「顧客像」を理解する。「顧客」を理解する。

Written by 津田 真吾 on 2020-01-23

最近はイノベーションという文脈だけでなく、ジョブ理論についてもご相談を頂くことが多くて嬉しい限りです。ジョブ理論についてそのようにご相談を受ける時は、大きく分けて2つのタイプがあることを先日発見しました。

  1. 顧客を知らないため、もっと理解したいと思っている
  2. 顧客を知ってはいるが、顧客に向けた働きかけに問題があると思っている

それぞれについてもう少し詳しく説明しましょう。

タイプ1:顧客を知らない

最初のタイプは、単純に「顧客を知らない」ことを自覚している企業です。代表的なのは、すでにモノを作ったけれどさっぱり売れず、作る前に顧客のことを考えていなかったことに気づくようなシチュエーションです。あるいは、新しい市場を狙いたいけれど情報が取れない、取り方がわからない、整理の仕方がわからない、やってもやっても手応えがない、といった状況です。

このような場合には、もちろん顧客との接点を増やします。具体的にはインタビューや観察(エスノグラフィー)を行います。もちろん、インタビューや観察で得た情報はJOBSメソッドを活用するなど、ジョブの観点で整理するのがよいでしょう。顧客は誰なのか?ジョブは?ジョブの目的は?ジョブ解決の障害は?代替解決策は?といった問いで得られた情報を整理します。手軽に行うにはジョブ調査もおススメです。

ジョブの観点で顧客を知ることで、その顧客が本質的にやりたかったことが見えてくるはずです。既存の市場にある商品だけでは顧客が不満である理由や、どのような商品なら新たに採用されうるのか、といった答えが得られます。

タイプ2:顧客を知っているが、見つけられない

このタイプの企業では、マーケティングが徹底されている傾向にあります。そのため、「顧客像」はしっかり持っています。にもかかわらず、その顧客像に“リーチ”できていないとの自覚症状を持っていたりするのです。

「都市部に住む20代~30代の仕事を持つ女性」「~意識が高く、習い事にも通う…」などと言ったペルソナを決めていることも少なくありません。このようにペルソナを明確にすると、「顧客像」ははっきりするものの、分かった気になるという欠点もあるのがやっかいです。

この場合は、まず抽象的な「顧客像」についてはひとまず置いておきます。そのうえで、顧客が製品を購入する必然性について考えることを行うのです。

必然性。

必然性、というのは買わないといけないような理由ということです。

都市部に住むことや、年齢は、買う人を表してはいませんが、理由ではありません。性格も理由ではありません。私は新しい物好きですが、すべての新しいものを買ったりはしません。

風邪を引いたら、風邪薬を買うのは必然性が高いです。

同様に新築の家を買うのに、ローンを申し込むのも必然性が高いです。多くの方は、不動産を現金で買うことができず、他の個人から借りたりすることも難しいからです。つまり「ローン」という商品を買う顧客像を理解するには、いくらの家を買いたいのか?いくらの現金を持っているのか?他の現金調達手段は?といったことを理解するのが手っ取り早くなります。(これらのことをジョブ理論では「状況」と呼びます)。つまり、顧客の年齢や性別よりもはるかに知っておきたいことが山ほどあるんです。 顧客像に加えてこれらの状況を押さえておくことで、新たな顧客も見つかりようになります。

もっと効果的な研修を行うために、バズワードに惑わされずに本質を考える

Written by 山田 竜也 on 2019-12-30

もっと効果的な研修を行うためには?

結論から言えば、組織の戦略に必要な人材像を定義し、その人達がパフォーマンスを発揮するために取るべき行動を定義し、その行動を行うために必要な知識やスキルを習得する機会と環境としての研修を提供すれば良い。

研修としてはここまでかもしれないが、習得後に取るべき行動を取り、実際にパフォーマンスが上がったかを評価し、学習プロセスを改善していく必要もある。また、そもそも知識やスキルの習得が先か、先ずは行動の実践が先か、泳ぎ方を教えるか、プールに投げ込むか(適切な安全管理の下で)のアプローチの違いもある。

そもそも研修とは?という所から整理して、もっとも普及している研修の評価方法や最近のトレンドから、より効果的な研修を行う方法を考えてみたい。

 

そもそも研修とは?

”研修”という言葉から何を想起するかは様々だ。いわゆる座学のザ・トラディショナルな研修もあれば、グループワーク中心で進めていくもの、オンラインとオフラインを混ぜたもの、プロジェクトベースで進めるもの、そして、最近では脳科学、ビッグデータ、AIと手段の側からもバズワードが飛び交い、より全体像を分かりにくくしている。

そもそも研修という言葉の語源は、研究と修養から来ている。らしい。
・研究とは「物事を学問的に深く考え、調べ、明らかにすること。」
・修養とは「徳性をみがき、人格を高めること。」

こうして見ると、研修という言葉そのものには「誰かが何かを教える」という要素は含まれていない。むしろ「自分が主体となって自らを磨いていく」というニュアンスが強い。

一方、研修を英語に訳すとトレーニングとなるが、上記の日本語の定義とは違和感がある。トレーニングには冒頭の写真の様に、「誰かに、鍛えられる、仕込まれる」というニュアンスが強く、こうしたトレーニングの場に飛び込むのは自分の意思かもしれないが、その場で行なっている事は自発的には見えない。

 

トレーニング vs ラーニング

トレーニングと対比される言葉としてラーニングがある。
・トレーニングは誰かに指導されるもの
・ラーニングは自らが考え主体となって行うもの

言葉の定義としてはラーニングの方が研修にあっている気がするが、ラーニングは学習と訳される。学習の定義はというと、「知識、行動、スキル(能力)、価値観、選考(好き嫌い)を、新しく獲得したり、修正することである。生理学や心理学においては、経験によって動物(人間を含め)の行動が変容することを指す。繰り返し行う学習を練習(れんしゅう)という。」Wikipedia

 

ここで、やっと”行動が変容する”という所に辿り着く。研修を企画する際に、言葉の定義から始めていては中身に辿り着かないので、先人達の知恵を借りることにする。

 

カークパトリックの4レベル

1959年にアメリカの経営学者のカークパトリック博士が提案した教育の評価法のモデルで、カークパトリックの4段階評価法として世界的に定着している。

・レベル1:Reaction(反応)
アンケート調査などによる学習者の研修に対する満足度の評価

・レベル2:Learning(学習)
筆記試験やレポート等による学習者の学習到達度の評価

・レベル3:Behavior(行動)
学習者自身へのインタビューや他者評価による行動変容の評価

・レベル4:Results(業績)
研修受講による学習者や職場の業績向上度合いの評価

 

この4段階は個人的にも納得感があるが、レベル4を実現できている企業にはほとんど出会った事がない。また、この評価方法および実態としてレベル4までを評価できていない事が、”研修は研修に過ぎない、業績には役立たない”という印象を生んでいる気もする。

自分自身、単なる研修と言われない研修を目指して、参加者の実務と直結させる子を心掛けているが、実務をテーマにプロジェクトベースの建てつけで行なっても、依頼主や参加者のレベル1:Reaction(反応)を最大化する事には繋がるが、レベル2,3,4までを事前にデザインできたケースは少ない。
研修実施後に機会を得て、数年経っても実践し続けていたり、プロセスとして組織に定着しているのを見るのはとても嬉しい瞬間だ。

 

HRBPという追い風

HRBP(HRビジネスパートナー)という言葉もだいぶ浸透して来た気がする。今年参加したSHRM2019でも、How to Be a Better Business Partner “You are a business professional who have expertise in HR.”と言ったメッセージが実践のためのガイドラインと共に打ち出されていた。

研修の効果が業績向上に繋がるようにするには、そもそも研修をその様に設計しておく必要がある。これをやるにはビジネスに求められる要件を人材要件に変換する事ができるプロフェッショナルが必要になる。

日本の人事担当者は他部門も経験している人が多い、人事専門家が育ち難いというマイナス面もあるが、事業に貢献できる人材を定義するには都合が良い。何れにせよ、研修企画者が全てを行う事は出来ないので、事業部の適切な巻き込みが鍵となる。

 

テクノロジーによる追い風

カークパトリックのレベル3,4は測定の手間が問題だった。しかし、レベル4から逆算してKPI(Key Performance Indicator)をブレイクダウンしていけば目標値の設定は可能だし、それに必要な行動指標も定義できる。行動の測定も主観的な自己申告から客観的な行動実績に変える事ができる。日々の報告から解放される被測定者に取っても朗報になり得る。

また、その手前のレベル2の学習到達度に関しても、エビングハウスの忘却曲線を逆手に取って、効果的なタイミングでリマインドを促したり、AIボットで実践結果に応じた取るべき行動のリコメンド等も可能になる。

測定と強化の両方でテクノロジーは大きな可能性を秘めている。全員に人間のコーチを雇う事は出来なくても、ロボットコーチなら全員に平等に提供可能かもしれない。参加者を増やしたいが費用が足りないという問題からも解放される。

 

カークパトリックの新4レベル

全ての動きは繋がっている。2016年にはカークパトリックの「新4レベル」を解説したKirkpatrick’s Four Levels of Training Evaluation (2016)が出版された。
HRBPの流れと呼応し「レベル1,2を中心としたこれまでの研修効果測定をやめ、新しい4レベルのプロセスで結果を出し、戦略実行に貢献するビジネスパートナーを目指そう」というメッセージが打ち出された。
具体的には、「レベル4→レベル3→レベル2→レベル1」という順番で設計する重要性を強調している。経営者から見れば当たり前の事かもしれないが、この順番の変更には大きな意味があるし、実現には様々なハードルがある。

 

それでも、流れは変わりつつある!?

人材を人財として活かしたいという要求が高まり、研修を単なるきっかけに終わらせないためのテクノロジーによる支援が可能になって来ている。
マスマーケット向けに大量の商品を均一に送り出すためのトレーニングが工場を中心に成果をあげたが、大量生産消費の世界から持続可能性とバランスを考える時代に求められるトレーニングは当然変わっていく必要がある。テクノロジーを前提とする時代には、研修自体もテクノロジーを取り込んでいく必要がある。

研修の目的を明確に定め、レベル4から設計し、批判を恐れずに、従来の枠から出て色々試していけば、かなり面白い事ができるはず!

人材育成に悩めるマネージャーのために。「どうして成長しないんだ」というフラストレーションから解放される方法

Written by 星野 雄一 on 2019-12-23

長年、人に関わる支援をやる中で、人材育成に悩める多くのマネージャーにお会いする。 私も実務としても人材育成には長年携わってきたので、お気持ちはとてもわかる。

 

先日、研究畑で今は事業開発に取り組んでいるマネージャーの方とお話をした。

その方は事業がだんだん成長し、部下も増えてくる中で人材育成が自身の課題になっていた。 「本も色々と読み、部下のモチベーションを上げたり、フォローをしたりしているんですけどね。なかなか思うように伸びないです」と仰っていた。

これは、私もかつて思っていた考え方だ。

 

「人は努力すれば成長できる」と思う人は多いだろう。ましてやマネージャーになるような方、また起業家として困難を超え続けている方はその経験の裏付けもあり、信じて疑わない。だから、社員の育成でも「きっと努力をすれば自分のようなスキルまでたどり着ける。目標設定が低いからダメなんだ。モチベーションが上がってないから全力を尽くさないんだ、フォロー・指導すれば成長の速度が速くなるはずだ。」という意識の元で育成を始めてしまう。

もちろん、そのアプローチで伸びる人もいるだろう。一方で目論見通りに成長しない人も多い。いや、どちらかと言うと、かなりの確率で目論見通りに成長しないのではないだろうか。

この状況を図に示すと、こんな葛藤だろうか。

この概念で捉えているマネージャーは、人は誰もが同じような成長直線の傾きを持っており、ただ適切な指導がされてないから加速していないと考えているように見える。

 

本当にそうなのだろうか?

 

むしろそう思っているから指導はうまくいかないのではないだろうかと感じる。人には何か固定された成長直線というものがあるのではなく、その人それぞれの成長の仕方があるという立ち位置に立つと、こんな景色が見えてくる。

ある社員の能力1に関して持っている成長直線の傾きは上記の通り。マネージャーの期待値には達していないが、本人の伸び代からすれば適切に頑張っている。ちなみに縦軸はスキルで見れば、企画力、発想力、論理的思考力など。Excel使いこなし力といった形で噛み砕いても良いだろう。もう少し総合的に職種目線で置くのもよい。研究能力、事業開発能力、総務能力などが挙げられる。

一方で同じ社員の能力2はマネージャーの期待よりもはるかに高い。伸び代はもっとあるが、現在の職場・仕事で期待値以上に伸ばす機会がなく、発揮されていない。

 

このように、人、さらに能力の種類によって、持っている成長直線の傾きが違うと考える方が現実的ではないだろうか。向いている仕事というのは傾きが急だし、向いてない仕事は傾きが緩やかである。もともとの成長の傾きが緩やかなら、もしモチベーションを上げる関わりをしても、効果的な指導をしても、緩やかな坂を加速して進むだけで、いつまで経っても期待値には到達しないし、本人も辛い。逆に傾きが急な能力においては、こちらの指導が想像以上に効く。一方、今の仕事でその能力がそれほど必要なければ、本来の能力向上のスピードよりも鈍化した状態になっている。これは勿体ないことである。

 

これはマネージャー自身も同じことが言える。たまたまその会社・組織で求められている能力に関する自身の成長直線の傾きが期待通りかそれ以上だったと。

 

もし、自部門で求めている能力に対して、その人の傾きが緩やかであれば、本人の希望はあるにしても早いうちに部署異動した方が良いだろう。また、自社で求めている能力に対してその傾きであれば、残念かもしれないが、お互い別れた方が賢明だろうし。その方がお互い良い人生を歩めるだろう。

 

この見極めと、見極めた上での支援こそがマネージャーが本当にやるべきであろう。マネージャーは人材育成をするのではなく、人材成長をプロデュースするのだ。

 

そのためには、社員の考えを把握するためにコミュニケーションを取ったり、適切なテーマを与えてその時の反応や行動、アウトプットなどを細かく見ておく必要がある。その際に重要なことは「この人の輝く場所はどこだろうか?」という目線で見ることである。その上でうちの会社や部署で活躍できるのか?という見極めになる。順番は重要である。順番を間違えると最初の図表と一緒になる。

現在の悩みから解放されたい方は是非目線を変えた上で社員の発言や行動を観察していただきたい。

 

最後に、INDEE Japanでは、事業開発部門やスタートアップの人材成長や組織成長をプロデュースする取り組みも行っているので、もし解決が難しそうであれば、一度お問い合わせを。

折れないメンタルの作り方 テクノロジーと共存する未来に備えるために

Written by 津嶋 辰郎 on 2019-12-16

WHOが発表している報告によると、


うつ病の人は2015年時点の世界総数推計で3億2,200万人に達し、05年比で18%以上増加した。


との事である。恐らくこういう統計データの数字以上に、昨今メンタルの不具合を訴える人を身近に感じているのではないだろうか。


私は現在、企業の経営者、新規事業立ち上げのコンサルタント、研究開発型スタートアップの支援者、エンジェル投資家、プロトライアスリートの支援者、全国トップを目指す人力飛行機クラブの創設OB、全国トップを目指す少年剣道の指導者補佐?!として、日常生活の中で普通以上にストレスを感じているであろう老若男女と過ごしている。

自分自身としても過去に異なる3種目において日本一を目指して戦い、運が良いことに達成することができた。ただ思い返すとどのチャレンジにおいてもメンバーのメンタルという側面では、改善の余地が多いにあると反省しつつ現在の取り組みに活かしている

 

本ブログでは、その取り組みにの中で今感じている最も重要な事をシンプルな図式で表現してみようと思う。


今回取り上げたメンタルの不具合という問題は、心が折れるとか心が病むとか表現されるように、定量的な状態量の計測が難ししく、かつ外部から観察が難しい”心”という存在に起因している。さらに、その不具合の原因も”ストレス”というというこれまた定量的な計測や絶対値の定義が難しいものによることが、問題をよりいっそう複雑にしている。


しかし、現実に目を向けると客観的に見ても明らかに、毎日非常に高いストレスにさらされながらも、高い目標に取り組み結果それを達成している人々も数多く存在すのではないだろうか。こういう現実からは、そうしたチャレンジに取り組むことができる先天的に、または後天的に身につけた、ストレスを回避できる特殊な能力でもあるのだろうか?またはどんなストレスにも耐えられる強い心というものがあるのだろうか?と考えたくなる。


先に自分の考えを述べると、これは特殊な能力でも心そのものの力によるものではなく、


社会と自分を繋ぐ関係性の違いである

そのことを極めてシンプルな不等号の図式で示すと下記である。


自分自身が心から望んでいるありたい姿 > 社会や周囲からの期待


この関係性が成り立っている元での仕事、スポーツ、その他日常生活におけるチャレンジは、ストレスで潰れたり、心が折れたりすることはない。

逆に、

自分自身が心から望んでいるありたい姿 < 社会や周囲からの期待


この関係性になっている取り組みは、どんなに一般的にレベルが低いチャレンジと考えられる取り組みであっても、いとも簡単にストレスは我々の心を蝕んでいく・・・。こう考えると心に起こっている現象は、非常にシンプルである。


この話を前述した日本を初めとする先進国におけるメンタルヘルスの問題原因の考察に当てはめて考えると、現状はこう表現できる。

多くの企業の置かれた競争環境が厳しくなる影響で、経営者そして管理職が社員に、より高い期待を要求せざるを得なくなった。さらに業績向上のために効率化、定型化された業務環境によって、多くの社員が自分自身としてのありたい姿を描けなくなってしまった。その結果、伝統的な企業に属する会社員はストレスを感じ続けながら業務に向き合う事になっている。

一方、自分も含めたオジサン世代が、今考えるブラック企業の環境でも潰れずやってこれた理由は、世代総じて心が強いわけでは無く、この不等号が左に開いていた環境下で仕事に取り組む事ができていたからだと考えるとシンプルに理解できるのではないだろうか。


そして人生経験として成功体験の積み上げは、結果的に左辺のありたい姿をどんどん高いレベルに押し上げてくれる。


自分自身が心から望んでいるありたい姿 >> 社会や周囲からの期待


だからこそ難題に取り組める起業家やトップアスリートなどは、一般人からしたら全く考えられないような、チャレンジをしていたとしても、本人はそれほどまで、いわゆるストレスは感じていないのである。


ここから学ぶべき最も重要な教訓は、この図式のバランスを崩さない限り、人間は誰しも前向きにチャレンジをすることができる能力を持っているということである。

もしあなたが現在の取り組みに何か継続的にストレスを感じているならば、このバランスが崩れていると考えて、現状を見つめ直してみてはどうだろか?

その状況を冷静に把握することができれば、修正は可能である。私の経験上、多くの場合は自分が望んでいるありたい姿を背伸びしているか、本当はそこまで本気でやりたいと思っていないということが原因であることが多い。この事実は、自分のプライドさえ邪魔しなければ、自分自身で修正することができる問題である。


こう考えると我々自身がプロアクティブにこれからくるであろう未来社会において、ストレス無く過ごすために取れる選択肢は2つしかない。それは、


 ・社会や周囲が求める以上のあるべき姿を描いて取り組むこと


 ・社会や周囲からの期待が自分のあるべき姿より低い場所で過ごすこと


前者は勿論のこと、後者も一見非常に難しいようにも思われる。ただ今世の中を騒がせている、グローバル化、ダイバーシティー、ITテクノロジー・・・の流れは、先進国に暮らす人々にとっては新たなライフスタイルの選択肢を与えてくれつつある。自分が求める要件を満たしてくれる、国や地域などの生活する場所、そして仕事や趣味のコミュニティーを見つけ出し、そこに移ることが容易になっていく。


これも20世紀の様々なテクノロジーの進歩は多くの人々から衣食住の不安から解消してくれた。一方、それによって日常生活の活動において、前述の図式のバランスを崩し、我々は”心”という新しい課題に直面している。

この心の問題は、テクノロジーと共存していく未来社会にとって・・・特に今の子供達の備えとして、幼少期の過ごし方から準備を進めておいても遅くない要素だと考えている。 ブログ故にかなりざっくりとした内容であるが、何かの切っ掛けにしてただければ幸いある。

「直感」と「思いつき」は似てるけど結構違うっていう話

Written by 津田 真吾 on 2019-12-01

ファスト&スローという話を聞いたことがあるでしょうか?

ノーベル経済学賞を受賞したカーネマンによると、人間には「早い思考」(システム1)と「遅い思考」(システム2)の2つの考えるプロセスがあるといいます。システム1は日常的に私たちが意識せずに使っている思考プロセスです。考えるエネルギーをかけずに、反射的に、効率的に判断を次々と行うことができる仕組みであり、ヒューリスティックスともいいます。あまり普段は意識することがありませんが、過去の経験から学んだことを「感覚的に考えている」のがシステム1です。そのため、バイアスを孕んでいて間違うことも多いし、テレビコマーシャルなどはこの効果を悪用利用して必要のないモノを売りつけようと絶えずしています。

「遅い思考」であるシステム2は論理的で定量的です。ただし欠点は、「遅い」ということと「疲れる」ということです。人間の脳は大量のエネルギーを消費し、やっと考えることができる臓器であるため、滅多なことでは起動せず、バックアップシステムとして控えているのがシステム2です。

システム1とシステム2についてはこちらのサイトが分かりやすく解説しています。

私たちは、ビジネスの現場でシステム1とシステム2のどちらをメインに使っているでしょうか?

仕事は「考えて」やるものだから、システム2を主に使っていると思いがちですが、実はシステム1で処理していることが大半です。仕事を始めたころは不慣れで、一つ一つ手順を考えながら進めることが多いものですが、慣れてくると「考えずに」できるようになりませんか?それはまさに経験が手順化され、反射的に効率的に仕事ができるようになっているのです。

アイデア着想はどっちのシステムを使うのか?

新規事業に取り組む際には、ビジネスアイデアそのものはもちろんのこと、仮説検証の方法や、顧客の探し方や、プロモーションの仕方など、数多くの優れたアイデアが必要になります。このような決まった法則など少ないアイデアを出すときには、じっくり考えることも難しく、システム1を多用することになります。ましては、時間を競い、情報や資源が足りないなかで、走りながら考えるとなると、ファストなシステム1が重要になります。

一般にもアイデアとは「ひらめき」という一瞬の電気信号であると思われています。そのためアイデアにひらめくときというのはシステム1と認識されているのではないでしょうか。そもそもじっくり考えるほどの時間的な猶予がなかったり、データもないまま決める必要があります。既存事業であれば、戦略を決めるために調査を行って、分析を行って…といったシステム2に頼ることも可能ですが、新規事業においてはそんな贅沢は許されません。

要するに、走りながら考えないといけない新規事業を進めていくにあたって、

“システム1の精度、つまり直感を磨くことはイノベーションの成否に大きく関与するのでは?”

との考えに至りました。

では、「直感を磨く」ということはどういうことでしょう?

簡単にいうと、システム1の思考が未熟なときは、着想は単なる「思いつき」でしかありません。 最も代表的なのは、「それまでのやり方をそのまんま踏襲する」ものです。もちろん、意識的に着想しているわけではありませんが、新しい課題に対してシステム1に委ねるというのは、デフォルトの着想として効率的なやり方になります。しかし、それまで取り組んだことのない新しい課題であるにも関わらず、古い課題と同じように(例えば綿密に計画を立てようとしたり、PDCAを回そうとしたり)取り組むことは致命的になることになるでしょう。他には、その日たまたま見たニュース番組で紹介されていたブームに乗っかったビジネスを考えるといったものも「思いつき」です。

磨かれた直感は「思いつき」を超え、ロジックを伴います。直感とロジックは一見矛盾しますが、システム1は経験でできているので、関連する経験が豊富であれば咄嗟に引き出せる引き出しも増え、直観的に出した結論も論理的に説明が可能になるのです。

例えば、Amazonの創業者であるベゾスは、インターネット利用が年率2300%と桁違いであることを知り、インターネット通販会社を起業することを決めました。そもそも、他のさまざまなものの成長率を見ていなければ、この2300%という数字がどれだけ凄いのかを判断することはできません。ヘッジファンドに勤めていたベゾスには、きちんと直感的に判断する素地があったのです。そのような素地がなければ、2300%を見たとしても素通りさせてしまったりするかもしれませんね。

自分の経験からも、ひらめきの質を高めたり、直観を磨く上で、訓練は役に立つのではないかと思います。しかもその訓練は、アイデアを沢山「思いつく」訓練よりも、周辺の事実や状況を沢山観察したり体験することの方が役に立つはずです。