イノベーションの原動力

Written by 山田 竜也 on 2012-07-17

 イノベーションを起こすには何が必要なのか?

 最近ますますイノベーションという言葉を目にする機会が増えてきた気がします。テーマはイノベーションでも語り口は様々です。イノベーションとは?という定義もの、イノベーションを起こすには?という要件もの。イノベーションという言葉が氾濫する一方、その本質があまり考えられなくなっているとも感じます。
 言葉が広まる一方で、その言葉の本質が見えなくなってくるというのは、いろいろな言葉に対して繰り返されています。どんなに意味深い言葉でもお題目になってしまっては台無しです。ですから、よく耳にする様になって来た言葉に対して、その本質を考えてみる事はとても大切です。今回はイノベーションは何処から来るか?その原動力について考えてみます。
 
 イノベーションを起こすには何が必要なのでしょうか?
 企業における取り組みとして思い浮かぶのは、イノベーション開発室を設立する、社内ベンチャー制度を作る、ビジネスプランコンテストを開催するといったものでしょうか。他にもいろいろ考えられますが、これらは受け皿を用意するという意味では意義あると思うのですが、何か足りない気がします。
 
 また、企業における活動の常として、”将来の事業の柱とするため”という枕詞が付くことも多いのではないでしょうか。こうなってくるとイノベーションにより社会に新しい価値をもたらす事や、新市場を開拓する事よりも、既存の延長線上で手堅いビジネスをする事の方が優先されてしまいます。果てはイノベーションに取り組んでいるという事実をアピールするための宣伝活動の様になってしまっている事もあります。
 
 こういった事態に陥らないためには何が必要なのか?
 
 答えは”自分自身が本当に共感できるテーマに取り組む”ことです!
 企業であれば、なぜ自社が取り組むかを明確に示して、社内外の共感を得る事です。
 ですが、イノベーションは少数のイノベーターから始まる事を考えると、企業においてもやはり起爆剤となる個人の存在が重要です。
 「○○事業が成功したのは、○○さんが最後まで諦めずに引っ張ったからだ。」というのは良く聞く話です。
 では、○○さんをどうやって作っていくのか・・・
 というのが、組織としての取り組み課題になります。
 この辺りがイノベーションを考える際に人材育成を切り離せない所以です。
 人材育成と言っても知識やスキルの問題ではなくて、キャリア開発や組織風土への取り組みになります。
 イノベーションを起こせるかどうかは、結局、「自身が本気で取組めるテーマに出会えるか」どうかにかかっています。
 
 私自身もそうでしたが、日々の仕事に集中していると自身のテーマを考えている余裕はありません。
 
 一人一人が自身のテーマを持って日々の仕事に取り組むという事を促す環境を造り、 
 テーマを持った人を増やす事が組織の働きかけとして最も重要です。 
 2012年7月16日、スティーブン・R・コヴィー博士が永眠されました。
 多くの金言は改めて見返してみる価値のあるものばかりです。
 博士の書かれた「7つの習慣」を読まれた方は多いと思いますが、
 第一の習慣「主体性を発揮する」の中に “関心の輪、影響の輪” の話しは覚えてらっしゃいますでしょうか。
 二重の同心円で、外側が関心の輪、内側が影響の輪として表されていて、
 主体性を発揮し、関心の輪だけではなく、影響の輪も拡げるという主旨と理解しています。
 この考え方を引用させて頂くと、イノベーションの原動力を高めるポイントは以下の二つです。   
  ・関心の輪を拡げ、自身のテーマと出会うの待つ
 
  ・影響の輪を拡げられるよう、その時に備えて日々の研鑽に励む
 
 何事も日々の積み重ねです。

世界を変えるには自分自身を変えることから

Written by 山田 竜也 on 2012-06-29
   何かを変えるってことは自分自身を変えるということと
   ほとんど同じなんだよ 

 これはSEKAI NO OWARIという日本の4人組バンドの”天使と悪魔”という曲の一節です。
 どんな発見も発明もそれがもたらす新しい価値を受け入れなければ、イノベーションにはつながりません。テクノロジーの変化により可能になるイノベーションもありますが、自分自身の物事の見方を変えていく事で可能になるイノベーションの方が多いのではないでしょうか。そんな事を改めてさせてくれた一節だったので引用しましたが、「自分自身の価値観を変える大切さ」という意味で共感して頂けますでしょうか。
 例えば、人類が火を発見した時、最初は暗闇を照らしてくれる、身体を暖めてくれるという価値しか見いだせなかった。動かない火に対して直接感じられる価値がそれだけだからです。でも、そこに野獣が表れて、思わず火のついた棒で振り払い、相手に思いがけないダメージを与えられたとしたら・・・。火というものに敵を追い払うという新しい価値が生まれたかもしれません。更には獲物を捕えることに利用したり、獲物を調理するという価値も発見された。
 同じモノであっても、”照らすもの”、”暖めるもの”という固定概念を外せば、そこに”追い払う”、”捕える”、”調理する”という新たな価値を発見できる。価値の枠組みは人が決めているのです。
 昨今の多くのイノベーションと呼ばれる事例が、技術的にはそれほど目新しくはないもので出来ているというのは、良く目にする話題ですが、ちょっと負け惜しみの様にも感じます。価値という観点でのどういう新しさがあったかに、もっと素直に目を向ける必要があるのではないでしょうか。
 人は新しい価値観に遭遇した時に戸惑います。即座に受け入れるイノベーターもいれば、最後まで受け入れないラガードもいます。エベレット・ロジャーズ氏は著書イノベーションの普及の中で、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードという5つの属性を定義しました。多くの発明が伝播しきることが出来ないのは、発明の良さ、正しさよりも人々の考え方、慣習を変える事の難しさにある事を豊富な事例を基に示しています。
 では、どうすれば物事の見方を変える事が出来るのか?
 一つには多くのマーケティングに書物で書かれているような新しいスタイルの提供です。音楽は「部屋の中で楽しむもの」という価値観を「歩きながら楽しむもの」に変えたのがウォークマン、「いつでもどこでも好きな音楽全部を楽しむ」に変えたのが、iPod&iTunesです。
 
 ただ、こうした新しいスタイルの提案は日々ユーザーと接して観察し感じたり、自分自身の強い拘りが無いと中々見つけられません。
 もう一つ、強制発生的に誰でも出来るアプローチが、ブレーンストーミングの際にも良く使うWhat ifです。「全ての障害がなくなったら?」、「リソースを何でも好きなだけ使えるとしたら?」というのが良くあるパターンですが、これはどちらかと言うと解決策一般に対する問いです。新しい価値という観点では「量的変化を質的変化に変える」というのがポイントです。
 例えば、
  「今の10分の1の重さの車があったら?」
  「今の10分の1の厚さのPCがあったら?」
  「ユーザーはどんな価値を感じるだろう?」
 という問いです。
 価値観の変化は量的な変化では生まれにくいですが、
 量的変化も一桁変わるようなレベルであれば質的な変化として受け止められます。
 MAC Book Airを封筒から取り出すプレゼンは正にこれを実現していたのではないでしょうか。
 ちなみに、最初に紹介した歌詞の続きは、こうです。
  
   「僕ら」が変わるってことは「世界」を変えるということと
  
   ほとんど同じなんだよ
 
 これぞ、正に普及です。
 周囲を巻込んで、「僕ら」を増やしていく、それは自分が感じた価値を皆にも共感してもらうということです。
 どんなに優れた商品・サービスでも、その価値を自分自身が本気で伝えられなければ、誰にも共感されないですよね。
 同じ10分の1の厚さのPCでも、それを本気で伝えるものでなければ、ただのスペック比較になりかねません。
 本気で信じる価値を本気で伝えていく。
 イノベーションを始めるには、ここからです。

イノベーションが世界を変える

Written by 山田 竜也 on 2012-06-09
 そう、イノベーションは世界を変えるのです。
 いや、世界を変えるものこそをイノベーションと呼びたい。
 そんなイノベーションに惹かれて会社をつくりました。
 まだまだ、イノベーションの解明、活用は道半ばですが、日々高めていきます。 
 イノベーションは「発明」×「普及」です。例え、発明されてもそれが真に良いものでなければ、世界を変えるまでは普及しません。麻薬や悪徳商法といった普及して欲しくない発明が普及している例もありますが、そういったものこそ、新たなイノベーションで変えていくべき対象です。 製品・サービスだけではなく、それを用いて社会をどう変えるかまでを示す。モノからコトへ価値提供の中心が移ってきている中、個人としてではなく社会を消費者としてとらえる事が重要です。
 さて、真に良いものとは何か?、善悪の価値観は人や社会により異なり議論は尽きませんが、敢えて言うなら、共通善に根ざしているかどうかが唯一の基準ではないでしょうか。
 共通善は企業においては社会的意義と置き換えた方が考え易くなります。何のために事業を起こしたのか?社会に対してどう貢献するのか?こうした大上段な問いに答えていくことで、自社が取り組むべきテーマが見つかります。
 イノベーションにより新たな事業や商品を生み出していく事は、多くの企業で最重要課題と位置付けられています。クライアントからの相談を大別すると、「新規事業を起こしたい!」、「○○な業界に参入したい!」に分けられます。
 後者の場合は○○(例えばクリーンエネルギー)というテーマへの思いを確認し、なぜ自社がクリーンエネルギーに取り組むのかというテーマとのマッチングから議論を始めます。その過程で自社を活かすポイントや新たなテーマが見つかる事もありますが、「私たちはクリーンエネルギー事業に取組みます。なぜならば・・・」を言葉に落せさえすれば、後は実行あるのみです。もちろん、この実行は一筋縄でいくものではなく、多くの起業家ストーリーに描かれているようなエキサイティングな世界が待ち構えています。
 悩ましいのは前者の場合です。基本的には、「市場を変える、提供価値を変える、ビジネスモデルを変える」の組合せで選択肢をつくりますが、最初の拠り所とするのは自社のビジョンです。こう在りたいという姿に合致したものでなければ、「なぜ自社が?」の問いには答えられません。
 また、テーマの選択には決まった方法はありません。議論を重ねる事で理解は深まりますが、最後は決断です。どんなに判断材料を集めても答えが見える訳ではありません。
 唯一の方法があるとすれば、
 下した決断に対して、
 「それが、本当にやりたいこと?」と問いかける事でしょうか。
 そして、それに続けるとすれば、
 「それで、世界は変えられる?」と問いを重ねることです。


 この二つの問いにYesと言えるならば、やってみるべきです。 
 Yesと言えた事をチャンスととらえるべきです。
 現実には、ここまで辿り着けない方が多いのですから。
 ちょっと大上段ですが、 
 「それで、世界は変えられる?」
 そんな問いかけが自然にされる様な場をつくって行きたいです。 
 共感してもらえますか?