最近はメットライフが最近立ち上げたCollabや東急アクセレートプログラムのような「ポストアクセラレーター」「スケーラーレーター」と呼ばれる施策を取り入れている企業が増えています。これはとってもいい流れだと感じています。


元来、アクセラレーターは資源のないシード期やアーリーステージのスタートアップを発掘し、投資・育成するのが狙いですが、大企業の持っている資源は貯蓄とリスク回避の結果の賜物なので、どうなるかわからないようなスタートアップにスパッと使うような価値観を持ち合わせていません。むしろ、プロダクト・マーケット・フィット(PMF)の検証を終えたベンチャー(厳密にはこのステージに来るとスタートアップと呼ばない)とコラボをして双方にとってのシナジーを創り出すのがこのポストアクセラレーターやスケーラーレーターの狙いです。


目に見えないもの

大企業は優秀な人材、資本、信頼のブランド、顧客基盤、設備、どのアセットを見てもスタートアップを圧倒する力を持っています。しかし、イノベーションの歴史を見ても、そして社内の新規事業で頑張っている人たちを見ても、イノベーションを阻害するものが山積みなのも事実です。

部分が良くて、全体がダメだということは組み立て方が間違っているからで、「仕組み」「プロセス」という言い方をする人や、KPIや戦略に起因すると考えている人もいますし、クリステンセンのように「価値観」「行動規範」だという人もいます。

それを部分的に打開し、ベンチャーのような仕組みで動く別部隊を立ち上げている企業が増えています。古くは社内ベンチャー制度が流行し、その後CVCのようにベンチャーキャピタルを模したアプローチ、近年では企業内アクセラレーターを導入する企業が増えています。

導入したはよいけれど、必ずしもうまく動いている訳ではないのでしょうか。しっかり予算割り当てて、トップもコミットし、人数も掛けている。しかしうまくいかない。


それは、目に見えるものばかりに対処しているからです。その結果、目に見えないものに足を引っ張られて、イノベーションが頓挫します。ブレーキ解除を忘れてアクセルを踏んでいます。前述した「仕組み」「プロセス」「KPI」「戦略」は目に見えます。しかし、「価値観」や「行動規範」は目に見えません。目に見えないものを変えるのは骨が折れますし、本当に変わったかどうかを検証するのはさらに難しい作業です。どこかのコンサル会社による「戦略」で変わると思うのは相当楽観的な考えではないでしょうか。



価値観に合うもので「違うもの」

価値観に合うものでも新しいものは存在します。時代に合わせる力を持つベンチャーがいたら、自社の資源をそこに投入し、今の時代に適合したビジネスモデルイノベーションを起こすことは可能です。例えば、メットライフはデジタルの力を活用した保険ビジネスを展開するベンチャーを探しています。東急アクセラレートプログラムは沿線住民の課題の変化に適合した商品やサービスを募集しています。スケーラーレーターという名前どおり、PMFの検証が終わったものであれば、スケールを求めて大企業と組むのはどちらにとっても理に適ったやりかたです。

たまに、シードやアーリーのスタートアップに関われないことを自嘲気味に語る人がいます。ですが、人のダイバーシティーが求められるように、企業のダイバーシティーだととらえた方がよいのではないでしょうか。皆さんどう思います?

前回はイノベーションの進捗をはかる指標としてKLIをご紹介しました。
「行動した結果、どんな学習をしたか、どれだけ顧客のことを理解したか」を
評価指標としておいても、それだけでは人はなかなか動けません。
そもそも新しいことをやるのには抵抗があるし、
それを慣れていないやり方でいけないとなれば、なおさらです。

その気にさせるのが先か?
まずは黙ってやらせてみろなのか?

有名な
「やってみせ
 言って聞かせて
 させてみて
 ほめてやらねば
 人は動かじ」

の一節が頭をよぎります。

社内にイノベーターのメンターがいれば良いですが、そもそもそういう人がいなくて困っているわけなので「やってみせ」の段階でつまづいてしまうのが現状です。


思考よりも行動、行動することで一次情報を得る

結論としては、ここは、「とにかく行動させる」ということに尽きます。

だからと言って、「イノベーションを起こせ!」「ビジネスチャンスを見つけろ!」と掛け声をかけるだけでは空回りします。
もう少しフォーカスを絞りましょう。
KPIで言うと結果系だけでなく、そこに至る過程となるプロセス系の指標を追加するイメージです。

行動の方向性を示す前に、そもそも、なぜイノベーションが必要か?という認識を醸成しておくことが必要です。
危機感だけだと余計既存ビジネスを守る方向にも走りやすいので、既存ビジネスで稼ぎつつ、イノベーションへの新規の投資を続けることを大方針として打ち立てる必要があります。ここは仕組みを作るというよりも、トップや部門長の本気のメッセージでしか示すことはできません。

方針が示されて、どんな分野を狙えば良いのか(目指すべき成長分野)、どんなビジネスが求められているのか(自社の顧客ベースや組織能力に対しての新規度合い)、事業コンセプト(ハードウエアからサービスへのシフト等)が見えてくると、そのためにとるべき行動を考えやすくなります。また、ここが具体的に示されるほど、トップの本気度は伝わります。反面、賛否も別れます。停滞した組織にインパクトを与えるには、賛否が大きく分かれるぐらいの劇薬が必要なときもあります。
この辺りがイノベーションマネジメントとして工夫すべき最初のポイントになります。

  KLIを設定するときにやってはいけないこと①: 結果系だけを定義する


やることだけではなく、やらないことを決める

プロセス系のKPIを設定するときには、やることだけでなく、やらないことを決めることも必要です。
イノベーションも、やりましょうだと、結局やらずに終わってしまいます。退路を絶ってまでやらせるとなると、やる側もやらせる側もハードルが高くなりますが、失うものが多すぎる大企業の中で敢えて取り組ませるには、既存のしがらみから解き放つ必要があります。

一つのやり方としてよく紹介されるのが、__%ルールです。
ここで注意しなければいけないのは、「やってもいいよ」では機能しないということです。
3MやGoogleの成功例は、"やりたいことで価値を生み出したい"、"単におもしろいことをやりたい"というモチベーションを持った人が沢山いるという前提があります。こうした文化がない企業で導入しても、よほど余裕がある人か、本業が上手くいかない人の加点狙いに使われてしまいます。

「やってもいいよ」ではなく、「やれ!」にすると行動は少し変わってきます。好きにやれと言われても・・・という人には明確なテーマを与えたほうが効果的です。ただし、この場合はテーマをどう選ぶかという課題が残ります。会社としての取り組みテーマを示せていないと実行できません。

もう一つは「やらないことを決める」です。これには既存の研究テーマに期限をつけて強制退場させるという、相当現場から反対を受けそうなものもありますし、もう少しソフトにテーマそのものは変えないにしてもアプローチ方法を変えさせるというやり方もあります。
要は、「同じテーマに同じアプローチで取り組み続けて、いつまでたっても進展がない」という事態をなくすのが目的です。惰性で続けてしまっているプロジェクトを見つけたら、テーマとアプローチの双方での見直しをオススメします。

  KLIを設定するときにやってはいけないこと②: やることだけを定義する



アメリカの大統領選挙はトランプ氏が勝ち、多くの人の予想と期待(自分も含め)を裏切った結果となりました。

FacebookやTwitterのタイムラインには、結果を受け入れらない人たちの絶望的なコメントが流れます。越境してカナダに住むことを真剣に考える人も激増したようで、トランプ政権下でどのような国になるのか、不安が渦巻いています。

日本でも、TPPや在日米軍の件など、人々は不安を抱え、メディアが増長しているように感じます。


 そんなとき、スタートアップ情報配信を行なっているCB Insights(自身もスタートアップである)のCEOが配信したブログが素晴らしかったので、共有しておきたいと思います。スタートアップ経営者ならではの視点ですが、誰にとっても何が大事なのかシンプルに書かれています。 ブログ原文はこちらです(許諾を得て訳しています)



タイトル:Memo: What Does The Election Mean For Us? (社員向けメモ:我々にとって選挙はどのような意味を持つのか?)



答え:雑音は無視しましょう 


CB Insights社では、月次のミーティングを開催し、財務業績や他の重要な指標を全社で共有しています。この全社ミーティングの最後には質疑を交換します。
今月は木曜日でした。ちょうど、選挙の後です。「我々にとって選挙はどのような意味を持つのですか?」という質問が何度か挙がりました。
下記がCB Insightsの共同創業者であり、CEOのアナンド(@asanwal)が送ったメモです。


皆さん、

月次ミーティングでは上手に答えることができなかったので、もう一度この場でトライさせてください。 

多くの皆さんが結果に驚き、またおそらく落胆していることを知っています。移民の息子であり、小さな娘を持つ父として、正直言うと、個人的な理由から違う結果を望んでいました。しかし、現実には制度があり、結果が出た以上は好きか嫌いかにかかわらず生きて行くしかありません。それがこの国の良いところでもあります。

もちろん、市民として政治にかかわることで変化を生み出すことはできます。しかし、それは個人としての判断であり、今回は違う観点で話をします。

これまでの話で私がどちらに投票したかはお分かりだと思います。しかし皆さんの投票活動は自由ですし、私は関与しません。

皆さんがヤルことをヤって、ヤルことが優れていて、つつましく、周囲を尊重する良きチームメイトであること以外はまったく関係のないことです。

政治批判をしたいわけではありません。

質問はCB Insightsに対する影響についてですので、本質的には政治的なテーマから、政治的な側面をなるべく取り除いて答えていきたいと思います。

以前書いたように、イノベーションとは「何か異なるやり方で、インパクトのある価値を生み出すこと」です。

インパクトのある価値が生まれるかどうかは、やってみなければ分からないので、重要なのは異なるやり方を試すことです。(実はイノベーションの世界もいろいろ研究されてきており、成功確率をあげる方法はいろいろとありますが)やらないと、インパクトを生むことはできません。


異なるやり方って何なんだ!と思われた方へ、

平たく言うと「慣れていないことへの挑戦」です。

自戒を込めてなのですが、慣れていないことをやるのは誰でも嫌なものですよね。

しかも、イノベーションの世界は不確実性が高いので、頑張ってやったとしても成果が上がるかは分かりません。

かといって、慣れていないことに挑戦しなければ(やり方を変えなければ)、得られる結果は従来と同じです。



「Innovate or Die ...」

「やらなければならない・・・」という空気はしだいに現実味を帯びて、様々な業界を侵食しています。

とはいえ、一般的な願望としては、「なるべく楽して儲けたい」ですよね。

「楽して・・・」というと反論もあるかと思いますが、ドMの人は別として、なるべく効率的にビジネスを進めたい誰しも思うのではないでしょうか。


成熟した大企業でイノベーションを起こすにはどうすればよいのか?

危機感の醸成、啓蒙、トレーニング等、人材に働きかけるソフトな取り組みはいろいろありますが、制度として行動を促し、方向性を示すものも必要です。



既存事業と新規事業のKPI


すでに行なっている既存事業であれば、今期の売り上げのようにKGI(Key Goal Indicator)を設定し、顧客の訪問数、提案に至った回数、受注件数をKPI(Key Performance Indicator)にするという具合に、KPIの設定はイメージしやすいものとなります。


しかし、イノベーションではこうは行きません。新製品の投入率、戦略的な特許の取得件数、イノベーションパイプライン強度(イノベーションプロジェクト数 x 将来の収益の見込み)といったものもありますが、定量的とは言い難いですし、何より人の行動を促すという点で不十分と言わざるを得ません。



KLIとは何か?


では、どうすれば良いか?

お勧めしたいイノベーションのKPIは、ずばり!どれだけ学習したかです。



イノベーションの実行が難しいのは、不確実性が大きいからです。

プロジェクトの先行きは見えないし、顧客が買ってくれるかどうかも不明。さらに、思いがけないコストが乗っかってくる可能性もありますし、仕入先の品質も安定していないこともよく起こります。

そのように数多く存在する不確実性が減少することがイノベーションプロジェクトの進捗といってもよいでしょう。


したがって、新規事業のKLIとして、未知数として知らないことや、仮説に過ぎなくて不確実なことが減っているかどうかを計測してはどうでしょうか。


「ザ・ファーストマイル」には、2つの重要なツールが紹介されています。


一つは、仮説を重要度によって分類する方法です。これは、仮説(つまり、いずれ学ばないといけないこと)の重要性と確信度から、仮説検証の優先順位を決めるツールです。


もう一つは、確実性の遷移表です。事業の確実性(もしくは不確実性)を測り、事業として進捗している度合いを見る方法です。


この2つのツールを参考にKLIを設計してみてはどうでしょう。



勉強と学習


最後に、学習と勉強の違いに触れておきましょう。


これまで「学習」という言葉を選んで使っています。

しばしば「知る」こと「勉強」することと混同されていますので、説明します。



「勉強」は事実の確認に過ぎないが、「学習」には再現性を求める。


例えば、「火を触るとヤケドをする」と知ることと、「ヤケドをしない所作」を学ぶことは違います。

KLIというと、ついつい分厚いレポートをたくさん読みたくなりますが、それは入り口にしか過ぎません。

  • この業界はこうなっている (勉強)

  • この業界ではこうすれば売れる (学習)

この2つの表現を見てわかるように、勉強はあくまでも過去の事実やその仮説でしかありません。それに対して、学習は検証された仮説です。


このように、学習の観点を加えてイノベーションプロジェクトを進めてみましょう。


黒田博樹選手が引退し、背番号15が永久欠番になりました。

理由はなんと、「お金以外の価値」。 

そりゃ、球団にしてみれば、膨大な価値をもたらしてくれました。 本来なら数十億円の年俸を払うべきところを、年間4億円という破格で契約し、リーグ優勝に伴う観客動員数のアップ、グッズの売上増、CSや日本シリーズのポストシーズンの集客、など金銭的に黒田がもたらした価値は「球団にとって」計りきれないものがあります。まさに、Invaluable、Priceless。
さらに、ファンにとってはプレイやプロ意識あふれる生き方が力になったり、刺激になったりしたのではないでしょうか。

それを球団は「永久欠番」という「名誉」で報いたわけです。


このことは、改めて多くの「価値」は単純なものではなく、複雑で見えにくいものだと考えさせられました。

例えば、野球を見るために、数千円のチケット代と交通費を払って球場に行けば、テレビでは味わえない「一体感」や「臨場感」を味わうことができます。 実際に25年ぶりにカープの日本シリーズを現場で味わうことができたことは、お金には変えられない思い出になりました。家族で神奈川から広島まで遠征した甲斐があります。


テレビやネットなら時間もお金も相当節約できるので、そういう「観戦」で済ませることも実際多かったりしますが、やっぱり何か物足りないものです。


これがクリステンセン教授がいうところの感情的なジョブ、社会的なジョブでしょう。
でも、そんなジョブ理論は放っておいて「男気」でやるのも大好きです。

ゴミ処理問題を解決するとしたら、どんなアプローチを取りますか。

問題といってもいろいろありますよね。

分別が面倒くさい、お金がかかるのが嫌だ、ごみ捨て場が遠い、毎日回収してほしい。

どちらかというと、そもそもやりたくないことの処理なので、わがままな意見がいろいろ飛び出してきます。


処理という言葉が付きまとうと・・・、

どうしても、効率良くという方向性での話に終始してしまいますが、楽しくという感情的な満足や、仲間と貢献感を分かち合うといった社会的な欲求にも目を受けると、3R(Reduce, Reuse, Recycle)以外の発想が出てきます。スウェーデンでは服や靴の修理にかかる付加価値税(日本でいう消費税)を25%から12%まで下げる法案を検討中とか、Repairも加えて4Rで考える時代が来るかもしれませんね。


ゴミ箱を楽しく

The world's deepest bin 

https://www.youtube.com/watch?v=cbEKAwCoCKw

こんなゴミ箱があったら思わず捨ててみたくなりますよね。子供が遊びでなんでも捨ててしまう懸念はありますが(^^;


ゴミ拾いをゲーミフィケーション

株式会社ピリカ 

http://corp.pirika.org/

ゴミ拾いイベントにはピッタリ、世界中で拾われているゴミが見られるのも面白いです。

自分は面白いコンセプトだ!と思ってインストールしましたが、結局アップしてません。なんとなく、ゴミの写真をアップするのに抵抗があって、しかも自分の生活空間のなかで、という辺りがネックになりました。ちょっとしたことが人の行動を喚起したり、阻害したりするものですね。


修理を通じてコミュニティづくり

Repair Cafe 

https://repaircafe.org/en/

こちらはオランダ発祥で10カ国に展開しているコミュニティ。修理して長く使うという文化は日本では受け入れられやすいですよね。江戸時代には修理ビジネスが盛んだったようですし、循環型社会という観点ではよく江戸時代のことがとりあげられます。スウェーデンの法案は消費を減退させるという懸念もある一方で修理ビジネスで雇用が生まれるという意見もあります。ただ、ものあまりの現代に、何が人々を惹きつけるかというと、お金をかけずに修理したいという機能的なジョブではなく、愛着あるものを大事にしたい、お互いに助け合いたいという、感情的・社会的ジョブのようです。


機能的、感情的、社会的と、ジョブ(人が本質的にやりたいこと)は異なります。また、こうしたジョブは何がしたいですか?と聞いたり、アンケートの質問項目からだけでは、なかなかひろえないものです。


人が本質的に解決したいこと、やりたいことを妨げている障害、ジョブにまつわるストーリーを描いて、顧客が商品・サービスを雇う仮説を立てる。こんなことをするためのポイントを押さえるワークショップを開催します。

新規事業開発部」「イノベーションセンター」「事業共創室」「◯◯イノベーション室」 ・・・このような名前の部署が最近増えています。

そして、そのような部署から相談が増えています。

よくある相談内容は、このようなもの:"肝入りで部署ができて1年経ったのですが、成果があがっておらず、焦っています。この先どうしたらいいか、相談に乗って欲しい・・・" 

話を聞いてみると

  • 新規事業の組織をつくった
  • 新しいプロセスを定義した
  • 定期的なレビューがあり、報告する内容がなくなった

といったところ。

仏作って魂入れず

担当者にしてみれば、かなり切実な問題です。 なにせ新しい組織の責任者に就任したばかりで、初めてのことを任され、結果を期待されている訳ですから。 しかも、最初のプロセス設計に予算の大半を費やしていて、予算もほとんど残っていないという事態です。 なので、相談者もかなりバツが悪そうになんとかしてくれないか、という相談の仕方なのでこちらも放っておけません。

出来上がったプロセス、つまり仕組みが機能していることを証明するため、何か実プロジェクトで成果を出すことが求められます。一言で言うと、プロジェクトの「火消し」です。正確に言うと、トラブルが増えて炎上しているわけではなく、むしろトラブルすら生じていない仮死状態からの「蘇生」と言った方が正しいかもしれません。 私たちはメンバーと一緒に、新規事業プロジェクトの立案時に想定したことを聞き出し、重要かつ実現性の難しいものを問い直すことから始めます。

数回の打ち合わせである程度はブラッシュアップできたとしても、市場での検証にはかないません。仮説をベースに、市場検証を通じてビジネスプランの確度を高めるのです。この進め方については「リーンスタートアップ」や「ザ・ファーストマイル」にも書かれていますので、これ以上はここでは割愛します。

今回は、「なぜこうなったのか?」について考えてみたいと思います。

もちろん、その問題の原因は、時間とお金をつぎ込んでつくったプロセスにあります。

ですが、間違ったプロセスを設計してしまったわけではありません。理論的に間違っていない教科書からコピーされているので、プロセスは間違いようがありません。


プロセスの中身ではなく、意味


書かれたそのプロセスを読んだだけでは、その通りに「人はできない」ということなのです。人はそのプロセスの意味を、長年染み付いた従来の「仕事のやり方」に照らし合わせて理解してしまいます。書いてあることはイノベーティブでも、やっていることは昔のまま、といった感じでしょうか。とにかく、「惜しい・・・」のです。キモの部分がもやもやっとしていて、具体性が欠けていたり、誤魔化せるようになっていたりします。

例えば、「アイデア審査」というレビュー会がプロセス上規定されているとしましょう。 すると、レビューワーは「アイデア」として審査しないといけませんが、姿も形もないアイデアを評価したことなどある人は一般にいないので、混乱が起きます。その結果、既存事業のステージゲートで審査していたのと同じような観点で、同じような基準で、「切って」いくことになります。モノの生産であれば、歩留まりが悪くなったとしても品質が上がるのですが、アイデアの場合はかえって悪くなります。なぜなら、切られるのは人であり、モチベーションであり、アイデアだからです。

レビューワだけではありません。例えば、「顧客インタビュー」をして「インサイトを得る」とプロセスに定義されていても

  • 売る前から顧客を定めることができない
  • 顧客を定めても会いに行けない
  • インタビューをしたことがない
  • 聞いた言葉がインサイトにつながらない
  • 何をもってインサイトと呼ぶかわからない 
と、プロセスを初めて見た人にはその通りにはできません。

「プロセス」はしばしば「仕組み」という言い方をされるように、無機質で機械的なものだと認識されてしまう傾向にありますが、人が生かしてこそのプロセスです。あとから「蘇生」させるよりは「生きた状態」でつくりたいものです。

4コママンガは勢川びき(瀬川秀樹)さん作
dna_result.png
ここ数年、イノベーション人材育成の活動が増えてきています。上の図はイノベーターDNA診断の結果ですが、おかげさまでこうした人材に関する面での当社への問い合わせも増えています。

どの企業も10−15年後に今の製品・サービスで稼ぎ続けられるとは思っていないでしょう。既存事業を上手く回す人材だけでなく、新規事業を作れる人材、それもイノベーティブな新規事業を生み出して将来の自社の基盤を作れる人材が必要だと考え、イノベーション人材を作ろう!イノベーションを起こす力を身につけるトレーニングを導入しようとなっています。
イノベーションというテーマへの取り組みが、R&Dや経営戦略から人材育成の観点まで活動が広がっているのは嬉しい事なのですが、育成プログラムを企画する段階で、工夫すべきと感じることがあります。それは、選抜とスキルのとらえ方です。

選抜

将来を担う人だからということで、経営幹部候補いわゆる既存ビジネスのエースが集められることが多いのですが、ここで押さえておかなければならないのが、本当に新規事業の立ち上げを任せられるかです。

エースなので当然彼ら彼女らには背負うべき事業や部署があるでしょう。既存ビジネスを守るだけでも大変なのに、将来のビジネスを考えろと言われても困るというのが参加者の本音かもしれません。そんな中で新規事業を立ち上げるための一連の知識やスキルを身につけ、日々の業務をこなしながら、新規事業の企画書を作り上げるのはけっこう辛いことです。気合を入れて最終プレゼンに臨み、パフォーマンスを発揮し、これは事業化を進めよう!という評価を得ても、「既存事業もしっかり進めてくれ!」という一言がつくと、所詮は研修かと一気に気持ちが冷めてしまいます。

新規事業を生み出す考え方を将来の経営幹部にも学ばせるという目的であれば研修として割り切るだけですが、もし、より新規事業のアイデアそのものにフォーカスするのならば、既存ビジネスのエースばかりではなく、選抜よりも自主的な手挙げでの参加を重視して参加者を募ることをオススメします。
むしろ既存ビジネスでは上手く動けていない人材にこそ任せるべきかもしれません。既存ビジネスと新規事業開発に求められるスキルセットは違うし、今失うものが無い人の方が思い切って新しいことに飛び込めます。

スキルのとらえ方

既存ビジネスを上手く行うためには理解して身につけるべき知識やスキルが沢山あります。成熟したビジネスであるほど、その量は増えていきます。一方で新規事業の立ち上げにおいて大事なスキルは行動して学習することにあります。身につけるべき知識や考え方もシンプルな原理原則が多いので机上で知識を詰め込むというより原理原則を理解して実践しながら学習するのが効果的です。

イノベーター(新規事業に飛び込める人)とそうでない人を分けるのは、知識や考え方よりも行動特性にあります。知識が足りないのではなく、分かっていても出来ない/やらないということがほとんどです。

ちなみに行動特性とは以下のようなものです。
・その場を凍りつかせるような本質的な質問を呼吸をするように自然に問い続けられるか?
 (例えば、熱っぽく技術の凄さを語っているエンジニアに、「それは誰にとって価値があるの?」と聞く)
・普段の業務と直接関わらない多様な人たちとのネットワーキングを行っているか?
 (単なる飲み会ではなく、事業機会の発見等の明確な目的をもって行っているか?)
・思いついたアイデアを既存ビジネスのしがらみをおそれずに気軽に実践できるか?
 (手間と時間のかかる承認プロセスを無視して、直感とスピード感で振る舞えるか?)
既存ビジネスの円滑なマネジメントとは反するような行動も必要になってきます。

既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?

「考え方を学んで欲しいのか?新規事業のアイデアが欲しいのか?」
白黒つかない、グレイな問題ですが、指針がないと中途半端な結果に終わってしまいます。

「既存ビジネスのエース、経営幹部候補が、
  イノベーターを活用するための考え方を学ぶ 」

「新規ビジネスに挑戦したい人材が、
  イノベーションを起こすための考え方と行動の機会を得る 」

プログラムのコンセプトを明確にするのが、人材育成の適切な企画づくりの第一歩です。 
コミュニティサイクル幅9.png

 こちらの赤い自転車をご存知でしょうか?
 中央、港、千代田、江東の4区で広域実験中のコミュニティサイクルのサービスです。
 広域かつ乗捨て可能なので私もよく利用しています。今月から月会員になりました。

 今まではレンタル自転車というと、観光地などで1日貸しというイメージが強かったのですが、日々の生活や通勤に利用できるサービスとして浸透してきました。既に海外の大都市では、パリのヴェリブ (Vélib')は2万台、台北のYouBikeは1万台と普及していますが、日本ではまだまだこれからですね。

 このコミュニティサイクルをIoTの成功事例として考えてみましょう。
 「IoTはどんなジョブを解決しているでしょうか?」

 もし、IoT無しで運営しようとすると、以下の課題を解決しなければなりません。

  • 番人が必要
  • 同じ場所に返却(or複数の番人+照会)
  • 稼働率が不明、メンテ時期不明
  • 空気圧不明、バッテリー残量不明
  • 貸し出し用鍵の管理が必要、スペアキーが必要
  • 鍵をなくすリスクあり
  • 貸し出しの際のID確認が必要
  • 貸し出しの際のデポジットが必要
  • 貸し出し時間の管理が必要
  • 代金を徴収し忘れるリスクあり
  • 番人が着服するリスクあり
  • 貸し出し場所の案内が必要
  • 等々

 けっこう面倒くさいですよね。
 自転車+IoTで自転車をスマート化することで、これらの課題を一気に解決することができます。

 IoTによる技術革新の流れは既存の製品・サービスを破壊するポテンシャルを秘めています。第四次産業革命とも称され、その経済的影響力は数百兆円とも言われていますが、現段階では多くの可能性(ホームオートメーション、監視/セキュリティ、遠隔コントロール等)が示唆されるものの、既存市場を破壊し尽くすまでの猛威は振るっていません。「何でもできそうだけれども、何をするのが良いか?」決めあぐねているのが多くの企業の現状ではないでしょうか。

 破壊的イノベーションは人間と技術の両サイドの変化によって起こります。IoTのような破壊的技術は、それによって人間が本質的にやりたいことを実現できたときに初めて爆発的な普及力を見せます。つまり、技術サイドではなく、人間が本質的にやりたいことの変化および、それを実現できないでいる障害を特定し、その障害を破壊的技術がどう取り除くかを描くことで、IoTをビジネスチャンスに変えることができます。

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 IoTを活用して、ジョブを解決し、ビジネスチャンスを作る。
 JOBSメソッドの応用セミナーも開催しております。

無事機体設計を終え、大会に向けて作業を進める毎日をすごしていた3月、突然その日がやってきた。

工房に到着すると作業テーブルとして使っていた畳一畳サイズのベニヤ板の上に一枚の葉書が届いていた。先に到着していた中尾に何かと聞くまでも無く、それが今年の大会出場の可否を決める書類審査の結果であることはすぐに分かった。自転車から飛び降りてダッシュでその文面を見ると、

専門家による厳選なる審査の結果、落選と判断させていただきました

が〜ん・・・ し〜ん・・・ ち〜ん

自分の中で完全に時間が止まった。可能性はゼロではないとは思っていたとはいえ、想定という意味では、ほぼゼロでだったためバックアッププランなんて全く考えていなかった。

まず何より思いついたのは、チームリーダーとしての責任感からか

今年一年どうしよう・・・何をしてすごそうか・・・

である。悔しいとかそんなんじゃ無く感情としてはニュートラル、頭の中が真っ白とはまさにこういう状況をさしていうのではないだろうか。

そこにもう一人のメンバーの健ちゃんがやってきた。自分達の雰囲気を見て事を察したようだ。そこには言葉は殆どなかった。三人が放心状態で作業台を囲んでいるときに、おっちゃん代表の中野さんがやってきた。

 中野:「どないしたんや?人生終わったような顔して?」
 津嶋:「いや・・・書類審査に落ちました」

 (少し沈黙)

 中野:「ほ〜ん、それで理由は聞いたんか?」

 津嶋:「理由を聞く?? 理由を聞くって言ったって、葉書での通知ですよ。」

 中野:「それやったらなおさらやろ。そんな紙っぺらでおまえらは納得するんか?おまえらの思いはそんなもんなんか?」

 津嶋:「・・・納得って言われても、どうすることもできないじゃないですか??」

 (ちょっと興奮ぎみ)

 中野:「葉書には普通連絡先が書いとるもんやろ、事務局とかなんとか・・・納得できんのんやったら電話して理由を聞いたらええやろ。」

 (確かに・・・)

 津嶋:「でもこういうのって誰に聞いたら・・・」
 中野:「そりゃぁ審査した責任者と話したいってゆ〜たらええやろ。それかプロデューサーとかなんとかいうのがおるやろが。」
 
 津嶋:「中野さんもしかしてプロデューサー知ってたりするんですか?」
 中野:「俺が知るわけないやろ」

 (沈黙)

 津嶋:「つながりますかねぇ」
 中野:「そんなん知らんわ、俺には関係ない話やからな・・・おまえらの好きにせぇ〜や。わっはっぁ〜」

この会話を通してまず自分の中で雷が落ちた・・・葉書を見たときに事務局に電話してみるなんて思いつきもしなかった。

その一方、中野さんにも試されてる・・・とも感じた。ここは引き下がるわけには行かない、「では準備してから・・・」なんて言ったらまた一蹴されるに決まっている。一度深呼吸して、工房横の中野さんの奥さんが働く事務所の電話を借りて電話してみることにした。

プルプルプル・・・

 事務局:「はい・・・読売テレビ鳥人間事務局です」

 津嶋:「あ・・・はい。え〜・・・鳥人間コンテストの書類審査に申し込んだ堺・風車の会の者ですけれども」

 事務局:「はい。いかがいたしましたでしょうか?」

 津嶋:「あ・・・本日、審査結果が届いたのですが、結果は落選ということでした。でも自分達は本気でがんばっておりまして、今年は絶対飛べるって思ってるんです。落選の理由を聞きたいと思っておりまして・・・え〜そこで審査の関係者にお繋ぎ頂きたいと思っておりまして・・・」

 事務局:「少々お待ちください」

 (少し沈黙)

 事務局:「今回の結果は大変残念なのですが、そういうお問い合わせに対しては個別に対応はしないことになっておりまして、申し訳ありませんがお引き取りいただければと思います。」

 津嶋:「え〜、そこをなんとかお願い出来ませんか?一言でもお話が聞ければ自分達も納得できると思うんです・・・お願いします。」
 
(うん?何を言っているんだか分からないがとにかく必死に食らいつくしかない)
 
 事務局:「申し訳ありません」

ガチャン・・・プー、プー、プー

 中野さん:「ど〜やった?納得できる話は聞けたんか?」

 津嶋:「いや・・・個別には対応できないということで断られました。」

 中野さん:「わっはっは〜そうか。事務局もつめたいよなぁ〜。」
 
 (そんな笑われても・・・そもそも繋がると思ってなかったんじゃぁ??)
 
 津嶋:「普通こういうのって繋がるもんなんですか?」

 中野さん:普通??・・・そんなん普通なんかあるわけないやろ。あの手この手で繋げるんや。」

 津嶋:「・・・」
(まぁ言いたいことは分かりますが・・・そんなに手の内ないし・・・)
 
 (沈黙)
 
 中野さん:「で??もう諦めたんか?」

 津嶋:「え??・・・もう1回電話しても、同じことになりそうなので・・・」
 
中野さん:「はぁ?これやからおまえらはダメなんや。プロデューサーはどこに出社しとるんや?」

 津嶋:「まぁそりゃぁテレビ局じゃないですかね。」
 
 中野さん:「せやろ・・・テレビ局にはどうやって入るんや?」
 
 津嶋:「そりゃぁ入り口からですよね・・・(なんでこんなことを聞く??・・・もしや)」

 中野さん:行ったらええやん?その入り口に。毎日待っとったら会えるやろ。おまえら学生やし、大阪に住んどるんやからそれを活かさない手はないやろ。頭は使うためにあるんや、飾りやないで」

 津嶋:「(きた〜この突っ込み)・・・ですね。ちょっと作戦考えてみます」

再び自分の中に雷が落ちた・・・。自分の枠がこの瞬間一気に吹き飛んだ。これかぁ・・・自分がずっと違和感を感じていた・・・そしてなんか重いと感じていた枠、壁、錨・・・の存在に気づいた。

会いたい人に会うための手段・・・これを外せば選択肢はいくらでも考えられるじゃないか・・・しかし、こんなん本当にうまくいくんやろか??ありなんかなぁ??不安と疑問で一杯の中、プロデューサーにどうやって会うか?それを考えることにした。

その翌日、いろいろ考えたが結果的に正面突破以外の妙案が見つからず、早朝に社員用の通用口前にでも会えるまで毎日通うしかない・・・という覚悟で、テレビ局近くに住んでいた中尾とスケジュールを考え始めていた。

その時、中野さんから奥さんから、

「津嶋くん・・・なんか今日読売テレビから電話があってね、このプロデューサー宛に電話して欲しいという事みたいよ。なんやろね?」

あらら・・・どうやら会いたかったプロデューサー宛てに電話して欲しいとのことらしい。こっちの思いが伝わったのかな??よく分からないけど、とりあえず電話してみることにした。

わぉ!どういう事の変化か分からないが、どうやら会うだけは会ってくれるらしい・・・指定された日時に中尾と二人でテレビ局に訪問することを約束することができた。


そしてその日がやってきた。二人は当時まだ18歳、有名企業の・・・しかもテレビ局で打ち合わせをするというだけでも心臓バクバクのシチュエーション。しかも自分が挑戦しようとしている番組のプロデューサーに書類審査落選の撤回交渉をする?!という極めてチャレンジングな場に臨むことになったわけである。

 二人:「こんにちは」
 プロデューサー(P):「いやぁ、よく来たね。」

(あら・・・色黒の少し強面の方ですが、想像以上にフレンドリー)

 津嶋:「今日はお時間を頂きましてありがとうございます。」
 P:「要件は分かってるよ。ただ審査は専門家の評価を元に平等に実施されているからね。その結果として、君たちの機体は不完全という判断が下されていたんだよね・・・。」

 津嶋:「どの辺りが不十分でした??図面だけでは伝えられない事が沢山あると思うので、今日は他の資料や写真も多数持参しました。これらを見て頂ければ、飛ぶ機体だということを理解頂けると思っています。」

 P:「う〜ん・・・気持ちは分かるけどね、審査は基本図面だけで行われてるんだよね。補足資料があったとしても君たちだけ例外というわけには・・・」

 津嶋:「それは分かっておりますが、よろしくお願いします(とにかく思いを伝えるしかない・・・)」

 (沈黙)

 P:「まぁね。君たちの思いは分かった。ただ同じような理由で落選しているチームは沢山あるんだよね。君たちは、たまたま大阪にいたからこうしてここに来れているけど、そう簡単にこれないチームも一杯あるんだよね・・・ただ確約はできないけど、今考えていることをすべて図面上に描いてみて。一応、内部で再検討することだけは約束するよ」

 二人:「ありがとうございます。必ず納得していただく図面に仕上げます」

お〜!!!いけるかもしれない。帰りはこれを期におっちゃんに任せっきりだった図面を自分達でやろう。短期間にCADのオペレーションをマスターしてプロデューサーをうならせる図面を描くぞ!と心に決めて、二人で大興奮で帰路についたのである。


ここからはプラント設計をしていたおっちゃんメンバーの会社に通い、CADの使い方を教わりながら、以前はA3だった図面を大型プロッターを活用してA0サイズ(841mm×1189mmの大判)の図面の中にとにかく様々な情報を盛り込んだ図面を形にしていった。この辺り目標ができたら強いのが若い力である。おっちゃんメンバーにも協力してもらいながら毎晩夜遅くまでの作業を繰り返し、期限までに自分達としても納得のいく図面に仕上げることができた。


EgretDrawing.gif
そして約束の日時に大きな図面を抱えて自信をもって再びテレビ局に伺うことになった。
プロデューサーからは、なんと!

「思いと図面は受け取りました。君たちを応援したいと思います。」

その一言の後、社会を知るための尺度の持ち方についての考えを時間を掛けてお話いただき、ご自身が担当している他の番組の見学も約束してくれた。


落選の葉書を受け取ってたどん底からの怒濤の2週間・・・正直何が起こったのか、正直自分の中でもうまく整理がつかないでいた。

ただ・・・この2週間の自分達の行動で、我々の未来が180度変わった事だけは真実である。


笑顔一杯で工房に帰った。まず何より中野さんにその結果を伝えたかった。

 津嶋:「中野さん 今年出場できるようになりました!信じられません。奇跡ですよこれ。」

 中野:「何が奇跡や?!おまえ全然わかってへんなぁ。世の中は何でも自分達と同じ人間が決めとるんや。神様が決めてとるわけやないんや。おまえらがつかんだ結果やないか・・・奇跡なわけないやろ。分かったか?」

 中野:「・・・でも良かったな。」「プロデューサーは応援するっていうてくれたんやろ。今度はおまえらがその期待に応える番やぞ。約束は守るもんやで」


この一連の出来事は津嶋自身にとって人生への向き合い方のパラダイムを大きく変えることになった。
そしてこれをきっかけにしてWindMill Clubの活動は大きく加速して行くことになる。

そして何よりこの出来事の裏には、1年半後に初めて分かった真実のサイドストーリーがある。
気になるかと思うが、それはまだまだ先の回にとっておこうと思う。