宣伝になってしまうのは承知で、イノベーター診断を勧めたい。『イノベーションのDNA』を構成する行動特性を一つ一つ問われることで、私自身、日々の行動に関する気づきはいくつもあった。日頃の行動を振り返り、小さな改善ポイントがいくつも出てきたことで、半年前に受けたときよりも、今では発見力が高まっていると実感できる。誰しもがイノベーターとして起業家になる必要はないかもしれない。しかし、未来の中に自分がやるべきことを発見できたら、それこそリーダーであり、幸せではないだろうか。

 先日、「良い会議」の直後に「悪い会議」に遭遇したので、その経験を今日は書いてみようと思う。

 参加者でありながら、遭遇したという無責任な発言にはぜひご容赦頂きたい。なぜなら、中には「良く」しなくてもよい会議がどうしてもあるからだ。それは置いておいて、その落差からたった一つの特徴が浮かび上がってきた。

良い会議には、人の意見に対して他の人が言い換える場面が極めて多かった。

 その違いに気づいてみると、会議を生産的にする秘訣がいくつか浮かんでくる。その秘訣とやらを書き出す前に、なぜ「言い換え」がそこまで重要なのかを考える必要があるだろう。

 何が重要なのかを議論するには、その目的を明確に定義しなくてはならないだろう。
会議の目的は、以下の二つに集約されるだろう。

  • 合意を取るため(言い換えると、会議室を出ると、参加者の意識が合うように)
  • 新たなアイデアを得るため(言い換えると、参加者が会議室に入る前よりも賢くなっているため)
情報を共有するための会議がある、という反論もありそうだが、単なる情報共有なら会議は無駄になる。情報共有を会議の際にするのは、相手が理解しているかどうかをその場で確認しながら、情報を補い、その場で納得してもらうとういう隠れた目的がある。仕事を離れて、ご近所との井戸端会議においても、「私たちは仲間だ」ということを確認し合っていると解釈すれば、合意目的であると言える。仮に「悪い井戸端会議」というものがあったとすると、みんながバラバラな事を言ったり、ケンカした状態が想像できるだろう。仲間であることが合意できなかったのである。

ではなぜ、「言い換え」がそれぞれに目的に対して、どう貢献するか考えてみたい。

まず、第一の目的である合意を考えてみよう。
合意するには、合意する内容をお互いに確認し合うことが必要である。例えば、「北海道は魅力的な場所だ」ということを議論してたとしよう。もし、相手が「北海道は楽しいところだよね」と言い換えたとすると、「魅力」というざっくりとした良さではなく、「楽しさ」という具体的な視点で合意したことを示したことになる。最初の命題に完全に合意できなかったとしても、言い換えた意見がでることにより、合意できる部分が浮かび上がるのだ。実際のテーマはここまでシンプルではないかもしれないが、合意できることは何か、という前進した議論ができたことになる。すなわち、言い換えられた部分と、言い換えた部分の共通項が着目点になるのである。

第二の目的である新たなアイデアを得るという目的ではどうなるだろう。
この場合は、言い換えられた部分と、言い換えた部分の差に着目する。例えば、「北海道には自然がある」という発言に対して、相手が「北海道の知床半島は自然が豊富で、世界遺産になった」という発言で返した場合は、「北海道には知床半島がある」「知床半島は世界遺産である」という新たな情報が加わったことになる。いささか簡単すぎる例で申し訳ないが、単純化するとこうした意見の交換により共創が生まれる。

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ブレーンストーミングが有効に機能するためには、人の発言をちゃんと聴き、たくさん発言することが重要だと言われているが、ぜひ「言い換え」に着目して聴いた内容を消化した後に発言して見てはどうだろう。

 「行動は、結果であり、要因である。」

 これだけ聞くと一体何を言いたいのか?と思うだろうが、最近特に重要だと感じている事なので敢えてこんな表現をした。一言で言うと「行動が全て!」ということなのだが、これでは言外のメッセージが伝わらない。簡単な例えで考えてみよう。もしあなたが新人の営業だとして、なかなか売上げが立たずに困っているとする。どうしたら良いだろうか?

 ここでピンと来た人は「つべこべ言わずに先ず行動でしょ!」と答えるだろう。前段の伏線から考えれば正にその通り。例えば、ビル一棟を端から一軒一軒回って行けば、セールストークも上手くなるし度胸も付く、営業としての精神力は相当鍛えられるだろう。だが、少し足りない。かといって、「きっちり要因を分析して顧客のニーズや売れ筋を見極めましょう!」という事ではもちろん無い。

 言いたいのは「行動が全て」なのだが、ポイントはどんな行動を取るかにある。特に自身の成長を考えると顧客ニーズや売れ筋といった外的な条件に対処するだけでなく、自身の行動を変える事の方がレバレッジが効く。しかも、行動の変容は顧客や商品が変わっても継続して自分の中に残る一生涯の力となる。行動はいろいろな要因を考えた上で結果としてとるものであると同時に、その後の自身の成長や成果を導く要因でもある。これが冒頭の問いかけで伝えたかった事だ。

 心理学者ウィリアム・ジェイムズの言葉で、スポーツの世界でもよく引用されている言葉がある。

   「心が変われば行動が変わる
     行動が変われば習慣が変わる
      習慣が変われば人格が変わる
       人格が変われば運命が変わる」

 心が変われば行動につながるのは間違いないのだが、自分の本心はそんなに変わるものではない。しかも、心の変え方はと聞かれると答えに窮する人が多いだろう。人が変わるのは3つの場合しか無い。大病をわずらう、大失恋を経験する、ろう屋に入れられるの3つだ。確かにこれだけの体験をすれば変わるかもしれないが、これはどちらかというとネガティブな状況であり、変わってしまった場合だ。では、自らが主体的にポジティブな方向に変わるには、どうすれば良いのか?実は心を変えるために行動を変えるというアプローチがある。人は悲しいから泣くのか?泣くから悲しくなるのか?泣いている内に余計に悲しくなってきた。顔を洗って笑顔をつくったら気分が晴れてきた。こんな経験は誰もが持っているはずだ。

 つまり、行動は結果でもあり、要因にもなるのだ。

 しかも、行動を変えて行く事で、習慣、人格、運命と、人生そのものにも影響して行ける。正に行動はレバレッジポイントだ。

 では、どんな行動を取れば良いのか?

 これを考える上で、2つのアプローチがある。1つは自分自身の事を良く知り自分にあった行動を探す事。もう1つはお手本となる行動を決め愚直に努力する事だ。この2つは補完関係に見えるが、実はそうではない。前者は自分が出来る事、心地良い事は何かを知り、やる事を選んで行く場合である。後者は自分が出来そうかは、本当にそのやり方が良いのかは、一旦保留してお手本となる人を愚直に真似る事だ。これにより前者とは違うブレイクスルーを起せる可能性が出てくる。

 どちらかが悪いという話ではない。目指す姿によって取るべき行動が異なるという事だ。

 前者の様に自分を知る方法としては、MBTI、ストレングスファインダー、エニアグラム、ハーマンモデル等の有名なツールに加え、各社オリジナルの分析方法がある。

 後者の場合は目指す姿が自分の外にあるので、ロールモデルの設定も有効になる。もしイノベーターを目指したい、目指させたいというのであれば、当社のイノベーターDNA診断というツールがある。自分が想定するイノベーターとの行動の違いを見る事が出来る。設問のほとんどは行動を聞いているので、不足していると思えば、その行動こそが改善テーマにもなる。

 行動は、結果であり、要因であり、自身を変えるためのレバレッジポイントである。

 イノベーターDNA診断 http://www.indee-jp.com/page/idna

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 この写真はオフィスの前、日銀の隣の桜です。今年は個人的には桜の当り年でした。職場や家の周りでちょうど見頃に出会う機会が多かったし、天気にも恵まれました。年に一回、こうして季節を知らせてくれる自然に改めて感謝の念が湧きました。熱帯化してきている感のある日本ですが、四季の素晴らしさは残して行きたいですね。自然に対してどう取組むかは難しいですが。
 四月から年度が始まりバタバタしている間にGWが来て、これからの準備のために第一四半期の大半が過ぎてしまう。なぜ四月に足並み揃えてリセットするんだろう。ビジネス的にはデメリットも多いと感じますが、この桜の季節に新年度が始まり新たな仲間に出会えることの素敵さも捨てがたいものです。

 新しい世界に入る時、環境が大きく変わる時、至る所に自分が変わる、成長するきっかけがあります。不安や緊張、そして怠惰できっかけを取り逃がしてしまうのは、本当にもったいない事です。せっかくの季節がくれたリマインドを大切にしましょう。
 特にこの時期はいろいろな新しい出会いがあります。人との出会いは大きなきっかけです。全ての出会いを大切にしたいものです。

 一期一会

 一期は人が生まれてから死ぬまでの間、つまり人生そのもの。一会はその中での一つの出会い・会合。茶道の心得として、この出会いはもう二度と無いかもしれない、一瞬を大切に、誠意を尽くせという教えです。今の時代、SNSで簡単につながる事が出来ますが、その分最初の出会いを疎かにしてしまっていないでしょうか?相手の事を手帳に記録するだけでなく、きちんと頭に記憶することが大切です。

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 この写真は二週間後の同じ場所です。鮮烈な満開の桜から日常へと急速に記憶は薄れて行きます。一期一会の気持ちも徐々に忙しさの中に薄れて行きます。不安がなくなり緊張がほどけて仕事や生活に慣れるという事は良い事でもありますが、初心を忘れてしまうと、ただ何も考えずに日々を過ごす様になってしまいます。せっかくのきっかけが活かされないまま記憶の底に埋もれて行きます。

 せっかくのきっかけを行かせない原因は自分が置かれた環境・仕組みにあります。どんな環境・仕組みでも本人の意志が強ければ大丈夫という考え方もありますが、多くの人には難しい事です。環境・仕組みのせいにすると他責にしているようですが、個人の意識にばかり頼っていては何も変わりません。イノベーションを起すにはイノベーターが必要ですが、アーリーアダプター、更にアーリーマジョリティを巻込んで行くには環境・仕組みづくりも大切です。常に両面で考えて行きましょう。

 桜の散る頃に、改めて思います。
どうすれば初心を維持し続け、環境・仕組みを変えて行けるのか?
 シンプルな答えは、師や同志を持つ事です。一期一会でこの人と思ったら勝手に師や同志にしてしまいましょう。特別なものは必要ありません。もちろん契約関係も不要です。必要なのは定期的に会うことぐらいでしょうか。大切なのは単に趣味が同じとか居心地が良いとかだけでなく、お互いに切磋琢磨し合える関係を築く事です。
 師は一人に絞る必要はありません。同志の集まるコミュニティも出会いのきっかけやテーマ毎にいくつも出来るでしょう。

 その中には一緒にビジネスを進める仲間がいるかもしれません。特に新しいビジネスを立ち上げる歳には根っ子の価値観を共有出来るかが大切です。価値観を揃える必要はありません。むしろ多様な価値観を持った仲間がいろんな観点で考えた方が価値あるものを生み出せます。
 その上で、力を束ねるものが目指すべき北極星(在りたい姿、ビジョン)です。ここに共感できるかどうかがビジネスにおいて同志になれるかどうかの条件です。

 新しい季節、新しい出会い、きっかけを大切に一期一会で接する。
 そこで得た関係を維持して、師として自身の成長に繋げる。
 テーマを見つけ同志を見つけ切磋琢磨しあって新しい価値を生み出す。
 季節がくれたきっかけを活かして成長して行きましょう。

社内ベンチャーや新規事業の課題に関するワークショップ等を行うと、挙がってくるテーマは大きく分けて、次の3つのどれかになる。

  • 会社の仕組みや方針
  • ビジネスモデル等プロジェクトの方針
  • 人選や人の能力

この中でも最も議論が盛り上がるのは、ほぼ例外なく「ヒト」の問題だ。その中でも、メンバーの能力に不安を抱えているというディスカッションが盛り上がる。なんとなくスキルが不足している感じがするものの、何がどう足りなくて、同補充したら良いか分からない症状である。そして、議論が進むと「アイツはダメだ」や「アイツは不十分だ」といった評価が始まる。


もちろん、そういう評価は不毛なもので、いかにして鍛えるのか?いかにして人材を集めるのか?という前向きな話がしたい。すると、話は必然とイノベーションのDNAの話になる。DNAは鍛えることはできるが、従来の環境では育たない。真剣に新たなチャレンジをするか、丸っきり新しい環境に身を置くことしか解決策はない。教育の専門家も同じことを言っていたが、変人と付き合うか、修羅場体験をするか、啖呵を切って新しいチャレンジに踏み出すか、この3つの方法しか大きく人は成長しない。

新たなDNAを手に入れる際、私が重視しているのが「環境」である。「環境」という言葉は分かっているようで、分かりにくい。周囲のことを指して「環境」ということが多いが、このように自分以外のことと捉えてしまうと他責のような響きがあり、あまり生産的ではない。代わりに私の人に関する「環境」の定義をお勧めしたい。それは、「そこでは何がフツウなのか?」である。例えば、英語の上達のためにアメリカに留学をするとすると、英語が普通になる。起業家になりたいなら、起業が普通な環境に身を置くべきだろう。人は日常的に普通な判断をしたり、意識せずに周囲と同じような行動を取ってしまう。そのため、「フツウ」を変える必要がある。

先ほどの英語の例で「フツウ」を変える方法は2つしかないというのが、私の考えだ。 つまり、

  1. 異質な人のチームに加わる 先ほどの英語の例で言えば、留学にあたるのがこれだ。できれば単なる異業種交流は避けた方が、効果は大きい。経験上、異業種交流会に来る人の多くは同じ課題を抱えていて、違う業界や会社に勤めていても、似た環境であることが多いためだ。
  2. 違う人をチームに加える 英語ネイティブな人のホームステイを受け入れるイメージである。ここで気をつけたいのは、外人を入れたものの、「普通」を変えない行動パターンだ。想像してみて欲しいが、せっかく英語が普通の環境にするために外国人を招いたにも関わらず、日本語が普通だからという理由で日本語を使っていたり、使わせたりしていたら英語は上達しないのも仕方がない。

先に上げた「変人と付き合う」のも「修羅場体験」をするのも「チャレンジに踏み出す」のもフツウを変える効果がある。変人という特異的な友人が近くにいると、人がやることや出来ることの平均値はズレる。修羅場体験によって、自分の限界が見え、普通に発揮できる能力は広がる。チャレンジに踏み出すと、明らかに違う世界が待っている。「普通」という言葉が違う意味を持つようになる。自分の新たな面に出会うことができるのではないだろうか。