INDEE Singaporeで取り組んでいる医療機器の事業開発に大きな進展があったので、日本語でご紹介したいと思います!(オリジナルはこちら)
シンガポールで開催されている「CHISEL Healthcare InnoMatch 2024」は、最終ピッチに向けた選考が進行中です。今年のテーマは高齢化社会に向けた介護強化で、特に重視されているのが一人一人に適した介護を提供する個別ケアを実現するソリューションです。330社が応募し、その中から19社が第二選考を通過しました。最終ピッチに進めるのは、わずか9社に限られています。
INDEEはQoloと共同でInnoMatchに応募し、見事に二次選考を通過、上位19社(トップ5%)に選ばれました。Qoloのソリューションが高齢者問題をどのように解決しているのかご紹介したいと思います。
目次
シンガポールの高齢化とリハビリテーションの現状
シンガポールは現在、高齢化問題に直面しており、2030年までに4人に1人が65歳以上になると予想されています。このような状況下で、フレイルやサルコペニアといった疾患が増加し、特に脚の筋力低下が高齢者の自立生活を妨げる要因となっています。高齢者における脚の筋力低下を予防するために、座位からの立ち上がり、いわゆる起立運動が重要とされています。
現在シンガポールの病院では、理学療法士の協力が必要な歩行器や移乗装置を用いてリハビリが行われていますが、理学療法士の負担は課題となっています。高齢者にとっての安全性を担保したまま、理学療法士の負担を減らした効果的なリハビリが求められています。
Qolo株式会社が開発した革新的な高齢者リハビリ用デバイス
筑波大学発のスタートアップであるQolo株式会社は椅子型リハビリデバイスを開発し、理学療法士の負担軽減と高齢者にとって安全で効率的なリハビリの実現に取り組んでいます。
リハビリを行う高齢者は、Qoloが開発したデバイスを用いることで、理学療法士のサポートがなくてもわずか3~5秒で安全に起立運動を行うことが可能です。これにより、理学療法士の負担が軽減され、リハビリテーションの効率が大幅に向上します。
さらに、同社のデバイスはリハビリデータを記録し、患者の回復状況をモニタリングすることが可能です。これにより、病院のシステムと連携して個別のリハビリプランを提供できます。
Qolo株式会社 佐々木氏によるコメント
Qolo株式会社の共同創業者兼CTOである佐々木氏は、次のようにコメントしています。
「CHISEL Healthcare InnoMatch 2024には、シンガポールで『健康で強靭な高齢化社会を目指した介護の強化』というテーマのもと、世界中から330社が参加しました。私たちは、自社が開発した立位リハビリテーション支援デバイスがこのテーマに貢献できると考え、応募しました。
330社の中から選ばれるためには、製品力や将来性、開発・臨床試験計画、認証、シンガポールでの事業性などを示す必要がありました。当社はシンガポール国外に拠点を置いていたため、InnoMatch 2024に参加することは大きな挑戦でした。しかし、昨年のGlobal Navigator 2023プログラムでシンガポールを訪れた際にINDEE様と出会い、サポートを受けることができました。
INDEE様から、必要な書類の作成支援だけでなく、シンガポール医療関係者との相談や、医療機器認証機関とのやりとりなど、シンガポールでの製品展開に欠かせない包括的なサポートを受けることができました。このサポートのおかげで、ステージ3まで進むことができました。
私たちは日本とシンガポールから、できるだけ多くの人々が立ち上がり、より良い仕事ができ、健康的な生活を楽しめる社会を目指していきたいと思います。」
CHISEL Healthcare InnoMatchとは
CHISEL Healthcare InnoMatchは、シンガポールのヘルスケア・イニシアチブの一環として開催されるイベントです。今年は、高齢者に対する介護強化がテーマとなっています。市場投入段階に近いソリューションを選抜し、普及促進を目的としています。優勝者には、50万シンガポールドルの助成金と実証の機会が与えられます。
CHISEL Healthcare InnoMatch 2024での成果を足がかりに、Qolo株式会社がグローバル市場でさらに活躍するよう期待しています。今後も同社の動向に着目し、随時お伝えしたいと思います。