三つの輪での自己認識、やるべきorやりたい

3週間前にコラムをアップした時には、まだまだ残暑厳しいという感じだったが、

ここ数日で一気に冬めいて来た。今年は秋という季節を味わえずに過ぎてしまうのかもしれない。
何か少し損をした気分がする。
今回は3週間前の 自分の力を出し切りたい! の補足として、もう少し三つの輪についてお伝えしたい。
三つの輪は以下に示す様に、やるべき事(Must)/やれる事(Can)/やりたい事(Will)で構成されている。この三つの輪の重なり合う領域に、何が来るかを考える事で、自己認識の現状を把握をしていく。
三つの輪テンプレ80%.png
ここに書かれることは、仕事、趣味、自己啓発、社会活動等、様々だ。
やるべき事(Must)には、会社からの期待・義務、家庭での役割、社会的な使命などが来るだろう。
やれる事(Can)を考える際には、今までの自分の経験を振り返って行くと分かり易い。
取得した資格や、仕事やスポーツでの実績、長年携わってきた業務、プレゼンテーション・論理思考といった得意技などが挙げられる。
そして、やりたい事(Will)、ここは改めてじっくり考えてみて欲しい。
楽をして暮らしたい、お金の心配から解放されたい、周りから評価されたい、自分で誇れる仕事をしたいといった漠然とした願望だけなく、是非具体的なものも盛込んでほしい。ハードルを上げる必要は無い。The Bucket list「邦題:最高の人生の見つけ方」の主人公たちの様にリストアップするのも良いかもしれない。
基本的に自己認識なので、自分がそう認識していると思うのならば、何を書いても良い。粒度がバラバラでも構わない。
例えば、”世界を救う!”というのがど真ん中に来る人もいるかもしれない。これはこれで良いのだが、粒度が粗すぎるとその後の具体的な活動に結びつけ難い。”世界を救う!”ために、何をしたいのか?何が出来るのか?今、何をすべきなのか?という所で立ち往生しかねない。先ずは思うがままに書いてみて、具体的なものにブレイクダウンして、どの領域に来るのか見直したり、表現を工夫したりして、仕上げて行けば良い。
組織単位でチームビルディングとして行う場合には、粒度は重要だ。自由に書くというステップを最初に敢えて踏むのは良いが、それをブレイクダウンして行けない場合は気を付ける必要がある。漠然としか書けない場合、チームメンバーへのメッセージが十分に伝わっていない、本音を言わずに優等生的な答えに留まっている可能性がある。これでは自己認識は浅いままだし、チームビルディングも進まない。勿論、無理やり具体的に書くのでは本末転倒だが、自分の書ける範囲で出来るだけブレイクダウンしてみるステップは重要だ。
組織として行動していくのであれば、全社、部門、部、課へと方針となるやるべき事(Must)を展開して行くのがオーソドックスな考え方である。
しかし、実際にこの三つの輪を書いてもらうと、組織からの期待であるやるべき事(Must)が「漠然としていて良く分らない」という意見が多い。また、同じチーム内で行っているのに、個人間のバラツキが大きかったり、現在の業務の実態との乖離が大きく戸惑う方もいる。こうしたチームメンバーの認識の違いを見える化し、そこから実態に合った、皆が納得し、次の行動につなげる事の出来るやるべき事(Must)を描く事がチームビルディングとしてのポイントになる。
このオーソドックスなやり方では上手く行かない場合がある。新規事業の立上が正にそれに当る。前コラム 何を効率化しますか? の中でも触れたが、既存の枠組みを超えた課題解決に取組む際には、そもそもチームとしてのやるべき事(Must)を描けない事がある。この場合はこの絵をぐるっと時計回りに回して頂き、各自のやりたい事(Will)の共有から始める事が大切である。
三つの輪(やりたいが上)80%.png
ここにはもちろんチームとしてのやるべき事(Must)に重ならない私的なものもあるかもしれないが、私的な部分を共有する事で価値観の共有を進める事が出来る。こうした価値観レベルの共有から出てきたテーマがチームとしてのやるべき事(Must)になり得るかを後から検証して行くという進め方である。
既存の枠ではビジネスが立ち行かなくなってきている現在、改めてやりたい事(Will)ベースで考えていく事の重要性が増している。ちなみに、やれる事(Can)から考え始めるという進め方もあるが、それこそ既存のルールがガラガラと変わって行く世界ではお勧めできない。
 これからの事業を造っていくには思いこそが重要。
 Where there is a will, there is a way.
 初めに思いありきである。
Written by 山田 竜也 on 2012-11-02

自分の力を出し切りたい!

10月に入ってもまだまだ暑さは厳しく、季節が変わった気はしないが、
多くの企業で下期に入り、組織が変更になり、次のスタートが始まっている。
新しいスタートに際して、組織の力を高めたい、自分の力を出し切りたい!と考える方々へ
個人のチームのパフォーマンス・アップの方法をご紹介する。
人材開発の世界では良く使われるフレームワークを応用したもので、
個人・チームのパフォーマンスを最大化させるための自己認識ツールになっている。
ベン図で作られる7つの領域の何処に何が入るのか?入らないのか?を書きだす事で
自身のパフォーマンスを最大化する上での阻害要因や課題を浮き彫りにしていくものである。
さて、自身のパフォーマンスが上がる時、やる気が出る時はどの様な時だろうか?
・何より自分が好きな事に没頭して取り組んでいる時
・周囲からの期待を感じて、緊張感と使命感が高まっている時
・自分って、いけてる!と有能感を感じる時
他にもいろいろあるし、人により動機付けのきっかけは異なるだろうが、
例えば、この三つを同時に満たしたとしたら、パフォーマンス・アップは間違いないだろう。
アスリートの世界で考えれば分かり易い。
大好きな競技に打ち込み、周囲からの期待に包まれ、自身の力もそれに応えられる。
正にゴールドメダリストを生み出す状態とも言える。
そんな境地に辿り着けるのは、極一部だと思われるかもしれない。
ただ、やる気を出すための要素そのものは共通のものである。
先の三つをベン図で表現したものが以下である。
三つの輪.png
やりたい事=何より自分が好きな事に没頭して取り組んでいる時
やるべき事=周囲からの期待を感じて、緊張感と使命感が高まっている時
 やれる事=自分って、いけてる!と有能感を感じる時
『やるべき事(会社から期待されている事)をしっかり認識し、
 やりたい事(個人で成し遂げたい事)を見据え、
 やれる事(自身の強み、積上げてきた実績)を増やし向上させ、
 会社からの期待に応え、自身の夢にもつなげる。
 三つの輪の重なりを増やす事で、自身のパフォーマンスを最大化する。』
というのが基本的な考え方である。
この三つの輪の重なりから作られる七つの領域をフレームワークとして
自己認識を深めるというのが、この手法の基本コンセプトである。
下のテンプレートを使って、是非試して頂きたい。
やるべき事は、やりたい事は、やれる事は、何なのか?
そして、それらは重なりの中にあるのか?無いのか?
もちろん、空欄が出ても構わない。それも含めての自己認識である。
三つの輪テンプレ80%.png
自身で吐出してみる事が第一歩だが、そこから先は一人深めるのはなかなか難しい。
ここで有効なのが普段時間を共にする仲間との相互フィードバックである。
職場単位、プロジェクト単位、いろいろな括りが考えられるが、
新たなチームメンバーと行えばチームビルディングの効果もある。
その場合はやるべき事をチームとしてやるべき事にすると良い。
チームとしてのミッションをどう認識しているかを共有し、その違いが生じる背景を理解し、
各自の意識を揃えながらチームのミッションを深く合意する事につなげられる。
やりたい事、やれる事はメンバーの自己開示になる。
これを共有した上でチームのミッションを達成するために個人がどういう役割を担うか?
担うためにどんな能力を伸ばしていくか?を合意しながら行動計画を立てる事で実効性を高められる。
というのが進め方の概要だが、最も重要なポイントは本音が出せる安心・安全な場の確保である。更に、相互にフィードバックするための質問力も重要になる。対策として外部ファシリテーターの活用も有効だ。と言っていると試し難くなるかもしれないが、先ずは自分自身で、そして、信頼できる仲間と少人数で始める所から、是非、試して頂きたい!!
Written by 山田 竜也 on 2012-10-12

T型 π型

人材育成というのは、永遠のテーマですね。どこに行っても課題として挙げられています。個人レベル、部門レベル、企業レベル、国家レベル、で必ず話題に挙がります。国家レベルで言うと、文部科学省ではサービス・イノベーション人材育成推進プログラムのほか、いくつかの産学連携による高度人材育成に関する制度を用意しています。グローバル化や日本経済の停滞を背景に、新たな事業を生み出すような人材、とりわけイノベーション人材を求め、育成しようと試みています。
このように政府が取り組んでいるのを見ると、イノベーション人材の姿やどうやって育てれば良いのか、あたかも正解があるかのように感じてしまいますが、そんなものはありません。あったら誰も苦労しません。わかっているなら、第二の本田宗一郎さんや井深大さん、松下幸之助さんがもっと登場してもいいはずです。
このような偉大な起業家たちは、それぞれに個性的で、それぞれに異なる道筋で成功を築きました。そのため、人材育成というと、本当に捉えどころのないもののように感じてしまいます。
一人一人の個性や適性を活かしながら、人材を育成する際に一つのモデルとなるのが、「T型人間」「π型人間」です。アルファベットのTの横棒は幅の広い教養や能力、縦棒は深い専門性を指します。πだとさらに2つ目の専門領域を持っていることを指します。
 
なぜ専門性と幅広い教養や能力の両方が重要なのかというと、いくつかの理由が考えられます。

    • 専門知識だけでは、世の中の多くの人にその価値を伝えられないため
    • 薄く広くだけでは、真似されやすく優位性を保ちにくいため
    • 一つひとつの専門領域は代替技術の登場などにより廃れることもあるため
    • 異なるアイデアを結合(新結合)した際にイノベーションが生まれるため
    • 一つの専門領域を深めると、そのアナロジーを活用して応用範囲が広がるため
    • 科学技術の進歩とともに各専門領域は広がりを見せており、それらを統合することが困難になっているため
    • 多様性を増している社会に対する理解の幅と深さの両面が求められているため


このように、人材育成は個別の能力や知識だけでは語れません。まっすぐに専門性を高めながらも、幅広く好奇心を持ち、違う領域の人と交流したり、与えられた仕事を枠を超えて取り組んでみたり、専門知識が他の分野で応用できないか考えてみたり、といったことが大切になってきます。さらには、井深さんが心がけていたような「誰もやらないこと」をやり遂げるために必要な試行錯誤力も重要です。誰もやったことがないことというのは、言い換えると失敗して当たり前。そのような失敗を失敗として受け止めずに前に進むことができる力は必要な資質です。つまりは人の成長は取り組む姿勢、いわゆる行動特性をいかに鍛えるか、という点にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
このようにチャレンジをし続けるとともに、失敗からも学ぶ姿勢をもってすれば、成長の速度そのものが加速されます。そもそも新しいことに取り組んでいきたいわけですから、誰も知らないことに対して学びの速いことが重要な要件になります。つまり、単に計画を立てたり、計画に従って実行するだけでなく、計画を立てながら細かく見直していく高速仮説検証プロセスを受け入れやすい体質にしていく。同じ時間でより多くの仮説を検証し、学んでいく力そのものを育成したいものです。
となると、周りができることは、事実ではなく仮説を披露してもらうこと、異分野や他業種との接点を増やすこと、チャレンジそのものを評価すること、実績ではなく可能性を評価すること、そしてチャレンジを応援すること。

Written by 津田 真吾 on 2012-08-24