「直感」と「思いつき」は似てるけど結構違うっていう話

Written by 津田 真吾 on 2019-12-01

ファスト&スローという話を聞いたことがあるでしょうか?

ノーベル経済学賞を受賞したカーネマンによると、人間には「早い思考」(システム1)と「遅い思考」(システム2)の2つの考えるプロセスがあるといいます。システム1は日常的に私たちが意識せずに使っている思考プロセスです。考えるエネルギーをかけずに、反射的に、効率的に判断を次々と行うことができる仕組みであり、ヒューリスティックスともいいます。あまり普段は意識することがありませんが、過去の経験から学んだことを「感覚的に考えている」のがシステム1です。そのため、バイアスを孕んでいて間違うことも多いし、テレビコマーシャルなどはこの効果を悪用利用して必要のないモノを売りつけようと絶えずしています。

「遅い思考」であるシステム2は論理的で定量的です。ただし欠点は、「遅い」ということと「疲れる」ということです。人間の脳は大量のエネルギーを消費し、やっと考えることができる臓器であるため、滅多なことでは起動せず、バックアップシステムとして控えているのがシステム2です。

システム1とシステム2についてはこちらのサイトが分かりやすく解説しています。

私たちは、ビジネスの現場でシステム1とシステム2のどちらをメインに使っているでしょうか?

仕事は「考えて」やるものだから、システム2を主に使っていると思いがちですが、実はシステム1で処理していることが大半です。仕事を始めたころは不慣れで、一つ一つ手順を考えながら進めることが多いものですが、慣れてくると「考えずに」できるようになりませんか?それはまさに経験が手順化され、反射的に効率的に仕事ができるようになっているのです。

アイデア着想はどっちのシステムを使うのか?

新規事業に取り組む際には、ビジネスアイデアそのものはもちろんのこと、仮説検証の方法や、顧客の探し方や、プロモーションの仕方など、数多くの優れたアイデアが必要になります。このような決まった法則など少ないアイデアを出すときには、じっくり考えることも難しく、システム1を多用することになります。ましては、時間を競い、情報や資源が足りないなかで、走りながら考えるとなると、ファストなシステム1が重要になります。

一般にもアイデアとは「ひらめき」という一瞬の電気信号であると思われています。そのためアイデアにひらめくときというのはシステム1と認識されているのではないでしょうか。そもそもじっくり考えるほどの時間的な猶予がなかったり、データもないまま決める必要があります。既存事業であれば、戦略を決めるために調査を行って、分析を行って…といったシステム2に頼ることも可能ですが、新規事業においてはそんな贅沢は許されません。

要するに、走りながら考えないといけない新規事業を進めていくにあたって、

“システム1の精度、つまり直感を磨くことはイノベーションの成否に大きく関与するのでは?”

との考えに至りました。

では、「直感を磨く」ということはどういうことでしょう?

簡単にいうと、システム1の思考が未熟なときは、着想は単なる「思いつき」でしかありません。 最も代表的なのは、「それまでのやり方をそのまんま踏襲する」ものです。もちろん、意識的に着想しているわけではありませんが、新しい課題に対してシステム1に委ねるというのは、デフォルトの着想として効率的なやり方になります。しかし、それまで取り組んだことのない新しい課題であるにも関わらず、古い課題と同じように(例えば綿密に計画を立てようとしたり、PDCAを回そうとしたり)取り組むことは致命的になることになるでしょう。他には、その日たまたま見たニュース番組で紹介されていたブームに乗っかったビジネスを考えるといったものも「思いつき」です。

磨かれた直感は「思いつき」を超え、ロジックを伴います。直感とロジックは一見矛盾しますが、システム1は経験でできているので、関連する経験が豊富であれば咄嗟に引き出せる引き出しも増え、直観的に出した結論も論理的に説明が可能になるのです。

例えば、Amazonの創業者であるベゾスは、インターネット利用が年率2300%と桁違いであることを知り、インターネット通販会社を起業することを決めました。そもそも、他のさまざまなものの成長率を見ていなければ、この2300%という数字がどれだけ凄いのかを判断することはできません。ヘッジファンドに勤めていたベゾスには、きちんと直感的に判断する素地があったのです。そのような素地がなければ、2300%を見たとしても素通りさせてしまったりするかもしれませんね。

自分の経験からも、ひらめきの質を高めたり、直観を磨く上で、訓練は役に立つのではないかと思います。しかもその訓練は、アイデアを沢山「思いつく」訓練よりも、周辺の事実や状況を沢山観察したり体験することの方が役に立つはずです。

マシュマロチャレンジ、幼稚園を卒業したばかりの子供は本当に高いタワーを作れるのか?

Written by 山田 竜也 on 2019-11-25

先日、公立小学校1年生のクラスで1,2校時の90分間をもらいマシュマロチャレンジを行う機会を得ました。以前見た TOM WUJEC のTED TALKSの中で、「MBAの卒業生より幼稚園の卒業生の方が高いタワーを作る」と言う話があったので一度試して見たいと思っていたことが、やっと実現しました。ちなみに、MBAの卒業生向けは未だ実施していません。

 

マシュマロチャレンジは、20本のスパゲティ、90cmのマスキングテープ、90cmの紐、ハサミ1個、そして、マシュマロ1個を材料とし、4人1組で18分間で、マシュマロを一番上に乗せた自立したタワーを作り、机からマシュマロまでの高さを競うゲームです。

世界記録は99cmと言われています。自分が見たことがあるのは90cmぐらいまでです。大人から子供まで様々なシーンで活用されていて、実験し、試行錯誤することの大切さに気付くと共に、イノベーティブなチームビルディングを行うアクティビティとしても効果があります。

 

さて、当日の様子はというと、小学校1年生の段階で想像以上に知識も落ち着き度合もバラバラで、18分間のチャレンジタイムに辿り着くまでが一苦労でした。近所の子供たちの様子や公開授業で外から見ていたのでは分からなかった多様性(というかバラバラ感)にビックリし、落ち着かせようと用意してきた新ネタにもすぐに飽きられて焦り、子供たちを集中させる教育コンテンツの開発は大変だろうな〜と、喉を枯らしながら担任の先生の苦労を思いました。

そこで頭に浮かんだのが最近のトレンドの一つである学習者中心というコンセプトでした。

 

学習者中心

過去のブログ「人材育成4.0」で学習者中心と言うトレンドを紹介しました。「人材育成1.0は徒弟制度、2.0は階層別研修、3.0はアクションラーニング、4.0は学習者中心」と提供手段の視点でトレンドの変化を整理したものです。

お仕着せではなく学習者が主体的に選ぶと言う考え方に共感する人は多いと思うのですが、実現手段には課題があります。実際にバランバランな生徒たちの前に立つと、さて、どうしたものかと、この実現を求められる先生側の苦労への共感度が上がります。

学習者中心を実現するための課題は以下の3つと考えています。

・学習者への動機付け
学習者を主体とするには学習者に主体性が無いと成立しません。学習者に主体性を持たせること自体が最初の課題となります。主体性の無いままの学習者を自由にするよりは型稽古を強制した方が残るものは多いかもしれません。

・学習者の得意分野に応じた教え方
ハワード・ガードナー博士により1983年に発表されたマルチプル ・インテリジェンス理論では、知性には8つの種類があり、人は、そのうちの複数の知性を備えていて、どれが強いか弱いかという「程度」と「組み合わせ」がその人の個性になると考えられています。得意な知性を伸ばしたり、得意な知性を通して苦手な知性を学んだりという工夫がされています。

・学習者の発達段階に応じた教え方
ここでは科目や知性毎の進度に合わせるだけでなく、人間としての発達段階に合わせた自己理解や他者理解に関してもフォローが必要になってくるでしょう。専門教育に進む前の社会人としての義務教育を含む小学校ではより重要な課題かもしれません。

 

モチベーション、得意な知性、発達段階、当然これらは個人によりバラつき、組合せも様々です。生徒を中心に考えれば、こうした課題に対して応えていく事が必要なのかもしれません。一方でこれに応えるには先生側に本当にマルチな能力が要求されます。図工や音楽という水平的な成長のためのスキルには既に教科担当という形で手が打たれていますし、 社会性のある人間としての垂直的な発達段階という点でも個別の補習等で対策が取られている様です。さらに、知的、身体的という多様性もクラスを作っている学校は、近い将来の社会を感じることが出来る場所かもしれません。

「これからの時代には金太郎飴の集団よりも一人一人の個性を活かせる集団が求められている」という方向性があって、「子供の得意分野や発達のスピードは一人一人異なる」という理解が進む中で、学習者中心に対応するには、限りある先生側のリソースを何に投入して、どこをテクノロジーで補うかの議論が必要です。

学習者中心というコンセプトは、まだまだ絵に描いた餅です。テクノロジーの活用だけではなく、教育の目的から考えさなければならないし、それが多様化するということは、個々の学習者(学習者が子供であれば親に)に大きな責任がのしかかってきます。
現時点では、どこから手を付けたら良いのか、悩ましい課題ですが、先進国とされている国々の状況から個別解を探り、そこから自身の環境での個別解を探るというのが現状では無いでしょうか。個別解ばかりなので公立校への展開の難しさをより感じます。

 

ちなみに今回のクラスでの最高記録は75cmでした(拍手!)
当初のクラスの様子からは記録ゼロが続出ではないかと心配していましたが、最高記録の作品はヤジロベエの様にバランスを取る部分があって、構造的にも試行錯誤から自立させるための学習の後が見られるものでした。
サンプル数は少ないですが、小学校1年生は、上手くその気にさせられれば、少なくとも大人同等、それ以上のパフォーマンスを出せそうです。

人材育成4.0

Written by 山田 竜也 on 2019-11-25

 人材育成という、誰もが語るけど、誰も語り尽くせないテーマを少しでも捉えやすくするために整理してみました(だいぶ私見が混じっていますので、複雑なテーマを整理する叩き台として、読んでくださいね)
 人材育成に関する世界最大のコミュニティは atd(元ASTD)ですが、2017年5月に開催されるカンファレンスのコンテンツトラックには、キャリア開発、グローバル人材開発、人財、インストラクショナルデザイン(教育工学)、リーダーシップ開発、ラーニングテクノロジー、学習の測定と分析、マネジメントとのエンゲージメント、トレーニングデリバリー、学びの科学といった内容が並びます。あふれる情報は専門家としては知っておくべきことかもしれませんが、逆にこれら全てを押さえたからといって、効果的・効率的で、経営者・管理職・社員の要望を満足する育成が行えるわけではありません。
 人材育成に限らず、情報収集の前に、そもそも何のために?という目的を設定することが大切です。やっかいなのは、この目的が時代とともに移り変わること、業界や環境において異なることです。そこで、人材育成の変化を4つの段階に見ることで、目的と手段の組み合わせを考えてみたいと思います。ちなみに、古いものは不要ということではありません。むしろ、やり方が増えているという理解をした方が、ステレオタイプなバズワードに踊らされずに済みます。
 暗黙の前提として、企業内の人材育成を想定していますが、「働き方改革」が叫ばれる昨今、企業という枠の捉え方が変わってきています。企業という虚構が崩れようとしている?のかもしれません。 枠が外されて自由になった時、改めて、過去に主流だった手段(の現代版)も含めて様々な人材育成の選択肢が活用されます。人材育成に関わる方にとっては腕をふるうチャンス、企業研修に関わる企業にとってはビジネスチャンスです!

 

徒弟制度

人材育成1.0 徒弟制度
 1.0は徒弟制度です。いわゆる現在の企業内における人材育成から見ると、育成とは言えないという意見もあるかもしれませんが、実は現在も続いて行われている最も基本的な人材育成です。 多くの技術(工芸、工学の分野だけでなく、コミュニケーション、営業術等のソフトスキルも含めて)が、現在もOJTという名の徒弟制度で伝達されています。 徒弟制度だけでは一度に大勢を育成することはできないので、多くの技術が書籍やトレーニングプログラムとして安価に広く提供されています。しかし、現場の実践者(上司も部下も)から、「こうしたパッケージ化された育成は現場で使えない!現場での実践こそが大事だ!」という声を聞きます。少しでも実践的になるようにとカスタマイズで対応しますが、限界があります。 こうなってしまうのは、目的と手段が合っていないからです。左の写真のように、一人の弟子を一人の親方が時間をかけて、仕事の最初から最後までを教えていくことができれば、少年はやがて立派な親方へと育っていくでしょう。その代わりこのやり方は多くの弟子を一度に抱えることはできないですし、親方が十分に優秀で、教えられることが少年の時代にも通用することが前提になっています。守破離の守の段階を伝達するためのやり方です。 現代ではこの様に少人数でじっくり基本を叩き込むといった育成機会は、非常に貴重なものです。仕事の最初から最後までのどの部分で活用するか?残りの部分をどうやって補完するか?目的に応じた人材育成の全体設計を工夫すれば、徒弟制度は有効な武器になります。

 

階層別研修

人材育成2.0 階層別研修
 2.0は階層別研修です。ここからがいわゆる企業でイメージする研修です。社員が増え、OJTだけではまわらなくなり(上司や部下のバラツキが大きくなりすぎ上手く育成できなくなり)、職種や階層に合わせて一定レベルの人材を育成するための手段として必要になってきました。 企業がオペレーショナルな業務を抱え、それを回すために均質な人材を必要としていることが前提になります。工場の操業の様な常に安定した品質が求められる職場には必須のものですが、組織の維持・管理という観点で、主任・係長・課長・部長、更には役員まで、ピラミッド型の階層を維持するために広まっていきました。テーマ的にも時間管理やマネジメントの基本的なものからリーダーシップ等へと広がっており、研修全体のボリュームとしては未だに多くをしめるでしょう。 この手段はどの会社でも必要となる様な汎用的な内容で、どちらかというと組織の維持に重点がおかれていますが、問題解決、課題形成、戦略策定といった各企業・職場ごとの特性に合わせた(いわゆる実務により直接的に結びつく)テーマが研修の場で取り上げられる様になってから、少し様相が変わってきました。 親方の技を伝えるでもなく、組織を維持する均質なスキルを広めるでもなく、自分たちが今抱えるテーマに取り組みながら、学習とそれによる効果を一度に得ようというやり方です。答えを学ぶのではなく、答えの出し方を学ぶ必要性が出てきました。全ての階層がより多くのスキルを身につけなければならなくなってきています。

 

アクションラーニング

人材育成3.0 アクションラーニング
 3.0はいわゆるアクションラーニングです。この言葉自体、いろいろな解釈をする方がいますが、ここでの定義としては、「業務上の重要な課題を扱う」「異なる専門分野の関係者が知恵を出し合う」「講師ではなくファシリテーターが学習プロセスを導く」ととらえてください。 徒弟制度は、あるギルドの中に閉じこもっている。階層別研修は均質な知識の伝達に止まってしまう(問題解決のスキルを全員に伝えたとしても、問題解決への行動は担保されない)。もっと短期に成果のでる研修を行え!という要求から生まれてきたものがアクションラーニングの様な実際の課題を扱った手段です。 時代背景としては、企業が直面する問題が複雑になり、複数のステークホルダーが絡み、特定のやり方や特定のメンバーだけでは対処できなくなってきた。より短期の業績が重視され、将来につながる人材育成(このやり方が将来につながらない訳ではないですが)よりも、直接の問題解決の方が重要になってきた。といったことが挙げられます。 アクションラーニングで押さえておきたいポイントは、コンテンツをいかに上手く伝えるかという講師の腕から、学習者がいかに本当の問題を見つけそれに対してアクションを起こせる様になるかという、ファシリテーターの導きや、学習プロセスの設計が重要になってきたということです。伝達するから気づきの機会をつくりゴールに導く!へ、手段としては大きく変化しました。

 

学習者中心
Turun normaalikoulu – Turku University Teacher Training School

人材育成4.0 学習者中心
 4.0は(ここが一番知りたいところだと思いますが)学習者中心です(なんだ、それだけか・・・とがっかりされた方、もう少しだけお付き合いください)。 左の写真を見てください。子供ですよね。この子たちを安定しているかもしれないが、画一的なレールに乗せて育てたいと思いますか?安定の保証ができなくなっている昨今、Yesという方は少数派ではないでしょうか。 人生において学ぶべきことは不変なのかもしれませんが、そこから先に必要なことは、学ぶべきことを学習者自身が探していく必要があると考えています。学習者中心のポイントはまさに学習者を中心とすることにあります。 組織があって、その組織を維持するためではない。 個人がいて、その個人が世界により大きな影響を与えていくために学ぶ。 この手段の前提は、既存の組織よりも、これから作られる組織が目的となっていることです。企業が新しい事業(将来の企業)を必要とし、従来の会社の枠が外れ新しい働き方が必要とされる今、学習者中心の手段はより重要になってくるはずです。企業内の人材育成において活用していくには、会社の色やルールに染めるのではなく、会社を変えていくような人材をどう育てるかという視点に立つのが有効です。
 学習者中心の手段を導入するには、そこで育った人材をどう活用するか?を決めておく必要があります。 これは、社内でイノベーターをどう活用するか?という問いに答えるのと同じです。
 イノベーション、新規事業を起こしたいという企業はたくさんありますが、そのために既存の社内のリソースやプロセスや価値観をどこまで変える気があるか、全ステークホルダーで合意が取れている企業はほとんどありません。企業内でイノベーション人材を育成していくには、様々なステークホルダーと対峙していく必要があります。人材育成が先か、イノベーション・新規事業開発が先か、ニワトリ玉子の課題に取り組むには、いずれにせよ覚悟が必要です。

宇宙誕生、最初の1秒の謎

Written by 星野 雄一 on 2019-11-15

先日、「宇宙誕生、最初の1秒の謎」という、何ともワクワクする話を聞きました。ややうろ覚えのところもあるが、その時の話を共有したいと思います。

皆さん、ビックバンという言葉は聞いたことがありますよね?

私はビックバンと言えば宇宙の始まり!というイメージで子供の頃から耳にしていました。ブラックホールと共に神秘的な言葉で、この単語を耳にするとワクッとします。

ちなみにビックバンとは宇宙開始時の爆発的膨張のことを指し、宇宙は非常に高温高密度の状態から始まり、それが大きく膨張することによって低温低密度になっていったとする理論の元に立ちます。

今回聞いた話ですと、現在の地球に届いた光の光度と周波数、それと光の速さと宇宙膨張の速さを加味することにより、X億年前は何度だった!と計算を行うそうです。現在では理論的に導き出した仮説と観測データは一致しているようで、この考え方によって、宇宙誕生後1秒後以降に何が起きたのかまでは解明されてきているようです。

 

そして、やはり気になるのは、最初の高温高密度状態はどこから始まったのか?というお話。

そこも徐々に解明されつつあり、現在有力な理論は日本の佐藤勝彦東大名誉教授らによって提唱されたインフレーション理論とのこと。インフレーション理論とは、最初は真空のエネルギーだけが存在し、それが相転移することで高温高密度の状態が発生したという考え方です。これも証拠がかなり揃ってきているようです。

 

だから、真空状態→インフレーション→爆発的膨張(ビックバン?)→今ここ、という部分は理論化されているようです。

 

今、ここで(ビックバン?)と書いたのですが、ここに面白い話がありました。

この絵を見てください。先ほどの膨張宇宙のイメージを描いている内容ですが、ビックバンは一番左の起点でその隣の膨張直前の状態にインフレーションの記載がありますね。NASAのホームページでも似たような絵で示されています。

 

当初、ビックバンは「宇宙の始まり」と「宇宙開始時の爆発的膨張」の2つの意味合いが入っていたのですが、その後にビックバン理論の未解明点を解決すべく様々な研究がなされて、あとからインフレーションの存在なども発見されてきたという歴史的背景があり、今も名残で「宇宙の始まり」的な意味合いとしてビックバンを起点として使われているのではないかという話でした。

 

言葉の定義は曖昧な事柄が実証データや多くの人の対話を通して行われるものですので、人類が進化を感じる瞬間であります。インフレーション理論がノーベル賞にでもなった時には言葉の再定義もされるのでしょうか。この前進している感じはワクワクします。

 

その他にも、宇宙誕生自体と同時に、暗黒エネルギーや暗黒物質の存在など、まだまだ未解明なものが多いとのことですが、生きているうちにどこまで解明されるのでしょう。このワクワクを提供してくださる研究者の皆さんには、ありがとう!と思わざるを得ません。

Amazon Go の顧客体験は何が凄くて、何がしょぼいのか?

Written by 津田 真吾 on 2019-10-24

先日サンフランシスコのAmazon Goを体験したので、今回は3つのことを書きます。

1.アマゾンゴー(Amazon Go)は無人コンビニとして話題となってるけど、何が凄いの?
2.小売店の顧客体験ってどうなの?
3.Amazon Goは未来なの?

何が凄いの?

Amazon Goが一目ですごいと言われているのは、「レジが無いこと」です。欲しい商品を持って、外に出るだけで購入することができるというのは、まるで魔法。セルフレジが普及しつつありますが「人に会わない」という無人ではなく、「レジ精算をしない」「どうやって金額を計算しているのかわからない」「決済の瞬間がわからない」んですよね。棚から商品を選んで、店を出れば自分のものになっているというスムーズな買い物体験を提供することが話題です。小売店は「欲しいものを手に入れたい」というジョブを、オンラインとは違い、視覚的・体験的に解決する場ですので話題になるのも当然です。

小売店が片づけるジョブ

このように、小売店が存在するのは「欲しいものを手に入れたい」というジョブがあるからです。欲しいものを目で見て、手でピックアップするだけで買い物が済むというのは、他の店舗と比べるとスムーズかつ快適なプロセスとなっています。「顧客体験」というと、つい「おもてなし」や「接客」といった言葉が出てきますが、「欲しいものを手に入れたい」という機能的なジョブは機能的に優れていないと良い体験とは言えません。Amazonが言う「Frictionless」、つまり、やりたいことが「何の手間もなく」できると、顧客は何度も戻ってくるはずです。Amazonは、その購入する手間がいかにスムーズかをアピールするためにアプリやレシートに、店舗の滞在時間を記載しています。


この時はたった2分27秒しか滞在しなかった

しかし、Amazon Goを利用してみて、Friction(摩擦)は減っているものの、そこまで凄いかな?というのが正直なところです。

まず、店舗に入るのにスマホアプリを起動する必要があります。そのアプリで表示されるバーコードをゲートでかざすことで初めて店に入ることができます。

しかも、事前にアプリをダウンロードし、クレジットカードを登録するなどの手間もあります。また、購入に2分半しか掛かっていないことからもわかるように、品数は多くはなく、正直、買いたくなるようなものがそれほどあるわけではありません。

AmazonGoを体験すると、自動販売機(特にSUICA/PASMOが使えるやつ)がいかに最高な体験なのかに気づかされます。買いたいもののボタンを押し、スマホをかざすだけで買えるのですから。

AmazonGoは、普通のコンビニのセルフレジよりはシンプル。また、有人レジでの待ち時間はないけれど、袋詰めは自分でやる必要があるし、顧客体験が最高に最高ってわけではないというのが実感です。

AmazonGoは未来を象徴しているのか?

ではAmazonGoのような店舗やレジシステムは普及しないかというとそうではありません。顧客体験としては、そこまで劇的に良くなっていなかったとしても、導入する店舗にはメリットがとても沢山あるからです。

小売店が喉から手が出るほど欲しいのは「どんな顧客が何を買っているのか?」という情報です。そのために会員カードやポイントカードを発行し、購買情報と個人情報を紐づけようと躍起です。しかしAmazonはその遥か上を飛んでいきます。なにせオンラインで買っているものと、オフラインで買うものがわかるのですから。どういう商品がオンラインで買われ、どういう商品が実店舗で買われるのか?オンラインに顧客を奪われている小売店にとっては切実な状況におけるクリティカルな情報になるはずです。

Amazonはかつてオンライン書店用に開発したITシステムを、他社にクラウドサービスとして提供しました。その後、AWSとして多くの顧客がクラウドを利用できる形に商品化し、今やドル箱にしています。Amazonがこのシステムを外販するかどうかまだわかりませんが、十分に考えられる戦略です。

小売店に訪れる消費者だけでなく、小売店業のジョブを片づけることで、まだまだAmazonは成長しそうだと感じました。