働き方改革という言葉が一人歩き、いや、迷走しているように感じます。
色々な人がその違和感を表明しているけれど、おそらく根底のズレは「働き方」を測る指標として「労働時間」を取り上げている点にあるのではないでしょうか。長く働くべきだとか、短時間で仕事をしたいだとか。それって果たして「働き方」と関係するのか疑問をもってしまいました。

働き方改革をして労働時間を短くする、とか、働き方改革によって休暇取得を増やすとか、生産性を高めるとか...
そうなると、長時間労働は悪なのか、はたまた誰もが一度は経験する修行なのか、意見が激しく分かれてしまいます。

労働を強いているのが経営者であることもあれば、自らやりたくて働いていることもしばしば見受けるわけです。どちらでもなく、一人モーレツな人が周りにいると、暗黙に「強いて」いるような状況があることもわかります。なので、議論は平行線です。

視点を時間ではなく、「やらされていると感じる」かどうか?においてみてはどうかと思うのです。
ポイントは2つあって、1つは「やっている量」ではなく「主体性」。
もう1つは、きっかけはどうであれ、本人がどう感じるか。

そもそも「やらされている」と感じれば、人の生産性はガタ落ちするし、そもそも最低限の結果のために最大限のやらない理由を考える動機が生まれます。
また、きっかけとして上司や経営者から仕事を指示されたとしても、やっているうちに楽しくなったりすることもしばしばあるので、「本人がどう感じるか」が大切だと思うのです。

例えば、優秀なエンジニアがいたとします。とても有能なので、仕事をたくさん任され、評価も高いので次第に「マネージャーやって」という雰囲気になります。ここで、本人が「人の管理なんてやりたくない」という「優秀なエンジニアがマネージャーをやらされる」ことって組織よく起きるあるあるですよね。
会社として、優秀なエンジニアが組織をリードすることはメリットもたくさんあります。本人としても、やってみてところ新たな才能に気づくということもあるかもしれません。
けれど、そんな見込みで昇進させて「やらされ」続けているマネージャーがいたら、部下たちはたまったものではありません。本人が「やらされている」と感じている以上、スキルアップすることも、おそらくないでしょう。身につくスキルといえば、「いかに汗をかかずに最低限のことをやるか」ということに意識がいくことになるはずです。

やってみる前は毛嫌いしていた仕事を好きになったという経験も私にはあります。そういう時は、逆に気づきたくさんあって、学びも大きく感じます。なので、決して「全員の意見をもれなく聞いてから仕事のアサインを」といったような非現実的な理想を言っているのではなく、「やらされ感」を減らすような工夫はした方がいいのではないか、と思うのです。

とにかく、働き方の改革をするなら、量ではなく質的なKPIがあった方が何かと好都合なので、「やらされ感指数」を取ってみてはどうでしょうか。「やらされ感」がない組織は強いと思いませんか?



はじめまして。

4月から社員となりました加藤です。

これまでは、IT関連のエンジニアリングやコンサルティングや現場で仕事をしてきました。プライベートでは秋葉在住の生粋のナードです。

 

これからINDEE Japanで魅力的なストーリーに出会い、現実化の場に立ち会えること大変楽しみにしています。 

今回は、完全には染まりきらない感覚のうちに、弊社の印象について、業務、メンバ、職場、働き方の面から書き残しておきたいと思います。

業務

弊社が標榜としている「イノベーション」という言葉からは「奇跡のような偶然」「万にひとつの才能」「不屈の執念」が要求される世界をイメージされるのではないでしょうか?

しかし、少し語らせていただけるのであればその感覚は少し行き過ぎているようです。たしかにそのような側面が強いケースも存在はするようですが多くの場合は、

 

  1. 確立されたメソッドに従って不確実性に対処すれば
  2. 思わず「やられた」と口に出してしまうような身近なところから
  3. 普通の人が

 

触れることができるのが、イノベーションの世界であるようです。

メディアや教科書では特殊で一般受けする事例ばかりが取り上げられているので、「かなりの困難」がつきもののように受け取られているのかもしれません。困難を演出しなければ、ドラマになりませんので! )

 

一方で、理想と現実を架橋するためには、現実の世界とも厳しく向き合わなくてはいけないこともまた事実です。

実際に、まっとうな努力や工夫を遂行していくことは確かに必要となります。ときには、「失敗してもよい」という覚悟と「絶対にやり抜く」という覚悟が共に必要となるかもしれません。そうした意味では厳しさもある世界です。

メンバ

コアメンバとして活動している津田、津嶋、山田はとてもバランスが取れたパーティーです。RPGに例えるのであれば...

  • ウィザード : 津田
  • ナイト : 津嶋
  • ビショップ : 山田

といったところでしょうか? (※ 各メンバと面識がある方なら何となく納得感があるのでは? )

これはまさしくRPGにおける理想的な最小構成で、各位がラストダンジョンにも挑めるレベルに達しています。私にとっては全員が頼れる先輩です。

先週は顧問メンバにもお会いすることができました。勇者のような方ばかりで最初は引いてしまいましたが、話しやすく頼もしい方たちばかりでした。


今の私のクラスは、「強大な召喚獣を情報システムになぞらえて」召喚士というところでしょうか。

日本では「式神使い」などとも言われたりしますね。津田からは、「ウォーリアーを目指してくれ」ともコメントを頂いているので、「筋肉ムキムキマッチョマンの召喚士」を目指して筋トレにも励んでいきたいと思います。

職場

本石町には大きなテーブルと、社員が大切にしている本屋や雑貨が詰まった大きな本棚があるだけです。人が集まると部室のような雰囲気になり、日々楽しく働いております。

東京駅までは歩いて10分。世界中のどこにでも身軽に誰にでも会いに行けて、しかも居心地も良い職場です。

働き方

各自が主体的にコントロールをしていくことが社を支えていると感じます。

 

基本的に新しいサービスやテクノロジは、積極的に試してみる方針を取っています。連絡手段としてのメールは社内的には「すでに死んでいる」ことが、この文化を象徴しています。

 

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こんな環境を、私はとても気に入っていますし、自分にあっているとも感じています。すぐにGWが来てしまうことが少し悲しいぐらいです。 

 

一緒に楽しめそうなネタのタネがあれば、是非弊社に遊びに来てください。

キラキラしたスタートアップ?!

2017.4.9 INDEE Japan-s.pngキラキラしているらしいです。

スタートアップって、外から見ると。




 でも、それはまるでシンクロのように外から見えるところは美しいけれど、水面下は思いっきり足を蹴っているみたいな様子です。

水面下は目一杯蹴っていながら、さらに手を高く上げ、見た目のキラキラ感は増すけれど、ツラさも増す。そんな感じかもしれません。



たとえ話はこの辺にして。 


大人のビジネスチャンス?!


ある程度会社勤めもして、会社の構造が見えてくると、大人なチャンスが巡って来ることがあります。 IBMの研究者が起こしたオラクルや、オラクルから出来たセールスフォース、ゼロックスから飛び出たアドビ、など、大企業での経験がきっかけとなり大きなビジネスをつくり上げた例は少なくありません。

 大企業には、大きいなりの業務があったり、人間関係があります。別の言い方をすると、隠れたジョブがたくさんあります。中には、面倒でやっかいなプロセスがあり、そのような未解決なジョブはビジネスのアイデアになるはずです。例えば、セールスフォース・ドットコムを創業したベニオフは、大企業でソフトウェアのバージョンアップのプロセスがあまりに面倒で非効率なのを目の当たりにしたことがきっかけで、SaaSやクラウドの未来を想像したのです。 社内にいればイライラするプロセスも、そのイライラを持って外に出ればB2Bビジネスのきっかけになるのではないでしょうか。
ZENTECH DOJO in Nihonbashi では、こういう大人のチャレンジを応援しています。



4コママンガは勢川びき(瀬川秀樹)さん作


 


ビジネスモデルキャンバス最高!
絵画用のキャンバスって普通は真っ白で、どこから書いてもよかったりしますが、ビジネスモデルキャンバス(BMC)には9個の枠があります。
それまで新規事業の構想を真っ白な紙に書いていた時代と比べ、BMCはとても魅力的に映るのではないでしょうか。
このBMCを初めて見た人の典型的なリアクションには、以下のようなものがあります。

  1. 分かる。もう頭の中で近いことをやってたけど、人に伝える際に整理されていいかも。 
  2. 納得。なるほど、今までやってきたことはいくつかの箱の中のことだけだったから、失敗したんだ。これからは全体像をとらえて事業開発しないと。 
  3. 手法化。これが新規事業をやる方法論か。勉強して理解しないと。 
  4. 分析。これで自社ビジネスや競合を分析したら面白いかも。理論武装に役立ちそうだ。 
  5. 無関心。こんなものでビジネスが立ち上がるなら誰も苦労しない。オレには関係ない。 

このように最初の反応は様々ですが、いざ初めて使ってみたときの反応はほぼ同じです。
「箱を埋められない...」
なんとかなるさ、とノリの良い人にとっては、検討している複数の可能性から1つだけを言葉にして書き込むのに抵抗を感じます。また逆に、ほとんどの人はビジネス全体のことなんて考えたことがないので、穴だらけで全部の枠を埋められないという事態が生じます。

なぜ、ここまで期待が膨らんだのか?
新しいツールが登場すると、いつでも期待されるものですがBMCには期待が膨らむ要素がいくつもあります。
  • 「ビジネスモデル」という抽象的な概念を、目に見える「箱」で表現している。
  • 日本企業が自信を持つ「技術」とは一線を画す切り口がある。
  • 9つの箱の意味や内容について侃侃諤諤と会議室で議論できる。
  • 「シリコンバレー」ブランドがある。
つまり、BMCについて初めて話を聞いた人は、ぼんやりと考えていた「ビジネスモデル」に輪郭が生まれ、これまで苦労していた技術の商業化への期待を持ち、部下を集めて会議を召集しやすく、キャッチーなツールだと感じるのではないかと思うのです。


ビジネスモデルキャンバス再考
裏を返すと、「ビジネスモデル」についてぼんやりと考えていたり、技術の限界に薄々気づいていたりという程度の認識で、しかも会議室でのディスカッションとなってはフレームワークがいくら新しくても新しいものが出てくることはありません。すでに言語化できたアイデアを共通言語化するツールとしては、BMCは有効です。抽象的な概念が可視化されますし、ビジネスとして重要な部分にフォーカスが当たります。つまりBMCは、ビジネスアイデアのメディアではあるものの、決して新規事業が生まれる打ち出の小づちではありません。考えてみると、「共通言語化」する前に「言語化」しないといけないんですよね。
もし新規事業を生み出したいのであれば、ワークショップでみんなで書くのではなく、まずは黙々と言葉にして書いてみてはどうでしょう。



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 人材育成という、誰もが語るけど、誰も語り尽くせないテーマを少しでも捉えやすくするために整理してみました(だいぶ私見が混じっていますので、複雑なテーマを整理する叩き台として、読んでくださいね)

 人材育成に関する世界最大のコミュニティは atd(元ASTD)ですが、2017年5月に開催されるカンファレンスのコンテンツトラックには、キャリア開発、グローバル人材開発、人財、インストラクショナルデザイン(教育工学)、リーダーシップ開発、ラーニングテクノロジー、学習の測定と分析、マネジメントとのエンゲージメント、トレーニングデリバリー、学びの科学といった内容が並びます。あふれる情報は専門家としては知っておくべきことかもしれませんが、逆にこれら全てを押さえたからといって、効果的・効率的で、経営者・管理職・社員の要望を満足する育成が行えるわけではありません。

 人材育成に限らず、情報収集の前に、そもそも何のために?という目的を設定することが大切です。やっかいなのは、この目的が時代とともに移り変わること、業界や環境において異なることです。そこで、人材育成の変化を4つの段階に見ることで、目的と手段の組み合わせを考えてみたいと思います。ちなみに、古いものは不要ということではありません。むしろ、やり方が増えているという理解をした方が、ステレオタイプなバズワードに踊らされずに済みます。

 暗黙の前提として、企業内の人材育成を想定していますが、「働き方改革」が叫ばれる昨今、企業という枠の捉え方が変わってきています。企業という虚構が崩れようとしている?のかもしれません。
 枠が外されて自由になった時、改めて、過去に主流だった手段(の現代版)も含めて様々な人材育成の選択肢が活用されます。人材育成に関わる方にとっては腕をふるうチャンス、企業研修に関わる企業にとってはビジネスチャンスです!


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人材育成1.0 徒弟制度

 1.0は徒弟制度です。いわゆる現在の企業内における人材育成から見ると、育成とは言えないという意見もあるかもしれませんが、実は現在も続いて行われている最も基本的な人材育成です。
 多くの技術(工芸、工学の分野だけでなく、コミュニケーション、営業術等のソフトスキルも含めて)が、現在もOJTという名の徒弟制度で伝達されています。
 徒弟制度だけでは一度に大勢を育成することはできないので、多くの技術が書籍やトレーニングプログラムとして安価に広く提供されています。しかし、現場の実践者(上司も部下も)から、「こうしたパッケージ化された育成は現場で使えない!現場での実践こそが大事だ!」という声を聞きます。少しでも実践的になるようにとカスタマイズで対応しますが、限界があります。
 こうなってしまうのは、目的と手段が合っていないからです。左の写真のように、一人の弟子を一人の親方が時間をかけて、仕事の最初から最後までを教えていくことができれば、少年はやがて立派な親方へと育っていくでしょう。その代わりこのやり方は多くの弟子を一度に抱えることはできないですし、親方が十分に優秀で、教えられることが少年の時代にも通用することが前提になっています。守破離の守の段階を伝達するためのやり方です。
 現代ではこの様に少人数でじっくり基本を叩き込むといった育成機会は、非常に貴重なものです。仕事の最初から最後までのどの部分で活用するか?残りの部分をどうやって補完するか?目的に応じた人材育成の全体設計を工夫すれば、徒弟制度は有効な武器になります。


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人材育成2.0 階層別研修

 2.0は階層別研修です。ここからがいわゆる企業でイメージする研修です。社員が増え、OJTだけではまわらなくなり(上司や部下のバラツキが大きくなりすぎ上手く育成できなくなり)、職種や階層に合わせて一定レベルの人材を育成するための手段として必要になってきました。
 企業がオペレーショナルな業務を抱え、それを回すために均質な人材を必要としていることが前提になります。工場の操業の様な常に安定した品質が求められる職場には必須のものですが、組織の維持・管理という観点で、主任・係長・課長・部長、更には役員まで、ピラミッド型の階層を維持するために広まっていきました。テーマ的にも時間管理やマネジメントの基本的なものからリーダーシップ等へと広がっており、研修全体のボリュームとしては未だに多くをしめるでしょう。
 この手段はどの会社でも必要となる様な汎用的な内容で、どちらかというと組織の維持に重点がおかれていますが、問題解決、課題形成、戦略策定といった各企業・職場ごとの特性に合わせた(いわゆる実務により直接的に結びつく)テーマが研修の場で取り上げられる様になってから、少し様相が変わってきました。
 親方の技を伝えるでもなく、組織を維持する均質なスキルを広めるでもなく、自分たちが今抱えるテーマに取り組みながら、学習とそれによる効果を一度に得ようというやり方です。答えを学ぶのではなく、答えの出し方を学ぶ必要性が出てきました。全ての階層がより多くのスキルを身につけなければならなくなってきています。


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材育成3.0 アクションラーニング

 3.0はいわゆるアクションラーニングです。この言葉自体、いろいろな解釈をする方がいますが、ここでの定義としては、「業務上の重要な課題を扱う」「異なる専門分野の関係者が知恵を出し合う」「講師ではなくファシリテーターが学習プロセスを導く」ととらえてください。
 徒弟制度は、あるギルドの中に閉じこもっている。階層別研修は均質な知識の伝達に止まってしまう(問題解決のスキルを全員に伝えたとしても、問題解決への行動は担保されない)。もっと短期に成果のでる研修を行え!という要求から生まれてきたものがアクションラーニングの様な実際の課題を扱った手段です。
 時代背景としては、企業が直面する問題が複雑になり、複数のステークホルダーが絡み、特定のやり方や特定のメンバーだけでは対処できなくなってきた。より短期の業績が重視され、将来につながる人材育成(このやり方が将来につながらない訳ではないですが)よりも、直接の問題解決の方が重要になってきた。といったことが挙げられます。
 アクションラーニングで押さえておきたいポイントは、コンテンツをいかに上手く伝えるかという講師の腕から、学習者がいかに本当の問題を見つけそれに対してアクションを起こせる様になるかという、ファシリテーターの導きや、学習プロセスの設計が重要になってきたということです。伝達するから気づきの機会をつくりゴールに導く!へ、手段としては大きく変化しました。


人材育成3.0.png
人材育成4.0 学習者中心

 4.0は(ここが一番知りたいところだと思いますが)学習者中心です(なんだ、それだけか・・・とがっかりされた方、もう少しだけお付き合いください)。
 左の写真を見てください。子供ですよね。この子たちを安定しているかもしれないが、画一的なレールに乗せて育てたいと思いますか?安定の保証ができなくなっている昨今、Yesという方は少数派ではないでしょうか。
 人生において学ぶべきことは不変なのかもしれませんが、そこから先に必要なことは、学ぶべきことを学習者自身が探していく必要があると考えています。学習者中心のポイントはまさに学習者を中心とすることにあります。
 組織があって、その組織を維持するためではない。
 個人がいて、その個人が世界により大きな影響を与えていくために学ぶ。
 この手段の前提は、既存の組織よりも、これから作られる組織が目的となっていることです。企業が新しい事業(将来の企業)を必要とし、従来の会社の枠が外れ新しい働き方が必要とされる今、学習者中心の手段はより重要になってくるはずです。企業内の人材育成において活用していくには、会社の色やルールに染めるのではなく、会社を変えていくような人材をどう育てるかという視点に立つのが有効です。

 学習者中心の手段を導入するには、そこで育った人材をどう活用するか?を決めておく必要があります。
 これは、社内でイノベーターをどう活用するか?という問いに答えるのと同じです。

 イノベーション、新規事業を起こしたいという企業はたくさんありますが、そのために既存の社内のリソースやプロセスや価値観をどこまで変える気があるか、全ステークホルダーで合意が取れている企業はほとんどありません。企業内でイノベーション人材を育成していくには、様々なステークホルダーと対峙していく必要があります。人材育成が先か、イノベーション・新規事業開発が先か、ニワトリ玉子の課題に取り組むには、いずれにせよ覚悟が必要です。

XEROXのパロアルト研究所(PARC)は、初期のマウスとGUIを発明しておきながら商業化に失敗した代表例とされています。PARCで当時開発されていた試作品を見たスティーブ・ジョブズが、そのアイデアをMacintoshに入れて大ヒットした伝説はあまりにも有名です。

PARCはその1件で評判を落としていますが、レーザープリンターの開発では大きな成功をしており、必ずしも失敗ばかりとは言えないようです。

Macintosh_classic.jpg

Apple Computerにアイデアを盗まれてパーソナルコンピューターの覇者となり得るチャンスを逃したことは、相当悔しかったのでしょう。XEROXの経営陣は、この教訓からXTVというCVCを立ち上げることにしました。この時のXEROXは相当懲りたと見て、本気の組織設計をします。独断で個人が200万ドルまでを投資する権限を与えたり、他のVCとの協調投資を行ったり、独立した組織にします。さらに、成功していたVCファームに倣って、個人への報酬体系も見直し、リスクテイクを奨励しました。その結果、XTVは大きな成功を収めます。8年間で2.2億ドルという他のVCを超える利益をあげる組織になりました。


しかし、そこまでの成功をしていながらXEROXはXTVをやめてしまいます。

その理由は「やっかみ」です。そんなこと?!かのシリコンバレーでもあるんですね。


投資先のベンチャーが成功すると、もちろんのことながらXEROXよりもチヤホヤされます。また、投資をしたXTVの幹部は「キャリー」というベンチャー投資から得られる成功報酬が3000万ドルを超え、XEROX本体の経営者よりも稼ぐことになってしまいました。(当然ながら)XTVの投資先はXEROXの隣接事業なので、「XEROXが作り上げてきた基盤を使って成長した」という理屈もわかりますが、スピード感、独立性、リスクテイクがなければ何も起きなかった可能性も十分あります。では、どうあるべきなのでしょうか?


まず、考えないといけないのは、スピード感、独立性、リスクテイク、といった特性は大企業の仕組みのままでは出すことができないという点です。仕組みの問題ですらなく、むしろ価値観かもしれません。そう考えると、大企業の問題は「現状維持を目指すのか」「成長を目指すのか」といった価値観の共有されていないことにあるのではないでしょうか。意外に感じられるかもしれませんが、イノベーション戦略を立てるときには、人の感情面に対するケアも考慮します。

最近はCVCやコーポレートアクセラレーターが大はやりで、多くの企業で導入されている。オープンイノベーションの掛け声とともに、国内外のベンチャーとの接点をつくったり、若きアイデアマンに対する門戸を開くことは、それまで自前主義を貫いていた大手企業にとって多くの刺激となっており、変革の予感がする。

だが、その「予感」は文字通り感覚で終わり、実態を伴わないものになる可能性がある。
靴ズレが起きているのだ。
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言ってみれば、CVCやコーポレートアクセラレーターは、急速に変化する市場や技術の接点をとらえるための「靴」のようなものである。

そして今、ベンチャーキャピタルやアクセラレーターといった、ベンチャーを模した仕組みに企業は足を突っ込んだのだ。表向きは新しくカッコいい革靴だが、ハイリスクな世界である。しかも足を通したばかり。



いよいよ実際に投資をしたり、協業しようとすると、靴の外見は関係なくなり、新しい革靴の歩きにくさに気づいている企業も増えているようだ。

つまり、CVCやアクセラレーターのリーダー、担当者は足がむちゃくちゃ痛いのだ。

「この足が靴に馴染むのを待つべきなのか、靴が足に馴染むのを待つべきなのか?」と自問自答したり、イベントで会った似た立場の人とああでもない、こうでもないと話が盛り上がる。

話が盛り上がることで痛みは紛れたとしても、靴が馴染むわけでもないし足の形は変わらない。


たとえ話はこの辺にして、この痛みについて書いてみようと思う。

イケてるスタートアップは、未来の事業をやっている、もしくはやろうとしている経営陣によってできている。
そして、大企業は過去の事業をやってきた経営陣が率いている。リーダーはその二つの間に挟まれて苦悩しているのだ。しかも、その苦悩はスタートアップにとってみれば、レジェンドみたいな悩みばかり。逆に企業の経営陣からみると、リーダーがやっていることは危なっかしくて仕方がない。情報も曖昧で不確実性の高いものばかりで、そのイライラをリーダーにぶつけることになる。見ていると、こうしたCVCやアクセラレーターの仕事の8割は内向きの対応で、2割だけがスタートアップに向けられているといったところだ。

したがって、痛みの8割は社内プレッシャーによるものだ。(いや、10割だと反論する人がかなり多そうなので解説すると、スタートアップをしっかり見ているだけにそのギャップに苦しめられているから2割はやっぱり社外から来ると思われる。)なんとかこの痛みを解消しなくては、懲りて2度と革靴を履かなくなったり、無理やり靴を合わせようとして靴を潰しかねない。


インソール

ここで、「インソール」に注目してみてはどうだろうか?

足の形と革靴の間のクッションの役割を果たすインソールである。靴の世界でも、クッション性だけでなく脱臭や通気性など多機能化したインソールが増えており、歩きやすさを損なうことなく色々な靴が履けるようになってきている。

インソールは会社でいうと何でしょうか?

簡単に言うと、このインソールは企業の未来絵図である。単なるビジョンや中計ではない、未来に行なっているべき事業のブループリントが必要だ。

今インソールを使っていない企業が多いので、多くの方にはピンと来ないかもしれないが、CVCやアクセラレーターが機能している企業にとっては「あ、なるほど」と納得してもらえるはずだ。
このようなブループリントがあることによって、あらかじめどんなスタートアップに触れ、提携し、出資をするのか、準備ができる。いきなり来た元気の良いスタートアップにリーダーは歓喜する一方で、社内説明する際にどんよりと悩むことが避けられる。2枚舌を使うことが一部のスキルフルなリーダーで行われているようだが、仕組みとは言い難いだけでなく、危険な戦略である。
内向きなメリットだけではない。ブループリントがあることで機会を見つやすくなる。よく、幸運の女神には後ろ髪がない、と言うが、探しているスタートアップがあれば、いち早く見つけやすくなる。
靴だけでなく、インソールにも着目してみては?
数日前に『数学者、ついにイノベーションを数理モデル化』という記事がMIT Technology Reviewに掲載されました。
(日本語版は有料なので、無料で読みたい方はこちらの英語版をご参考に)

そんな。。。

確かに、イノベーションの研究は進み、さまざまな法則は見つかっています。

例えば、クリステンセンらが書いた『イノベーションのDNA』には、イノベーションを起こす人が持つ行動特性を分析し、重要な5つのスキルを導きました。

しかし、イノベーションそのものをモデル化となると話は別です。人だけでなく、アイデアや資金力、運や偶然も必要とするものだと思っていたからです。

それが新しいアイデアが誕生する"方程式"が存在するとなると大ごとです。いずれはAIで自動的に出せるようにできるわけですから、これは大発見!?それとも大ウソ?! なのでどっちかだろうと、半信半疑で記事を読んだわけです。(釣られたとも言いますが。)


記事を読むと、「近接領域の可能性」が「新しいアイデア」というものの正体だと書いてあります。易しくいうと、すでに存在するものに「可能性のあるもの」をくっつけることでイノベーションが生まれるということです。

一例として新語、新しい言葉が挙げられています。すでに存在する言葉から少しモジって、

気持ち悪い → キモい
じわーっとくる → じわる

みたいな感じですね。何が新しいんだ?と思いました。相当思いました。そんなのが、MITの論文になるわけないですよね。
(もっと読まされ、オリジナルの論文を読みました)

結局今回の「モデル」の何が新しいかというと、新しいアイデアが登場したときの、全体の変化が大切だということ。新たな可能性に触れた時の変わり方が良くないと、イノベーションは起きないことを計算で出したということだと理解しました(厳密には世の中のイノベーションのパターンに合致しない)
誰かがウケ狙いで「キモい」って言った時に、仲間が「乗っかる」必要があるということです。

そんなこともう知ってるよ、って感じたなら、私もそうです。著者も自虐的に「この研究そのものも過去の研究の近接であり、後知恵だ」と認めています。しかしながら、そんな研究も未来のイノベーションに向けた1歩となる可能性も秘めているわけなのですね。
In a somewhat humorously self-referring sense, each proposed model has been in the adjacent possible of the models prior to it. But of course this is only an a posteriori consideration.
津嶋による昨年のこちらの投稿がちょっと前にかなり反響があったので、もう一回シェアしておきたいと思います。
鳥人間チームを立ち上げ、2度の優勝を成し遂げたあと、後進に何を伝えたのか?
人力飛行機というハードコアな勝負の世界で、新しい機体を考案し、つくり、飛ばした裏にあるチーム、設計、実行が過不足なく表現されていると思いませんか?


一つ一つの言葉が古くなっていないどころか、長い時間をかけ、変わらない本質がはっきりした今だからより価値を感じるのかもしれません。
学生時代にこれだけのことを言葉にして後進に伝えていることも正直驚きのポイントですが。。。

ものづくりに行き詰まりを感じたり、仲間をちょっとだけ信頼できなくなったり、現状にモヤモヤを感じたり、ちょっと違和感を感じたらぜひ読んで頂きたい文章です。
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Wind Mill の未来を創るために 津嶋 辰郎


1 チーム運営について
 今までしつこいほど繰り返している事であるが、「WindMill Club」というのは名ばかりで「クラブ」ではなく「チーム」である。なぜここまで「チーム」にこだわるかというと、活動内容から判断して「クラブ」という形態、または個人の意識レベルではやっていけないという考えがその根底にあるからである。
 ここ2、3年毎年大なり小なりチームのマネジメントにおける問題が生じている。これらのほとんどは「運営」「個人の意識」に問題があるように感じている。しかし、極限状態にある本人たちはその事に気づいていない。そこで、「チーム」とは何か?という事をもう一度考え直してほしい。
 このチームは「エンジニア」としてのトレーニングの場だけでなく、組織のマネージメントの実践の場でもある。リーダーをはじめとする幹部は、このことを常に頭に置いておかなければならない。どういった組織を作るのか、どうやってメンバーの意思統一をメンタルアップをするのか、資金繰りはどうするかなど考えることは山ほどある。これらの事が満たされて、初めてチーウとして機能するようになる。良いチームかどうかは、すべて「幹部」の人間にゆだねられているのである。そう考えると、ボーとしている時間なんか全くない。寝る前、トイレの中、大学の行きかえり、すべての時間を使ってでもチームのことを考えるぐらいでないと、これだけのことを満たすのは無理である。1年ぐらいそれくらいの覚悟が必要であることは意識してほしい。
 あと、必ず必要なのはメンバーお互いの「信頼」である。リーダーは「不在」というのは言語道断。活動には毎日参加するのは最低限のこと、メンバーより数倍は働くぐらいの意気込みが必要である。また、10の努力も1のサボりで帳消しになってしまう。活動がハードなときは「病気」ですら他のメンバーにとっては「言い訳、サボり」の口実にしか感じられないということを意識しておかなければならない。同期のメンバーは比較的簡単であるが、下級生、上級生の信頼の確保は決して容易ではないという事を感じて欲しい。
 次に幹部はこの信頼の下にメンバー一人一人の居場所を確保してやる。「一人一人が活動している。」「チームには自分が必要だ。」という事を感じさせなければならない。そのためには「適材適所」を念頭に、その個人の良さを生かすことができる役割を任せてやる。そういった目を養うことも必要である。
 これらを挙げていけばきりがないが、どこの大学もすべてこのマネージメントの失敗でつぶれている。それだけ、人力飛行機政製作チームの組織の運営が難しいということである。みんな悩んでいる。そういった中、うちがどこでアドバンテージを作るか?それが課題である。

2 設計について
 設計とは定められた制約の中で、目的とする最大の性能を発揮できる妥協点を探る作業である。しかし、様々なトレードオフの関係を考えているうちに、本来の目的を見失っていまうことが多い。そこで設計中は常に以下のことを念頭において欲しい。

  • 目標を達成することが可能であるか
  • コンセプトがハッキリと定められているか
  • 必要パワー、機速、サイズ、形状など...

もう今となっては古臭いものであるが、例として96年のB.B.の設計コンセプトを以下に示す。
  • 高い運動性を持つ
    →上半角を小さ目にとり、静安定を下げる。
    →ラダーの効きを高くとる(垂直尾翼アスペクト比と、翼面積の兼ね合い)。
    →プロペラ後流の速度増分を考慮。
  • 機速をやや高めに設定する (琵琶湖においての正対速度 2m/s以上を予測し 7.5〜8.5m/sに持っていくことを仮定)。
    →翼面荷重をやや大き目にする(リブ間隔との兼ね合いを考慮)。
    →機速によるプロペラの効率との兼ね合いを考慮(必要推力、必要馬力)。
    →○高アスペクト比による、誘導抗力の低減。
    →主翼(尾翼)平面形の検討。
  • 静ボリューム比の極小値の模索
    →静ボリューム比、動ファクターを小さくとってみる。
  • 主翼吹き降ろし、フェアリングの後流のプロペラへの影響を検討
    →できるだけ主翼からプロペラを離す(ドライブシャフトの長さの限界)
    →フェアリングの断面の検討
  • CFRPの軽量化
    →○主桁への曲げモーメント、せん断力、ねじりモーメントの計算。
    →○高弾性HR40の使用。
    →○CFRP強度の検討(積層順番の検討、繊維方向の検討)
  • 高性能プロペラの設計
    →○航技研のプログラムを使用
    →DAE51の採用

 設計者に必要なのは、物事の本質を見極める「目」と経験から導かれる「直感」だと考える。「今何が最も必要なのか?」「どこに最も時間を費やせば良いのか?」どれだけ寄り道せずに、機体が進んでいくべき「ベクトル」を見つけるか?これが重要なのである。これらの判断を下すには、幅広い知識は必要不可欠である。歴代機体、国内に限らず、世界中の機体について、つねにアンテナを張って情報収集は欠かさないようにするのは当然の事である。次に新たな試みをするにあたって、必ず押さえておかなければならないことは以下のようなことである。
  • 人力飛行機の技術的な変遷と歴史的な流れ
  • 歴代の機体の諸元、構造の理由
  • ◯歴代の機体の利点と欠点
  • 新たな試みによるメリット

3 製作について
 このところ作業の効率の悪さが目に付く。これらは「要領」の問題だと感じている。こだわるのもいいが、そのこだわりがどこまで重要かを考えてから作業に取り掛かるべきである。「設計製作:セッティング=50:50」ぐらいで考えてもいいのではないか。特に以下のことを念頭において作業して欲しい。
  • 作業はダイナミックにスピーディーかつ正確に!
  • 重要な部分はとことんこだわる。どうでもいいところはすばやく。
  • 構造や製作方法は修復、時間を考えできるだけシンプルに。
  • ボーっと作るのではなく、新しいアイデアを考えながら。
そもそも設計製作はクリエイティブな作業である。もっと自分のアイデアを盛り込んで、より発展を目指して行うべきだと考える。そのためにはメンバー一人一人が人力飛行機について、幅広い知識をもたなければならない。ここ数年言いつづけていることであるが、もっと情報に貪欲になってもらいたい。今のM2の代が卒業すると、多くの知識が失われてしまうような気がしてならない。人力飛行機の世界も突き詰めていけば、非常に深くそして発展途上であることが分かると思う。このように感じられて初めて、「設計」をする資格ができたの言えるのではないだろうか。飛行機が分かっていない奴には、当然良いものを設計することはできない。その辺りの認識今のチームには明らかに欠けている。
 人力飛行機は今大きな壁にぶち当たっている。この壁を突破する可能性を持っているのは、君たちのアイデアなのである。今後の発展に期待している。
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明けましておめでとうございます!
INDEE Japanも6年目に突入し、ここまでにご縁を頂いたプロジェクトの成果をきっかけに、新たな展開と発展のある1年となると思います。「イノベーション」というテーマにありながら、引き続きしっかりとした成果を出していく所存です。
2017年もどうぞ宜しくお願いいたします。

さて、昨年末に実施したアンケート調査から面白い結果が得られたので、ちょっと共有させてください。

こちらのグラフkadai.pngにあるように、新規事業ではアイデア着想が一番大変だ、と認識されている方が多いようです。

そして、同じくらい大変なのが、やっと出たアイデアを承認してもらうこと


この2つの課題認識が60%を占めています。


しかも、アイデアを出す上で難しいと感じている方の約80%は「ニーズに確信をもてない」という理由を挙げています。ビジネスモデルを理由に挙げている方も少し存在しますが、シーズよりもニーズにより大きな課題がありそうです。

これはとても興味深い結果です。


アイデア出しを改善するために、「ブレーンストーミング」や「アイデア募集コンテスト」といったシーズ側の取り組みが目立つ一方で、「ニーズがわからない」のですから、不安になるのもやむを得ないと言えるでしょう。また、こうした取り組みの結果、アイデアの数がいくら増えたとしても、ニーズに合っているかどうかは運任せのままというのは理想とは程遠い状態です。

さて、「アイデアを出す」ということは、多様かつ大量の情報をインプットし、繋げるという一連の作業です。その中で、「繋げる」作業はワークショップで改善できることです。しかし、「インプット」に関して2つの情報が圧倒的に不足していることが経験上感じます。

1つは、他の業界や海外でどのようなサービスや商品がウケているかという情報。
もう1つは、そもそも人は何を、なぜ欲しがっているかという情報。

前者は、最新の技術シーズを理解する上でも役立ちますし、幅広いニーズを把握する上で具体的なアイデアの種になります。
後者は、アイデアを出した後に待ち構えるいくつもの難関を乗り越えるための必須要件です。
いかなるシーズもニーズと結びつくことなく成功することはありえません。ニーズに注目すると、JOBSメソッドのような総合的な手順、顧客インタビューやエスノグラフィーのスキルなども大切ですが、人に対する興味意思に対する意識行動に対する内省が長い目では効いてくるのではないかと思います。ビジネスがあって人がいるのではなく、人がいるからビジネスが必要とされているのですから。