行ってみて実感! ドバイの凄いところ

Written by 山田 竜也 on 2017-10-02

INDEE Japan設立の頃から、仲間内で話題に上っていたドバイに行ってきました。
いつもとは違う、少し軽いノリで自分が感じたドバイの凄いところをお伝えします!
テーマは、位置、水、夢、多様性、自由、そして、イノベーションです。

位置
先ずはドバイって何処?という人のために、ドバイはこんな所にあります。

日本から10時間40分ですが、往路は夜初の早朝着でしたので、時差的には割と快適でした。日曜の夜に移動して、月曜日に仕事して、火曜の朝便で帰れば、水曜日は朝から普通に(?)仕事ができるという弾丸ツアーも可能です。アジアのハブであるシンガポールも7時間ですから、中東はもちろんアフリカや東欧へのハブとしても、とても魅力的な位置にあります。こうした地政学的な気付きは行ってみないと分からないことの一つですね。普段から地球をいろんな角度から見る癖をつけておきましょう。
地政学ついでにもう少し拡大した地図で見てみましょう。

ペルシャ湾とオマーン湾の両方に面していることで、ホルムズ海峡を封鎖されても陸上パイプラインで抜けることができます。ドバイは7つの首長国の1つですから、実際はドバイから別の首長国であるフジャイラに抜けることになります。いずれにせよ、UAE(アラブ首長国連邦)が石油輸出の要所であることは間違いありません。実は日本はUAEのお得意様です。日系油田の約4割はUAEのアブダビにあります。また、日本の石油輸入の約24%を占め、サウジアラビアに次いで2位です。UAE結成直後の1972年から、これまでに日本がUAEに支払った輸入代金は80兆円にも登ります。これは世界最大級の政府系投資ファンドADIA(Abu Dhabi Investment Authority)の資金量にも匹敵するそうです。自国の資源を社会インフラの整備やファンドに蓄積し、次代の国家の基礎としている計画性に唸らされます。


行く前からこれは見なければと思っていたのが、高さ150mのドバイファウンテン

思いっきり観光ネタですが、砂漠と海(海水)しかないところで、どうやって、こんなに水の無駄遣いを!と気になっていた場所でした。
これまで60ヶ国以上の国を旅して来たなかで、一番辛いと思ったのは、水がない状況でした。温度、湿度、食事、衛生等、大抵の不自由には慣れてきたつもりだったのですが、十数年前に訪れたモンゴルのウランバートルから数百キロ西の集落でのパオ暮らし。水がないって辛い!というのを初めて実感しました。もしかしたら、水に恵まれている日本人ならではの感覚かもしれません。こうした経験があったせいもあり、ドバイファウンテンでの水の使い方にはエンターテイメントとしての感動の前に、こんな砂漠の真ん中で、なんてもったいない!という印象が強かったのですが、この水はどこから?というのを調べてみると印象は変わりました。
ドバイは水需要のほとんどを海水蒸留水で賄っていて、ドバイの造水プラントによる水の生産量はサウジアラビアに次いで世界第2位だそうです。水は日本におけるエネルギー問題と同じく、UAEでは最重要課題であり、その能力を示すことは、国力を示すこととも等しいのだと理解しました。単なるエンターテイメントではなく、社会インフラの整った国であることを示すのと、観光立国に直結するという点で眺めるとドバイファウンテンの水も違って見えてきました。水が十分ある砂漠の国であることを示す必然があるのですよね。


そして、ファウンテンの後ろにそびえ立つ、828mのバージュ・カリファ。

写真だとあまり高さを実感できないのですが、828m、当然634mのスカイツリーよりも高い。真下にはドバイファウンテン、ドバイモールとまさにザ・ダウンタウンです。区画としては1つにまとまっているのですが、その1ブロックがでかいです。イメージとしては、東京駅の丸の内側が丸ごとドバイモールという感じでしょうか。外は40℃越え、中は20℃台と、慣れないとこの温度差で体調を崩しそうでした。屋内がキンキンに冷えているのは暑い国ではおなじみのことですが、日差し、湿気とダブルで効いてくるドバイの街中において近代的なモールやオフィスビルはまさに人工のオアシスでした。
過酷な自然環境ではあるが、人工のオアシス(ショッピングモール)を誰もが楽しむことができる。国家が国民・住民に対して、利益を還元している。これが夢の部分です。誰もがもっと進歩できる。生活をよくすることができると、未来に対する期待感があふれていると感じました。バージュ・カリファは映画「三丁目の夕日」の頃の東京タワーなのかもしれません。この夢があるから、多くの人が惹きつけられ、本当の意味の多様性が生まれています。

多様性
まるでスターウォーズの世界みたい!と思いました。

そう思った理由の一つは、想像以上に多様な国籍・民族の人たちで社会が構成されていること。そして、国籍で大体の職業が決まっていること。

  • タクシーの運転手はインド人かパキスタン人、英語のなまりと見た目で区別がつく
  • セキュリティはネパール人、傭兵の延長かな
  • レストランのフロアスタッフはフィリピン人、穏やかな微笑みが受けるのは世界共通なのかもしれない
  • 日本人に近い雰囲気のカザフスタン人のホテルスタッフ
  • インキュベーションセンターで議論している人たちは様々な人種のミックス
  • 金融街には、40℃越えの中、ブラックスーツにタイを閉めた金融人という種族がいる
  • UAE人は政府系の施設に行けば会える、イミグレーションで民族衣装が多いのは演出ではない。普段着を来たUAE人が多いだけだ

国籍や文化の異なる人が集まり、それぞれの立場や得意技を活かして社会を運営している。しかも、誰もが自分の状況の中で幸せを感じている、お互いがお互いを尊重している感じがした。職業に貴賎があるわけではなく、適材適所の役割があるだけだ。報酬が同じというわけではないが、街はきれいで、物価も安く、誰もが自分なりの文化的生活を楽しめている。そう感じた。
日本で多様性という言葉を使うときには、性別、年齢、日本人/外国人というキーワードがでるが、外国人という言葉が既に多様でない。日本とそれ以外を一括りにしているからだ。日本人はもっと世界のいろいろなことに対する解像度を上げなければと思いました。そして、自分自身も個としての魅力を上げないと通用しませんね。学歴、性別、人種、年齢、いろいろと取り払った時に自分に残る魅力は何か?Diversity & Inclusionの次代は多様性や受容性を上げることばかりが語られますが、その前提として魅力的な個人であることが大切ですね。まずは自分が好きな自分になりましょう!

自由、イノベーション
外部から人材を引き寄せ、最先端のいろいろな実験を自由に行える環境を提供する。それに資金も提供する。

訪問したDFA(Dubai Future Accelerators)では、21世紀にもっとも重要な機会をテーマとして多くのチャレンジを進めていました。それらはまさに社会システムにおける課題で、警察、自治体、エネルギーと水といったテーマでプロジェクトが組まれていました。今回は時間がなくて訪問できなかったのですが、アブダビ市近郊の砂漠地帯では、人口約5万人、面積約6.5km2の人工都市「マスダール・シティ」の建設が進んでいます。計画が延期され、2030年を目指すようですが、CO2排出量ゼロ、再エネによる究極のエコシティを目指す意欲的な計画です。ポスト石油社会を目指すという意味では、石油に頼るアブダビでこそ行う必然のある取り組みです。
もう少し近くの施策としては、アブダビ市の北東のサディヤット島の文化地区にルーヴル・アブダビ美術館が11月オープン予定です。本当は今回の視察の候補だったのですが、オープンが延期され、残念ながら建物の外観を見るだけになりました。この文化地区には高級リゾートやゴルフコース、ニューヨーク大学アブダビキャンパス等が誘致され、石油から文化へアブダビの魅力をシフトしようとする試みのようです。

まとめ
オイルマネー、世界一尽くし、金持ちの国という比較的短期の経済発展ばかりの国という印象でしたが、行ってみると、壮大な計画に基づく非常に長期的な視点で魅力づくりに邁進している国だと感じました。
その成功要因は、

  • 石油で得た投資をもとに地政学的に有利な位置を活かし、アジア、ヨーロッパ、アフリカをつなぐハブとなったこと。
  • 都市として機能するために必須となるの問題を解決し、むしろ強みとして打ち出したこと。
  • 貿易、観光での強みを究極的に打ち出し、の街を作ったこと。現在もその夢を広げ続け、夢を抱く人々を集め続けていること。
  • それにより、多様な人材を呼び寄せ、それぞれの得意を活かして、誰もが稼げる社会を生み出していること。
  • この自由度の高さを活かしてイノベーションに取り組んでいること

国家レベルでこの体制を築くのは、それこそ一朝一夕では不可能ですが、株式会社ドバイと考えれば、強力なトップダウン、外部人材の活用により成功している姿だと思います。

イノベーションを生み出したい企業の皆さん、一緒にドバイ視察に行きませんか?まだまだ未開拓の地で、ビジネスチャンスを探しましょう!

 

海外オプショナルツアーアクティビティ予約サイト【タビナカ】

KLIでやってはいけないこと

Written by 山田 竜也 on 2016-11-30
前回はイノベーションの進捗をはかる指標としてKLIをご紹介しました。
「行動した結果、どんな学習をしたか、どれだけ顧客のことを理解したか」を
評価指標としておいても、それだけでは人はなかなか動けません。
そもそも新しいことをやるのには抵抗があるし、
それを慣れていないやり方でいけないとなれば、なおさらです。
その気にさせるのが先か?
まずは黙ってやらせてみろなのか?
有名な
「やってみせ
 言って聞かせて
 させてみて
 ほめてやらねば
 人は動かじ」
の一節が頭をよぎります。
社内にイノベーターのメンターがいれば良いですが、そもそもそういう人がいなくて困っているわけなので「やってみせ」の段階でつまづいてしまうのが現状です。
思考よりも行動、行動することで一次情報を得る
結論としては、ここは、「とにかく行動させる」ということに尽きます。
だからと言って、「イノベーションを起こせ!」「ビジネスチャンスを見つけろ!」と掛け声をかけるだけでは空回りします。
もう少しフォーカスを絞りましょう。
KPIで言うと結果系だけでなく、そこに至る過程となるプロセス系の指標を追加するイメージです。
行動の方向性を示す前に、そもそも、なぜイノベーションが必要か?という認識を醸成しておくことが必要です。
危機感だけだと余計既存ビジネスを守る方向にも走りやすいので、既存ビジネスで稼ぎつつ、イノベーションへの新規の投資を続けることを大方針として打ち立てる必要があります。ここは仕組みを作るというよりも、トップや部門長の本気のメッセージでしか示すことはできません。
方針が示されて、どんな分野を狙えば良いのか(目指すべき成長分野)、どんなビジネスが求められているのか(自社の顧客ベースや組織能力に対しての新規度合い)、事業コンセプト(ハードウエアからサービスへのシフト等)が見えてくると、そのためにとるべき行動を考えやすくなります。また、ここが具体的に示されるほど、トップの本気度は伝わります。反面、賛否も別れます。停滞した組織にインパクトを与えるには、賛否が大きく分かれるぐらいの劇薬が必要なときもあります。
この辺りがイノベーションマネジメントとして工夫すべき最初のポイントになります。
  KLIを設定するときにやってはいけないこと①: 結果系だけを定義する
やることだけではなく、やらないことを決める
プロセス系のKPIを設定するときには、やることだけでなく、やらないことを決めることも必要です。
イノベーションも、やりましょうだと、結局やらずに終わってしまいます。退路を絶ってまでやらせるとなると、やる側もやらせる側もハードルが高くなりますが、失うものが多すぎる大企業の中で敢えて取り組ませるには、既存のしがらみから解き放つ必要があります。
一つのやり方としてよく紹介されるのが、__%ルールです。
ここで注意しなければいけないのは、「やってもいいよ」では機能しないということです。
3MやGoogleの成功例は、”やりたいことで価値を生み出したい”、”単におもしろいことをやりたい”というモチベーションを持った人が沢山いるという前提があります。こうした文化がない企業で導入しても、よほど余裕がある人か、本業が上手くいかない人の加点狙いに使われてしまいます。
「やってもいいよ」ではなく、「やれ!」にすると行動は少し変わってきます。好きにやれと言われても・・・という人には明確なテーマを与えたほうが効果的です。ただし、この場合はテーマをどう選ぶかという課題が残ります。会社としての取り組みテーマを示せていないと実行できません。
もう一つは「やらないことを決める」です。これには既存の研究テーマに期限をつけて強制退場させるという、相当現場から反対を受けそうなものもありますし、もう少しソフトにテーマそのものは変えないにしてもアプローチ方法を変えさせるというやり方もあります。
要は、「同じテーマに同じアプローチで取り組み続けて、いつまでたっても進展がない」という事態をなくすのが目的です。惰性で続けてしまっているプロジェクトを見つけたら、テーマとアプローチの双方での見直しをオススメします。
  KLIを設定するときにやってはいけないこと②: やることだけを定義する

KLI (Key Learning Indicator)を設定しよう

Written by 山田 竜也 on 2016-11-09

以前書いたように、イノベーションとは「何か異なるやり方で、インパクトのある価値を生み出すこと」です。

インパクトのある価値が生まれるかどうかは、やってみなければ分からないので、重要なのは異なるやり方を試すことです。(実はイノベーションの世界もいろいろ研究されてきており、成功確率をあげる方法はいろいろとありますが)やらないと、インパクトを生むことはできません。

異なるやり方って何なんだ!と思われた方へ、

平たく言うと「慣れていないことへの挑戦」です。

自戒を込めてなのですが、慣れていないことをやるのは誰でも嫌なものですよね。

しかも、イノベーションの世界は不確実性が高いので、頑張ってやったとしても成果が上がるかは分かりません。

かといって、慣れていないことに挑戦しなければ(やり方を変えなければ)、得られる結果は従来と同じです。

「Innovate or Die …」

「やらなければならない・・・」という空気はしだいに現実味を帯びて、様々な業界を侵食しています。

とはいえ、一般的な願望としては、「なるべく楽して儲けたい」ですよね。

「楽して・・・」というと反論もあるかと思いますが、ドMの人は別として、なるべく効率的にビジネスを進めたい誰しも思うのではないでしょうか。

成熟した大企業でイノベーションを起こすにはどうすればよいのか?

危機感の醸成、啓蒙、トレーニング等、人材に働きかけるソフトな取り組みはいろいろありますが、制度として行動を促し、方向性を示すものも必要です。

既存事業と新規事業のKPI

すでに行なっている既存事業であれば、今期の売り上げのようにKGI(Key Goal Indicator)を設定し、顧客の訪問数、提案に至った回数、受注件数をKPI(Key Performance Indicator)にするという具合に、KPIの設定はイメージしやすいものとなります。

しかし、イノベーションではこうは行きません。新製品の投入率、戦略的な特許の取得件数、イノベーションパイプライン強度(イノベーションプロジェクト数 x 将来の収益の見込み)といったものもありますが、定量的とは言い難いですし、何より人の行動を促すという点で不十分と言わざるを得ません。

KLIとは何か?

では、どうすれば良いか?

お勧めしたいイノベーションのKPIは、ずばり!どれだけ学習したかです。

イノベーションの実行が難しいのは、不確実性が大きいからです。

プロジェクトの先行きは見えないし、顧客が買ってくれるかどうかも不明。さらに、思いがけないコストが乗っかってくる可能性もありますし、仕入先の品質も安定していないこともよく起こります。

そのように数多く存在する不確実性が減少することがイノベーションプロジェクトの進捗といってもよいでしょう。

したがって、新規事業のKLIとして、未知数として知らないことや、仮説に過ぎなくて不確実なことが減っているかどうかを計測してはどうでしょうか。

「ザ・ファーストマイル」には、2つの重要なツールが紹介されています。

一つは、仮説を重要度によって分類する方法です。これは、仮説(つまり、いずれ学ばないといけないこと)の重要性と確信度から、仮説検証の優先順位を決めるツールです。

もう一つは、確実性の遷移表です。事業の確実性(もしくは不確実性)を測り、事業として進捗している度合いを見る方法です。

この2つのツールを参考にKLIを設計してみてはどうでしょう。

勉強と学習

最後に、学習と勉強の違いに触れておきましょう。

これまで「学習」という言葉を選んで使っています。

しばしば「知る」こと「勉強」することと混同されていますので、説明します。

「勉強」は事実の確認に過ぎないが、「学習」には再現性を求める。

例えば、「火を触るとヤケドをする」と知ることと、「ヤケドをしない所作」を学ぶことは違います。

KLIというと、ついつい分厚いレポートをたくさん読みたくなりますが、それは入り口にしか過ぎません。

  • この業界はこうなっている (勉強)

  • この業界ではこうすれば売れる (学習)

この2つの表現を見てわかるように、勉強はあくまでも過去の事実やその仮説でしかありません。それに対して、学習は検証された仮説です。

このように、学習の観点を加えてイノベーションプロジェクトを進めてみましょう。

ゴミ処理でも、気持ちが大事

Written by 山田 竜也 on 2016-10-25

ゴミ処理問題を解決するとしたら、どんなアプローチを取りますか。

問題といってもいろいろありますよね。

分別が面倒くさい、お金がかかるのが嫌だ、ごみ捨て場が遠い、毎日回収してほしい。

どちらかというと、そもそもやりたくないことの処理なので、わがままな意見がいろいろ飛び出してきます。

処理という言葉が付きまとうと・・・、

どうしても、効率良くという方向性での話に終始してしまいますが、楽しくという感情的な満足や、仲間と貢献感を分かち合うといった社会的な欲求にも目を受けると、3R(Reduce, Reuse, Recycle)以外の発想が出てきます。スウェーデンでは服や靴の修理にかかる付加価値税(日本でいう消費税)を25%から12%まで下げる法案を検討中とか、Repairも加えて4Rで考える時代が来るかもしれませんね。

ゴミ箱を楽しく

The world’s deepest bin 

https://www.youtube.com/watch?v=cbEKAwCoCKw

こんなゴミ箱があったら思わず捨ててみたくなりますよね。子供が遊びでなんでも捨ててしまう懸念はありますが(^^;

ゴミ拾いをゲーミフィケーション

株式会社ピリカ 

http://corp.pirika.org/

ゴミ拾いイベントにはピッタリ、世界中で拾われているゴミが見られるのも面白いです。

自分は面白いコンセプトだ!と思ってインストールしましたが、結局アップしてません。なんとなく、ゴミの写真をアップするのに抵抗があって、しかも自分の生活空間のなかで、という辺りがネックになりました。ちょっとしたことが人の行動を喚起したり、阻害したりするものですね。

修理を通じてコミュニティづくり

Repair Cafe 

https://repaircafe.org/en/

こちらはオランダ発祥で10カ国に展開しているコミュニティ。修理して長く使うという文化は日本では受け入れられやすいですよね。江戸時代には修理ビジネスが盛んだったようですし、循環型社会という観点ではよく江戸時代のことがとりあげられます。スウェーデンの法案は消費を減退させるという懸念もある一方で修理ビジネスで雇用が生まれるという意見もあります。ただ、ものあまりの現代に、何が人々を惹きつけるかというと、お金をかけずに修理したいという機能的なジョブではなく、愛着あるものを大事にしたい、お互いに助け合いたいという、感情的・社会的ジョブのようです。

機能的、感情的、社会的と、ジョブ(人が本質的にやりたいこと)は異なります。また、こうしたジョブは何がしたいですか?と聞いたり、アンケートの質問項目からだけでは、なかなかひろえないものです。

人が本質的に解決したいこと、やりたいことを妨げている障害、ジョブにまつわるストーリーを描いて、顧客が商品・サービスを雇う仮説を立てる。こんなことをするためのポイントを押さえるワークショップを開催します。

既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?

Written by 山田 竜也 on 2016-08-18

ここ数年、イノベーション人材育成の活動が増えてきています。上の図はイノベーターDNA診断の結果ですが、おかげさまでこうした人材に関する面での当社への問い合わせも増えています。
どの企業も10−15年後に今の製品・サービスで稼ぎ続けられるとは思っていないでしょう。既存事業を上手く回す人材だけでなく、新規事業を作れる人材、それもイノベーティブな新規事業を生み出して将来の自社の基盤を作れる人材が必要だと考え、イノベーション人材を作ろう!イノベーションを起こす力を身につけるトレーニングを導入しようとなっています。
イノベーションというテーマへの取り組みが、R&Dや経営戦略から人材育成の観点まで活動が広がっているのは嬉しい事なのですが、育成プログラムを企画する段階で、工夫すべきと感じることがあります。それは、選抜とスキルのとらえ方です。
選抜
将来を担う人だからということで、経営幹部候補いわゆる既存ビジネスのエースが集められることが多いのですが、ここで押さえておかなければならないのが、本当に新規事業の立ち上げを任せられるかです。
エースなので当然彼ら彼女らには背負うべき事業や部署があるでしょう。既存ビジネスを守るだけでも大変なのに、将来のビジネスを考えろと言われても困るというのが参加者の本音かもしれません。そんな中で新規事業を立ち上げるための一連の知識やスキルを身につけ、日々の業務をこなしながら、新規事業の企画書を作り上げるのはけっこう辛いことです。気合を入れて最終プレゼンに臨み、パフォーマンスを発揮し、これは事業化を進めよう!という評価を得ても、「既存事業もしっかり進めてくれ!」という一言がつくと、所詮は研修かと一気に気持ちが冷めてしまいます。
新規事業を生み出す考え方を将来の経営幹部にも学ばせるという目的であれば研修として割り切るだけですが、もし、より新規事業のアイデアそのものにフォーカスするのならば、既存ビジネスのエースばかりではなく、選抜よりも自主的な手挙げでの参加を重視して参加者を募ることをオススメします。
むしろ既存ビジネスでは上手く動けていない人材にこそ任せるべきかもしれません。既存ビジネスと新規事業開発に求められるスキルセットは違うし、今失うものが無い人の方が思い切って新しいことに飛び込めます。
スキルのとらえ方
既存ビジネスを上手く行うためには理解して身につけるべき知識やスキルが沢山あります。成熟したビジネスであるほど、その量は増えていきます。一方で新規事業の立ち上げにおいて大事なスキルは行動して学習することにあります。身につけるべき知識や考え方もシンプルな原理原則が多いので机上で知識を詰め込むというより原理原則を理解して実践しながら学習するのが効果的です。
イノベーター(新規事業に飛び込める人)とそうでない人を分けるのは、知識や考え方よりも行動特性にあります。知識が足りないのではなく、分かっていても出来ない/やらないということがほとんどです。
ちなみに行動特性とは以下のようなものです。
・その場を凍りつかせるような本質的な質問を呼吸をするように自然に問い続けられるか?
 (例えば、熱っぽく技術の凄さを語っているエンジニアに、「それは誰にとって価値があるの?」と聞く)
・普段の業務と直接関わらない多様な人たちとのネットワーキングを行っているか?
 (単なる飲み会ではなく、事業機会の発見等の明確な目的をもって行っているか?)
・思いついたアイデアを既存ビジネスのしがらみをおそれずに気軽に実践できるか?
 (手間と時間のかかる承認プロセスを無視して、直感とスピード感で振る舞えるか?)
既存ビジネスの円滑なマネジメントとは反するような行動も必要になってきます。
既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?
「考え方を学んで欲しいのか?新規事業のアイデアが欲しいのか?」
白黒つかない、グレイな問題ですが、指針がないと中途半端な結果に終わってしまいます。
「既存ビジネスのエース、経営幹部候補が、
  イノベーターを活用するための考え方を学ぶ 」
「新規ビジネスに挑戦したい人材が、
  イノベーションを起こすための考え方と行動の機会を得る 」
プログラムのコンセプトを明確にするのが、人材育成の適切な企画づくりの第一歩です。