ぶっちゃけ、イノベーションの推進にコンサルタントは必要なんです?

こんにちは。
イノベーション支援のINDEE Japanで、デジタル領域を担当している加藤です。
 
本日はコンサルタントを使ってイノベーションの推進に取り組むメリット・デメリットを整理し、成果を残すためにはどんなコンサルタントに依頼すべきなのか?について考えてみます。
 


 

コンサルタントを使うメリットとデメリット

取り組みたい内容が、組織の活性化・制度設計なのか、アイディアに対する需要・技術の調査・評価なのか、サービス・プロダクトの開発なのかによっても異なりますが、イノベーションに取り組む際にコンサルタントを使うメリット・デメリットは以下のように整理できると思います。
 

  •  メリット
    • イノベーションへの取り組みに不慣れなため、効果的な施策が打てなかったり、調査や開発が遅延して市場から遅れを取ってしまうリスクを軽減できる
    • 外部の視点を加えることで、コアとなるアイデアから、さらなるビジネスの可能性を引き出すことができる
    • サービス・プロダクト開発の現場にコンサルタントをコーチとしてつけることで、幹部候補人材に実践を基礎とした高い教育効果を与えることができる
  • デメリット
    • 相手をよく知らないまま高額なフィーを支払った末、むしろコンサルタント側の事情で対外的なパフォーマンスにつき合わされてしまい、本質的ではない作業や面倒と付き合うことになってしまうリスクがある
    • ワークショップ実施などの施策により”イノベーティブな空気感”は醸成されるものの実績につながらず、「イノベーションの推進活動」そのものに社内で否定的な感情を生んでしまい、社員の士気が低下するリスクがある
    • イノベーションの推進を支援すると銘はうっているものの、外部のベンチャー企業に対する出資活動を支援しているだけのコンサルタントと付き合ってしまい、肝心の社内には意味のある変化を起こせないリスクがある

 
メリットに興味がある」 or 「コンサルタントに依頼したいけどデメリットは回避したい」という方は、少し長くなってしまうのですが、本記事の内容が参考になると思います。
 


どんなコンサルタントが実戦で役に立つのか?

有望な社内チームが形成されているに看板だけのコンサルタント未熟なコンサルタント足を引っ張っていて、うまくいかない例も数多く見てきました。
とくに、取り組んでいるサービス・プロダクトが、私個人も消費者として期待しているものであった場合、そのような光景を目にするとなかなか腹も立つものです。
 
そうした事案が少しでも少なくなることを願って、本記事ではイノベーションの推進に携わるコンサルタントの選定する際に重視したい点を3つお伝えしていきます。
コンサルタントの性格や得意/苦手はそれぞれですが、ご紹介する3点を高い水準で満たしていれば「こんなはずではなかった」ということはまず起こらないはずです。
 
 

視点1: いわゆる経営のエキスパートは、あまり役に立たない

 
「世界中で知られている大企業の経営にすら、コンサルティング経験があるのだから、1部門の社内風土改革ぐらいは…」
 
と思われるかもしれませんが、イノベーションへの取り組みと大企業の経営とは全く世界観が異なることには注意すべきです。
両者は言ってみれば、野球とレスリングほどに世界観が異なります。
両方を高いレベルでこなせてしまう、ジャイアント馬場のようなコンサルタントもいるのかもませんが、彼のような10年に1度の逸材にもどちらかと言えばレスリング向きというのはありましたしね…
 
大企業経営の仕事は一言で言えば、正確に判断を下すことです。
資本があり、顧客があり、顧客があり、人材があり、技術があり、協力者があり、市場があるという前提に立って、各要素の状態を的確に把握し、会社を機能させるために正確に判断することが、大企業経営で取り組むテーゼとなります。
 
一方で、イノベーションへの取り組みでは、何も存在しない状態が前提です。しかも、大企業経営のように「存在しないので買ってくる」という手法は通用しません。
なぜなら”存在しない”という言葉の次元も、大企業経営とは異なるからです。
 
イノベーションへの取り組みにおける”存在しない”とは、世界のどこにもない状態のことです。したがって「どんなものを作るのか」そのレシピすらも自分達で作り出す必要があります。
 
日本でいちばん美味しいケーキを買ってくる能力と、市場を観察して皆に愛されるケーキを作る能力は全く異なるのと同じことです。
 


 
ところで、最近はMBAのコースなどでも『イノベーションへの取り組み方』を教える講義が増えてきたようで、知識は備えているコンサルタントも増えてきました。
もちろん知識があることはとても大切なことですし、良い風潮であると思います。
 
しかしいわゆる知識だけの、お菓子をつまみながらワイワイガヤガヤするワークショップを開催するだけのコンサルタントや、秘密の特製フォーム(笑)を埋めるだけで”イノベーションな雰囲気(笑)”を提供するだけのコンサルタントも、業界には多数存在しています。
また、コーチングと称して、場当たり的で衒学的な、マウンティングトークを繰り返すしか能がないのコンサルタントも残念ながら存在しています。
 
あなたが依頼しようとしてるコンサルタントは、「実践フェイズが具体的に支援できる実力」と「豊富な知識」の両面で本当に頼りになりますか? 依頼の前に、もう一度見直してみてください。
 
 

視点2: 戦士・魔法使いタイプよりも、勇者タイプを

 
「特定の領域で世界の頂点を極めたエクスパートなら、思いもよらない解決策を授けてくれるに違いない…」
 
と思われるかもしれませんがコンサルタントにもそれぞれ、向き不向きがあります。
 


 
コンピューターゲームには、その黎明期から人気が高く定番となっているRPGと呼ばれるジャンルがあります。
RPGは複数のキャラクターが自身の得意とする能力を発揮できる戦略を作り、強力な敵を倒すことを楽しむゲームなので、キャラクターごとの得意と苦手が明確に味付けされている事がほとんどです。
しかし戦闘が得意な戦士や魔法が得意な魔法使いなどと比較して、得意苦手があまりなく、総合力や状況適応力に優れた勇者と呼ばれるキャラクターもよく登場します。
実は、イノベーションに取り組む場合は、特定の業務・業界・オペレーションレイヤーに精通しているエクスパートよりも、状況適応力に優れた勇者タイプのコンサルタントのほうがうまく立ち回れることが多いのです。
 
例えば、エンジニアとしての実力は折り紙つきの世界的第一人者でもあっても、コンサルタントとしては、むしろ足を引っ張ってしまうということは多々起こります。
もちろんコンサルタント個人の性格や資質、視野の広さによってもその度合いは異なりますが、そうしたバックグラウンドがあると技術側面からしかイノベーションの構造を捉えられなくなる傾向があるからです。
 


  • 余談ですが、技術で突っ走って数々の変態的性能を誇るデバイスを開発したものの、買い手が全くつかないという経験を何度しても全く懲りる気配がない国を、私はよく知っています。
  • 消費者の立場からすれば、私もその国のことが大好きで「どんどんやれ」と応援しているのですが、生産者の側からしたら正直なかなかしんどいものもあることでしょう。

 
では、ここにマーケティングの実力が折り紙つきの人物も加わったら、ようやくイノベーションが実現するのでしょうか?
 
たしかに、2人の第一人者の能力を共に引き出して融合させることができれば、唯一無二の方法でイノベーションが促進できるかもしれませしれません。
しかし、あなたの会社にも世界一とはいかなくても世界で戦えるエクスパートが各分野で揃っているのではないでしょうか? とくに「現場は世界一優秀」と言われている日本企業にはそのような会社は多いはずです。
ではなぜ、あなたの会社であなたが今期待したような自然発生的にイノベーションが起こらないのでしょうか?
 


 
技術的なバックグラウンド持ち、ビジネス全般に十分な経験があるコンサルタントが、課題を的確に把握し、適宜不足している部分を補うことができればイノベーションは急速に進みます。
 
しかし、そのような働き方が得意な勇者タイプのユーティリティプレイヤーは、事業部制やセクション制で運用されている組織の中では真価を発揮できない傾向にあります。
 
そこで、組織の枠組みの外にある勇者タイプのコンサルタントは、その理想的な立場を活用してクライアントの利益に最大限の貢献することができるのです。
 
 

視点3: 「素質のある若手に自由にやらせる!」…だけでは足りません

 
「若手に自由にやらせる用意はできている。多少の失敗はフォローしてやる準備もある。」
 
という覚悟は素晴らしい(し、不可欠なも)ですが、その心意気だけではイノベーションへの取り組みは進まないこともあります。
 
イノベーティブな事業への取り組みでは、構造的に既存のビジネスと利害が対立が起こることが知られています。(イノベーションのジレンマ)
 
企画や調査の段階ではこの問題は顕在化しにくいのですが、実践フェイズに入ると壁として立ちはだかります。
社内のメンバーだけで進めようとすると、どうしても感情的にもビジネス的にも社内協力が得られなということが起こるのです。
 
「みんな薄々感じていたけれど…」 という状況で、ひとりひとりキーパーソンの意見を確認し、チームの背中を押してやる。それもよくあるコンサルタントの仕事の一つです。
 
世代・職位・立場超えた調整力が発揮できるか?も、コンサルタントに必要な素養として確認してみてください。
 


 
今回はイノベーションに取り組むにあたって、コンサルタントとの関係性について注意すべき点をまとめてみました。
 
次回は『オレたちはコンサルタント無しでやる』と決めた方向けに、最低限知っておいた方が良いことをまとめるつもりです。
それでは。良い年末をお過ごしください。

Written by 加藤 寛士 on 2018-12-24

EdTechがスキル習得を超速化した世界で

トーマス・アンダーソンは、大手ソフトウェア会社のメタ・コーテックスに勤めるプログラマである。しかし、トーマスにはあらゆるコンピュータ犯罪を起こす天才ハッカーネオという、もう1つの顔があった。平凡な日々を送っていたトーマスは、ここ最近、起きているのに夢を見ているような感覚に悩まされ「今生きているこの世界は、もしかしたら夢なのではないか」という、漠然とした違和感を抱いていたが、それを裏付ける確証も得られず毎日を過ごしていた。(Wikipedia – マトリックス(映画))
20年前に公開されたSF映画「マトリックス」の冒頭のシーンです。

 

マトリックスの世界では、何かを習得するために学習や鍛錬は行わず脳への直接の ”インストール” が常識となっています。武道の心得はなかったネオも、カンフーの極意を”インストール”することで長い修練を省略して非常にハイレベルな体術を一瞬で身につけています。

 

似たコンセプトを実現するSFの道具としては、ドラえもんの暗記パンもよく知られていますね。私も22世紀を待たずして、マトリックスやドラえもんの世界が早く実現すると良いなぁと本当に思います…

 

22世紀をうらやむ一方で2018年の現代においても、スキルの習得に必要な時間・コストを(一瞬でとは行かなくても) 半減させるためのイノベーティブなサービスが次々登場しています。

 

EdTech – 人間の進化を加速するテクノロジー –

 EdTechという言葉が登場する前(2005年頃でしょうか)”教育とテクノロジー”というキーワードからは、以下のようなソリューションが連想されていました。
  • オンライン授業
  • 電子黒板
  • 電子教科書
どちらかと言えば「効率的に教えたい」「楽に教えたい」という教える側のJジョブにフォーカスしたソリューションが多いですね。今ほど、テクノロジーがパーソナルに活用されていなかった当時は、テクノロジー導入の主体が学校や企業であっためでしょう。

 

一方で現在は、情報技術をパーソナルに活用できるインフラが整備されたこともあり「楽に知りたい」「効率的に身につけたい」という学ぶ側のジョブに応えるソリューションが教育領域におけるイノベーションの主役となっているようです。

 

例えば、世界に名だたる有名大学の講義のオープン化し推し進めるコーセラ、アジア発のユニコーン企業として知れるオンライン英会話サービスのvipabc、予備校ビジネスの黒船的存在として勢力を拡大するスタディサプリのようなサービスを利用することは、学ぶ側にとっての当たり前の選択肢の1つとなりつつあります。

 

ジョブ理論を用いてこれらのサービスを分析すると、金銭・アクセス・時間・学習の管理などのBを著しく低下させることによるイノベーションが進んでいると状況を捉えることができます。

 

【余談】

こうした教育領域におけるイノベーションは、EdTechというキーワードでまとめられて盛り上がりを見せています。しかし、”学ぶ側のJOB”にフォーカスしたこれらのイノベーションは、”学習領域におけるイノベーション”という表現をとって、Learn-Tech(?)のほうがその本質を捉えている…と、私は感じるのですが皆さんはいかがでしょうか?

 

自分がうまくいった生き方が、子供の時代でも通用するとは限らない

…ということがいつの時代も言われるものですが、EdTechによって徐々にスキルの習得が容易となっていく世界では、この言葉の重みはより増していくものと思います。

 

例えば、EdTechの進化によってマトリックスの世界のように歯医者にでも行くような感覚でベテラン弁護士並みの法律に関する知識・経験をインストールできる世界に到達してしまえば、弁護士は職業として成立しなくなるでしょう。

 

そこまでの変化はすぐには起こらないとしても、学びが効率的に行える環境が整うということは、マトリックスのような世界に近づいていくということでもあります。つまり、EdTechの進化によって「しっかりと勉強した」「長い経験を積んできた」ということを基盤としたスキルや技能のコモディティ化も進んでいくということです。

 

資本主義の世界で「価値の源泉」となるのは、希少性 (需要に対する供給の不足) が見られるモノやコトです。したがって、単にスキルがあるとか知識や技能があるというだけでは、価値ある人材とは見なされなくなっていくはずです。

 

これまでの世界では、真面目にコツコツと努力や訓練をして価値ある知識や経験を蓄積できた人間が価値ある人材でした。しかし、進化したEdTechが前提にある世界ではそのようなロジックは通用しません。これはまさに…

 

自分がうまくいった生き方が、子供の時代でも通用するとは限らない

 

いうことに他ならないでしょう。それではこれからの世界において、どのような仕事が価値をもたらすようになるのでしょうか? 1つ、仮説と実例を示すことはできます。

 

マトリックスの先を行くイノベーター

その仮説とは…

 

進化したEdTechが前提の世界で活躍するのは、以下の4つのタイプの人々ではないか?

 

というものです。

  • アーティスト
    • 「自身が意味を感じる」ということをコアにして活動する
  • ビジョナリー
    • 未来志向で進むべき方向を柔軟にかつ構造的に示す
  • イノベーター
    • 前人未到を実現普及させるために奮闘する
  • コーチ・ファン
    • イノベーター・ビジョナリー・アーティストの信念を理解しサポートする

アーティスト・ビジョナリー・イノベーターは既存の価値体系にとらわれない原理に基づいて行動します。その姿はいわば「火がついた(そして狂った)人」とでも表現することができそうです。

 

そうした人々の活動は既存の価値体系から外れたものですが、人間の能力開発にまで合理化が進んだ世界においては、むしろ既存の価値体系から外れているが故に希少性を帯びることになり、価値の源泉となりうるのではないか?

 

というのが私の仮説です。仮説ではあるのですが、これを裏付ける日本人にとってはあまりに有名すぎる実例もあります。あえて詳しくは書きませんが、200X年にとある少年の人生に火をつけたのビジョナリーはエフゲニー・プルシェンコ氏でした。約10年を経た現在、少年はアーティストとして成長しいくつもの前人未到を達成するイノベーターとして活躍し数億人の心を勇気づけるという巨大な価値をもたらし続けています。

 

彼のように火がついた人間を支えるのは、(説教臭い表現になってしまい嫌なのですけど) 個人の精神性、感受性、想像力、情熱、モチベーション、フィジカルといった力、さらにはコーチのサポートやファンの共感といった社会的な力ではないでしょうか。

 

「簡単にインストールすることができる力を身につけて、時間を切り売りする」人生のほうが合理性がありますが、そのような労働力はコモディティ化してしまいます。したがって、大きな価値を生み出そうとするのであれば、とある少年のような火がついた人生を生きるしかないということになります。そして、スタートアップの世界におけるそうした人たちに世界最高のサポートを提供し、誰よりも大きな声で応援するのがINDEE Japanの役割だと考えています。

 


どうすれば誰もが人生に火がつくきっかけに出会い、火がついた人生を生きる事ができるのか? 応援する仲間を増やすことができるのか? 私達もまだ構造化してお伝えすることができませんが、そこにアプローチする活動は既に初めています。

 

以下のイベントもその一環です。
イノベーションの源泉となる人の持つ力のような、イノベーションの“上辺だけの体裁”ではないディープなテーマにもご興味をお持ちの皆様に、ぜひご参加をいただければと思います。
Written by 加藤 寛士 on 2018-08-23

7分36秒で理解するジョブ理論

イノベーションやテクノロジー関連のトレンドを知るために参考にしているサイトの一つに、レクサスのブランドサイトがあります。先日、そのサイトにジョブ理論を紹介する音声つき記事が掲載されていました。
 
わずか7分36秒の音声コンテンツですが、初めてジョブ理論を知る方にとっても明快な解説がなされています。

※ ジョブ理論は 片付け理論として紹介されています。
 


 
私は「ミルクシェイクとカーラジオと自動運転」は、「運転の退屈を紛らわす」という価値創造の面では競合しているんだなぁ…なんて考えながら聞いていました。
自動運転が十分普及すると、自家用車で移動しながらでも退屈しない方法(例えば、You Tubeを見る) ができるようになるので、カーラジオやミルクシェイク今ほど需要されなくなるだろうという仮説を立てることはできそうですね。
あなたは、どのような感想を持ちましたか?
 

サブチャネルとしてのヒア

話は変わりますが、先日あるお気に入りのYoutuberが「ラジオは完全にオワコンで、今更全く価値もない」と発言しているのを聞きました。
彼のことは応援しているのですが、視聴者の状況の理解の面では”ずれている”と感じたことを覚えています。彼は、視聴者が動画を再生している時間の7割程度は画面を見てくれているという意識で放送しているのでしょう。
 
しかし、私が彼の動画を視聴するとき画面を見る時間は1割もありません。なぜなら動画を視聴するのは、家事する時であったり、運転する時であったり、運動する時であったり、買い物をする時であるからです。(彼の放送は視覚的にはそれほど面白いものでもないので、このような消費の在り方が特殊なわけではないと思います。)
要するに、私は彼の動画を「ながら」という条件付きでしか消費しないということです。つまり、彼がオワコンと言ったラジオ的な消費形態で彼のコンテンツが消費されているということです。
 
私が様々な”別のこと”をしながら動画を視聴したように、”ヒア”にはユーザーの状況依存性が低く、何か別の目的のために別の行動している人に対しても、情報を届けることができるというサブチャネル的な特性がありそうです。
 

レクサスのポッドキャスト

レクサスは今回紹介したような記事を、今ではあまり目立つこともなくなったポッドキャストで、わざわざ配信し続けています。
しかも、品質面で厳選されてはいるものの、内容はテキストアップロードされる記事の読み上げでポッドキャスト限定の情報を提供しているわけでもありません。
 
担当者はヒアラブルにする事で、Youtuberにとっての私のように、サブチャネルからしかアクセスできない顧客と関係性を築くことができることを理解しているのでしょう。レクサスの場合は、運転者との関係性を築くことが具体的な目的となるでしょう。

 

ヒアラブルに秘められた可能性

2018.8現在、audibleなどに代表されるヒアラブルサービスは国内ではそれほど流行っていません。しかし、車通勤が中心のアメリカなどでは多くのユーザーを獲得しています。
 
確かに、通勤通学者の多くが公共交通機関を利用する日本では、通勤通学の場面でヒアラブルの入り込む余地は、相対的に少なくなってはしまいます。しかし、スマホなど組み合わせて屋外で利用する無線ヘッドフォンの普及が急速に進んでおり、都市部では食事や買い物、運動をしながら音声コンテンツを消費する人々の姿も多く見かけるようになってきています。彼らに支持されるようなコンテンツをヒアラブルで提供できるサービスには期待が持てそうです。
 
また、コンテンツの作成者にとってもヒアラブルコンテンツは魅力的です。まず、最低限テキストと読み手が用意できれば制作できるため、動画コンテンツがよりも制作負荷が低く抑えられるという利点があります。さらに、AIや自動読み上げのテクノロジーを駆使して、リアルタイムにパーソナライズされたコンテンツを提供することもそれほど難しいことではないでしょう。
今後は、AIを通じて人間に何かを指示したり、情報を提供するという使い方もホームスピーカーより一歩進んだパーソナルな状況判断を踏まえたサービスの実現が期待できそうです。
 
もちろん、レクサスのように”ヒア”というサブチャネルを通じてユーザーと関係性を築くというマーケティング手法も、より強いトレンドを形成していくことでしょう。
 


 
INDEE JAPANでは、イノベーションの実現やジョブ理論の実践を支援するため、ジョブ調査・テクノロジーコンサルティング・サービスデザイン・人材開発・スタートアップ支援・協業先探索などの各種サービスを提供しています。
ご興味ありましたらぜひお気軽にお問い合わせください。

Written by 加藤 寛士 on 2018-08-15

社会的ジョブと物語的自己同一性と中二病①

 
ポール・リクールをご存知でしょうか?
リクールはフランスの哲学者で「物語的自己同一性」という概念を考案した人物として知られています。「物語的自己同一性」という言葉には、聞き馴染みのないかもしれませんが、マーケティングや製品開発の現場で広く応用できる基礎として、非常に有効な概念ですので今回取り上げてみたいと思います。
過去・現在・未来
リクールが対峙したのは、「自分は誰か?」「自分は何者なのか?」という問です。この手の問は「自分探し」の文脈の中で現れる現代を代表する問いの一つです。彼は哲学者として思弁的な方法でこの問に対峙し「物語的自己同一性」の概念に行き着きました。
具体的に彼が考察の対象としたのは「10年前の自分と、今朝の自分と、明日の自分が、なぜ同一と感じられるのか?」という問です。
 
そして彼は、人は人生という「物語」の中に自己同一性を見出すという概念に行き着きました。彼は物語が過去・現在・未来をつなぎ、同一性を感じさせることを発見したのでした。
 
もう少し踏み込んで解説を加えると、彼は「物語として破綻していないという認識」が自己の同一性を保証していると主張したということです。
物語としての人生
リクールの主張したモデルに従えば、人は自らの物語を生きる主人公でありながらも著者でもあるという特異な存在となります。
 
多くの人はこの自身の存在の特異性を自覚していませんが、自分が生きていく物語を自分で構築していかなければならない現実自体は変わることはありません。そうでなければ、人は自己同一性を失ってしまいます。
私たちは物理的な制約の中でどのような物語が実現できうるのか、無意識にであってもいつでも模範解答を求めています。私たちはなぜ、歴史上の出来事に共感の念を抱いたり、魅力的なフィクションの物語を見聞きして満たされた気持ちになったり、スポーツやビジネスのヒーローの人生に興味を持ったりするのか? その答えも「物語的自己同一性」の概念に求めることができます。
さらに誰もが、どこに住み、何をして、誰が登場することが自身の人生にとってふさわしいのかについて、強い関心を持つことにも納得感が出てきたのではないでしょうか?
自身の物語は、存在の保証の根幹にあるもので、自身の理想とする物語を描き続けることは、誰にとっても生涯突きつけ続けられる切実な問題であり続けるのです。
宿題
「物語的自己同一性」の概念を使いこなせるようになっていただくために、いくつかの宿題を用意しておきました。明確な答えがある問いではありませんが、良い思考のトレーニングとなるはずです。ぜひ考えてみてください。
 

  • 若者が老人よりもファッションを求める傾向にあるのは何故でしょうか?
  • 高級ブランドほど、ストーリーに訴えた広告展開を行うのは何故でしょうか?
  • 顧客を長期的に惹きつけ続けるために、どのようなことを大切にしたらいいでしょうか?
  • VRゴーグルはなぜ、多くの人にとって魅力的な商品となり得たのでしょうか?
  • 【上級】「乗るしかない。このビッグウェーブに。」という思考はどこから来るのでしょうか? 射幸心の本質を「物語敵自己同一性」から説明できるでしょうか?
  • 【上級】ライフログよりもマイクロブログが人々を惹きつけたのは何故でしょうか?
Written by 加藤 寛士 on 2017-05-16

はじめまして、新入りの加藤です。

はじめまして。4月から社員となりました加藤です。
これまでは、IT関連のエンジニアリングの現場で仕事をしてきました。プライベートでは秋葉在住の生粋のナードです。
これからINDEE Japanで魅力的なストーリーに出会い、現実化の場に立ち会えること大変楽しみにしています。今回は、完全には染まりきらない感覚のうちに、弊社の印象について、業務、メンバ、職場、働き方の面から書き残しておきたいと思います。

業務

弊社が標榜している「イノベーション」という言葉からは「奇跡のような偶然」「万にひとつの才能」「不屈の執念」が要求される世界をイメージされるのではないでしょうか?
少し語らせていただけるのであればその感覚は少し行き過ぎているようです。たしかにそのような側面が強いケースも存在はするようですが多くの場合は、

  • 確立されたメソッドに従って不確実性に対処すれば
  • 思わず「やられた」と口に出してしまうような身近なところから
  • 普通の人が

触れることができるのが、イノベーションの世界であるようです。
メディアや教科書では特殊で一般受けする事例ばかりが取り上げられているので、「かなりの困難」がつきもののように受け取られているのかもしれません。( 困難を演出しなければ、魅力的なドラマにはなりませんので! )
一方で、理想と現実を架橋するためには、現実の世界とも厳しく向き合わなくてはいけないこともまた事実です。
実際に、まっとうな努力や工夫を遂行していくことは確かに必要となります。ときには、「失敗してもよい」という覚悟と「絶対にやり抜く」という覚悟が共に必要となるかもしれません。そうした意味では厳しさもある世界です。

メンバ

コアメンバとして活動している津田、津嶋、山田はとてもバランスが取れたパーティーです。RPGに例えるのであれば…

  • ウィザード : 津田
  • ナイト : 津嶋
  • ビショップ : 山田

といったところでしょうか? (※ 各メンバと面識がある方なら何となく納得感があるのでは? )
まさしくRPGにおける理想的な最小構成で、各位がラストダンジョンにも挑めるレベルに達しています。私にとっては全員が頼れる先輩です。
先週は顧問メンバにもお会いすることができました。勇者のような方ばかりで最初は引いてしまいましたが、話しやすく頼もしい方たちばかりでした。
今の私のクラスは、「強大な召喚獣を情報システムになぞらえて」召喚士というところでしょうか。
日本では「式神使い」などとも言われたりしますね。津田からは、「ウォーリアーを目指してくれ」ともコメントを頂いているので、「筋肉ムキムキマッチョマンの召喚士」を目指して筋トレにも励んでいきたいと思います。

オフィス

本石町には大きなテーブルと、社員が大切にしている本屋や雑貨が詰まった大きな本棚があるだけです。人が集まると部室のような雰囲気になり、日々楽しく働いております。
東京駅までは歩いて10分。世界中のどこにでも身軽に誰にでも会いに行けて、しかも居心地も良い職場です。

働き方

各自が主体的にコントロールをしていくことが社を支えていると感じます。
基本的に新しいサービスやテクノロジは、積極的に試してみる方針を取っています。連絡手段としてのメールは社内的には「すでに死んでいる」ことが、この文化を象徴しています。
こんな環境を、私はとても気に入っていますし、自分にあっているとも感じています。すぐにGWが来てしまうことが少し悲しいぐらいです。
一緒に楽しめそうなネタのタネがあれば、是非弊社に遊びに来てください。

Written by 加藤 寛士 on 2017-04-17