ゴミ処理でも、気持ちが大事

Written by 山田 竜也 on 2016-10-25

ゴミ処理問題を解決するとしたら、どんなアプローチを取りますか。

問題といってもいろいろありますよね。

分別が面倒くさい、お金がかかるのが嫌だ、ごみ捨て場が遠い、毎日回収してほしい。

どちらかというと、そもそもやりたくないことの処理なので、わがままな意見がいろいろ飛び出してきます。

処理という言葉が付きまとうと・・・、

どうしても、効率良くという方向性での話に終始してしまいますが、楽しくという感情的な満足や、仲間と貢献感を分かち合うといった社会的な欲求にも目を受けると、3R(Reduce, Reuse, Recycle)以外の発想が出てきます。スウェーデンでは服や靴の修理にかかる付加価値税(日本でいう消費税)を25%から12%まで下げる法案を検討中とか、Repairも加えて4Rで考える時代が来るかもしれませんね。

ゴミ箱を楽しく

The world’s deepest bin 

https://www.youtube.com/watch?v=cbEKAwCoCKw

こんなゴミ箱があったら思わず捨ててみたくなりますよね。子供が遊びでなんでも捨ててしまう懸念はありますが(^^;

ゴミ拾いをゲーミフィケーション

株式会社ピリカ 

http://corp.pirika.org/

ゴミ拾いイベントにはピッタリ、世界中で拾われているゴミが見られるのも面白いです。

自分は面白いコンセプトだ!と思ってインストールしましたが、結局アップしてません。なんとなく、ゴミの写真をアップするのに抵抗があって、しかも自分の生活空間のなかで、という辺りがネックになりました。ちょっとしたことが人の行動を喚起したり、阻害したりするものですね。

修理を通じてコミュニティづくり

Repair Cafe 

https://repaircafe.org/en/

こちらはオランダ発祥で10カ国に展開しているコミュニティ。修理して長く使うという文化は日本では受け入れられやすいですよね。江戸時代には修理ビジネスが盛んだったようですし、循環型社会という観点ではよく江戸時代のことがとりあげられます。スウェーデンの法案は消費を減退させるという懸念もある一方で修理ビジネスで雇用が生まれるという意見もあります。ただ、ものあまりの現代に、何が人々を惹きつけるかというと、お金をかけずに修理したいという機能的なジョブではなく、愛着あるものを大事にしたい、お互いに助け合いたいという、感情的・社会的ジョブのようです。

機能的、感情的、社会的と、ジョブ(人が本質的にやりたいこと)は異なります。また、こうしたジョブは何がしたいですか?と聞いたり、アンケートの質問項目からだけでは、なかなかひろえないものです。

人が本質的に解決したいこと、やりたいことを妨げている障害、ジョブにまつわるストーリーを描いて、顧客が商品・サービスを雇う仮説を立てる。こんなことをするためのポイントを押さえるワークショップを開催します。

既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?

Written by 山田 竜也 on 2016-08-18

ここ数年、イノベーション人材育成の活動が増えてきています。上の図はイノベーターDNA診断の結果ですが、おかげさまでこうした人材に関する面での当社への問い合わせも増えています。
どの企業も10−15年後に今の製品・サービスで稼ぎ続けられるとは思っていないでしょう。既存事業を上手く回す人材だけでなく、新規事業を作れる人材、それもイノベーティブな新規事業を生み出して将来の自社の基盤を作れる人材が必要だと考え、イノベーション人材を作ろう!イノベーションを起こす力を身につけるトレーニングを導入しようとなっています。
イノベーションというテーマへの取り組みが、R&Dや経営戦略から人材育成の観点まで活動が広がっているのは嬉しい事なのですが、育成プログラムを企画する段階で、工夫すべきと感じることがあります。それは、選抜とスキルのとらえ方です。
選抜
将来を担う人だからということで、経営幹部候補いわゆる既存ビジネスのエースが集められることが多いのですが、ここで押さえておかなければならないのが、本当に新規事業の立ち上げを任せられるかです。
エースなので当然彼ら彼女らには背負うべき事業や部署があるでしょう。既存ビジネスを守るだけでも大変なのに、将来のビジネスを考えろと言われても困るというのが参加者の本音かもしれません。そんな中で新規事業を立ち上げるための一連の知識やスキルを身につけ、日々の業務をこなしながら、新規事業の企画書を作り上げるのはけっこう辛いことです。気合を入れて最終プレゼンに臨み、パフォーマンスを発揮し、これは事業化を進めよう!という評価を得ても、「既存事業もしっかり進めてくれ!」という一言がつくと、所詮は研修かと一気に気持ちが冷めてしまいます。
新規事業を生み出す考え方を将来の経営幹部にも学ばせるという目的であれば研修として割り切るだけですが、もし、より新規事業のアイデアそのものにフォーカスするのならば、既存ビジネスのエースばかりではなく、選抜よりも自主的な手挙げでの参加を重視して参加者を募ることをオススメします。
むしろ既存ビジネスでは上手く動けていない人材にこそ任せるべきかもしれません。既存ビジネスと新規事業開発に求められるスキルセットは違うし、今失うものが無い人の方が思い切って新しいことに飛び込めます。
スキルのとらえ方
既存ビジネスを上手く行うためには理解して身につけるべき知識やスキルが沢山あります。成熟したビジネスであるほど、その量は増えていきます。一方で新規事業の立ち上げにおいて大事なスキルは行動して学習することにあります。身につけるべき知識や考え方もシンプルな原理原則が多いので机上で知識を詰め込むというより原理原則を理解して実践しながら学習するのが効果的です。
イノベーター(新規事業に飛び込める人)とそうでない人を分けるのは、知識や考え方よりも行動特性にあります。知識が足りないのではなく、分かっていても出来ない/やらないということがほとんどです。
ちなみに行動特性とは以下のようなものです。
・その場を凍りつかせるような本質的な質問を呼吸をするように自然に問い続けられるか?
 (例えば、熱っぽく技術の凄さを語っているエンジニアに、「それは誰にとって価値があるの?」と聞く)
・普段の業務と直接関わらない多様な人たちとのネットワーキングを行っているか?
 (単なる飲み会ではなく、事業機会の発見等の明確な目的をもって行っているか?)
・思いついたアイデアを既存ビジネスのしがらみをおそれずに気軽に実践できるか?
 (手間と時間のかかる承認プロセスを無視して、直感とスピード感で振る舞えるか?)
既存ビジネスの円滑なマネジメントとは反するような行動も必要になってきます。
既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?
「考え方を学んで欲しいのか?新規事業のアイデアが欲しいのか?」
白黒つかない、グレイな問題ですが、指針がないと中途半端な結果に終わってしまいます。
「既存ビジネスのエース、経営幹部候補が、
  イノベーターを活用するための考え方を学ぶ 」
「新規ビジネスに挑戦したい人材が、
  イノベーションを起こすための考え方と行動の機会を得る 」
プログラムのコンセプトを明確にするのが、人材育成の適切な企画づくりの第一歩です。

IoTはどんなジョブを解決しているのか?

Written by 山田 竜也 on 2016-08-01

 こちらの赤い自転車をご存知でしょうか?
 中央、港、千代田、江東の4区で広域実験中のコミュニティサイクルのサービスです。
 広域かつ乗捨て可能なので私もよく利用しています。今月から月会員になりました。
 今まではレンタル自転車というと、観光地などで1日貸しというイメージが強かったのですが、日々の生活や通勤に利用できるサービスとして浸透してきました。既に海外の大都市では、パリのヴェリブ (Vélib’)は2万台、台北のYouBikeは1万台と普及していますが、日本ではまだまだこれからですね。
 このコミュニティサイクルをIoTの成功事例として考えてみましょう。
 「IoTはどんなジョブを解決しているでしょうか?」
 もし、IoT無しで運営しようとすると、以下の課題を解決しなければなりません。
  • 番人が必要
  • 同じ場所に返却(or複数の番人+照会)
  • 稼働率が不明、メンテ時期不明
  • 空気圧不明、バッテリー残量不明
  • 貸し出し用鍵の管理が必要、スペアキーが必要
  • 鍵をなくすリスクあり
  • 貸し出しの際のID確認が必要
  • 貸し出しの際のデポジットが必要
  • 貸し出し時間の管理が必要
  • 代金を徴収し忘れるリスクあり
  • 番人が着服するリスクあり
  • 貸し出し場所の案内が必要
  • 等々
 けっこう面倒くさいですよね。
 自転車+IoTで自転車をスマート化することで、これらの課題を一気に解決することができます。
 IoTによる技術革新の流れは既存の製品・サービスを破壊するポテンシャルを秘めています。第四次産業革命とも称され、その経済的影響力は数百兆円とも言われていますが、現段階では多くの可能性(ホームオートメーション、監視/セキュリティ、遠隔コントロール等)が示唆されるものの、既存市場を破壊し尽くすまでの猛威は振るっていません。「何でもできそうだけれども、何をするのが良いか?」決めあぐねているのが多くの企業の現状ではないでしょうか。
 破壊的イノベーションは人間と技術の両サイドの変化によって起こります。IoTのような破壊的技術は、それによって人間が本質的にやりたいことを実現できたときに初めて爆発的な普及力を見せます。つまり、技術サイドではなく、人間が本質的にやりたいことの変化および、それを実現できないでいる障害を特定し、その障害を破壊的技術がどう取り除くかを描くことで、IoTをビジネスチャンスに変えることができます。

 

適切な差別化のポイントを探す

Written by 山田 竜也 on 2016-06-29
どうやって商品の差別化を図るかは多くの企業が取り組んでいる課題です。
的確に差別化ポイントを見極めていくには、顧客の立場に立って、本質的にやりたい事を整理し、何に不満足か?何が過剰か?を見極め、「そうそう、今まさにこういうのが欲しかった!」とライトスポットをつくことが重要です。
ここで不満足とは顧客がやりたい事を十分に解決できていない部分、過剰とは顧客がそれほど関心が無いのに提供側の論理で過剰な機能やサービスを提供し、かつ価格に転嫁している部分を指します。
このライトスポットは商品が最初に市場に提供され始めてから(正確にはその商品カテゴリーが誕生してから)しだいに変化していきます。そのため、継続的に市場での地位を得ていくためには、この差別化ポイントを的確に見極めつつ、タイミングよく変化させていくことが必要です。
ところが、これはいうほど簡単ではありません。
  • 最初に商品を提供した企業(新カテゴリーをつくった企業)はいつの間にか顧客よりも自社の基準をドグマ(教義)として掲げるようになり、いつしか顧客の信頼を失って自社満足な過剰な商品を売り込むようになります。一部のコアなファンの評価は受けますが、市場のメインストリームからは外れていきます。
  • 後発で参入した企業は先行者のリプレイス(分かり易いターゲット)ばかりを追いかけて、よく似た商品の投入をしてしまいます。微差の性能での競争を続け、同じような商品が乱立し、誰も儲からないレッドオーシャンにしてしまいます。消費者からも「似たような商品ばかりで何を選んだらよいのかわからない」と提供側の苦労が報われない声が上がってきます。
こうした不毛な競争に陥らないために、何が顧客にとって意味のある差別化かを見極めるためのポイントを紹介します。
背景にあるのは「イノベーションのジレンマ」「Jobs to be done」の理論です。
具体例として、国内におけるホテルの旅行予約サイトで考えてみましょう。
まずは新カテゴリーをつくった企業として、旅行予約サイトの草分けである楽天トラベルを考えてみます。楽天トラベルは2001年に楽天により開設され、2015年度の取扱額ではJTBグループに次ぐ旅行業者第2位です。その強さは品揃えにあり、登録宿泊施設数は日本国内が2万8千前後でトップです。出張の多いビジネスパーソンであればおそらく何度かはお世話になっているのではないでしょうか。
改めて、楽天トラベルが差別化しているポイントを挙げてみます。
  • 新価値 : ネットで簡単予約
  • 機能性 : 登録件数No1!
  • 信頼感 : 安心!、大手企業のグループ
  • 利便性 : お手軽!、検索し易い
  • 価格  : ポイント獲得!、楽天で利用可能、航空会社との提携
出発点としては、インターネットで予約できるという所で差別化を図りました。宿泊施設の数、航空券、パックツアー等の旅行用商品の品揃えを拡大しサイトとしての機能を増強し、大手企業のグループという事で知名度をあげ、顧客に対して信頼感、安心感を提供。イントや航空会社との提携で、お得感や利便性も高め、格安ビジネスパックによる価格面の訴求もされています。
ここまで差別化のポイントを追加されると、後発の参入は難しいと思っていたのですが、
最近CM等で目立ってきている別のサイトが、異なる差別化ポイントをついてきました。
ホテルズ160628.png
上の画像でお気づきでしょうか?お得感をゲーミフィケーションで補っています。
こちらは2008年に海外から日本に参入してきた後発サイトですが、日本版オリジナルキャラクター「ナンパグ」を設定したブランディングを実施し、10泊宿泊で1泊無料という分かり易いお得感を訴求しています。無料*と注意書きがついているように実は何でも無料という訳ではないし、ポイント還元率ではそれほどお得ではないかもしれないが、メッセージとしてお得感が伝わり易く、スタンプが溜まっていくゲームとしての面白さがあるところが特長です。
国内での品揃えで勝負せずに、新しい切り口での差別化ポイントをついているのは、レッドオーシャンを避けた適切な差別化といえます。これが成功したのも、消費者は、どうせ泊まるなら「得したい」というジョブを持っているからです。
ここで改めて差別化のポイントを整理します。
日本では後発のHotels.comは全方位ではとてもかないません。新価値という意味ではAirbnbがローカルの家に友達のように泊まれるという価値を提供しましたが、旅行予約サイトとしては簡単に真似できません。また、旅行予約サイトは既にプレーヤーが沢山いるので、機能性・信頼性で圧倒するというのも難しいですし、利便性だけでインパクトを出すのは難しくなっています。残った価格という競争軸で最安値保証、ポイント還元等で、どちらが得かという競争が行われていました。ここで数字としてのお得感から、「10泊で1泊無料!」というお得感の分かり易さで差別化したのがHotels.comです。
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今回とりあげた差別化のための法則の背景にあるJobs to be doneから差別化への応用までを
としてお伝えします。
この機会に是非、背景の理論から差別化のポイントを理解し、皆さんのビジネスに役立ててください。

Google Adwordsは単なる広告ではない

Written by 山田 竜也 on 2016-06-16
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Googleで「お祝いの花」を探そうとすると、「広告」とついた検索結果が上段に並びます。見覚えのある画面ですよね。
ご存知の方も多いと思いますが、Googleの収益源の9割は広告収入です。そして、その額は日本の大手広告代理店にも比肩しうる規模に育っています。
これだけの顧客を獲得しているのは、Googleという検索サイトのメディアとしての魅力が大きいからですが、広告の仕組みとしては何が違うのでしょうか?企業のジョブ(Jobs to be done:広告を雇う理由、本質的にやりたい事)は何かを考えるとその違いが見えてきます。
企業のジョブは以下の様なものですが、誰の視座(立場)で考えるかで異なります。
  • (経営層は)売上を伸ばしたい
  • (マーケ担当は)問合せを増やしたい
  • (営業は)顧客を集めたい
  • (商品企画は)商品の認知を上げたい
  • (広報担当は)企業イメージを伝えたい
企業がやりたい事は売上を伸ばす、もしくは、その手前の問合せ増加や商品・企業イメージを伝える事にありますが、広告という手段が効果的に解決できるジョブは何か?を考えてみましょう。
企業は商品・企業イメージを伝えるためのコンテンツ作りに莫大な費用をかけますが、それだけ莫大な投資をしても成果につながったかどうかは間接的にしか分かりません。アンケート等で顧客の反応を確認することはできますが、広告の利き目かどうかは推測の域を出ません。
それならば、「売り上げが上がるまでお金は頂きません!」と成果報酬型で売上連動による課金を試みているメディアもありますが、メディア側がそこまでリスクをとっても、複数の広告媒体を用いていたり、商品力、営業力の要因もあったりと、結局その広告の効果だけを切り分けることが出来ません。広告の売上への貢献度を直接測るのは、現時点では難しそうです。
改めて考えると、広告の依頼主が本質的にやりたい事は何なのでしょうか?「売上を上げたい」「払った費用に応じて売上を保証してほしい」だけしかないのでしょうか?もしそうだとしたら、広告業界はそもそも存在しません。
顧客のジョブを発見し、それに応えるのがイノベーションを起こす上で重要なのですが、必ずしも100%応える必要はありません。顧客が既存のサービスよりも欲しいと言ってくれる差別化が出来ていれば十分です。
「売上の保証」ができなくても「広告の効果を分かり易く見える化」
ポイントはターゲットにする顧客の視座(立場)に応じたジョブで差別化することです。広告の効果の見える化というポイントで競合と明らかな差を示すことです。ターゲットの顧客が「これなら欲しい!」と思うこと、そしてステークホルダーが他にもいる場合には、彼らが理解し納得しやすいことが大切です。
Google Adwordsの基本的な考え方は広告に対して、顧客が意図を持って行動した事をカウントし課金するというものです。webサイトでのクリック課金がこれに当たります。webサイトに掲載するだけでは無料で、そこでクリックされた段階で初めて課金されます。セールスプロセスのより前段で、購買までは至らないが「顧客に情報を得るという行動を促した」ということに対する成果報酬型課金を行っていることになります。もちろん、クリックされたからといって必ず売れる訳ではありませんが、「広告の効き目を測りやすい」という点では0/1の違いがあります。これが顧客が欲しいと感じる差別化です。
さらにコストに関しても支払いやすい工夫がされています。キーワード毎に入札価格が決まっていますので、煩わしい交渉をせずに判断できます。
また、集客に効きそうなキーワードを調べたり、自社の商品のポジショニングによっては割安のキーワードで効果を上げると言った試行錯誤も可能です。顧客からのフィードバックが得られる、それをみながらキーワードを工夫するという学習ループを回せるのが、この仕組みの付加価値です。
実際に購買に至るためには、周辺のジョブも上手に解決してあげる必要があります。
そして、こうした一連の仕組みを簡単に使えるようにしてユーザーに開放しているという意味では、Googleは既存の広告業界を破壊していると言えます。イノベーションは発明x普及。よりシンプルで皆に普及する仕組みを発明して、顧客の欲しさに訴えればイノベーションを加速できます。費用対効果の合理性が見えにくいビジネスには破壊的イノベーションの余地が眠っています。