インド人ファシリテーターの、とっても静かなデザイン思考セッション

Written by 山田 竜也 on 2019-09-16
デザイン思考のプロセスで一人静かに内省を繰り返す

先週末、2019年9月6,7日にクアラルンプールで開催された The 22nd IAF Asia Conference に参加してきました。IAF:International Association of Facilitators は1994年に設立され7つの地域に展開している Professional Facilitator の団体です。その中でもアジア地域は現在もっとも成長しているエリアとして注目されています。自分自身は2013年の東京大会からの参加ですが、ファシリテーターとして活躍したい方、ファシリテーションを活かしたい方へ、ネットワーキングとナレッジシェアリングの触発の場としておすすめです。

 

印象的だったセッションを1つ紹介したいと思います。Yateen Gharat氏(India)によるInsights from the Inside – Design Thinking approach for thought harvesting!!!

左がYateen Gharat氏(India)

参加前の勝手な想像は、インド人=アグレッシブで早口で高速回転、デザイン思考=アイディエーションとプロトタイピングで高速回転と、物凄く賑やかでアウトプット志向の場だったのですが、オープニングから中盤へとワークショップはより静かに、より内省的になっていきました。
そして、このとっても静かで内省的な時間が自分にデザイン思考のプロセスを見直す良いきっかけを与えてくれました。想定とは違う、そして、違うからこそ、自分だけでは気付けなかった気付きが得られるというのが、残り物セッションの醍醐味です(実は事前のセッション登録を忘れていて当日空いている中からえいやで選んだのがこのセッションでした(笑)

 

デザイン思考の5つのステップ

デザイン思考はこの5つのステップで表されます。

  1. 共感 人の声を聞き、その人や置かれた状況を深く理解する
  2. 定義 人の本質的にやりたいことを理解し、解くべき課題を定義する
  3. 発想 その人に素晴らしい体験をもたらすためのアイデアを出す
  4. 試作 そのアイデアがユーザー体験を変えることを示すプロトタイプをつくる
  5. 実験 プロトタイプを用いてユーザー体験全体を示し、フィードバックを得る

このステップ自体はシンプルで覚えやすいものだと思いますが、一つ一つのステップを実行する際に、自分の思考の枠を外さないと思考は深まらないしブレイクスルーは生まれません。
以前に参加したデザイン思考のワークショップでは、「ペアワークで相手へのインタビューを通して共感しその人の真の問題を定義するアプローチ」や「身近な社会問題に関してグループでディスカッションしながら進めるというアプローチ」が多かったのですが、今回は一人で自分にとって何が問題かを内省することに重点が置かれていました。Insights from the Insideというテーマ、誰かの問題を解決するのではなく、自分の問題を解決するという発想の逆転 Flip! が、改めて共感、定義のステップの大事さと難しさを実感させてくれました。そして、この2つのステップは、そのままジョブ発見のステップと繋がります。ジョブに関しても同様に自分自身のジョブは何かを考えてみることをお勧めします。

 

ジョブ理論は共感と定義のステップを実施し易くする

多くの問題解決手法と同様にデザイン思考も、前半の問題定義の部分と後半の問題解決の部分に別れています。それぞれの中で収束発散を繰り返しますし、良い問題が定義できても解決策がなければ問題定義や発見にまで戻る場合もあります。
そして、最初のステップをきちんと実践できていないまま先に進んでも、顧客や提供価値のはっきりしない曖昧な解決策にしかなりません。ただ、分かっていてもついつい解決策に走りたくなるのが人間の性でもあります。

自分以外に顧客を求める時には、共感と定義のステップにはターゲット顧客を巻き込んでインタビューをしてと大変手間がかかります。しかもインタビューの巧拙により確信を持てないまま進んでしますこともあります。
しかし、この自分の課題を解決するというテーマ設定では、手を抜かない限り自分自身との内省を繰り返すことができます。つまり、一人で短時間に仮説検証としての内省を繰り返すことができます。適当なテーマでおざなりにステップをなめるよりはより深い思考に辿り着くことができます
これは5つのステップ全てに当てはまります。自分は結局、共感、定義のステップで”立ち往生”していましたが、その分、デザイン思考のステップを活用する時のポイントと自身のInsights from the Insideに気付ける価値ある時間になりました。

 

さて、今大会の参加には、最後にもう一つ”立ち往生”のおまけが着いてしまいました。

もはや最後尾もよく分からない長〜い列

台風15号の関東地方への直撃で、帰国便が大幅に遅延、そこまではまだ良かったのですが、無事に成田空港に着いてホッとしていたら、電車、バスともに運休でまさかの立ち往生。ネットに情報は流れていたものの、現場でどの列に並ぶかは直感での判断しかありません(笑)リムジンバスの列に並び続けて最終便のチケットをゲットしましたが、後ろにはまだ数百人並んでいました。皆んなどうしたのだろう・・・と後ろ髪をややひかれつつも帰路に着きました。

違和感を持ったのは、列に並んでいる間も、どんどん到着客が増えてくる事です。こんな状態の成田空港に降ろされても困るだろうに・・・、乗客には事前にアナウンスされていたのかな・・・、エアラインと空港と電車とバスとタクシーと、連携する事の必要性を強く感じた日でした。

なぜ普通のインタビューからは顧客の望みがわからないのか?

Written by 津田 真吾 on 2019-08-19

最近では『ジョブ理論』もだいぶん市民権を得てきました。マーケティングの世界において、「理論」と名前が付くようなものは他にないからでしょうか?さまざまな反響を聞きます。

さて、ジョブ理論についてある程度が進むと、自社製品や新しいアイデアについて「調査」をしたくなります。顧客がどのようなジョブを抱えているのかを知りたくなるということです。そして、アンケートを取ろう!という結論に至る方も多いようです。

が、アンケートは正直お勧めしません。なぜなら、普通のインタビューですら、顧客の本音を聞き出すことに失敗しているからです。どのような間違いがあるのか、見ていきましょう。

どこを気に入って買いましたか?

この聞き方は初めてのインタビューでついついやってしまう間違いです。特に自社製品に顧客が気に入るべき「何か」があるはずだという希望的観測がそうさせます。でも例えば、喉が渇いているのに飛び乗った特急の車内販売を想像してみてください。ムカつきながらも買ってしまう飲み物だってあるはずです。私たちは、気に入らなくてもNHKやアマゾンのサブスクリプションに加入してしまっていることも多々あるように、気に入らずとも「雇用」していることだってあることを忘れないようにしなくてはなりません。
ジョブは製品軸からは導けないことを気を付ける必要がありますね。

買った理由を教えてください

「買った理由」は、製品軸ではないので少しマシな間違いです。しかし、「理由」という言葉は、まるでロジックを聞かれているような気がして、回答者は「もっともらしい」理由を挙げることになります。もちろん、ド正直なインタビュー対象者もいるので一概には言えませんが、「お行儀の良い」回答をするのが人間です。例えばスマホを買った理由を聞かれれば、「情報収集」「業務連絡」といった社内稟議に通りやすいような答えをしたくなるのです。B2Bのジョブインタビューであればこのような表向きの理由を把握することも不可欠ですが、表向きのジョブ表現に騙されないよう注意が必要です。

買ったものをどのように使っていますか?

どのように使っているか?というのはジョブ理論で言えば「リトルハイヤー」と呼び、身近な解決策をどんなシチュエーションで繰り出すか?を尋ねる問いになります。 これは利用頻度を高めたり、消費量を増やしたりするための、リトルハイヤーについてのインサイトが欲しい時には有効な質問です。


一方で「ビックハイヤー」、つまり購入動機を知りたいときに相応しい問いではありません。メーカーが、新たに商品を買ってもらいたいときにはビックハイヤーの問いが大切で、売れた商品の満足度を高めたい、あるいはアップセルのサービスを開発したいのであればリトルハイヤーを目指すことになるので目的に合わせてインタビューしたいところです。

買ったときの「いきさつ」を教えてください

ジョブインタビューでは、さまざまな質問をアドホックに行います。ですが、鉄板の問いは「買ったときのいきさつを教えてください」ということになるでしょう。「いきさつ」というのは、漢字で書くと「経緯」と書きます。経糸(たていと)と横糸に喩えて、こまかな状況を知りたいわけです。特に、時系列で教えてもらうと、購入を検討した時点で持っていた情報や知識が明らかになります。たいていの場合、消費者は購入後の方が商品について詳しくなり、独自の見解を持ちます。前述の「お行儀の良い」回答は、現時点でさまざまな見解を持った上で精査された意見になりがちですが、購入時点では限定された知識や情報から判断していることに注意が必要です。

顧客が置かれている状況には、情報の制約があることに注意すると、単純にコミュニケーションの量を増やしても売れ行きが良くなることはないことに気づくはずです。顧客のTPO(死語に近い?)なのかに合わせた、活動が必要になりますね。

ビジネス環境を踏まえた組織開発の着眼点

Written by 星野 雄一 on 2019-07-19

大手企業が採用強化に向けて、新卒に高年収をオファーする仕組みを構築し始めている。ビジネスのサービス化などの流れを受け、その中核を成す人材の採用は経営・人事にとって重要な課題である。また同時にその人材を維持すること、いわゆるリテンションも重要課題であることは言うまでもない。

 

そのような背景も踏まえ、近年、社員のエンゲージメントが着目されている。HR techでもHOTなテーマで、エンゲージメントアップの実現に向けて多くのツールもローンチされている。感謝の言葉などを通した承認や声掛け、またそれが他の社員が見て、さらに応援してもらえるような機能を有している。それが給与に反映される会社もある。

 

このようなツールの多くはITスタートアップ企業が自らの成長痛を乗り越える過程と共に発展しており、現実のジョブを解決しているので力強さがある。

 

多くの組織において、最初は少人数で事業スタートさせることが多いだろう。最初は各自が様々な役割も果たすためにコンテクストも共有されやすく、意思疎通もしやすい。そこから高い目的・目標に向かい、規模が急拡大し、業務も分かれる中で、新たな人が分からない、以前よりも会話が減ったという状況が発生する。そのような中でもバラバラにならないように繋がりを持ちたいというジョブを解決するために、各社で表彰制度やサンクスカードのようなものを試行錯誤していった。それをIT化したのがエンゲージメントツールの原型であったりする。これは実際に物理的な距離は遠くないが、目に見えない”組織”や”チーム”という壁を乗り越えていくものだったであろう。ある意味、IT好きで自分の仕事に没頭しやすいエンジニアが多い職場だからこそ、意思疎通しにくいという状況は起きやすかったのかもしれない。

 

会社がさらに規模が拡大し、業務分化していくと、営業所や本社と工場などの物理的な距離が立ちはだかる。また、ワークプレイスは多様になっていく中で、ITをベースとしたエンゲージメントツールは効果的に力を発揮する。人は距離が遠く離れていても、関わる人にポジティブな繋がりを持ちたいのである。

 

ただ、繋がりたいというジョブが”常に”強いかと言うとそんなこともないであろう。組織がリスクを取って業務に取り組んでいる状態だからこそ日頃言えない感謝の言葉が効いてくる。新たな挑戦をしない職場、そして自分自身が挑戦をしていない状況では認められたい・感謝したいというジョブの強さは弱まる。むしろ外を見たくなったり、給料が減らないことを祈る方が強くなる。このような職場の場合はエンゲージメントの前に次のビジネスを生み出すための施策の方が先である。

 

また、副業や兼業という働き方のトレンドも見逃せない。この環境下ではエンゲージメントというよりも会社と個人のオープンで対等な関係が鍵であり、一般的に言われているようなエンゲージメントの重要性は薄まると考えられる。社を超えたオープンなタレントで構成されるプロジェクトが中心の事業ではエンゲージメントの重要性は薄く、一方で社員の知恵やスキルを結集して自社プロダクトを開発するような事業では先のエンゲージメント施策は有効であろう。

 

組織がどんな事業をしていて、社員がどのような業務環境に置かれているのか、そこで発生する切実なジョブは何か、切実ではないジョブは何か。そのような視点を持ちながら組織開発・人材開発の施策を考えられると、”You are a business professional who have expertise in HR.“への道に近づくのではないだろうか。

盛田昭夫さんの秘蔵動画を見て感じた3つのこと

Written by 津田 真吾 on 2019-07-10

先日タイムラインにソニー創業者の盛田昭夫氏が、携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」について語る秘蔵映像が流れてきました。なぜ今頃発掘されたのか疑問を持ちつつ見てみると、これはすごい!動画はNHKのこちらのサイトから見れるので、ぜひ見て頂きたいと思います。

イノベーションに取り組む皆さんにも、いくつか気づきがある言葉があると思いますが、私が感じたことを3つ挙げてみます。

1 話がゆっくり

世代を追うごとに、早口になっていると言われてますが、Youtube で見る他の動画と比べると非常にゆっくり話しているように感じます。Youtube で育った若者はかったるく感じるほどではないでしょうか?非常に象徴的ではありますが、昭和では当たり前のスピードだったのが、違和感を感じるほどに時代は高速化しているんですね。

2 やってみて、直す。

Walkmanの名前について、ソニーでは何度もやり直しています。ともすれば、失敗なものをゴリ押ししたり、失敗がなかったこととしてウヤムヤにしてしまいますが、トップ自らが意見を途中で変えて修正を重ねています。リーンスタートアップという外来語に頼ることなく試行錯誤という基本形はカッコいいものです。

3 トップが若者のジョブに詳しい

盛田さんが自ら、若者を観察し、「音楽をいつでもどこでも聞きたい」と共感し、大きなラジカセを肩に担いでいる状態を「代替解決策」として、よっぽど音楽が聴きたいんだ、と捉えています。これはまさに若者のジョブを整理して、大事な課題として設定することを盛田さん自身がやっています。若者のことは若者が理解せよ、という風潮も強いですが、感覚的に分かるだけでは不十分で、トップが理解しないと本当のビジネスとして投資できません。そこもやり方考えた方がいいですね。

「ラジカセ 肩に担ぐ」の画像検索結果

オープンイノベーションが上手くいかない理由をジョブ理論で考えてみる

Written by 津嶋 辰郎 on 2019-07-01

「オープンイノベーション」という言葉については今更その内容を説明する必要がないくらいに、日本においても普及しきった印象である。一方、実際の取り組み現場においては、成功事例を探すことが難しいほど問題が多いといえる。まだまだ取り組みとして、黎明期であるから今後は成功したと言える事例も出てくる可能性もあるが、正直今のまま進めても殆どの活動が成果に繋がるとは言いがたい・・・と現場で感じる問題点についてコンパクトに整理してみたい。


オープンイノベーションの難しさの原因は、多様なステークホルダーが存在するということに尽きると考えている。勿論それぞれの組織に所属する担当者によっては考え方やスタンスは異なるが、今回の記事ではジョブ理論を用いて私の経験を交えた日本の組織おける典型的なパターンをモデルとして考えたいと思う。分かり易くするために敢えて多少極端な表現にしている点はご了承いただきたい。 ジョブ理論について復習が必要な方はこちらの記事も参考まで。


今回考察する事例としては、大学と企業(大手、ベンチャー双方に関係するが特に大企業を意識している)の連携でのオープンイノベーションを想定し、シーズ発明者、大学関係者、企業連携担当者、経営者という4種類のジョブが異なるスレークホルダーの場合で考えてみたい。

それぞれのステークホルダーが抱えるジョブとその背景を示すとこういう感じではないだろうか。


シーズ発明者のジョブ:自分の研究テーマを理解した上で、できるかぎり自分が考えてきた用途で実用化して欲しい。一方、事業化への関与にはあまり興味ない。

→ 日本における研究者は、もちろん自分の発明を実用化することには思いがあるが、基本それを事業化する取り組みに興味がある方は少ない。そのため事業化における自分の関与は最小限に留め、発明の価値とその本来の活用方法を理解できる人物は上で、進めて欲しいと考えていることが多い。


大学契約関係者のジョブ:発明者、企業側がそれぞれから多くの要望があったとしても、できる限り大学の制度に則った契約の中に納めたい。基本的に前例のないことはやりたくない。

→ 大学職員もしくは、産業界からの転入だとしても日本の大学という環境で働きたいと考えている方は、前例主義でコンサバティブな方が多い。そのためイノベータータイプの上司がいないかぎり、如何に既存の仕組みの枠を外すことなく、物事を進めたいという考えるのは責めることができない必然のジョブである。


オープンイノベーション担当者のジョブ:短期的な成果が期待できない状況においても、社内に価値を上手く発信して自分達の取り組みを評価されたい。

→ 上層部の期待や既存事業の成果に比べて明らかに時間を要するのが、オープンイノベーションを通した新規事業立ち上げの取り組みである。一方、会社の中の仕組みは既存事業を運営する時定数で回っている。そのために如何に成果を見える化し、その進捗と価値をその分野に土地勘のない社内メンバーに上手く伝えていくかということが苦悩している作業である。


サラリーマン経営者のジョブ:既存事業だけでは存続が難しい事は理解しており、新しい事業の立ち上げが必要だと考える中、株主および社内のステークホルダーから失敗だと思われるような取り組みはしたくない。取り組むなら売上としての成果に繋げたい。

→ 新規事業の立ち上げの必要性について社内外に発信していたとしても、既存事業以外の領域に土地勘のないこと、短期的に収益を生まないテーマについて費やす時間を確保できない。またその自分自身が土地勘のない領域において、担当者を信用してリスクをとる決断をするハードルは日本の組織体制と社内のステークホルダーに対しても非常に高い。


どうだろうか?これらのジョブとその背景については、恐らくそれぞれの立場の方と仕事をしたことがあれば、それほど違和感のない内容だとご理解頂けると思うし、とりわけ特殊なことを言っているわけでない。と考えても、そもそもこれだけ複雑なステークホルダーのジョブを満たしていかなければならないのがオープンイノベーション・・・の課題であれば、それを成果に結びつけることがどれほど難易度が非常に高いか。なかなか成功事例に出会えないのも必然なのである。

ではこの複雑な状況の中でもなんとかプロジェクトを進めるための処方箋は次の3つであると考えている。


・プロジェクトにおける共通の目標を言語化し、ステークホルダー間でしっかりと合意する


・目標達成までの期限とそこに到達するまでの中期的なマイルストーンを決める
(撤退の条件もこのマイルストーンに含める)


・リーダーまたはそれに変わる人物が各組織間のジョブの隙間(グレーゾーン)を埋めることをコミットする


完全な取り組みとはいえないですが、参考になる具体的な事例として、シンガポールにおけるEDB(経済開発庁)が行っているグラントスキームに見ることができる。シンガポールという国家は日本同様の高齢化社会であり、単純労働者に対する移民受け入れを制限する政策を進めているため、先端的なライフサイエンス技術の導入およびロボットによる単純労働の自動化が世界で最も推進されていると言って間違いない。しかも、国内のシンガポール大学が近年アジアナンバーワンの評価を得ているとは言え、研究開発は一日にしてならず・・・のためそう簡単には国内から新たなシーズが生まれることが容易でないと理解していることもあり、海外企業の受け入れ体制が非常に整っている。その中でも前述の2領域においては日本企業に対する期待値が極めて高いのである。


話を戻すとEDBが主導する開発型スキームは新しい技術を基にしたソリューションを導入したい事業者が起点となり、それ実現にコミットできる企業を公募する(この時点でステークホルダー間の目標が合意されている)。そして、そのグレーゾーンのマネジメントをEDBの担当役人(立場的にも幅広い裁量権がある)がコミットする(実際の解決に必要な人を集めて議論する場をセットする等を行う)。技術シーズとして必要なものを提供できる研究機関がシンガポール国内にあれば共同開発のアレンジを行う(大学担当者のジョブを捉えている)。そして、最も日本のグラントに抜け落ちている要素としては、参加する開発企業に対しては、EDBがソリューション実現後は政府のお墨付きで国内外のターゲット施設等に事業展開の支援まで約束してくれる(オープンイノベーション担当者および経営者のジョブを満たしてくれる)というものである。


我々もこうしたシンガポールにおけるスキームを活用して、大手企業内での新規技術開発プロジェクトや日本において特に資金調達や実証環境の確保が困難なハードウェア系の事業展開するモデル事例の構築を進めている。その過程でシンガポール政府を始め、様々な現地パートナーとのネットワーク構築が実現してきたためINDEE Singaporeを立ち上げ、より多くの機会を提供していこうと考えている。無論、こうした機会を活用するために日本の大手企業およびスタートアップが十分満たせないジョブをサポートするのが我々の役目である。


こうした機会に少しでもご興味を持っていただけたら、お気軽にこちらにでも問い合わせいただければと思う。