イノベーションカルチャーの4段階 ~一部の個人から組織へと行動特性を発展させるのか?~

Written by 津田 真吾 on 2020-11-24

組織をよりイノベーティブにしたい。
と、願う人は少なくありません。

企業がイノベーティブになっていく道筋には一定のパターンがあります。
ほかのさまざまな進歩と同じように、階段状に、つまりレベルが上がるようにイノベーションの力が付いていくことが分かっています。

階段状に上がるということは、停滞期もあるのですが、成長する時には劇的に進みます。この進歩が発生するのは、「人」なのか「仕組み」なのか、ライブ対談のフリートークを星野さんと行いました。

イノベーションカルチャーの4段階 LIVE対談

どのように一部の個人から組織へと行動特性を発展させるのか? そのポイントについて事前下打ち無しで議論してみました。 #イノベーション #組織論 #行動特性

人も仕組みも、相互補完的に成長する中で、いくつか大切なキーワードが出てきました。いくつか要点をピックアップすると以下のようになりますが、ぜひ動画をご覧ください。

  • ファーストペンギンとなる個人は、いろいろなところで活躍している
  • 顧客開発のような骨組みとなる仕組みは必要
  • 仕組みづくりの活動は専任でないほうが楽しい
  • 仕組みもピボットする

イノベーション力を強化していたら、ついでにマネジメント力が高まるという話

Written by 星野 雄一 on 2020-10-26

最近はジョブ理論も普及してきており、色々な箇所で読書会なども開催されているようです。先日、人事系の方が集まる勉強会にご縁がありジョブ理論のエッセンスをお伝えすることになりました。

 

テーマは「ジョブ理論と人材育成」。その場では最初にジョブ理論の基本をお伝えした後に、参加者の人材育成や組織開発に関するお悩みなどを題材にディスカッションをしました。そこでお話しした、ジョブ理論と人材育成という一見離れたテーマの共通項について共有できればと思います。

 
このブログを読んでくださっている方はジョブ理論をご存知の方も多いと思います。ご存じない方はこちらを参考にしてください。

 

振り返りも含めて説明すると、ジョブとは「人がある特定の状況下で望む進歩・進化」です。ジョブは「幸せでいたい」とか「健康でいたい」といったものよりも、「若い頃は運動もしていたけれども、最近はすっかり運動もせず、とうとう健康診断で指摘を受けてしまった。運動すれば良いことはわかっているが、子供もいるし、仕事も忙しいし、時間もない。限られた時間の中で効果のある運動をしたい。」といった特定の状況を含んだ具体的なものになります。

若い頃から運動は特にしていない人、健康診断で指摘を受けてない人、子供がいない人、時間にゆとりのある人は例文の方とは状況が異なり、ジョブも変わるでしょう。結果、”雇う”商品・サービスも変わってくる可能性が高いです。それを無視して、うちの商品やサービスは機能もあって性能が良い、だから多くの消費者を満足させるに違いない!と消費者に訴求してもなかなか届かないということなのです。これはプロダクトアウトと称されたり、”自分目線”と称されたりします。

 

これと同じことが人材育成でも言えます。

 

部下や後輩を指導する役割になる人は、その部下よりも豊富な経験や知識をお持ちのケースが多いですし、それを伝承することを期待されているとも思います。もちろんそれらの経験や知識は部下の役に立つのですが、「これが本質だ」「これは知っておけ」「このくらいやれないと」と自分目線で押し付けても、そのアドバイスを部下は”雇わない”ケースが多いのではないでしょうか。それは、その提案が部下にとってオーバースペックだったり、現状に合ってないからなのでしょう。部下には部下の現状があり望む進歩があるので、部下のジョブを把握し、そこにミートしたアドバイスをするということは上司のコアスキルである言えるのです。

 

人材育成は企業にとって重要なテーマだと思いますが、実際にマネジメントに携わる方には「短時間で部下を育成したい」「できれば他の人がやってほしい」といった思いもあるでしょう。そこに対してマネージャー研修では「傾聴しましょう」とか「相手の立場に立って考えましょう」と言われちょっと辛いところですよね。ただ、せっかくイノベーションを生み出したい!と思われている皆様であれば、イノベーション力を高める手段として「部下のジョブを捉える」という実践を積むのはいかがでしょうか。ジョブ理論は観察や傾聴の際の着眼点となり、より解像度高く相手を理解することに繋がりますので一石二鳥です。

オンラインもオフラインも超越するリーダーシップ

Written by 星野 雄一 on 2020-07-17

緊急事態宣言が明け、第2波と呼ばれる状況になっている。COVID-19との付き合いはまだまだ続きそうだ。そのような中、この数ヶ月ほとんどの時間をオンラインで過ごしながら感じることがあった。

 

これを3つのポイントで共有してみたい。

 

「リモートワークになって仕事が効率的になった」という声はよく耳にするし、リモートワークに抵抗があった管理職の方々も「意外と便利」という声もある。

 

これはその通りであろう。移動時間はなくなるし、会議は簡潔になりがちだし、各種ツールを使えば情報のシェアも簡便だ。いわゆる成果物を作ったり、報告をしたりするような仕事、目的を持った情報の提供ややりとりにおいては生産性が高い。

 

一方で「会社の文化が失われるように感じる」「社員同士の関係が希薄になる」と言われる方もいる。

これもその通りであろう。善い行動の共有や相互理解という文脈においては、リモートワークはやりづらさを感じる。どんなに頻度よくオンライン会議をやっていても、”モニターの向こう側”で起きている感覚を拭えないし、社内で座っていて自然と見聞きするような行動や言葉はリモートワークだと入ってきづらい。リモートワークになって便利、このままが良いと言う社員が多い組織は、社内の人間関係がもともと希薄だという指標にもなるのではないだろうか。厳しい言い方をすれば経営・管理職はリモートワーク反対と言って出勤型に戻しても、抜本的な手立てを打たない限り目的は達成されない。

 

ただ一つ、オンラインでもオフラインでも関係ないものがあると感じる。それは美しき行動・所作・考えを持つ人との心地よさである。そのような美しさの感覚が合う人とは、出会いの場がオンラインでもオフラインでも同じようにシンクロする感覚を持つのである。オンラインで出会ってそのまま仕事をしていても何の違和感もなく、アウトプットも出し、深い相互理解を育みながら進められる。

オンライン中心の数ヶ月はこのような示唆を与えてくれた。

 

アウトプットは仕事が与えてくれる、善き行動は組織やコミュニティが与えてくれる、ただ美しさは主観であり誰も与えてくれず自分で育むものである。自分が美しいと思う行動を思い、自分と向き合い、それを育むことを積み重ねた先に醸成される。オンラインかオフラインか、サラリーマンかフリーランスか、そんなことに関係なく大事なことは変わらない。特にリーダーと呼ばれる人たちはそれが強く求められるだろう。日々の研鑽を止めることなく進めていきたいと改めて感じる今日この頃である。

要素分解の力

Written by 津田 真吾 on 2020-06-09

先日書いた『「イノベーティブ」な5つ誤解』を、あるスタートアップ創業者に読んでもらった。イノベーションだけを行うスタートアップ組織の在り方としての納得感を知りたかったからだ。

彼の感想は、全般的に納得できる示唆だという点と、「要素分解」されていてわかりやすい、とのことだった。

  

なるほど。
単にイノベーティブな組織にしよう!という声掛けよりも、分解されているとわかりやすいし、行動指針として示しやすいということだ。

もちろん、私自身もとても明確な指針だと思って、ピサノ氏の論文を紹介したわけだけれど、こちらもこうやってどこが良いのか要素分解して教えてくれると、嬉しい。

さらに、以下のようなフィードバックをもらった。
「2番の実験とやみくもなトライの違いがわかりにくい」

確かに。
この二つの違いはニュアンスで伝わるものではないかもしれない。

なので、この二つの違いを少し言語化して掘り下げてみた。

仮説検証を目的とした実験には、 「事前の狙い」「仮説」「実験コストを下げる工夫」があるものだ。つまり、何を成し遂げるための実験なのかがはっきりしているし、その目標に対する仮説がある。さらに、目標を達成するために工夫があると、リーンに仮説検証が行える。

スコット・アンソニーもイノベーションを実行するためのコツはHOPEだと『ザ・ファーストマイル』に要素を分解して書いている
H: Hypothesis 仮説
O: Objective 目的
P: Prediction 予測
E: Execution 実行

改めて要素分解の力を感じるとともに、「実験」と「試す」という言葉遣いの重みを感じた。

『ファーストマイル』は”アイデア実行”の地図 | Biz/Zine

[公開日]2014年12月05日  イノベーションは最初、「アイデア」から始まります。顧客のニーズに関すること、技術的なシーズなどの様々な「着想」から始まりますが、そこからが問題です。  飛行機であれば、離陸できる速度まで加速すれば自然に機体が浮き上がりますが、新規ビジネスではそうはいきません。実は私たちが受ける相談の多くが「いつ行動に移したらよいのか?」というものです。 …

共通体験は不安を乗り越える、イノベーションの好機!

Written by 山田 竜也 on 2020-05-22

体験してみて初めてわかる事

ようやく私の周りでも小学校のオンライン朝の会がスタートしました。早期に進めていた所からは2ヶ月近く遅れてしまいましたが、機会を逃さずに実施出来たことは成果だと思います。実施に至るまで、周囲の親と作戦を練ったり、学校に相談したりとステップを踏む中で、オンラインで実施する事への漠然とした不安感がある事に気がつきました。

 

 軽々しく試せない、公式にはアナウンス出来ない、参加出来なかった子どもの気持ちはどうするんだ、そもそも学校には設備が無い、・・・

 

やらない方向への意見が山の様に出ていたのに、
いざ実施してみると、

 

 子どもたちの笑顔が見れて嬉しい、先生が一番はしゃいでいた、皆んなの顔が見れて嬉しかった、授業までは出来なくても生活のリズムが出来て嬉しい、・・・

 

とポジティブな意見のオンパレードでした。
空気感を共有出来ないのは少し物足りないですが、一つの画面で全員の顔を正面から見られるのは、オンラインならではのメリットではと、良い面も実感出来ました。

 

選択肢を選べる状態でも選択されない

この数ヶ月でテクノロジーが急に進歩した訳では無いですし、通信インフラが整った訳でもありません。選択肢は既に用意されていたのに、やらなかっただけなのです。様々な選択肢があったとしても、我々は、ついつい、いつもの選択肢を選んでしまいます。

『現状にそれほど不満がなくて、新しいやり方の魅力を実感できなければ、不安を乗り越え、習慣を断ち切ってまで、新しい事には挑戦しない』という事は、素直な感情として理解できます。

だからこそ、色々な障害を乗り越えて、まずは、皆で体験できた事が、今後も続く変化の”きっかけ”になることを期待しています。

仮に第二波が来たとしても、『あの時の、あれを、もう一度やろう!』と今までは使わなかったオプションが、多少は馴染みのある手段に変わる事で、より多くの想定外に対応できる様になりますし、新たな手段の良い面が実感されれば、普段から効果的に使う、よりハイブリッドな授業も生まれてくるかもしれません。

 

 イノベーション = 発明 x 普及

 

イノベーションは『発明 x 普及』と定義出来ます。発明は新しい製品・サービスを作り出し、選択肢を提供します。普及はその選択肢が人々の間に広まっていき、それが社会全体に広がり、世界がアップデートされる変化です。

発明の活動と普及の変化はそれぞれ独自に進んでいます。もちろん、明確な目的を持って発明に取り組んでいる場合もありますが、そこで意図した目的とは違う目的や用途で普及が起こる事もあります。頭痛薬として発売されたコカコーラが清涼飲料水として普及していった様に、発明家の意図とは違う所で普及が進む例は意外と多いのでは無いでしょうか。

 

commons.wikimedia.org

この発明の普及のきっかけは、『いつもは水で割っていた頭痛薬コカコーラの原液を、たまたま水を切らしていたので、炭酸水で割ったら美味しかった』という体験からでした。ですが、こうした体験はなかなか意図しては出来ません。薄々思っていたとしても、選択肢に合ったとしても、薬は水で薄めるものという固定観念に凝り固まっていては実施に移されないでしょう。

 

強制的な共通体験は不安を乗り越えさせる

 

イノベーションのDNAの著者の一人、ハルグレガーセン氏は、イノベーションを生み出すための問いとして、『もし、___が出来なくなったとしたら、我々は何をすれば良いだろうか?』というものを挙げています。

コロナは多くの人に様々な制限を与えました。この事自体は多くの辛く残念な状況を生み出してしまいましたが、この体験を全員がしたことは、通常だったら、誰もが考えもしない、考えたくも無い問いに真摯に向き合わざるを得ない状況を生みました。

 

 我々は強制的に『人と距離を取りながら、様々な仕事や生活をしなければならない状況』を体験させられてしまいました。

 

オンラインでの会議、在宅勤務の社員の管理、オンラインでのホームルーム、不安に思っていた試みをやらざる得なくなった状況は、多くのイノベーションを生み出すきっかけを生み出すかもしれません。

『あの時から一気に広まって、今じゃ当たり前になった。今更もう、手放せないよね』と、なん年後かには話しているかもしれません。

世界が元に戻らずに、一歩でも進歩することを願います。