ジョブ理論で読み解くGAFA

Written by 山田 竜也 on 2019-01-15

 スコット・ギャロウェイ著『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は昨年2018年7月に発売され、ここ半年であっという間にビジネスパーソンの新常識として認知されました。流行語対象にノミネートされるなどビジネスだけでなく社会現象としても認識されているのは、四騎士(Google Apple Facebook Amazon )の提供するプロダクトやサービスが我々の生活にも深く根ざしていることの証明です。

クレイトン・M・クリステンセン著『ジョブ理論』は、GAFAの一年前2017年8月に発売され、ジョブという概念は新規事業開発や新商品・サービス開発に携わる人に、顧客を理解するための新たな視点を提供しました。INDEE Japanが提供するJOBSメソッド(ジョブ理論に基づく顧客理解と事業機会発見の実践的手法)の受講者は年間1,000名を超え、実践者は増え続けています。

 

今回は四騎士がなぜ顧客に雇われているかをジョブ理論で解き明かしてみます。GAFAの中で描かれている四騎士が顧客を虜にしている理由は人間の身体を使ったとてもイメージしやすいフレームワークで整理されています。「顧客を虜にするには、身体の上から順に、脳に働きかける、心に働きかける、性器に働きかける」というものです。実はこの3つはジョブ理論における「人が製品やサービスを雇う目的は機能的、感情的、社会的の3種類である」と符合します。

 

脳を虜にするGoogle, amazon

顧客が解決したいことが、機能的なもの、論理的にどちらが得か判断できるものであれば、働きかける対象は脳です。


我々が暮らす現代社会は、情報が溢れる世の中で、全てを記憶することはできない。必要な情報にたどり着くことすらできない。苦労してスクラップブックを作ってタグ付けしても、あっという間に陳腐化してしまいますよね。
記憶力の代わりにインターネットに繋がる外部記憶装置を、タグ付けの代わりに検索エンジンを提供することでGoogleは我々のいつでも必要な情報にアクセスしたいというジョブを解決しました。
心は外部に頼るのを嫌がるかもしれませんが、脳に「こっちの方が便利でしょ!」といえば即、導入してもらえます。

欲しいものが直ぐに手に入る現代社会は持続可能性という点では問題を孕んでいますが、一生活者としては、欲しいものが直ぐ手に入るのはとても便利ですよね。
自身を振り返っても、昔は空気を運んでいるかのようなamazonの箱に勿体無いな〜と違和感がありましたが、最近はなくなってしまいました。マンションの1階にコンビニがあることでお菓子や炭酸の消費は明らかに増えました。
amazonはその圧倒的な便利さ(検索、ワンクリック、物流)により欲しいものを直ぐに手に入れたいという機能的なジョブを解決しました。定期便により買い忘れを無くしたいを、リコメンドやタイムセールによりとにかく買いものを楽しみたいという感情的なジョブも解決しています。この辺りのサービスは心も掴みにきている気がします。

 

心を虜にするfacebook

誰かに認められたい、一人ではないことを確認したい。それをしたからといってお金がもらえる訳でもなく、何か得する訳でもない。脳で考えれば実名登録のリスクも分かるのにやめられない。それは心を虜にされているからです。


ここにも我々が暮らす現代社会の問題が内包されているかもしれません。身近な少数との深いつながりよりも、より多くの人からの日々のいいね!やコメントが欲しい。コミュニティから自分が外されないことを確認して安心したい。facebookはオンラインで簡単に承認欲求を満たすことで、忙しい中でも面倒くさい人間関係に煩わせずに自分の存在を確認したいアピールしたいという感情的なジョブを解決しています。
最近はメッセンジャーで業務連絡を行ったり、facebook広告で集客したりと機能的なジョブの解決にも使われています。facebookは心を虜にすることを足がかりに脳への侵食を開始してきています。グループ傘下のinstagramは自分自身をよく見せたいというジョブを解決し性器にもアプローチしています。

 

性器、異性にモテたい!ならばApple

脳や心を凌駕する人間のもっとも根源的な欲求に働きかける。論理や感情を超えたところで強烈な信者を獲得するには性器に働きかけます。 


Appleも当初はコンピューター会社でした。それもオタクの。カラフルなiMACが出た頃からイメージが変わってきて今やすっかり高級ブランドです。自分も含めですが、Apple製品を使っている人のジョブは、自身は最先端やオシャレに疎くてもスマートで行けてる人に見られたいという社会的ジョブだと思います(笑)脳で冷静に考えると値段ほどの機能はないですよね。もちろん機能を素晴らしいUXに翻訳する能力は素晴らしいですが。スペック以上の価値をUXとして届けられるApple、GAFAの中でマーケットシェアではなく、利益シェアでダントツというのも頷けます。

 

Google, Amazon, Facebook, Appleの四騎士はそれぞれ機能的、感情的、社会的でコアなジョブを解決することで顧客を獲得しています。現在はお互いのコアから浸食し合い、何かを買うならGoogleよりもamazonで検索するといった状況も出てきています。根っこにある各社のビジョンは揺らいでいません。

大きな市場を狙うには、より本質的なジョブを捉える必要があります。年の初め今年のビジネスを考える際に、自社の掲げるビジョンと顧客のジョブとのフィットを妄想してみてはいかがでしょうか。きっと新たな取り組み目標が見つけられます。