創造と破壊 Innovation for Life vol.4

Written by 津嶋 辰郎 on 2020-07-20

栄枯盛衰をテーマに常に変わらないモノはない、変化しつづける事が自然の摂理ということをお話しました。しかし、残念ながら我々は変化を嫌ったり、不確実や不透明なことを不安に思うのが本能のようです。

今回のinnovation for lifeのテーマは創造と破壊。我々一人一人が持つ創造力を活用するために不可欠な変化の捉え方について取り上げたいと思います。

 

Innovation for Life vol.4 創造と破壊

不確実性が益々高まる現代社会において、幸せな人生をおくるために大切なことを考える問いを発信することでみなさまとご一緒により良い未来そして社会を創っていくチャンネル Innovation for Life・・・第四話のテーマは創造と破壊 ようやく当初予定の5分という枠に近づいてきました・・・(^^ゞ ※連動している…

 

世の中の変化は人の創造力によって起こされています。今な身近な不満は、我々一人一人が理想の形に作り変えていけば良いのです。

あなたが描く幸せな人生にとって、今必要なイノベーションはなんでしょうか?

一歩一歩は小さくてもいいんです。創造するという立場からみる、変化していく世界はきっとワクワクするものになるはずです。

優れたエンジニアはマネージャになるべきか?

Written by 津田 真吾 on 2020-07-16

私が駆け出しのエンジニアだったころ、

いや、『「エンジニア」である』ことすら認識できていなかったころ、つまり何とか仕事をして結果を出したい、貢献したいと考えているころ、『スーパーエンジニアへの道』という本に出合った。

スーパーエンジニアへの道 技術リーダーシップの人間学

スーパーエンジニアへの道 技術リーダーシップの人間学/G・M・ワインバーグ/木村 泉(コンピュータ・IT・情報科学) – 大きなシステムの形成という大変な仕事を成功させた例をみると、ほとんどが少数の傑出した技術労働者の働きに依存しているという。「アメとムチ」のみ…紙の本の購入はhontoで。

会社では、皆が忙しく、諸先輩方に仕事を教わることも大変だった。とにかく必死に喰らいついて、その諸先輩方が書いてきたドキュメントや図面を片っ端から読んだ。わからないことは、合間を見つけて色んな人に尋ねた。「なぜここの設計はこうなっているのか?」「その実験はどのくらい再現性があるのか?」「テストの結果はどういう意味があるのか?」

そうやって、やみくもに2年位やっていただろうか?
仕事は確かに覚えたし、ある程度のことは理解できたが、どうも足掻いているだけで、自分が成長している実感が得られなかったのだ。当時は自覚していなかったけれど、そういうやり方を続けていても結果は出るけれど、「マネージャ」や「リーダー」になれる気がしなかったのだ。

当時、私が配属された事業は急成長していたため、毎年増員され、優秀なエンジニアはマネージャにすぐ昇格するのが常であった。

しかし、ある日、一部の尖ったエンジニアの間ではこうも囁かれていたのである。

優秀なエンジニアをマネージャにすると、ダブルで弊害が起きる。1つは、優秀なエンジニアが一人減ることで、もう一つは未経験のマネージャが一人増えることだ。


この言葉は、正直驚いた。
事業が伸びる → 開発が増える → エンジニアが不足する → エンジニアを採用する → エンジニアを管理する必要が生じる → その辺で一番わかってそうな人をマネージャにする
という、どこでも起こり得るサイクルに冷や水を掛けるような議論だからだ。つまり、優秀なエンジニアをマネージャにすることには、経営判断とか、思想や理論に基づいて、といったセオリーがあるのではなく、事業が伸びるなかで、現実的な選択肢はそれしかないのである。

さて、『スーパーエンジニアへの道』を読んだ私は優秀なエンジニアがマネージャになることには、単純に反対できなかった。なぜなら、この本に書かれていた「スーパーエンジニア」というのはカッコいいエンジニアリングリーダー像だったからだ。優れたエンジニアが組織をリードすると、製品アーキテクチャが整い、プロダクトもすっきりする。

だからといって、優秀なエンジニアがマネージャになるべき、とも思えなかった。なぜならば、エンジニアリングを極めることと、本書に書かれているリーダーシップや「ヒューマンスキル」を身につけることは真逆に見えたからだ。昼夜図面を描き、実験に明け暮れていると却って人とは疎遠になり、コミュニケーションスキルは却って劣化する。機械は時に恐ろしい挙動を示すが、人間よりもずっと予測可能で、「作ること」ができる。技術に向け合えば向き合うほど、人と接することに億劫になる自分がいるのも事実だった。そういう状態でいきなりマネージャになり、部下の動機づけや評価、他部署との交渉や予算獲得などでいい仕事が出来るわけがない。


その後、自分の考えも紆余曲折がある。経験を重ねた結果、どっちのメリットもデメリットも理解できるようになったので整理してみよう。

優秀なエンジニアがマネージャになるメリット

  • 最初から信頼がある(エンジニアとしての実績を活かせる)
  • 技術的な難易度や重要性に応じた采配ができる(作業と開発と発明の違いがわかる)
  • 優秀なエンジニアの価値がわかる
  • いいエンジニアを見つけられる
  • 競合の技術ロードマップを読める
  • (コミュ障だとしても)エンジニアの気持ちがわかる
  • あらゆるものをハックすることに慣れている

優秀なエンジニアがマネージャになるデメリット

  • エンジニアの気持ちがわかりすぎて、開発目標が保守的になる
  • エンジニア以外の人脈やネットワークがない
  • 優秀なエンジニアリング人材が予算策定や計画立案や交渉などを行う
  • 開発ありきで、プロダクト開発以外の組織マネジメント手法が疎かになる


今はどう考えているか?

色々経て、今は違う考えに行き着いた。エンジニアのキャリアパスとして、マネージャーよりも向いている職業があると感じるようになった。

それは、一概に言えないが、起業するか、スタートアップの初期にジョインすることを勧めたい。なぜならば、上記のメリットの大きさを最もレバレッジできるからだ。デメリットを何百倍も超えるメリットを発揮することができる。仮に、スーパーなエンジニアだったとしても、事業が伸びていなければ、せっかくのアーキテクチャ構築力も、ハック能力もエンジニア目利き力も活かす場面がない。プロダクトと同時に組織を開発するような仕事は、まさにスーパーエンジニアが最も活躍する仕事だと思う。

ということで、賛同して下さるエンジニアリングをもっと高めたい人や、キャリアを発展させたい人がいましたら、こちらまでご連絡をお待ちしています。

ひとりでできるジョブ調査

Written by 加藤 寛士 on 2020-07-10

近年、マーケティングや新規事業開発の場面で「大事だ、大事だ」といわれるようになってきたジョブ理論ですが、正直なところなんだか「わかったようでわからないモノ」であると感じていませんか?

弊社のクライアント様も「ジョブ理論は、実際に現場で使いこなせるようになるまでに大変な修養が必要」と誤解されていることがよくあります。 (ジョブ理論は、応用の幅や可能性が非常に大きいものではありますが、どんな規模・どんな段階にあるビジネスに於いても気軽に使い始めることができるものです。)

そこで本記事では、ジョブ理論を初めて知った人でも消費者からジョブを聞き取ることができる方法をSTEP BY STEPでご紹介したいと思います。


売れてる商品には必ずジョブがある

復習になりますが、ジョブというのは「顧客が片付けようとしている用事」のことです。( ジョブの考え方にあまり馴染みがない方は、こちらで概要を解説していますので確認してから読み進めてください。) これは別の視点から捉えると、「人はいくら良いモノだからといっても、理由もないのに買い物しない」ということでもあります。

そして、クリステンセン教授がジョブ理論で示したのは「売上をあげるために、まず顧客が購買に至る理由を分析してみるべし」ということでした。日々消費者としても買い物をされている、皆さんからしたら「それはそう」と感じたのではないでしょうか?


ジョブが「わかったようでわからないモノ」に感じられてしまう理由

自分が消費者のときはしっくりときていたはずのジョブが、売る側に立ったとたんに「なんだかわからない」と感じてしまうのはよくあることです。私は、主な理由は2つあると考えています。

まず、人がモノを買うからにはジョブは確実に存在するのですが、一般に消費者は購買の理由を描写できるほどの「明確なジョブの自覚」を持っていないということがあります。濃い霧の中で自分の手のひらを見るときのように、近くに存在することは確かでも、よく見えてはいない状況にあることが多いということです。

つぎに、「ジョブのようだけどジョブではないもの」の存在があります。このことについては今回は深入りしませんが、要は「ジョブとジョブでないもの」を区別する必要があり、それがややこしいことがあるということがあります。


誰でも使える! ジョブを聞き出す6つの質問

そこで、そうしたジョブ理論にまつわるややこしい話やトリビアル理屈をいったんわきに置いて、ジョブ理論の現場での活用をはじめることが出来ないか?という狙いで、消費者からジョブを聞き出すことができる究極の6問をまとめてみました。

今日ジョブ理論を知った人でも使いこなすことができるように。そして、ジョブにまとわりつく霧を払うことができるように構成しています。

なお、調査対象となる商品をitemと記載していますので、調査したい商品に書き換えて使ってください。( 究極の6問は、ゲーム機、コーヒー、通勤電車、どらやき、ファミリーレストラン、旅行予約サイト など toCの商品やサービスを想定しています )


究極の6問

  1. itemに1年でいくらぐらいお金を使いますか? 概算で教えて下さい
    • —– 円
  2. 普段itemを使って何をしていますか?思いつく限り(できれば3つ以上)箇条書きで列挙してください。列挙が終わったら、列挙した中で、自身にとって最も重要なものに◎、次に重要なものに◯をつけてください
  3. itemを◎をつけた目的で使うときに、何をしていることが多いですか?思いつく限り箇条書きで列挙してください
  4. 普段itemを◎をつけた目的で使うときに、気分や心理状態にどのような変化がありますか? 複数ある場合は最もよくある変化について教えて下さい
  5. もし、itemを◎つけた目的で使うことができないとすれば、あなたの生活はどのような変化がありそうですか?最も気になる変化を一つだけ教えて下さい
  6. もし自分がitemを開発・販売する立場になるとしたら、◎つけた目的で使うために、どんな点を改善・改良しますか? 一つだけ教えて下さい

※こちらから6つの質問を使った調査を行うための調査票をダウンロードできるようにしてあります。必要な方は、編集・印刷してご自由にお使いください


究極の6問の使い方

1問目について、商品の性質上1年という期間設定がふさわしくない場合は適当に書き換えて使ってください。(例えば、調査テーマが自家用車などの場合は、5年程度にしたほうがよいでしょう)

調査票を消費者に渡して記入してもらうか、本記事を見ながら聞き取りを行ってください。消費者がつかまらない場合は、まず上司・同僚・部下・知人・家族・自分などで試してみても発見はあると思います。より確かな回答を得たいと感じたら、消費者へのインタビューをセットアップしてくれる調査会社を探してみましょう。

調査票が集まったら「結果の読み解き方」を参照しながら、読み解きをしてください。itemはどのようなジョブに基づいて購入されていて、どのような改善が推奨さそうか、ジョブ理論を用いてたくさんのヒントが得られるはずです。


結果の読み解き

  1. itemに1年でいくらぐらいお金を使いますか? 概算で教えて下さい
    • 回答の金額の平均や最大値が大きければ大きいほど、市場やビジネスチャンスも大きいということです。得られた回答をもとに市場規模を推測してみましょう
    • なお、ヘビーユーザー(オタク)は一般の消費者とは全く異なる回答をする問いなので、調査対象者がヘビーユーザーであるかどうかは見極めてから結果を読み解くようにしましょう
  2. 普段itemを使って何をしていますか?思いつく限り(できれば3つ以上)箇条書きで列挙してください。列挙が終わったら列挙した中で、自身にとって最も重要なものに◎、次に重要なものに◯をつけてください
    • メインとなる質問です。この質問で列挙されたものがジョブとなります
    • ◎や◯がついたものは、回答者にとってとくに重要なジョブです
  3. itemを◎をつけた目的で使うときに、何をしていることが多いですか?思いつく限り箇条書きで列挙してください
    • 本問ではジョブに対応する「状況」がわかります
    • クリステンセン教授はその著書群の中で「ジョブは状況とセットにして考えなければいけない」と何度も言及しています (それだけ重要なものであるにもかかわらず、「状況」をおろそかにして考える人が多いということでしょう)
    • 状況」は、なぜ消費者がそのジョブを重要と考えてるのか?どうすれば消費者をもっとうまく助けることができるか?を考える有力なヒントになります
  4. 普段itemを◎をつけた目的で使うときに、気分や心理状態にどのような変化がありますか? 複数ある場合は最もよくある変化について教えて下さい
    • クリステンセン教授はジョブを網羅的に抽出するために、機能的ジョブ・社会的ジョブ・感情的なジョブの3つの視点を使う方法を紹介しています
    • 究極の6問の2問目に対する回答では、機能的ジョブや社会的なジョブが列挙されることが多いのですが、感情的なジョブは見逃されることが多いのでこの問題で改めて確認します
    • 感情的なジョブは「使いやすさ」や「体験」の観点から商品を改善する有力なヒントになります
  5. もし、itemを◎つけた目的で使うことができないとすれば、あなたの生活にどのような変化がありそうですか? 最も気になる変化を一つだけ教えて下さい
    • 本問では、消費者がジョブを重要だと思う「理由」を探ります
    • 「理由」が消えるとジョブは極めて弱くなり、商品が不要になることがありますので、理由を知っておくことは非常に大切です ( 例えば、学校を卒業すると「学校に学生として所属したい」というジョブのために購入された制服が不要になる )
  6. もし自分がitemを開発・販売する立場になるとしたら、◎つけた目的で使うためにどんな点を改善・改良しますか? 一つだけ教えて下さい
    • 本問では、itemのジョブに対する満足度と満足できてない点を確認します
    • 満足度を高めることができれば、類似商品から一歩抜きん出たステージで消費者の支持を集めることが出来ます

まとめ

「高度に習熟していないと使えない」と誤解されがちなジョブ理論ですが、本記事がきっかけとなって実際に現場で使える豊かな発想をもたらすジョブ理論の効用を体感していただければ幸いです。

究極の6問をご活用にいただくにあたって、理解しにくい部分や疑問などがあればぜひメッセージください。本記事に加筆・改定を加えつつお答えしていこうと思います。


プロユースのジョブ調査のご紹介

最後に少しだけ宣伝をさせてください 。

弊社では、本格的なジョブ調査をと分析行うサービス、ジョブセグメント市場分析とファーストサーチを提供しています。

  • ジョブセグメント市場分析 (通称:ジョブレビュー)
    • ョブレビューは定量調査型のジョブ調査です
    • 調査テーマとなった商品についてのネットリサーチを行い、市場をジョブベースのセグメントで切り分けて、セグメントごとの重要度・満足度・消費金額ベースのシェアを算出し、レポートを作成します
    • 市場に顕在化しているジョブを定量的に評価することができるので、最初に行うジョブ調査や定点での調査におすすめです
  • ファーストサーチ
    • ファーストサーチは定性調査型のジョブ調査です
    • 弊社に所属する各分野におけるジョブ調査のエキスパートがインタビュー形式で調査を行い、レポートを作成します
    • 究極の6問やジョブレビューでは不可能な、市場に顕在化していないジョブの探索も行うことが出来ます
    • 先行してジョブレビューを行い、次にファーストサーチを行うことで、より特定のジョブに対する理解の解像度を高めたり、特徴的な回答をした消費者にインタビューを行うこともできます

どちらも弊社が、大企業からスタートアップまで新規事業開発の支援の実際の場面で培ってきた、ありったけのノウハウを詰め込んだ分析を行うサービスです。


究極の6問よりも、広く深い系統的な調査を検討されている方は、ぜひ弊社担当( indee_web@indee-jp.com ) までご相談ください。

筆者もジョブレビューの開発には深く関わっています。手前味噌ではありますが、クオリティには正直自信があります。ジョブレビューを通じて、皆様のビジネスの発展に貢献できること楽しみにしております。

「1億人に歯磨き粉の常用を習慣化させた男」と 「1億人に日常的な運動を習慣化させようとしている男」

Written by 加藤 寛士 on 2020-07-06

今日多くのサービスがユーザーに継続して使ってもらって、初めて提供者に利益をもたらすビジネスモデルを採用するようになりました。

提供者側が対価を受け取る前にユーザーに使ってもらって、良さをわかってもらい、さらに習慣的に使ってもらう」というビジネスモデルです。横文字で”サブスクリプション”なんて言われて、最近もてはやされてもいるようですね。(S製薬のDリンクル方式(?)といえばイメージしやすいでしょうか。)

選択肢過剰社会でビジネスを行う場合、新規顧客獲得コストが最も高くつくためにこのようなビジネスモデルが流行しているのだと思います。


一方で、普通は新しい習慣を身につけることはユーザーに大きな負担を強いることも忘れてはいけないでしょう。習慣化を達成するためには、例えば以下のような問題がすべてクリアされている状況を維持する必要があるからです。


  • 時間問題
  • お金問題
  • 周囲の理解問題
  • 上手にできない問題
  • やめる言い訳が思いついてしまう問題
  • なんだかどうでも良くなってくる問題
  • どうしても飽きてくる問題
  • 気分が乗らなくなってくる問題
  • すぐに効果が得られない問題

そこで多くのサブスクリプション型のビジネスでは、ユーザーにそうした数多の困難を乗り越えてもらう対価として、(一般に膨大な手間をかけて) 毎日のようにリッチなコンテンツやインセンティブを提供し続けています。

しかし多くのサービスが、そうした実直で献身的な努力にもかかわらず確実にユーザーに習慣的に使ってもらうことができずに、苦戦を強いられているようです。


そこで今回は「プロダクトデザインにおける習慣の形成」をテーマに、わずか10年で1億人の習慣形成を達成した歴史的な成功事例を紹介し、その事例の観察から行動経済学が解明した「プロダクトデザインに応用可能な戦略」についてお伝えします。

さらに、その戦略を(自覚的にかはわかりませんが)上手に活用し、現在進行系で1億人の運動習慣の形成を目指しているスタートアップ企業をご紹介します。



3週間では足りない習慣形成

よく言われる習慣形成の知恵として、「まず3日、そして3週間続けることができれば、それは習慣になる」というようなことが言われています。その知恵に従って、習慣化が達成されるまでの間、一定のインセンティブを与える方法がビジネスの場面でもよく取られています。

ちょうど今(2020年7月)、国が電子決済の利用を促進するために最大5,000円分相当の「マイナポイント」の付与する施策をおこなっています。これも、インセンティブを使って、電子決済利用の習慣化を狙ったものと言えるでしょう。

また、ソーシャルゲーム業界では「初回登録から14日間ログインボーナス」のようなキャンペーンを行うことは、ほぼ全てゲーム運営のデフォルトとなっているようです。


また、モチベーション理論などの視点から提供される習慣化の戦略として「小さな達成を可視化せよ」みたいなこともよく言われています。


もちろんそうした戦略は、ある程度の有効性が確認されたものではありますが、これをお読みの方であれば、「インセンティブ」や「達成の可視化」をプロダクトデザインに組み込んで、ユーザーに先行して達成感や心地よさや便利さを体験させたはずなのに、それでも習慣が形成されない。という経験もしていることでしょう。

習慣形成には、先程簡単に思いついただけでも9つもの問題がクリアされている状態を保たなくてはいけないのです。さらに強力な戦略の併用が必要な状況もあるということだと思います。



1億人に歯磨き粉の常用を習慣化させた男

ここでプロダクトデザインの妙に基づいて成された習慣形成について、歴史的に知られた成功例を一つ紹介しましょう。


成功例の舞台は1900年代の初頭のアメリカ。人口は1億人。ほとんど誰も「歯磨き粉」を使っていませんでした。この状況から初めて、1910年代までのわずか10年足らずで、ほとんどのアメリカへ国民に歯磨き粉を常用する習慣を作り出した男がいます。

その男は以下のように広告を使い歯磨き粉を改良することで、アメリカ人1億人に歯磨き粉を使う習慣を作り出しました。

  • 「歯を磨いてしばらくすると、歯や舌にぬめりを感じること」を自覚させる広告をする
  • 「歯のぬめりを感じたときには、歯磨き粉を使って歯を磨こう」と呼びかける広告をする
  • 歯磨き粉にミントの香料を仕込み「歯磨き粉を使うとミントの清涼感を感じることができる」と広告する

ちなみに、その男の名前はクロード・ホプキンスと言います。一部の人達にはおなじみの現代広告界のレジェンダリーの1人ですね。


行動経済学が解き明かしたホプキンスの魔法

アメリカ人の口腔衛生に大きな好影響をもたらした歯磨き粉ムーブメントですが、行動経済学の学者たちはこのムーブメントを観察し、マーケティング戦略として再現可能なテクニックに落とし込んでいます。

その戦略とは一言で言えば「習慣化にはキュー・リワードの組み合わせて習慣化することが有効」ということです。キューとは習慣を開始するきっかけ、リワードとは習慣を達成した時に得られる報酬のことです。


クロード・ホプキンスの事例ではキューは「歯や舌ににぬめりを感じること」、リワードは「ミントの清涼感」となります。「歯にぬめりを感じたら、歯磨き粉を使って歯を磨くと、ミントの清涼感を得られる」この3STEPを組み合わせた習慣化を目指したということです。


少し話がそれますが、広告を依頼されたクロード・ホプキンスが、「虫歯が原因で年間数万人が亡くなっています」「口がきれいであることはモテるための最低条件です」「歯がきれいだと、食事が3倍増しで美味しく感じるという分析結果が出ました」のような安直な広告を打つことをせずに、習慣化のムーブメントを設計した非凡さには、レジェンダリーと呼ばれるだけの手腕を感じざるをえませんね。


習慣の形成にはリワードだけでなく、キューが必要というのは言われてみれば、ごく当たり前のことのような気もしますが、たった10年で世界を全く新しいものに変えた実績を考えると、とても強力なテクニックと考えて良さそうです。



1億人に日常的な運動を習慣化させようとしている男

「習慣化を価値に変える」ことに取り組んでいる、現在進行系のスタートアップ企業も紹介しましょう。


LiveRunは、スマートフォーン活用して、毎日定時に10回程度バーチャルグループランニングを配信しているウェブサービスです。


LiveRun | ライブラン | ランニング | ウォーキング


LiveRunは「運動の習慣形成」に取り組むために設計されたアプリケーションですが、彼らにとってのキュー・リワードは何でしょうか?



彼らのキューは「ライブであること」です。 一瞬では理解しにくいですが、記念日と同じ仕組みだと考えてみるとわかりやすいかと思います。

世界中の多くの人々が「1月1日に新年を祝う習慣をもっていること」をキュー・リワードで説明すると、どういうことになるでしょうか?


簡単ですね。


1月1日という日付を迎えることが、新年を祝うという習慣のキューになっているということです。 同様にLiveRunでは、カレンダーではなくて、時計がキューとして機能しています。「ライブであること」がキューとして機能しているというのは、例えば「6:30の時計を見ると、走り出さなくていけない感じがしてくる」ということです。


類似したコンセプトの運動支援アプリは、動画や音声コンテンツをいつでも利用できるようにしているものが多いですが、「習慣化」という側面から見ればライブランは他を圧倒していると感じます。実際に有料利用継続率93%という、この手のサービスを運用経験がある人からしたら、ちょっと意味がわからない数字が出ているようです。


キューが古典的であったのに比較して、リワードは極めて現代的です。LiveRunでは、「定期的に運動することの爽快さ」に加えて、「みんなでひとつのことに取り組んでいるという一体感」、「名前を呼んで、ほめたり、はげましたりしてもらえること」がリワードとして機能しています。


大の大人が「そんなこと」で? と感じられたかもしれませんが、ささやかなミントの清涼感ですら世界を一変させるきっかけになったのです。再び「ささやかなリワード」が1億人の生活習慣を変えるということも十分に起こり得るのではないでしょうか?

実際に「そんなこと」でも十分すぎるほどリワードとして機能しているようです。私もたまにグループランニングに参加させていただいているのですが、朝2回参加、夜2回参加するようなほぼLiveRunの中毒(笑)とも言える方も何人も見受けられます。デジタルテクノロジーを活用したつながりのなかにリアルなものを求めていく。とても現代的なリワードですね。



新規事業開発におけるキューとリワードの設計

LiveRunが、スマートフォン普及拡大を背景にキューとリワードを設計し挑戦を始めているように、新しいテクノロジーやビジネスモデルを駆使してこれまでになかったキューやリワードを作り出すことができるようになってきました。

弊社では「デジタルテクノロジーや心理学・行動経済学を活用した習慣形成」も視野に入れた、新規事業開発の総合的なコンサルティングサービスを展開しております。

お気軽にご相談ください。



行動経済学をプロダクトデザインに応用する

本記事は、『行動を変えるデザイン』を参照して執筆しました。情報は少し古いですが、心理学や行動経済学をに活用していくかを丁寧に解説したおすすめ本です!

生と死 Innovation for Life vol.1

Innovation for Lifeのテーマは人類にとっての永遠のテーマである死について取り上げてみました。

 

我々は死と向き合う事でより生きることの意味が見えてくるのではないでしょうか?

 

私自身は、日本人の伝統的な行事や風習、そして生活習慣に多くの影響を与えてきている禅をルーツとする武道の体験を通して、武士の人生哲学に興味を持つことになりました。

スティーブ・ジョブスや、ベン・ホロイッツなど海外の多くのイノベーターもこの禅や武士道に惹かれる事には何か本質的な共通点があると考えています。

 

江戸という、戦がない平安の時代を治める為政者となった武士が、自らを律して生きていくために定めた行動規範が武士道であり、そこに不確実性が高く、生きる目的を見失いつつある現代を生きる我々にとってのヒントがあると考えています。

 

もし明日死を迎えるとしても、悔いの無い毎日を過ごしていますか?

 

自信をもって”はい”と応えられなければ、是非これを機会にその理由を探ってみてはいかがでしょうか?

 

Innovation for Life vol.1 生と死

不確実性が益々高まる現代社会において、幸せな人生をおくるために大切なことを考える問いを発信することでみなさまとご一緒により良い未来そして社会を創っていくチャンネル Innovation for Life・・・第一話のテーマは生と死 何カ所かカットしたのですが・・・時間は約8:00と少し長めにになりましたm(__)…

Vol.1 生と死

本コンテンツもイノベーションの作法通りに実践を通して改善、改良していきます。

みなさまからもご感想やご要望をお待ちしております。