ソフトウェアはアナログな方がいい

Written by 津田 真吾 on 2021-09-02

ソフトウェアはデジタルなものだと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。

むしろ、ソフトウェア化することで、よりアナログで使いやすくなるケースは数多く存在します。3つの例を挙げてみたいと思います。

分け隔てのないNOTE

まず、NOTEです。
NOTEには“柔らかい”文章がたくさんありませんか?そして、まるで「プロ」のようなエッセイや小説が無料で読めます。もちろん、課金しないと読めない「プロ」が書いた作品もありますが、「アマチュア」が稼ぐことも可能だし、「プロ」が無料で作品を提供することもできるのがNOTEです。

例えばこんなエッセイにも出会えます。

今週末の日曜日、ユニクロで白T買って泣く|しまだあや(島田彩)|note

今週末の日曜日、私はユニクロで泣く。 いつも行く、イオンの4階に入っているユニクロで。きっと、震えながら白のエアリズムコットンオーバーサイズTシャツ(5分袖)を手に取って、泣く。 何の話か全くわからないと思うけど、今、たった今3時間前に起きたことを、心臓をばくばくさせながら、今日は書く。 …

以前は、アマチュアはアマチュア、プロはプロの場が用意されていました。NOTEは読者の心を捕まえることができれば稼げる仕組みがあるため、プロもアマチュアも利用しており、アマチュアの無料作品であっても先ほど挙げたような素晴らしい文章に出会うことも珍しくありません。稼ぐ仕組みだけではありません。記事を書く入力画面もシンプルで、コンピューターを扱いなれていなくても記事を書いて公開することができるのです。

NOTEはブログのようではありますが、記事を書いてデザインを整えるのはちょっと面倒かもしれません。課金となるとさらにハードルが上がります。

改めて考えてみると、執筆者はインターネットによって多くの読者に作品を届けやすくなったものの、(プログラミングよりははるかに易しいけれど)コンピューターに向かって指示をするという感触は拭えていなかったのかもしれません。NOTE登場前の多くの執筆ツールはHTMLやMarkupなど、人工言語を書く延長線に自然言語を書くUIができていた気がします。それに対し、NOTEはコンピューターに向かってではなく、読者に直接向かうことができる、趣味の物書きとプロの物書きを分け隔てしないプラットフォームだと思うのです。

AI受診相談ユビーは「医療」と「それ以外」を分けない

日本には国民皆保険制度があり、私たちの医療費の7割は健康保険でカバーされます。しかし、どこからが「医療行為」なのかは明確に線引きがされていて、ままずは医師という専門家の「診断」を受けることで医療がスタートします。診断の結果、病名が決まり、治療が始まります。

実は「診断」を受ける際にも苦しみがあります。病院に行って診察をしてもらうのに、移動時間や交通費に加え初診料が必要です。しかも移動中や病院で新型コロナやインフルエンザなどの感染症にかかるリスクも気になります。子供にはもっと感染力の高い病気が多く、子供を持つ親なら子供を連れて病院に行くべきかどうか悩んだことはあるのではないでしょうか。医師の診断を受けにいくかどうかという健康上の判断を、医師ではない私たちが決めないことには始まらないのです。ググれば良いと思っているかもしれませんが、インターネット上の情報には怪しいものや、誤った情報も見受けられたり、正確だが難解な情報も混在していて、躊躇します。

こうして考えると、普通の生活を過ごしている状態と「医療」は連続しているのにもかかわらず、「受診したかどうか」で区別される大きな隔たりがあります。

AI受診相談ユビーは、その隔たりを取り除き、信頼できる医学情報から自分や子供の症状と病気の関連を調べてくれます。なんとなく感じる不調が、シリアスな病気と関連しているか、受診するならどの診療科なのか、というファジーな状態が、デジタルに「医療」か「それ以外」に分断されてきた世界を優しくしていると感じます。

MENOUは忠実に学ぶ

ものづくりの現場で、製品出荷前に行われている検査が未だに人海戦術に頼っていることをご存じでしょうか。しかもそれぞれの製品を構成する何点もの部品も、部品メーカーにとっては「製品」ということになり、同じように外観検査が行われています。最終検査だけでなく工程中にも品質管理のための検査が何重にも行われていて、多くが目視によって行われているのです。

これらの膨大な検査を少しでも省力化するために、コンピューティングが用いられてきました。コンピューターに置き換えることで作業員の疲れを気にせず24時間正確な検査を続けることができるようになりましたが、検査項目を「輝度」や「コントラスト」などといったデジタル値に翻訳してあげる必要があります。さらに、外観検査員とプログラマーとの間でも翻訳作業が必要です。外観検査員、プログラマ、コンピューターという二重の翻訳ロスが発生するのが問題でした。この翻訳作業が必要なため、「なんとなく汚れている」とか「全体的にいびつ」といった現場感覚による検査を自動化するのは至難の業で、不可能だと諦める企業も多数です。なんとか諦めずに多くの試行錯誤の末、満足のいく検査ができたとしても、そのころには製品のモデルチェンジなどで不要となってしまいます。

ディープラーニング技術の登場で「輝度」「コントラスト」などのデジタル値への変換は不要になりましたが、製造現場をあまり知らないAIベンダーとの翻訳作業は本当に大変です。ましてやAIを売りたいベンダーです。甘い言葉と甘い見立てを信じて購入した数千万の画像検査装置が使い物にならないといった惨状を幾度となく見聞きしました。

MENOUが開発したMENOU-TEは、もちろんディープラーニング技術を用いていますが、現場の検査員から直接その検査方法や検査基準を学び取れるという特徴を持ちます。新人の検査員を指導するときのように、「この辺を詳しく見て」「こういう欠陥を探して」「欠陥がこのくらい大きかったらNG」といった思考回路のままにAIモデルを組み立てることができます。喩えて言うと、OK品とNG品の画像を大量に渡して「NG品を検出してね」と乱暴に学習させていたのが従来のディープラーニングであったのに対し、少し丁寧なアプローチです。MENOU-TEを用いることでベンダーに頼ることなく現場の検査技術を反映したAIを作り、少ない画像で学習ができるようになります。

マジックアワー

白か黒か、あえてデジタルに白黒をつけて処理することでシステムの効率化を図ることは多くの場合有効です。ですが、過去に導入されたシステムには当時の状況や技術的な制約から白と黒が分かれています。だからといって、そのままである必要はないと思うのです。白黒の境目をそのままに新しい技術を導入することは、まるで白黒写真を再現するためにフルカラーの信号を1ビットに減らしたり、DXと称して紙の帳票をITツールに置き換えたりするようなものです。今の技術レベルやジョブに合わせて問題解決の解像度も高めたいものです。

このように、白とも黒とも言えない色をなるべく実態のままとらえるサービスは人に優しいのではないかと思います。ソフトウェアは機械を動かすための道具ですが、私たち人間にとって意味のあるものであり続けるには、なるべくアナログな方が良い。デジタルの対義語はアナログではないのです。

余談ですが、このブログのタイトルと「マジックアワー」としたのは昼と夜の間のグラデーションに存在する、彩りある未来をつくっていきたい。そんな夢を表しています。

奇跡の花畑、町のシンボルを生んだ農家の決断

Written by 山田 竜也 on 2021-08-16

夏の北海道、富良野、と言えば、ラベンダー!
すっかり夏の北海道のイメージとして定着した感のあるラベンダーですが、
町のシンボルが生まれるまでにはドラマがありました。
 
富良野と言えば、ラベンダーよりも「北の国から(脚本:倉本聰、1981年10月9日から放送)」が浮かぶ人も多いと思います。私も、まさに、「北の国から」世代です。
 
古き良き80年代の人間ドラマに胸を打たれますが、
倉本聰氏が制作に至る背景には、
この土地に住む人達への、農家への強い尊敬の念があったようです。
 
企画書の中にはこんな言葉があります。
「僕らは東京(都会)の暮らしの中で
 不便さを金で解消しようとする。何か
 困ったことが起きた時、それを、誰か
 に、金を払って解決してもらう、そう
 いう生活に馴らされてしまっている。
 ・・・
 此処の人たちは自然の脅威を知って
 いる。人間が自然の小さな一部にすぎ
 ないことを明らかに肌で知っている。
 だから物事に謙虚である。都会に
 住むものの傲慢さを持たない。」
 
ドラマの名シーンを彩るラベンダー、町のシンボルとなったラベンダーですが、
ドラマの始まる6年前に存続の危機があったそうです。
そして、その危機を乗り越えるきっかけを作ったのは、自然の脅威とは異なる、世の中の変化の脅威に、信念を持って謙虚に、粘り強く耐え続けた農家の決断がありました。
 

 
元々、富良野のラベンダーは1937年(昭和12年に、香料会社がフランスからラベンダーの種子を入手し、千葉・岡山・北海道で試験栽培を行い北海道が生育の適地と分かった事から始まりました。最盛期には、上富良野町で85ha、全道では235haにもなったそうです。
戦後、天然香料の輸入再開や化学技術の発展により合成香料が安く手に入るようになり、価格競争に勝てず、ラベンダー栽培面積は減少の一途をたどりました。上富良野町では最後まで香料会社との契約栽培が続きましたが、1977年(昭和52年)に香料会社のラベンダー油の買取が打ち切られ、ラベンダーの農業作物としての生産は終わりとなったのです。
 
多くのものが天然素材から化学合成へと置き換わっていきます。機能的な面だけを考えるとこの流れは変えられません。もちろん化学合成品が天然素材の完全な上位互換という訳ではありませんが、多くの人が消化出来る(理解できる)性能差のレベルでは、より手軽で安価な方への流れを止めるのは難しいでしょう。
 
しかし、こうした苦境の中、畑を守る決断をしたのが、ファーム富田のトラディショナルラベンダー畑です。
 
 
この決断の翌年、1976年(昭和51年)国鉄のカレンダーで中富良野町北星のラベンダー畑が全国に紹介、1977年(昭和52年)には上富良野町東中のラベンダー畑が北海道新聞に掲載され、それ以来観光客が訪れるようになりました。
 
元々は香料の原料として栽培されていたラベンダー、合成香料の発明により、機能的なジョブの解決としては役目を終えました。
しかし、”機能的ではない農作物の価値”として、「夏の風物詩を味わいたい」「商品の背景にあるストーリーを楽しみたい」というジョブや「有名な観光地は押さえておきたい」という社会的なジョブをも解決し、観光農業として新たな発展を遂げました。
 

 
機能的なジョブの解決策として、育てていても、作り手には商品に対する感情的な思いが生まれます。この思いに固執し過ぎて、新たな価値を発見できないと、イノベーションのジレンマに嵌ってしまいますが、顧客のジョブの変化を捉え、新たなジョブに新たな価値提案で解決策を描ければ、愛する商品を守りつつ、より多くの人に、より商品に根ざした価値を届ける事が出来るかもしれません。
 
多くの場合、ジョブは機能的な問題解決から始まり、より感情的、社会的なものへと変化していきます。以下は働く環境におけるジョブですが、このコロナ禍で、多くの方が実感したのではないでしょうか。
 
 
冒頭の写真の美しい畑もいちどはトラクターで地面に鋤きこまれてしまう運命にありました。そんな中、粘り強く耐え、新たなジョブと出会えた事により、今は、それまでとは全く違った形でより大きな価値を見出しています。
 
もし、既存のジョブの解決での事業の成長に限界を感じているなら、視野を広げて見てはいかがでしょうか。
物質的な豊かさをある程度享受出来た世界では、機能的なジョブだけではなく、より感情的、社会的なジョブにこそ可能性があります。
そして、愛する商品や技術を救い、新たな価値を生み出す可能性が見つかるかもしれません。

言葉が世界観をつくる

Written by 山田 竜也 on 2021-06-14

5月の連休前に子供が通う小学校で、全校児童に一人一台タブレットが配られた。まだオンライン授業的な使い方はされておらず、動画見たり宿題のドリルを解くくらいだが、色々触りながら使い方を覚えている様だ。
おそらく、子供達は多くの親より早く使いこなせるだろう。まさに、習うより慣れろを実感する瞬間だ。
 
先日、お絵かきツールでカラフルな同心円の模様を描いていたので、聞いてみた。
「きれいに描けてるね、この色はどうやって選んだの?」
「タブレットから出てきた」
「(カラーパレットの順番なのかな・・・)どうして出てきた順に選んだの?」
「きれい好きだから」
「???」
 
頭の中に?マークが浮かびながら
ここで頭ごなしはいけないと思い、彼の世界観を除いてみた。
「きれいってどういう事?」
「きれいには二つあるんだよ」
「汚れているのをきれいにするの、きれいでしょ」
「後は・・・」
 
言葉が出てこなかった様なので、こちらから質問をしてみた。
「整理されている、整っている?」
「きちんと守っている事」
 
どうやら、規則やルールを守る・従うという事も、彼の世界観の中では”きれい”と定義されている事が分かった。
クリーンな政治家といった文脈なら、理解できなくもない意味のチョイスだが、当然そんな文脈を知っているとは思えない。
改めて、単語は文脈次第だなと思うと同時に、文脈や、その言葉をチョイスしている背景、そして、相手の中にある世界観を理解しないと、発言の真意は分からないと気付かされた。

 
 
 
もちろん、普段から、文脈を意識したコミュニケーションはとっている(つもりだ)し、仕事柄、背景は読んでいるつもりだが、文脈の更に深い所にある相手の価値観や見ている(見えている)世界観まで思いを馳せていることは少ないかもしれない。
 
意識をしていると言っても、そもそも、仕事や普段の生活の中では世界観まで違う人とコミュニケーションする機会は少ない。日本の、東京の、企業の、そこで働く人の、と、幾つものアンド条件で絞り込まれた人と接している中では、ある意味、ビジネスという共通言語の中で話している。この時点で既に偏った世界観の中にいるのかもしれない。
 
子供は最も身近にいる、最も離れた世界観の持ち主だ。
彼らの世界観を覗くことは、無意識に凝り固まっている大人の世界観に揺らぎを与えるための良い刺激になる。
 
一方で、彼らの世界観は、日々の言葉のシャワーの中で、形成されつつある壊れやすいものだ。こちらが理解できない表現(言葉の稚拙さ)を頭ごなしに叱ってしまうと、自分と異なる物の見方に気付く機会を失ってしまうし、子供の脳を雁字搦めに縛り付け、新しい物の見方を潰してしまうかもしれない。
 
 
”言葉が世界観をつくる”という事を実感するとともに、アンラーニングの不要な真っ白な脳に、良いシャワーを浴びせていこうと思い直すきっかけになった。
 
在宅勤務で家族で過ごす時間が増える中、我々大人はより振る舞いを見直す必要があるかもしれません。

ハード以外のハード系スタートアップとは?

Written by 津田 真吾 on 2021-06-06

私たちは「ハード系」のスタートアップを支援しています。

なぜ「ハード系」という微妙な言い方をするかというと、実はAIソフトウェアを開発しているスタートアップも支援しているからです。例えば、Ubieは AI問診やAI受診相談というサービスを展開するSaaS企業です。DeepEyeVisionはAIを用いた画像診断支援を提供しています。MENOUは、医療画像のアノテーションや外観検査をAIで自動化するサービスを展開しています。

AIと聞けば、最近でこそ最先端の技術を持ったセクシーなスタートアップという印象を持つかもしれませんが、数年前までは怪しさ満点で実用性に疑問符が付くのが世間一般の評価でした。しかもAIを医療や、地味な製造業の目視検査に用いるなんて…と、懐疑的な目で見られるのもしばしば。当時のAIが注目されていたのは、猫と犬を見分けるとか、ゲームに人間に勝ったり、とセンセーショナルさが先行していたように思います。そういうセンセーショナルさから、広告やマーケティング目的のAIは、実用性以上に見た目の印象(ハイプ)が先行しました。

ところが、AIをヘルスケアや製造業の過酷な労働環境に応用しようとしているスタートアップも一定数います。彼らは目立つマーケティング向けのAIを尻目に、本当に役立つAIを開発し、本当に人に信頼されるサービスを提供するために起業した人たちばかりです。目立たない、地味なAIスタートアップです。

地味AIはハードなのか?

それでは、こうした地味な課題に取り組むAIスタートアップはハードなのでしょうか?「なぜハードウェアスタートアップは“ハード”なのか?」にも書きましたが、ハード系スタートアップが難しくなる理由は以下の通りです。

  1. 物理法則に支配されている
  2. ものづくりに時間がかかる
  3. いずれ製造コストの安い競合に市場を奪われる
  4. スケールするための投資が必要
  5. ピボットができない

この5つの点を一つ一つ見ていきましょう。

まず、1はそのまま“地味AI”に当てはまります。2については、一見ソフトウェアで構成されるものづくりに時間があまりかからない印象を持つかもしれませんが、そうとも限りません。なぜなら、信頼のおけるデータをたくさん取得し、それを正しく学習することで初めて実用レベルになるからです。現場のデータを取り、データを整え、データに正しくアノテーションを施し、機械学習を行うのは一朝一夕ではできません。

例えば、UbieやDeepEyeVisionは医師が、MENOUでは目視検査の熟練者がこの学習に深くかかわっています。

POC(概念検証)レベルのものが出来たとしても、実用レベルには届かないAIが多いのは、この活動の難しさを示唆しています。しかも、こうして手間暇をかけたAIも劣化版AIが参入するリスクが潜んでいます。3のコピー製品リスクは地味AIスタートアップも抱えているのです。

4のスケーラビリティも、学習工程を効率化し、再現可能にする投資はそれなりに必要です。物理的な生産設備や流通が不要になるので、ハードウェアほどではないですが。ピボットについてはどうでしょう?AIの「実用」を目的としているスタートアップにとって、実はあまりピボットする余地はありません。これまでの経験上、ハード系スタートアップがPMFさせるための道筋は、それほど多くの選択肢はありません。確率の高いものから順に、素早く検証していく必要は他のハード系スタートアップ同様あるのです。

この先はポジショントークですが、ハード系スタートアップに取れる選択肢の引き出しを持っていて、どんなビジネスモデルの仮説を持てるのか、確率の高いものから仮説検証する手順などは、やみくもに取り組んでも分からないことです。仮説の質が高く、手順の引き出しが多いメンターがいるかどうかは、大きな力になるはずです。

X-DOJOでは、AIをハードに実用化するスタートアップを引き続き募集しています。

ポスト・コロナってどんな姿?

Written by 津田 真吾 on 2021-05-19

今日もブログを読んでいただきありがとうございます。

実はINDEEではイノベーションに関してのニュースレターも発信しています。ブログと違い、ニュースレターでは時折嬉しいフィードバックがあります。

先日「コロナ禍で変わって引き続き残るものとその残り方。コロナ禍で来るべきものが来れなくなったもの」を取り上げて欲しいとのコメントを頂きました。

ちょうど1年前 ― 第一回目の緊急事態宣言中に、不慣れな在宅勤務中もイノベーションについて身近に感じて頂きたくてニュースレター購読者限定の「ウェビナー」を開催しました。そのタイトルも「ジョブ理論から見るポスト・コロナ」。今はオンラインのイベントも飽きてきた感じがありますが、まだオンライン生活も新鮮にご参加頂けたようです。1年前、まだ世間は“ウェビナーって何?”っていう時代に100人以上の方が平日の日中に集まってくださいました。その時のスライドをいくつか共有します。

たった1年前に起きたことですが、「リモート社員管理」「移動制限」「住宅の職場化」「通勤の激減」といった状況の変化がありました。これらの状況変化に伴って、私たちが「雇用」する製品やサービスは大きく変わりました。私は通勤時間がなくなったことによって、NETFLIXを雇い、以前は電車に乗っていた時間をドラマや映画を見るようになったのです。家の模様替えも少し行いましたし、仕事もオンラインでの時間が増えただけでなく、それに伴ってコミュニケーションツールなどに投資をしています。

総務省の家計調査によると、禁止されている旅行や飲酒はもちろん大きく減少し、おととしの2割にとどまっています。また、マスクの下に隠れてしまったり、マスクを汚す原因となる口紅も消費が半額になっています。逆に宅飲み消費のチューハイ・カクテルや在宅勤務中の食事需要として冷凍食品は3割以上消費が伸びています。

出典:総務省家計調査

さて、では、もしコロナが収まったらどうなるでしょうか?
実は、新しい商品をコロナだからと言って仮に使ったとしても、その後も使用されやすい傾向にあります。なぜなら商品の魅力が良く伝わるだけでなく、新しい習慣のきっかけとなったり、新しいことへの不安を解消する効果があるからです。無料サンプルやフリーミアムビジネスモデルの効果があるのは、こうした理由があります。

ドラマで夫婦役を演じたガッキーと星野源にとって、ドラマが終わった後もその関係が続くようなものなのかもしれませんね。