#StayHome 完全リモートワークから見えて来るもの

Written by 山田 竜也 on 2020-04-16

緊急事態宣言が発令され、4月7日~5月6日で外出自粛が要請された。オフィスはもちろん、コーワーキングスペースやカフェも閉まり、#StayHomeの掛け声の下、自宅での完全リモートワークが始まった。

 

これまで、リモートワークには、働き手の都合に配慮したポジティブなニュアンスがあった。家族を優先したスケジューリング、子供の送り迎えをして、居心地の良い自分のスペースでマイペースに仕事をし、クラウドサービスを利用して、プロジェクトメンバーとのコミュニケーションも支障なく進むと言った世界だ。

 

しかし、リモートワークという選択肢があるという状況から、#StayHome 自宅でリモートワークという選択肢しかない状況になってみると、想像と違っていたことが見えてきた。

 

「子供が静かにリビング学習する横で、自分も仕事に集中!」なんて事は幻想で、子供は外で遊べずにストレスが溜まる。学校からはたまに電話がかかってくるが、出された宿題をコツコツこなす子は、おそらく稀で、ほとんどは家でダラダラ過ごす。せめて、外に連れて行って気分転換させたいと思うが、いつもより混んでいる公園に連れて行くのは怖い。狭い家の中で家族のイライラが増していく。子供を学校に行かせるのは、勉強をさせるというより、安心安全に預かってもらえることに価値を感じていたと、親としての自分の本音も見えて来る。

 

エクストリームな状況は、これまでは、それほど気にしていなかったジョブを浮かび上がらせる。たまにリモートワークをする状況では、我慢してやり過ごしてきたり、何とか工夫してやりくりしてきた事が、それでは済まなくなる。リモートワークを推進するには、「家庭のオフィス化」が必要になるというシンプルな事実が浮かび上がってきた。それは通信環境を整えるというだけではなく、家でも(少なくともオフィスと同様に)仕事が捗る様にするという事だ。

 

オフィスのフリーアドレス化が進んだ時にも、交流を促進するという会社の意図もあった一方で、「声をかけられずに仕事に集中したい」という社員のジョブを解決するために、ヘッドフォンをかぶる姿が見られたりした。交流という付加的な価値より、作業が捗るという本質的な成果の方が優先されるのは必然かもしれない。働き方改革も自由な働き方を許容するという前提に、生産性を上げるという事があったはずだ。

 

改めてジョブの3種類の目的で考えれば、以下の様になる。先ずは仕事を捗らせたい、生産性が上げたいという機能的な目的があり、それが解決された上で、より気持ちよく働きたいという感情的な目的が出てきて、さらには、自慢できる環境で働きたいという社会的な目的が出てくる。

今回一気に「家庭のオフィス化」が進んだことで、機能的な目的の切実度が増しているのではないだろうか。これまで、「書斎が欲しい」というジョブは感情的、社会的なジョブで、あったらカッコいいなというものだった。これが機能的なジョブに変わると、「家でも仕事の生産性を上げたい」と変わる。

 

「自宅から出られず環境の変化を付けられない状況でもメリハリを付けたい」「家族と一緒のワサワサした環境でも仕事に集中したい」というジョブを解決したい、書斎を持っていない会社員のジョブはより切実になっている。

 

状況が変わると解決したいジョブが変わる。ジョブの重要度が増したり、気にする頻度が増えたり、現状の解決策への不満が吹き出してきたりする。
大きな環境の変化があった時には、改めてこれまでは気にも止めていなかった普通を見つめ直してみましょう。きっと新たなジョブの発見に繋がります。

コロナウイルスから見たイノベーション

Written by 津田 真吾 on 2020-04-01

このコロナウイルスは私たちの生活を激しく変えています。
「災害」と呼ぶこともできるかもしれません。日々、情報を追いかけていると、ウイルス学、感染症研究、公衆衛生、経済、政治、医療、危機管理など、さまざまな視点から、新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の感染拡大と、人間社会への影響が語られています。

私も、「イノベーション」という視点からこの疫病について書いてみようと思ったのですが、書けることといえば1つくらいしか浮かびません。それは、

有事は解決すべき課題をはっきりさせる

書いてみると、これこそ不要不急なコメントだな~と。不要不急な外出を押さえていると、いかに私たちの日々の生活や経済が「不要不急なこと」で溢れているかを思い知らされるからです。平和で安定した時代に文化や芸術が発展するように、不要不急なことには意味があるし、人間らしさを彩っているのだなぁと改めて感じます。つまり「有事は解決すべき課題をはっきりさせる」とは言いつつ、それだけをやるべきとも、そうでないとも言えなくて、単なる面倒くさいコメントになってしまいました。



ここで終わるわけにいかないので、こういうときは、視点をひっくり返すしかありません。つまり、新型コロナウイルスに限らず、ウイルスの生態と生存戦略を理解することです。だからと言って、面倒くさくないとは言いませんが、コロナ情報ついでにぜひ読み頂ければと思います。

まず、幸いにも人類にとって、今回が初めてのパンデミックではありません。さらに、ウイルスが人類に完全勝利したことはありません。もし仮にウイルスがヒトを必ず征服し、全滅させることがあったとすれば、その時はウイルスにとっても死を意味するからです。ウイルスには知性はないけれど、宿主を殺さないほどには賢いのかもしれません。一方で数百万人を殺すほどの世界的な疫病になり得ることも歴史は示しています。今回の新型コロナウイルスも、当初は若者は罹りにくいとか、インフルエンザ程度の症状とか、致死率が低いとか、さまざまな情報があり、一体どのくらい危険な病気なのか不確かでした。ウイルスは人類全体にとっての脅威であることは確かではありますが、あなたやあなたの愛する人にとって具体的な脅威になるかどうかは不確かなのです。

次に、ウイルスは一種類ではありません。毎年やってくるインフルエンザウイルス、デング、HIV、HPV、等々知られているものだけでもかなりの数が存在します。ヒトに感染するコロナウイルス(CoV)は知られているだけで7種類も確認されています。HPVなど、ウイルスによって多くのがんも発生することが分かってきていて、その原因ウイルスも次々と特定されてきています。つまり、今回耐えれば済むというようなものではなく、いずれ、それがいつになるかは不確かですが、次のエピデミックやパンデミックはきっと来るのです。どのようなウイルスが襲ってくるか種類も分かっていません。地震や台風が発生しない地域があるのとは対照的に、自然災害と異なるのは発生しない地域や時期について、不確かさが多い点です。

ウイルスの優位性の一つが「見えない」ことです。最近よりもはるかに小さく、私たちは見えない敵と戦わなくてはいけません。接触でしか感染しないのか、飛沫感染するのか、空気中からも感染するのか、その現場を観察することはできず、実験や状況証拠から推定するしかありません。見えない敵と戦うと、人間はその存在そのものに疑問に持ちます。神の祟りや悪霊のものだと思ったり、生物兵器のような陰謀論を含め、複数の「解釈」の余地が生まれます。ウイルスではない幻想やデマとも戦う必要が出てきます。テクノロジーのない時代、人類は腕力と簡単な道具と「協力」によって巨大なマンモスを絶滅させました。自分たちよりもはるかに強く大きな相手を、完全に地上から殲滅させたのです。一方で存在が見えないほど小さく、簡単に水で流せるほど弱いウイルスは地上から消える様子はありません。

このように、ウイルスの危険性は、その存在と危機の不確かさ、が本質のように感じます。「不確か」というのは、「きっといる」「たぶんある」「ないことはない」という意味です。そして、ウイルスから見るとこれがきっと生存戦略なのだと思います。ゲリラ戦のように、「いつ攻撃するかわからない」「どこで攻撃するかわからない」「いないかもしれないし、いるかもしれない」「味方だと思っているあいつも敵かもしれない」と相手に思わせることが、はるかに強力な相手と戦うときの常套手段なのではないでしょうか?

ウイルスという不確かさの塊といかに戦うのか?

ここで戦い方としてビル・ゲーツのTEDトークが一つの参考になります。

『サピエンス全史』で有名なユヴァル・ノア・ハラリ氏の「戦い方」も大いに参考になります。

『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ氏、 “新型コロナウィルス”についてTIME誌に緊急寄稿!|Web河出

著作累計が2,000万部を突破した世界的歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は、2020年3月15日付アメリカTIME誌に「人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結を(原題:In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership)」と題した記事を寄稿しました。 新型コロナウイルスと対峙する上での示唆に富んだハラリ氏のメッセージを、氏の著作全てを訳した柴田裕之氏が新たに訳しおろし、ハラリ氏並びにTIME誌の了解を得て、緊急全文公開します! 現代における「知の巨人」が考える、”今、人類に本当に必要なこと”、”真の意味での新型コロナウィルスに対する勝利”とは何か。是非ご一読下さい。 ユヴァル・ノア・ハラリ 単行本 – 人文書 ユヴァル・ノア・ハラリ 2020.03.24 柴田裕之=訳 (歴史学者・哲学者。世界的ベストセラー『 ユヴァル・ノア・ハラリ=著 サピエンス全史』、『 ホモ・デウス』、『 21 Lessons 』著者) …

きっと、ウイルスとの戦いはもぐらたたきになることでしょう。ビル・ゲーツはTEDトークは2015年のものですし、SARS、MERSなどのアウトブレイクも不定期ではありながら、時折襲ってきました。

人類が文明の発展とともに導入してきた感染症対策のためのイノベーションには多くのものがあります。「浄水」「下水処理」「ゴミ処理」のようなインフラもあれば、「ワクチン」「治療薬」「診断薬」などのソリューション、さらには「マスク」「手洗い」といった予防的習慣などもありますし、WHO、CDCのような組織などもあります。しかし、今回のパンデミックが示しているのは、これまでのソリューションでは不十分だということです。これからの世界が待っているイノベーションには、以下のようなものが挙げられるのではないでしょうか?具体的な策や似たような考えを持っている方がいたら、ぜひアイデアを聞かせてください。

  • ウイルスの存在確率が可視化される技術
  • 情報の「不確かさ」が分かる技術
  • 不確実な複数の治療法のポートフォリオ管理するシステム
  • 医療従事者だけでも「確実に」保護される設備・防具

最後に、これらの長期的な解決策が登場するまでの短期的な戦い方としては、隔離やソーシャル・ディスタンスを取ることしかないかもしれません。次の宿主を見つけることのできなかったウイルスは死んでしまうので、仮に感染者を確実に隔離さえできれば、ウイルスはいずれ根絶できるからです。


短期的な戦い方についても、ビル・ゲーツのTEDトークは参考になります。
https://www.ted.com/talks/bill_gates_how_we_must_respond_to_the_coronavirus_pandemic

山中伸弥教授は、今回のウイルスを今のテクノロジーで制圧することは困難、私たちが拡散を防ぐ工夫を取る必要があると発表しています。経済的な損失は回復できるけれど、一度無くなった命は回復できないというメッセージは非常に明確だと思いました。

山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

普通の病気は、患者さんや家族を苦しめます。しかし、新型コロナウイルスはより多くの人を苦しめています。1.感染した方、そのご家族2.エッセンシャルワーカーの方々。医療従事者、公共交通、物流、インフラ、小売り、窓口業務など、自らの感染リスクと、偏見や差別に耐えながら社会を支えて頂いている方々。( 提言) …

教えるのか?学ばせるのか?

Written by 山田 竜也 on 2020-03-09

コロナウイルスは、人が会うことを必要とする業界に大きな影響を及ぼしました。音楽CDからライブに活路を見出していたエンタメ業界、来年度への布石を打とうとしていたイベント・展示会、4月の新人研修を控えた研修業界。我々も3月に予定していたセミナーやイベントは全て中止・延期になりました。

そんな中、注目を浴びているのがオンラインセミナーです。ZOOM, Skype, Hangouts, Facetime等のツールはこれまでも使われていましたが、ここにきていよいよ本格導入の流れが来るのではと期待しています。

我々もこのタイミングを利用してZOOMを使った1時間程度の無料オンラインセミナーを開催しました。1週間ちょっとの集客期間に関わらず、40名以上に申込み頂き、30人ぐらいに実際に参加頂きました。

今週金曜日にも開催しますので、是非この機会にお試しください。
3/13(金)15:00-16:00イノベーターDNA診断 特別フォローアップセミナー

普段からセミナーは行なっていますし、ZOOMも打合せ等で利用しています。ZOOMを使ったワークショップへの参加経験もありました。そういう意味では、組合せとして新しいだけなのですが、実際にやってみると色々気付きはありました。

 

ZOOMでのオンラインセミナー果たして・・・

先ず最初に、「大した準備もしていないのに、とてもスムーズに運営できたこと」、クライアント先でのテレカンでは専用システムを使っているにも関わらず、もれなく手古摺るのですが、今回はほぼノントラブルでした。参加者によっては苦労された方もいたかもしれませんが、チャットで把握した限りでは冒頭音声設定の間違いが少しあったぐらいでした。

次に、「レクチャーが程よくコンパクトにまとまったこと」、対面だとどうしても参加者の表情や仕草を意識してしまうため、質問を投げかけてみたり、表現を変えて補足したりと、良く言えば丁寧、悪く言えば冗長になってしまうのですが、リアルタイムで反応を取りにくいために、その場のコンテキストに振り回されずに、コンテンツを伝えることに集中できました。

そして、「記録した動画は再利用に耐え得る」、企業内研修でも欠席者のために撮影させてくれないかという相談が良くありますが、対面でインタラクティブに行う研修では記録そのものが難しいですし、少なからず編集作業が必要になります。今回はZOOMでの記録を試みてみましたが、当日のセミナーそのままでした(元から画面越しなので当たり前ですが)これならば欠席者向けの再配布も簡単です。

 

手段での区分けには意味がない

オンラインか?、リアルか?、教えるのか?、学ばせるのか?、敢えて手段で4象限に分けてみると今回のセミナーは左上にきます。右上は良い例が思いつかなかったので?のままとしました。
(何か良い例を思いついた方、是非教えてください(^^;

 

こうして区分けしてみたものの、何れにせよ、これは手段の区分けであって、目的に応じたものではありません。一方で、手段で区分けした議論が先行してしまい、それぞれの手段毎での導入になってしまわないか不安を感じます。

一方通行の座学よりも双方向のワークショップ形式の方が学習効果が高いとも思われがちですが、分かり易いレクチャーには価値があります。ワークショップ形式で双方向での盛り上がりを重視しすぎると、場は盛り上がっても伝えられているコンテンツは少なくもなります。

今回のオンラインセミナーでは、短い時間、一方向という制約の中で行った結果、座学のレクチャーとしての完成度は高くなった気もしています。You Tuberの様に完成度を高めた動画があれば、リアルでの座学は皆でディスプレイを眺める方が効果的かもしれません。それであればいっそ動画を見るまでは事前課題にしてしまった方が良いかもしれません。

 

目的に合わせて手段を組合せる

 

手段で区分けしたり、学習者中心!と 大上段に構えると未解決のジョブを見失ってしまいます。未完成だが価値のあるテクノロジーを試す機会も減ってしまうかもしれません。
それぞれの手段の特徴を活かして、目的に合せて使える様になってきた手段を駆使するのが効果の高い学習環境を作るポイントではないでしょうか。

結局、いろいろ試してみるのが一番。試すハードルが下がっている事は何よりうれしいことです。使えるものはドンドン使い倒していきましょう。その中で有効な使い方が見つかり、未来のスタンダードになっていくばずです!

人材育成4.0

Written by 山田 竜也 on 2019-11-25

 人材育成という、誰もが語るけど、誰も語り尽くせないテーマを少しでも捉えやすくするために整理してみました(だいぶ私見が混じっていますので、複雑なテーマを整理する叩き台として、読んでくださいね)
 人材育成に関する世界最大のコミュニティは atd(元ASTD)ですが、2017年5月に開催されるカンファレンスのコンテンツトラックには、キャリア開発、グローバル人材開発、人財、インストラクショナルデザイン(教育工学)、リーダーシップ開発、ラーニングテクノロジー、学習の測定と分析、マネジメントとのエンゲージメント、トレーニングデリバリー、学びの科学といった内容が並びます。あふれる情報は専門家としては知っておくべきことかもしれませんが、逆にこれら全てを押さえたからといって、効果的・効率的で、経営者・管理職・社員の要望を満足する育成が行えるわけではありません。
 人材育成に限らず、情報収集の前に、そもそも何のために?という目的を設定することが大切です。やっかいなのは、この目的が時代とともに移り変わること、業界や環境において異なることです。そこで、人材育成の変化を4つの段階に見ることで、目的と手段の組み合わせを考えてみたいと思います。ちなみに、古いものは不要ということではありません。むしろ、やり方が増えているという理解をした方が、ステレオタイプなバズワードに踊らされずに済みます。
 暗黙の前提として、企業内の人材育成を想定していますが、「働き方改革」が叫ばれる昨今、企業という枠の捉え方が変わってきています。企業という虚構が崩れようとしている?のかもしれません。 枠が外されて自由になった時、改めて、過去に主流だった手段(の現代版)も含めて様々な人材育成の選択肢が活用されます。人材育成に関わる方にとっては腕をふるうチャンス、企業研修に関わる企業にとってはビジネスチャンスです!

 

徒弟制度

人材育成1.0 徒弟制度
 1.0は徒弟制度です。いわゆる現在の企業内における人材育成から見ると、育成とは言えないという意見もあるかもしれませんが、実は現在も続いて行われている最も基本的な人材育成です。 多くの技術(工芸、工学の分野だけでなく、コミュニケーション、営業術等のソフトスキルも含めて)が、現在もOJTという名の徒弟制度で伝達されています。 徒弟制度だけでは一度に大勢を育成することはできないので、多くの技術が書籍やトレーニングプログラムとして安価に広く提供されています。しかし、現場の実践者(上司も部下も)から、「こうしたパッケージ化された育成は現場で使えない!現場での実践こそが大事だ!」という声を聞きます。少しでも実践的になるようにとカスタマイズで対応しますが、限界があります。 こうなってしまうのは、目的と手段が合っていないからです。左の写真のように、一人の弟子を一人の親方が時間をかけて、仕事の最初から最後までを教えていくことができれば、少年はやがて立派な親方へと育っていくでしょう。その代わりこのやり方は多くの弟子を一度に抱えることはできないですし、親方が十分に優秀で、教えられることが少年の時代にも通用することが前提になっています。守破離の守の段階を伝達するためのやり方です。 現代ではこの様に少人数でじっくり基本を叩き込むといった育成機会は、非常に貴重なものです。仕事の最初から最後までのどの部分で活用するか?残りの部分をどうやって補完するか?目的に応じた人材育成の全体設計を工夫すれば、徒弟制度は有効な武器になります。

 

階層別研修

人材育成2.0 階層別研修
 2.0は階層別研修です。ここからがいわゆる企業でイメージする研修です。社員が増え、OJTだけではまわらなくなり(上司や部下のバラツキが大きくなりすぎ上手く育成できなくなり)、職種や階層に合わせて一定レベルの人材を育成するための手段として必要になってきました。 企業がオペレーショナルな業務を抱え、それを回すために均質な人材を必要としていることが前提になります。工場の操業の様な常に安定した品質が求められる職場には必須のものですが、組織の維持・管理という観点で、主任・係長・課長・部長、更には役員まで、ピラミッド型の階層を維持するために広まっていきました。テーマ的にも時間管理やマネジメントの基本的なものからリーダーシップ等へと広がっており、研修全体のボリュームとしては未だに多くをしめるでしょう。 この手段はどの会社でも必要となる様な汎用的な内容で、どちらかというと組織の維持に重点がおかれていますが、問題解決、課題形成、戦略策定といった各企業・職場ごとの特性に合わせた(いわゆる実務により直接的に結びつく)テーマが研修の場で取り上げられる様になってから、少し様相が変わってきました。 親方の技を伝えるでもなく、組織を維持する均質なスキルを広めるでもなく、自分たちが今抱えるテーマに取り組みながら、学習とそれによる効果を一度に得ようというやり方です。答えを学ぶのではなく、答えの出し方を学ぶ必要性が出てきました。全ての階層がより多くのスキルを身につけなければならなくなってきています。

 

アクションラーニング

人材育成3.0 アクションラーニング
 3.0はいわゆるアクションラーニングです。この言葉自体、いろいろな解釈をする方がいますが、ここでの定義としては、「業務上の重要な課題を扱う」「異なる専門分野の関係者が知恵を出し合う」「講師ではなくファシリテーターが学習プロセスを導く」ととらえてください。 徒弟制度は、あるギルドの中に閉じこもっている。階層別研修は均質な知識の伝達に止まってしまう(問題解決のスキルを全員に伝えたとしても、問題解決への行動は担保されない)。もっと短期に成果のでる研修を行え!という要求から生まれてきたものがアクションラーニングの様な実際の課題を扱った手段です。 時代背景としては、企業が直面する問題が複雑になり、複数のステークホルダーが絡み、特定のやり方や特定のメンバーだけでは対処できなくなってきた。より短期の業績が重視され、将来につながる人材育成(このやり方が将来につながらない訳ではないですが)よりも、直接の問題解決の方が重要になってきた。といったことが挙げられます。 アクションラーニングで押さえておきたいポイントは、コンテンツをいかに上手く伝えるかという講師の腕から、学習者がいかに本当の問題を見つけそれに対してアクションを起こせる様になるかという、ファシリテーターの導きや、学習プロセスの設計が重要になってきたということです。伝達するから気づきの機会をつくりゴールに導く!へ、手段としては大きく変化しました。

 

学習者中心
Turun normaalikoulu – Turku University Teacher Training School

人材育成4.0 学習者中心
 4.0は(ここが一番知りたいところだと思いますが)学習者中心です(なんだ、それだけか・・・とがっかりされた方、もう少しだけお付き合いください)。 左の写真を見てください。子供ですよね。この子たちを安定しているかもしれないが、画一的なレールに乗せて育てたいと思いますか?安定の保証ができなくなっている昨今、Yesという方は少数派ではないでしょうか。 人生において学ぶべきことは不変なのかもしれませんが、そこから先に必要なことは、学ぶべきことを学習者自身が探していく必要があると考えています。学習者中心のポイントはまさに学習者を中心とすることにあります。 組織があって、その組織を維持するためではない。 個人がいて、その個人が世界により大きな影響を与えていくために学ぶ。 この手段の前提は、既存の組織よりも、これから作られる組織が目的となっていることです。企業が新しい事業(将来の企業)を必要とし、従来の会社の枠が外れ新しい働き方が必要とされる今、学習者中心の手段はより重要になってくるはずです。企業内の人材育成において活用していくには、会社の色やルールに染めるのではなく、会社を変えていくような人材をどう育てるかという視点に立つのが有効です。
 学習者中心の手段を導入するには、そこで育った人材をどう活用するか?を決めておく必要があります。 これは、社内でイノベーターをどう活用するか?という問いに答えるのと同じです。
 イノベーション、新規事業を起こしたいという企業はたくさんありますが、そのために既存の社内のリソースやプロセスや価値観をどこまで変える気があるか、全ステークホルダーで合意が取れている企業はほとんどありません。企業内でイノベーション人材を育成していくには、様々なステークホルダーと対峙していく必要があります。人材育成が先か、イノベーション・新規事業開発が先か、ニワトリ玉子の課題に取り組むには、いずれにせよ覚悟が必要です。

宇宙誕生、最初の1秒の謎

Written by 星野 雄一 on 2019-11-15

先日、「宇宙誕生、最初の1秒の謎」という、何ともワクワクする話を聞きました。ややうろ覚えのところもあるが、その時の話を共有したいと思います。

皆さん、ビックバンという言葉は聞いたことがありますよね?

私はビックバンと言えば宇宙の始まり!というイメージで子供の頃から耳にしていました。ブラックホールと共に神秘的な言葉で、この単語を耳にするとワクッとします。

ちなみにビックバンとは宇宙開始時の爆発的膨張のことを指し、宇宙は非常に高温高密度の状態から始まり、それが大きく膨張することによって低温低密度になっていったとする理論の元に立ちます。

今回聞いた話ですと、現在の地球に届いた光の光度と周波数、それと光の速さと宇宙膨張の速さを加味することにより、X億年前は何度だった!と計算を行うそうです。現在では理論的に導き出した仮説と観測データは一致しているようで、この考え方によって、宇宙誕生後1秒後以降に何が起きたのかまでは解明されてきているようです。

 

そして、やはり気になるのは、最初の高温高密度状態はどこから始まったのか?というお話。

そこも徐々に解明されつつあり、現在有力な理論は日本の佐藤勝彦東大名誉教授らによって提唱されたインフレーション理論とのこと。インフレーション理論とは、最初は真空のエネルギーだけが存在し、それが相転移することで高温高密度の状態が発生したという考え方です。これも証拠がかなり揃ってきているようです。

 

だから、真空状態→インフレーション→爆発的膨張(ビックバン?)→今ここ、という部分は理論化されているようです。

 

今、ここで(ビックバン?)と書いたのですが、ここに面白い話がありました。

この絵を見てください。先ほどの膨張宇宙のイメージを描いている内容ですが、ビックバンは一番左の起点でその隣の膨張直前の状態にインフレーションの記載がありますね。NASAのホームページでも似たような絵で示されています。

 

当初、ビックバンは「宇宙の始まり」と「宇宙開始時の爆発的膨張」の2つの意味合いが入っていたのですが、その後にビックバン理論の未解明点を解決すべく様々な研究がなされて、あとからインフレーションの存在なども発見されてきたという歴史的背景があり、今も名残で「宇宙の始まり」的な意味合いとしてビックバンを起点として使われているのではないかという話でした。

 

言葉の定義は曖昧な事柄が実証データや多くの人の対話を通して行われるものですので、人類が進化を感じる瞬間であります。インフレーション理論がノーベル賞にでもなった時には言葉の再定義もされるのでしょうか。この前進している感じはワクワクします。

 

その他にも、宇宙誕生自体と同時に、暗黒エネルギーや暗黒物質の存在など、まだまだ未解明なものが多いとのことですが、生きているうちにどこまで解明されるのでしょう。このワクワクを提供してくださる研究者の皆さんには、ありがとう!と思わざるを得ません。