『イノベーションって何すればいいんですか?』と新卒社員に聞かれたら?(その1)

Written by 加藤 寛士 on 2019-07-23

「イノベーションを起こすって具体的に何すればいいんですか?」と意識高い系の新卒社員に聞かれたときに、社会人の先輩としてどのように答えればいいのでしょうか?

今回はイノベーション・コンサルティングを専門とするINDEE Japanなりに、できるだけシンプルにその答えを考えてみました。

イノベーションとはなにか?

イノベーションとは『発明』と『普及』が両立したときに起きる現象のことです。

したがって、イノベーションへの取り組みの基本方針は、『発明』と『普及』の両方を成功させるべく活動をする。もしくは、両立できるように必要な支援を行い、エコシステムの整備を行うということになります。

INDEE Japanでも『発明』と『普及』の観点から、人事・ファイナンス・テクノロジー・マーケティング・ブランディング・オペレーション・ディストリビューションといった各領域における戦略策定と具体的な支援を行うコンサルティングサービスを提供しています。

それではまず『発明』について、もう少し詳しく見ていきましょう。

イノベーションの文脈における『発明』とは?

イノベーションのおける発明とは、端的に言えば「2つ以上の要素の新しい結合」のことです。スティーブ・ジョブズも以下のように言っています。

創造とは結びつけることだ
– スティーブ・ジョブズ

ここで、初心者イノベーターあるあるネタ(笑)を1つ紹介しますが、「2つ以上の新しい要素の結合」を『発明』と勘違いするということがあります。結合が新しい必要があるのであって、要素が必ずしも新しい必要があるわけではないということですね。

こうした誤解があるため、最先端を行くテクノロジーを駆使したおしゃれで新しいプロダクトに取り組まなくてはいけないという先入観が生まれ、取り組みのハードルが無意味に上がってしまい、身動きが取れなくなっているというのは、よく見かける光景です。

「おしゃれで最先端なプロダクトに見せること」はアーリーアダプターに対するブランディング戦略として有効なこともあり、イノベーティブと言われているプロダクトやサービスは、そうしたブランディングがなされることが多いようです。それが、「イノベーション = おしゃれで最先端」という誤解が生みやすい環境を作っているのだと思います。


イノベーションという言葉を現在のような意味で初めて用いたのはノーベル賞授賞者を複数育成し、20世紀の経済学を形作った天才の1人と言われ、近年さらにその先見性への評価も進んでいるヨーゼフ・シュンペーターという人物なのですが、彼はイノベーションが生まれる領域は以下の5つであると定義しています。

  • 新しい商品の創出
  • 新しい生産方法の開発
  • 新しい市場の開拓
  • 原材料の新しい供給源の獲得
  • 新しい組織の実現

シュンペーターも、結合の素材は必ずしも最先端かつおしゃれなテクノロジーではなく、ブランドだったり、顧客だったり、資金だったり、チャネルだったりするものと考えていたということですね。


なお1つ補足をしておくと、結合する素材が新しければ、必然として結合も新しいものになるので、新しい素材を探し求めることも『発明』に対する有効な戦略の1つであることは確かです。

  • 大企業・歴史のある企業・技術に長けた企業であれば、他社が持ち得ない素材を社内から引き出す
  • 身軽さや少数精鋭の個人の能力がウリの新興企業であれば、技術や時代がもたらした新しい素材の可能性を誰よりも先に引き出す

というような活動に戦略的に取り組んで行くことは大切ですが、希少性の高い資源や新規性の高いテクノロジーも、”なにか”と結合することでしかイノベーションの文脈における『発明』とはならないという認識を持つことが大切です。これはイノベーションへの取り組みについての実践をするにあたって、1つのコツのようなものです。その認識を持てていないために、イノベーションへの取り組みが、単なる学究やオタク的な活動にとどまってしまっているというのも、またよく見られる光景です。


以上、「イノベーションに取り組む」とはざっくりとどんな活動なのか?、イノベーションという文脈における『発明』とはどんな活動なのか? についてできるだけシンプルに開設してみました。

意識高い系新卒社員のキワドイ質問に、答えをするために少しでもお役に立てたらうれしいです(笑)

次回その2では、 『普及』とはなにか? 、そして『発明』と『普及』どちらを先に取り組むべきか、少し深堀りして解説してみたいと思います。