スキルの最近のブログ記事

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先日、高校生の娘と雑談していたときのことです。
英語で人狼(村人に紛れて潜む人狼を推理するカードゲーム)をやったら、英語力が高まるんじゃないかというような話をしてました。
(実際にやったらみんな無言になり、ゲームの面白さは損なわれるだろうけど。)

強調構文で『あの人こそが人狼だ。』ってどういうの?」と娘は尋ねました。
強調構文??」娘が何を言いたいのか、まったくわからなかった私は聞き返しました。
私はアメリカ育ちということもあり、英語でしゃべることには全く抵抗はないが、英文法、特に日本で教えているような文法用語にはめっぽう弱いのです。
とはいえ、あまり役立たずな姿をこれ以上見せたくない私は気を取り直し、娘に尋ねました。
「強調構文っていうのはわからないけど、例文を挙げてみて。」
すると、"It was her that took the pen."
というような例を挙げました。

なるほど!
やっと意味がわかった私は、"It was him, who was the JINRO."(本当はwerewolfと言うらしい)と正解例を示すことができたのです。
おまけに、アドバイスとして「文法だけでなく、例文をたくさん知っておくといいよ。最悪文法知らなくても言葉をさっきみたいに置き換えれば使えるから。」と付け加えました。

このやりとりをしていて、ふと気づいたことがあります。
それは、ビジネスモデルキャンバスや、JOBSメソッド、新規事業のプロセスなどのフレームワークについて感じる違和感とも近いな、というものです。

フレームワークを知ることと、使えることの間には大きなギャップがある

ビジネスモデルキャンバスの9つの箱は英文法でいうと「構文」と同じです。主語はCS顧客セグメントで、述語はVP価値提案・・・なんていう具合です。という風に考えていくと、「使える」ビジネスモデルというのは、箱を埋めるためのボキャブラリーがないと作れないことがわかります。構文の代表例文と、単語をたくさん知っていると言いたいことが色々言えるようになるのと同じで、いくつかの代表的なビジネスモデルの事例を知って、その派生系のビジネスを色々知っておくと、自分たちがやりたいビジネスをビジネスモデル化しやすいわけです。

そうそう、英語でも言いたいことがさえはっきりしてれば、文法めちゃめちゃでも何とか伝わるのと同じで、ビジネスモデルがぐちゃぐちゃでも、解決したい課題がはっきりしていれば、一人のお客さんをきっかけにビジネスが広がる可能性があります。

1つ誤解を避けたいのは、決して「文法」を否定しているつもりはないってことです。なぜなら、文法があることによって「ああ、中国語と英語って語順は一緒なのね」とか、「イタリア語とフランス語って近いのね」とか、俯瞰して理解することができます。だからといって喋れるようにはならないよ、ということです。英文法は完璧なんだけど、実際に英語を使ったことがないと、いざというときに使えないのと同じです。

つまり、成功するビジネスモデルの特徴を抽出したり、時代とともにどんなビジネスモデルの変数が増えてきているのか、とかは大括りでどんな事業に投資するのか、全体としてイノベーションをどうマネジメントするのかには役立ちます。イノベーション・マネジメントには各種フレームワークをぜひ活用してください。

逆に、実務家にとってみれば、リスニングとスピーキングを重視するのが早道なのと同じで、フレームワークよりも先に荒削りでもいいから「やってみる」「やらせてみる」ではないでしょうか。

「完成系を描く、実現手段を考える」これでは、完成系を描ききれないものには挑戦出来ない。「完成系の仮説を立てる、実現手段を絵にしてみる、そして顧客に提案して学習する」これが新しい価値を生み出すためのアプローチだ。

新しい価値を生み出したい。新商品・サービスを立ち上げたい。本気でそう思いこのアプローチを頭で知識として理解したとしても、実際に行動するまでにはいくつかのハードルがある。なぜならば、こうしたアプローチは思考の枠として強烈に染み付いているからだ。強制するには自分の思考の枠を認識し切り替えて行かなければならない。これには1.枠を認識するステップ、2.外すステップ、3.戻らない様に強制するステップの3つが必要だ。


  1. 枠を認識するステップ
    • 多くの場合、そもそも自分が枠にはまっている事に気付いていない。正に枠にはまっている事が想定外なのだ。これはいつもと同じ環境で同じ人と仕事をしている限り、自分一人では気付く事はできない。唯一の方法は意識的に自分と異なる世界の人に会って深い議論をすることだ。表層的な議論では自分の枠に気付くまでは至らない。
      訓練方法:少しウザいと思われるのを覚悟して、自分の考えを相手にぶつけてみよう。人間関係を壊さない様な配慮だけは忘れずに。

  2. 枠を外すステップ
    • 誰もが枠を持っている。これがなければ、それこそ物事の認知も出来ないし、効率的に作業をこなす事もできない。枠は役立つし重要なものだ、だからこそ、外すのには抵抗があるし難しい。転校、転職をした事がある人には分かり易いと思うが、その世界に入って最初に学ぶ事は、その世界での枠を学ぶ事である。ここでいう枠は組織の理念・文化・作法といったものだ。これらを身に付けて上手に泳ぐ事ができる人ほど評価もされる。但し、新しい価値を創造して行くには、その枠が邪魔になることもある。枠を外すというのは、捨てるという事ではない、"必要な時に外せる様になる"という事だ。自分がいた世界を俯瞰してみられる事が外すという事につながる
      訓練方法:異なる常識の中で過ごしてみよう。このためだけに転校、転職するのは難しいかもしれないが、留学、留職というのは手段としてはありうる。マンションの理事長になる、PTA会長になるというのも様々な枠に触れるチャンスだ。

  3. 枠が戻らない様に強制するステップ
    • 実はこのステップが一番難しい。普段の自分の思考パターンと異なるものが求められている事に気付き、即座にいつもの枠を外し適した枠に切り替える。これは要するに自分が物事を見ている"視座"を自由自在に切り替えるという事だ。ここで視座は物事を見る立場・位置だ。視座を切り替える事をトリガーとして視野・視点をコントロールする。
      懐中電灯で地面を照らしている状態を想像して頂きたい。懐中電灯の光は円錐形に広がり地面を照らす。光の外は自分が認識出来ない世界だ。懐中電灯を上に上げると照らす範囲が広がり、そこに新しい枠が見えてくる。しかし、光が弱くなりくっきりとは見えない。そこで、手を水平に動かし、更に下へおろして行くと、枠をくっきりと捉えられる。この一連の動作を自由自在に行える様に普段から意識して動かしておく必要がある。もしあの人の立場だったら、自分はどう感じ、思うのだろう・・・。視座を切り替える為の動機付けは相手への共感に尽きるのかもしれない。
      訓練方法:自分の枠の外にある世界に関心を持とう。と言っても正直、枠の外に関心を持つのは難しい。なぜならば、枠の外になっている理由は、今の自分に内発的な関心がないからだ。沸き上がって来るものが無いままに情報をインプットして関心を持とうとしても、ただの知識になってしまう。一番は枠の外に出て、相手の世界に飛び込んでみる事だ。それでも関心が湧かなかったら別の場所を探せば良い。



訓練方法はどれも簡単ではないが、是非試して欲しい。

ところで、もし自分が枠にはまっている事を教えてくれる輪っかがあったらどうだろう!? 自分の思考のパターンにはまりそうになっている時に、正に孫悟空の"きんこじ"の様に頭を締め付けてくれたなら・・・、でも、その前に必要なのは呪文を唱えてくれる三蔵法師かもしれない。一人での訓練が難しそうだったらメンターを持とう。三蔵法師が見つからなかったら、同じ様な立場によるピアメンタリングでも良い。むしろ必要なのは導いてくれる師匠よりも、背中を押し合える仲間かもしれない。

「緊箍児」(きんこじ、別称「金剛圏」):脱走を防ぐ抑止力として頭にはめられたのがと呼ばれる輪っかである。これは「緊箍呪」という呪文をとなえることで輪が収縮し、頭が締めつけられるというもの(wikipediaより)

 学生の頃から旅行が好きで数週間、数ヶ月といろいろな国を巡った。通算62ヶ国だと思うのだが、国境が変わっている国もあり、訪問国数は数え方で多少変わる。試しに塗り絵で表現してみた。国単位なので誇張されて見えるが我ながら達成感はある。塗り絵のゲーミフィケーション効果は絶大だ!

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 実際は全ての地域を周っている訳ではないが、リピートしている国ではほとんどの主要都市を訪れている。こうして改めて見てみると空白地帯は、メルカトル図法で巨大な空白に見えるアイスランド。南米大陸の北部と中央部。東ヨーロッパ、中東。そして、ほとんどのアフリカだ。マリの世界遺産トンブクトゥやドゴンの村、マダガスカルのバオバブ街道はずっと前から宿題になっている。

 ちなみに世界の国の数はいくつ位だと思いますか?

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 世界の国の数は日本目線(日本が国家承認している)で見ると日本を含めて195ヶ国。国連加盟国では193ヶ国。こうした違いを見ると、改めて国家というモノの枠の曖昧さを感じる。余談だが日本のパスポートの威力は凄い。ほとんどの国に比較的スムーズに渡航出来る。自分の旅の三種の神器は、このパスポートとコンパスと小型のライトだ。自分の拠り所となるパスポート、方角が分かるコンパス、電気が通ってなくても行き先を示せるライトがあれば何処へでも行ける気がしている。


 さて、世界の1/3を周って気付いたコミュニケーションの極意がある。見知らぬ街、自分も少し不安を感じる様なアウエイな場所では特に押さえておきたい。

 その極意とは、

  ・挨拶

  ・笑顔

  ・関心

 の三つだ。タイトルにも書いたが、これを早い者勝ちでやる事が極意だ。正に、コミュニケーションは先手必勝。別に喧嘩をふっかける訳ではないが、ビビった方が負けだ。そして、お互いがビビった場合は、お互いに損をするLOSE/LOSEの関係になってしまうので注意が必要だ。

 例えば、見知らぬ街のバス停で現地語の案内も読めず、バスがいつ来るかも分からない。黙って列らしき人の中に紛れ込み、ガイドブックとにらめっこしていたらどうだろう。周りの人も何となく近寄りがたくなって会話も生まれない。
 一方で、ニコニコと挨拶しながら列に加わり、周りの人たちの持ち物や振舞に目を輝かせ話しかけて行ったらどうでしょう。言葉は片言でも行き先を聞かれ、ベストな行き方を教えてもらい。お互いに良い気分になれるでしょう。


 実はこの三つはファシリテーターとしてワークショップやセミナーを運営する際に、いつも心がけている事でもある。どれか一つが欠けても上手く行かない。「笑顔のない挨拶」、「関心の感じられない作り笑顔」、「挨拶ないまま本題に入る」どれも場を凍り付かせること、間違いない。

 とは言っても、これではあまりにも抽象的なので少し補足しよう。

 挨拶、おはようございます!といった決まり文句はもちろん、はい。いいえ。といった受け答えも疎かにしない方が良い。一つ一つの反応がその場のトーンをつくっていく。そして、もう一つのポイントは名前を呼ぶこと。
 名前はその人が最も耳にしている言葉の一つだ。呼びかけられると反射的に反応してしまう。また、相手への関心を示すことにも有効だ。但し、呼び間違えに注意、ナカジマさんとナカシマさん濁音か静音かにも気を付けよう。
 ちなみに全体に呼びかける時は「皆さんは」を使えば良い。「単にどうですか?」と言うのと、「皆さんは、どう考えますか?」というのでは大分違う。自然と語尾も変わってくる。

 笑顔、これは訓練で大分変わる。一番良い訓練は写真やビデオ撮影だ。多少心得のある友人に協力してもらって、笑顔の練習をしよう。ダメなら自撮りでも良い。どうすれば自然な笑顔になるか、自分らしい笑顔を発見しよう。もちろん、心がこもっていない笑顔は見抜かれるが、心を込めても笑顔に表すのが苦手な人もいる。心が直ぐに表れる様になるためには表情の筋トレが必要だ。

 関心、ここには大きく二つの関心がある。相手自身への関心と相手の意見や思いに対する関心だ。通常人が集まって話しをする時には、集まった理由となるテーマとそのテーマに対する参加者の意見や思いと背景となる参加者自身の事情がある。実はこの事情を汲み取ろうとするというのが、ここでいう関心だ。深入りしすぎると決めるものも決められなくなるかもしれないが、ここをなくしては関係性は築けないし、議論は深まらない。

 ここであげた3つはスキルというより行動特性だ。つまり、時間はかかるかもしれないが、習慣化さえすれば誰でも身につけることが出来る。一方で、ベテランだとしてもサボればたちまち衰えてくる。いずれにせよ努力は必要だが、得られるものは間違いなく大きい。また、ファシリテーター自身のアイスブレイク(気持ちの整理)にもなる。参加者の緊張を解きたかったら、先ず自分がリラックスすることから始めよう。
 ちなみに、イノベーターに必要な行動特性に関してはこちらを参照して頂きたい。自己診断が出来るとともに、改善のポイントも見えてくる。

 最後に、また旅の話で恐縮だが、「旅は地球のしわが深い所を辿るのが面白い」ネパールのポカラからチトワンへ、モロッコのアトラス山脈越え、カシュガルからキルギスへの国境越え、自然環境のダイナミックな変化とともに、人々の生活も変わる。行き難い所が多いのが難点だが、見た事の無い景色の変化を是非、味わって欲しい。

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「役割を決めるな!」

「計画を立てるな!」

 こう言い切ってしまうと誤解が生じるかもしれませんが、普段多くの人が当たり前と思っている考え方が上手く機能しない場合があります。これは、良い悪い、出来る出来ないの問題ではなく、思考・行動の習慣によるものです。

 人が持つ思考・行動の深い所は、価値観や世界観に支配されています。このレベルは簡単に変えられませんし、ころころ変えるべきものではありません。しかし、習慣として染み付いているものは、所属する環境で最適化されてくるものですので、環境が変わり・目的が変われば、修正して行く必要があります。

 新しい環境に行けば、その場を知ろうとする事は自然な事として受け入れ易いでしょう。業界の知識を学んだり、周りの人が持つスキルをキャッチアップしようとします。しかし、習慣はそう簡単には変わりませんし、そもそも、習慣を変える必要性も感じないかもしれません。多くの人は、何となく今までと違う、やり難いと感じる所で停まってしまい、自分の思考・行動の習慣を見直す所には至りません。これが習慣のやっかいな所です。正に癖の様なものです。自分の癖って意外と気付き難いものです。

  • 知識・スキル :訓練で身に付けて行くもの、忘れたり錆び付く事もある
  • 思考・行動の習慣:日々の個人の振舞いに強く影響する、いわゆる癖の様なもの
  • 価値観・世界観 :習慣の積み重ねで形成され、個人に深く根ざしたもの
  •  

     私自身、思考の癖・行動の癖には気付いているのですが、なかなか直りません。そもそも直す様なものではないのかもしれません。では、どうすれば良いのか?直すのではなく、切り替えるという発想が有効です。冒頭に敢えて極端な表現をしたのは、自分の常識を疑い自分の癖を切り替えるための"問い"だととらえてください。

    敢えて普段の常識とは異なる問いを立てる事で見えてくるものを考えてみるのです。

    「役割分担を明確にする事で作業の抜け漏れがなくなる」、「役割を明確にする事で指揮命令がし易くなる」、「役割を明確にする事で各自の責任感が生まれてくる」等、役割を決める事の良さは沢山思い浮かびますが、役割を決める事の弊害は何でしょうか?

    弊害は、役割が決められない様な状態でも、決める事に固執してしまう事です。例えば、これから新しいものを造ろうというときです。何を造るか決まっていない時に、役割を振るのは無理があります。そもそもどんな役割が必要か分かりません。こういう時に無理やりリーダーを決めて進めると、そのリーダーの思考が律速となってアイデアを狭めてしまう可能性があります

    計画を立てる事の弊害も同様です。計画を立てる段階ではないのに計画を立てる事に固執してしまう事です。未知のものに挑戦する時に、既存の作業の様に細かい計画を立てようとし過ぎて時間を浪費してしまう事です。
    適切な粗さの計画というのは意外に難しいものです。特に普段詳細な計画になれている人には、先が見えずに進むのはとても不安な事です。

    どちらも過剰に型に嵌ってしまう事が問題です。言われてみれば、なるほどと思えるけど、それまでは気付けない、これぞ正に癖です。

    但し、癖というか習慣が不要な訳ではありません。習慣は効率的な作業をする上で必須のものです。人はそんなに器用ではありません。積み上げた成功パターンは武器になります。ただ、時としてこれが自分を雁字搦めにしてしまう。「効率を上げるための習慣化」を進めると、「現状を打破するための柔軟性」が失われてしまう。これもまたジレンマです。

    習慣を変える事は、スポーツのフォーム改造の様なものです。一気に変え過ぎると、自分がなくなり、型がなくなり、型無しになってしまいます。型を変えるというより増やすのが大事です。そして、その上での使い分けです。自分を客観視し、強制的に型を切り替える、文脈に応じた、一段上のメタ思考が必要です。

    新規事業開発はまさに異なる文脈です。今までの成功パターンが仮説の一つになってしまう。こうした時こそ、自分の思考・行動の習慣が機能するかどうかの問いかけが必要です。

    「役割を決めるな!」

    「計画を立てるな!」

    少し立ち止まって、自分に必要とされている行動が何かを考えてみてください。

     人は習慣の生き物です。習慣の積み重ねが、その人をつくります。習慣をコントロールできれば、自身の幅を広げる事が出来ます。幅を広げながら修正して行けば、なりたい自分になる事もできます。

     いつもとは違う思考・行動を試してみてください。やり方を変えれば、自ずと結果も変わります。先ずはこの違いを体感する事が自身の習慣を見直す第一歩です。

    先日「今でしょ」で有名な林修先生がテレビで現代文のコツを紹介していた。
    読書は好きだったわりに国語の成積がすこぶる悪かった私は見入ったのだが、先生はそのコツを例の得意げなしぐさとともに惜しげなく紹介してくれた。その分析によると、小説問題の大半は傍線問題という文章の意味するところを答えさせるものだそうだ。しかも、その傍線は主人公の心情に変化があったり複数の感情が入り混じった所に引くのが出題者の傾向として強い。つまり、回答欄には心情を2つ書くのが必勝パターンということになる。 
    この分析にはナルホドと唸らされる。もう一回大学受験をしてみても...とは一瞬だけ思ったりもした。
    いずれにせよ、受験には役立つ勝利の公式であると感じた。  このような分析や公式に精通すれば、大学受験には大きな武器となるだろう。国語の先生にもなれるかもしれない。しかし、こういう公式をいくら覚えたところで小説家にはなれない。クリエイティブな小説を書くのは、受験テクニックとはまったく異なるスキルセットが求められる。

     受験テクニック的な力を私は4W1H力と呼ぶ。事実をWho(誰が) What(何を) When(いつ) Where(どこで) How(どのように)という事実を整理する力だからだ。小説家になるにはその事実を捉える力を超えて、創造的な力が必要となる。
    小説家は人の心という入り組んだものを洞察し、底にある真理を浮び上がらせ、読み手にとっても共感できる形で言葉を操るという意味で4W1H以外の問いを立てることが必要になる。商品開発にとっても同じだ。すでにある製品の品質を高めるのは、4W1Hで問題事象を捉え、解決して行くことが求められるが、新たな価値を提案するには人の心を洞察し、まだ明確になっていない問題を浮かび上がらせる道のりを歩む必要がある。

    その道のりの最初の問いはWhy(なぜ)。現在の事実の背景を探る質問は未来創造のきっかけとなる。さらに、Why Not? What If?と組み合わせた 3W が創造的な質問のコツだ。


    Whyはことの本質を探る問いであり、創造の初動である。なぜ、パソコンにはファンが付いていないといけないのか、スティーブジョブスはしつこく聞いたという。 Why Not? (なぜ、そうしない)とWhat If?(もし、そうしたら) はより良いものの仮説であり、創造したものの提案である。

    もちろん、4W1H力も大切だ。これは誤解ないようにお伝えしたい。実を捉える力が低いと、問題が発生したところで感覚的に物事を捉えてしまい、改善する機会を損なってしまう。 しかし事実は過去のものなので、未来を創造する力にならない。過去を何に使うかといえば、それは未来のため他ない。

    少し違う言い方をしよう。世の中の動向に敏感で、ビジネスアイデアが豊富に生み出せる人を「アンテナが高い」と呼ぶ。そういう人は単に5W1Hだけを見ているのではなく、WhyやWhat Ifを常に見ている。まさに3W力を4W1H力に加えることで7W1Hという強力なアンテナが手に入ると言える。

     クリステンセン他はInnovator's DNA(邦訳『イノベーションのDNA』)にて4W1H力のような既存業務の遂行能力を「実行力」、3W力のように創造性を部分を「発見力」というスキルセットに分け、イノベーションのDNAと呼んだ。優れた起業家や社内ベンチャーのリーダーは「実行力」が平均的であったとしても、必ず「発見力」備わっていたのです。イノベーションのDNAをセルフチェックするイノベーション力診断を受け、アンテナを増やしてみませんか?

    翔泳社のウェブメディアEnterprizeZineにも関連記事を書きました!

    The use of visuals to represent data isn't a new idea. It's been around since the dawn of human civilization. Hieroglyphics from ancient Egypt could even be considered the world's first infographics! In a more modern context, the English engineer Harry Beck could perhaps be credited with first introducing data visualization to the public when he created the London Underground Tube map in 1931. Since then, the use of charts, graphics and other data visualizations has entered the mainstream - but has now become almost ubiquitous when it comes to consuming data thanks to the rise of social media platforms. Modern methods of data visualization come in a multitude of forms, from mindmaps and heatmaps to infographics and interactive timelines. Choosing the right format is often the key to achieving the twin aims of communication and data analysis.

    According to Neil Fleming's popular theory of learning styles, people are divided into "aural", "visual" and "kinesthetic" learners. The vast majority of people (between 60-65%) learn better through visuals, using visual sensors to process information cognitively.  More specifically, though, everyone learns visually because we take in the most information through our eyes, and at a faster rate, too. The evidence of the effectiveness of graphics or visualization over more traditional communication is everywhere. Studies show that presentations with visual aids are 43% more persuasive that unaided ones. Graphic warning labels on tobacco products worldwide have been shown to be more effective deterrents than typical written warnings. A recent study has shown that graphic novels may be more effective than textbooks as teaching aids. Meanwhile, attention spans have dropped from 12 minutes to just 5 minutes over the past decade, meaning that attractive imagery will always be preferable to text for conveying information to the modern generation.

    And I am almost certain you would find this post more interesting if I summarized everything with a handy infographic!

    However, graphics for the sake of graphics actually miss the point. In today's social media driven world, it is trendy to use tools like infographics as a substitute for advertising or to generate clicks or shares rather than the intended purpose of packaging and conveying information more efficiently. Since images can be easily shared with thousands of customers or followers instantly via platforms like Twitter, Facebook, Pinterest or Instagram, there is a school of thought that suggests the quality of the average infographic has dropped substantially. More specifically, a poorly designed graphic or chart is virtually useless - you could have hundreds of people staring at it but not gleaning any useful information. So how can we ascertain our visualizations are actually achieving the ultimate goal - improving and simplifying the consumption of data and communicating effectively?

     

    As somebody who believes visualization, when used correctly, can be a powerful tool for communication, I can think of a few guidelines:


    簿記、英検、TOEIC、宅建、公認会計士、MBA... 
    様々な資格がありますが、本当に仕事に役立つ資格は何でしょう?
    プレゼン力、資料作成、エクセル。スキルも同様です。どのスキルが重要なのでしょうか?

    世界中の資格を全部取れば、どんな時代でも仕事には困らないでしょうが、現実的ではありません。資格を取り終わった時には、人生も終わってしまうかもしれません。

    資格を沢山持っているわけではないかも知れませんが、色々なスキルが高く、皆さまの会社にも色々なことが「デキる奴」が一人はいるのではないでしょうか。

    一方で、何か困ったときには必ず活躍するような「必要とされるヤツ」も周囲に一人はいませんか。スキル万能という訳ではなかったり、「デキる奴」と比べると、普段は頼りない側面があるにも関わらず、「必要とされるヤツ」は困ったときに活躍します。こういう人はある特定の問題解決に長けていて、組織には不可欠な存在となっていることが多いです。例えば、取引先とのトラブルを解決することができる人や、顧客クレームへの対応が素晴らしい人はかけがえのない人となるでしょう。

    同じように製品も分析してみてはどうでしょう。
    色々な機能があるものの、必要とされない製品はありませんか?
    我が社の製品の方が、高スペックなのに、競合に負けていることはありませんか?
    一方で、機能は少なくてもなぜかお客さんに贔屓にされる製品もあるはずです。
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    「デキる」から「必要とされる」

    必要とされる製品を開発するには、必要とされる場面を特定しなくてはなりません。ユーザーもしくは消費者が抱えている課題をピンポイントに狙ったものである必要があります。
    『消費者はドリルではなく、穴を欲しがっている。』とはマーケティングの神様と呼ばれるハーバード大のレビット教授の言葉です。電動ドリルが沢山売れた理由を、ドリルではなく、「穴開け」という用事が必要とされたことに理由を見たのです。

    小学生の間で大ブレークした「瞬足」。運動会という場面で、「曲がったトラックを早く走りたい」「我が子の活躍を見たい」という課題に応えたことで必要とされました。校庭の小さなトラックを曲がって走ることは得意な靴である以外は、児童用の靴としては普通のものです。価格やスペック競争から、顧客の「用事」という場面に着目することで「必要とされるヤツ」になることができたのです。

    ユーザーはどのような用事を済ませる必要があるのか?なぜそのような用事を済ませたいのか?用事を済ませる上で、困っていることは何か?こういった疑問から着手しなくては、不必要な「デキる奴」になってしまいます。
    クリステンセン教授は、このような解決すべきユーザーの用事を "Jobs to be done"と呼びました。

    "Jobs to be done"を発見する切り口は以下の4つです。
    Job - 用事。顧客が抱える機能的・感情的・社会的な課題
    Objectives - 目的。製品やサービスを購入するかどうかを決定づける背景
    Barriers - 障害。用事を済ませることを困難にする要因
    Solutions - 解決方法。顧客がやむなく行っていたり、ぎこちなく行っている課題解決方法

    この手法についてはこちらのセミナーで詳しくお伝えしますので、どしどしお申込みください!!
    11月3日までは早割を実施しています。
     先週、日本で初めてのIAFアジア大会が開催された。IAF(International Association of Facilitators)は世界のプロフェッショナル・ファシリテーターによるメソッドの共有を目的とした団体だ。CPF(Certified Professional Facilitator)のアセスメント、プレカンファレンス(プレゼンターによる1日セッション)、カンファレンス(本大会)と正にファシリテーター漬けの週だった。

     私はCPFの候補者、プレカンファレンスの受講者、本大会の運営リーダーと3つの立場で参加した。どっぷりつかった中で感じたファシリテーターとしてのジレンマ、特に外部からプロとして雇われた場合のファシリテーターのジレンマと解消のためのヒントを共有したい。ちなみにこのヒントはプレカンファレンスのプレゼンターの1人であるLarry Dresslerのセッションで得たものた。数日間の間にジレンマに直面しヒントも得られた。改めて非常に有意義なカンファレンスだったと思う。

     では、先ずジレンマの説明から入ろう。IAFのCPFで定義されているコンピテンシーでも重要な要素になっているが、外部からのプロのファシリテーターとして参加する場合、インターフェイスとなるクライアント担当者とのコミュニケーションが非常に重要になる。多くの場合クライアント担当者はスポンサーであり、意思決定者であり、こうしたい!という成功のイメージを持っている。ファシリテーターはこの成功イメージを一つのゴールイメージとして受け取り、プロセスをデザインしていく。もちろん、組織の置かれた状況、参加者の事情等も合せてヒアリングするが伝聞による2次情報でしかない。
     ファシリテーターは「クライアント担当者の成功イメージ」と「組織の置かれた情報、参加者の事情等」を基に成果を出すためのプロセスを作り込んでいく。


     理想は良いプロセスを持って、良い成果を生み出していく事だ。

    図1 プロセス-成果.png

     これが美しいストーリーなのだが、実際にはこうは行かないケースもある。

     理由は成果を上げる要因がプロセスだけではないからだ。

     ここで言うプロセスには、ゴール設定の仕方、議論や対話の進め方、参加者の巻込み方等、いろいろなものを含んでいるが、成果に対して必要なものが揃っているかは、神様にしか分からない。ここで神様ならぬ一人のファシリテーターはジレンマに陥る。

     クライアント担当者の成功イメージに繋げたい。
     限られた時間で成功イメージに繋げるにはプロセス主導では限界がある。
     ファシリテーターとしてプロセスに集中しなければ・・・。
     しかし、議論が発散しただけでは参加者も満足しないだろう・・・。
     少しだけ、議論が収束する様に導いたらどうだろうか・・・。

     これがジレンマに陥っている状態だ。クライアント担当者、参加者の皆が満足し、かつ意義のある場にしたい。しかし、そのためには、間接的なプロセス主導だけでは限界がある。しかし、直接コンテンツに介入する(議論の中身にファシリテーターも意見して行く)とファシリテーターとしての中立性が失われてしまう。

     ファシリテーターの中立性は、ファシリテーションを実践している人が悩む大きなポイントだ。特に社内でファシリテーター役を担う場合、自分が一番良い答えを持っている場合もあり得る。その時にどう振る舞えば良いのか?
     自分の答えはこうだった。
     「一人の人間が帽子を取り替える様に自在に立場を代えられれば良いです。組織として持てる知見は活かしましょう!そのために頭を切り替えるスキルを磨いていきましょう!」
     しかし、実際にはこれはハードルが高い。自分も今回のCPFのアセスメントでは実践できていなかった事をアセッサーから厳しく指摘された。参加者からも議論を誘導された感じがしたというフィードバックをもらった。何とかPASSはしたが、改めてファシリテーションの基本を強く意識させられた。"ファシリテーターが取るべき行動を正しく理解する"というのが合否の基準だったのかもしれない。理解者から実践者、そして常に実践できている体現者へのスタートラインに立ったという事だ。

     さて、では、このジレンマにどう立ち向かうか?

     今回得た結論はクライアント担当者と Co-facilitation する事だ。

      内部ファシリテーター   ×  外部ファシリテーター
     (環境・事情に通じている)   (中立な視点を持ち易い


     内部の視点で参加者・環境をより良く把握し、外部のプロフェッショナルの経験でより適合度が高いプロセスをデザインして行く。これが出来れば確実に成果を上げる事が出来る。

    図2 参加者ープロセス.png

     今回会ったファシリテーターの中には組織開発、トレーニングも同時に行っている方が多かった。最初は外部ファシリテーターとして入って、ファシリテーション・サービスを提供する。同時に参加者にトレーニングを行い内部ファシリテーターを育てて行く。こうしてCo-facilitationできる環境を造って行くのが王道なのかもしれない。
    ポイントはファシリテーションの知識を学ばせるだけではなく、ファシリテーターという役割を組織の中に造って行く事にある。ここを間違えると骨抜きの活動になってしまうので注意して欲しい。

     ジレンマに陥ってしまうのは、内部と外部の視点を一人で同時に持たなければならないという前提の起き方にある気がする。効果を最大限発揮するには、使えるモノ・ヒトは何でも使う・巻込む。常にオープンマインドでいる。これもファシリテーターの重要なコンピテンシーの一つだ。

     しかし、時には一人で立ち向かわなければならない場面に遭遇する。

     ここで参考になる話が、冒頭で触れたLarryのセッションだ。

     その名もSTANDING IN THE FIRE、火の中に立つような厳しい場面での6つの心構え(意訳)の中で「自身の価値軸を明確に強く持つ」事に触れていた。神様ならぬファシリテーターだが、最後はやはり自分の中に拠り所となる価値基準を持っておくしかない。クライアント担当者の立場に立つ、参加者にフォーカスする、組織全体の事を考える、選択肢は様々だが、何をもって自分が判断をくだすか、この基準が明確にあるとStanding in the fireする事が出来る。


     Co-facilitationできる環境を造る

     自分の価値軸を明確に強く持つ

     これが出来ればジレンマから抜け出す糸口を見つけられるだろう。


     ※ コンピテンシー:高業績者の行動特性(企業などで人材の活用に用いられる手法

     池井戸潤氏の七つの会議(ななつのかいぎ)がドラマ化された。ハゲタカのヒット以来、ビジネスの現場をテーマにしたドラマは増えて来ているが、"会議"という単語がタイトルになるまで来たことに驚いた。内容的には暗い閉塞感のあるもので好みは分かれるだろうが、タイトル通り様々な会議の場を俯瞰するという観点では興味深かった。部内会議、御前会議、監査対応、・・・、そして、屋上にパイプ椅子を並べての会議ではない会議、改めて拾い上げて見るのも面白いだろう。

     一般的に企業における会議は、退屈で眠気を誘うものとして取り上げられ、およそドラマティックなものは感じられない。しかし、実際には会議の場に至るまでの過程には生々しいドラマが隠れている。思った以上に企業の中にはドラマがある。けっして合理的なだけの世界では無い。論理が絡まり感情が交錯する会議の場をもう少し工夫で切れば、企業のパフォーマンスは大きく変わるだろう。

     という訳で、やや今更な感はあるが、今回は会議のコツをお伝えする。もちろん会議には様々なものがある。それこそ七つ以上の種類があり、万能という訳ではないが、いわゆるビジネスシーンにおいては適用しやすいものとして取りあげた。何よりシンプルで覚えやすく意識しやすいのが良いと思っている。

     そのコツというのはタイトルにあるように会・議・決・行だ。
    出典は定かでは無いのだが、元にしたのは「会して議せず、議して決せず、決して行せず」だ。いわゆる会議の悪癖である。これらを予防するためのチェックリストとして「会→議→決→行」の順で活用して欲しい。


    会議決行.png 

     先ず「会う」というステップだが、これが想像以上に出来ていない。せっかく時間を取って顔を突き合わせるのだから、きちんと会わなければ始まらない。単純な話、ストレートな挨拶を一つ入れれば良い。流れで始まるのでは良い場にはならない。普段から顔を突き合わせている同僚と今更挨拶なんて~と思うかもしれない。初対面のお客さんとの場で、いきなりそんなにフランクになれない!と思うかもしれないが、
     「では、時間になりましたので始めましょうか、今日の議題は・・・」とスーッと入って行くのではなく。
     「では、時間になりましたので始めましょう!、おはようございます!(おはようございます!)今日の議題は、」と参加者全体での発生を促すプロセスを入れるだけで場が変わり、議論の始動が変わる。基本中の基本として是非徹底して欲しい。

     次に「議論する」だが、この部分は目的に応じて進め方は変わって来る。ただ押えておきたいのは、議論の"論"、論じるポイントを参加者で共有して進める事。何に付いて話すのかが曖昧なままでは、やはり成果は期待できない。それこそ決める事は出来ない。論点を共有した上で、「聴く、伝える、そして、問いかける。」という双方向の働きかけがあれば、自ずと議論は活性化する。

     そして「決める」だが、意思決定の方法に関してはいろいろなやり方がある。ここで押えておきたいのはこうした方法論では無く、もっと本質的な所だ。当り前と思われるかもしれないが、「決定事項は明確か?」という事である。例えば、「今日の会議では今後の進め方を決めます!」という場があった場合をちょっと考えて欲しい。
     「何が決まれば進め方が決まった事になるか?」、「何を決めれば明日から行動できるか?」という事に答えるには、どの位補足が必要だろうか?次の一手を決める事を目的にしているのに、次の方針しか決まらないという場面が多々ある。それは、議論の進め方にも原因があるかもしれないが、実は、そもそもどのレベルまで具体的に決めるかを描けてない場合が多い。「方針に留めずに決定事項まで落し込むにはどうしたら良いか?」、「誰が何をどうするかが明確に描けて共有・合意されているか?」改めて決定事項の表現を見直してみると抜けている部分が見えて来るだろう。

     最後に「行動につなげる・行動を約束する」だが、「きちんと会して、しっかり議論して、決め方に納得する」事が、行動につなげる上で一番大事な事だ。しかし、これらのステップをきっちり踏んでいても、いざやろうとすると腰が重くなる、二の足を踏んでしまうのは良くある事だ。だからこそ、このステップでは、行動の阻害要因が無いか検討し、プラス面を強くするのと同様なマイナス面を減らす配慮・工夫を検討する必要がある。その上で、実行をより確かなものにするために、マイルストンを決め、フォロー計画を立てる。ここまでやっておけば、仮に初動が遅れたとしても、キャッチアップさせる事ができるし、より良い実行につなげるための振返りにも繋がる。


     【会議のチェックリスト】

    ◆ 会う
    |  これから話し合うための状態を作れているか?
    |  そのための気遣い・働きかけをしているか?(挨拶、笑顔、目的共有)
    ◆ 議論する
    |  議論するポイントは共有できているか?
    |  聴く姿勢は出来ているか?
    |  伝える工夫がされているか?
    |  質問が工夫されているか?(確認、深堀、発想転換)
    |  会って話すだけの拡がりがあるか?
    |  (報告だけの場の時は効率的に出来ているか?)
    ◆ 決める
    |  決定事項は明確か?具体的に描けているか?
    |  行につながる決定がなされているか?
    ◆ 行動につなげる
    |  行動を促すための配慮・工夫(促進、阻害要因排除)がなされているか?
    |  マイルストン、フォローが明確か?
    ◆ 成果を得る
       行動の成果を摘み取り、果実と美酒を味わう!
    アルコール,グラス,チーズ,ドリンク,ビン,ブドウ,フルーツ,ワイナリー,ワイン,ワイングラス,ワインボトル,乳製品,写真,房,果物,樽,赤ワイン,酒,食べ物,食事,食品,飲み物
     前回は考え方としてのVisual Thinkingを紹介した。ポイントは「描きながら考える、発言を描きながら議論する」という進め方にある。今回は具体的なHow toを伝えていく。How toに関してはいろいろと応用範囲が広いのでVisual Thinkingだけのものというより、いわゆるファシリテーション・グラフィックのHow toの1つとしてとらえると良いだろう。
     ちなみにこの辺りの手法の名前は造語も多いので自分なりの解釈を持って理解しておくことをお勧めする。以下は私の解釈だ。
     ◆板書
       議論された事を記録する。事実や結論を重視する
     ◆Visual Thinking
       考えるために描く、議論するために描く、議論の活性化を重視する
       思考・議論の過程を見える化する
     ◆ファシリテーション・グラフィック
       記録だけでなく会議の進行やプロセスにも関与する
       上記の2つも含む広い概念
     図に示すと以下の様になる。
    グラ分類1.png

     How toとしては同じでも、手法の狙いによってHow toの意味づけは変わる。
     「考えるために描く、議論するために描く」という狙いのために、1つ1つのHow toがどんな意味を持つか、効果があるかを理解して欲しい。

    ◆How to1 テーマを書く
     当り前じゃないか!と笑う前にこういう事が無いか振返ってみて欲しい。議事次第などの資料が紙で配られている場合に多い。議論が始まってしばらくして、「すみません。今、どこを話してるんでしたっけ?」という様な事は無いだろうか?
     こうした事態は皆が議事次第をバラバラに見ているから起こる。ホワイトボードや模造紙などを使い、敢えて皆の視線を一点に集める事で、この事態は簡単に回避できる。同時に物理的に視線を上げさせることで前向き感をつくっていく事もできる。
     コツはテーマを読みながら書く事。こうする事で皆の意識を切り替える事ができる。特段テクニックも要らないし、きっちりやるだけで誰でも出来る。先ずは試してみて欲しい。
    How to1.png

    ◆How to2 発言を分かり易く、かつ生々しく残す
     次はちょっと忙しい所だが、発言者の声を拾う部分だ。速く書けるにこした事は無いが、難しかったら発言をオウム返ししながら書くと良い。時間も稼げるし内容や意図も確認できる。
     最初からきれいに書く事は難しいかもしれないが、先ずは書く事が大切だ。一言一句を写し取る必要は無いが、発言を尊重し、汚くても良いから出来るだけ拾ってみよう。言葉が消えてしまうよりは良いし、間違っていたら後から直してもらえば良い。慣れてくると上手く要約して相手の意図をより分かり易くする事もできる。但し、要約・意訳が行き過ぎると発言者のオーナーシップ(言霊)が消えてしまうので、必ず表現の確認をした方が良い。
     コツは生の声を残す事。分かり易く要約するのには訓練が必要だが、生の声を残す事は発言者の声に少し耳を傾けるだけで出来る様になる。前提として傾聴のスキルは必要かもしれない。先ずは発言者の言葉遣いと語尾の強弱を意識しよう。
    ◆How to3 色に意味を持たせる
     最後はよりテクニック的な部分になるが、自身の思考の整理にもなるし、上手く活用できると議論の効率を大幅に上げる事が出来る。色に意味と言ってもいろいろあるが、私の場合は基本的に以下の3色を意識している事が多い。
     ●赤:問題、課題、ネガティブ
     ●青:解決、対策、ポジティブ、アクション、宿題
     ●緑:補足、詳細、ニュートラル、単なるコメント
     テーマや発言は●黒で書いていて、そこにアンダーラインという形でやる事もあるが、正しく分ける事ではなく、議論を活性化させるための色分けなので、直接文字色を変えるのをお勧めする。色遣いにはペンを握る者の意図が入るので誤解は生じるかもしれないが、それこそが活性化の糸口となる。どんどんカラフルにしていきたい。同系色の薄い色(ピンク、水色、黄緑色)があるとアンダーラインや囲みで強調するのに役立つ。
     コツはその場での一貫性を保つ事。ネガティブに青色を使ってしまって戻れなくなったら、その場はそれで通せば良い。途中で変えると混乱を招く。目的はあくまでも議論を活性化させる事なので、意見を赤か青かに敢えて仕分けて見るのも手だ。全体での色合いも議論の呼び水として使える。緑しかなかったら単なるコメントばかりで、誰も本音を言っていないという事かもしれない。
    How to2,3.png

     他にもHow toはいろいろあるが、今回は思考の過程を残しつつ議論を見える化していく際のポイントを紹介した。

     議論の方向性を探したり、検討漏れを探したり、まだまだHow toは沢山ある。大事なのはHow toを沢山知っている事より、"いつでも"、"どこでも"、使えるHow toをしっかり身に付ける事だ。その意味でこの3つはかなり使い勝手のある基本技だ。是非、活用して欲しい。