ビジネスモデルキャンバス再考

ビジネスモデルキャンバス最高!

絵画用のキャンバスって普通は真っ白で、どこから書いてもよかったりしますが、ビジネスモデルキャンバス(BMC)には9個の枠があります。
それまで新規事業の構想を真っ白な紙に書いていた時代と比べ、BMCはとても魅力的に映るのではないでしょうか。

このBMCを初めて見た人の典型的なリアクションには、以下のようなものがあります。

  1. 分かる。もう頭の中で近いことをやってたけど、人に伝える際に整理されていいかも。 
  2. 納得。なるほど、今までやってきたことはいくつかの箱の中のことだけだったから、失敗したんだ。これからは全体像をとらえて事業開発しないと。 
  3. 手法化。これが新規事業をやる方法論か。勉強して理解しないと。 
  4. 分析。これで自社ビジネスや競合を分析したら面白いかも。理論武装に役立ちそうだ。 
  5. 無関心。こんなものでビジネスが立ち上がるなら誰も苦労しない。オレには関係ない。 

このように最初の反応は様々ですが、いざ初めて使ってみたときの反応はほぼ同じです。
「箱を埋められない…」
なんとかなるさ、とノリの良い人にとっては、検討している複数の可能性から1つだけを言葉にして書き込むのに抵抗を感じます。また逆に、ほとんどの人はビジネス全体のことなんて考えたことがないので、穴だらけで全部の枠を埋められないという事態が生じます。

なぜ、ここまで期待が膨らんだのか?

新しいツールが登場すると、いつでも期待されるものですがBMCには期待が膨らむ要素がいくつもあります。

  • 「ビジネスモデル」という抽象的な概念を、目に見える「箱」で表現している。
  • 日本企業が自信を持つ「技術」とは一線を画す切り口がある。
  • 9つの箱の意味や内容について侃侃諤諤と会議室で議論できる。
  • 「シリコンバレー」ブランドがある。
つまり、BMCについて初めて話を聞いた人は、ぼんやりと考えていた「ビジネスモデル」に輪郭が生まれ、これまで苦労していた技術の商業化への期待を持ち、部下を集めて会議を召集しやすく、キャッチーなツールだと感じるのではないかと思うのです。

ビジネスモデルキャンバス再考

裏を返すと、「ビジネスモデル」についてぼんやりと考えていたり、技術の限界に薄々気づいていたりという程度の認識で、しかも会議室でのディスカッションとなってはフレームワークがいくら新しくても新しいものが出てくることはありません。すでに言語化できたアイデアを共通言語化するツールとしては、BMCは有効です。抽象的な概念が可視化されますし、ビジネスとして重要な部分にフォーカスが当たります。つまりBMCは、ビジネスアイデアのメディアではあるものの、決して新規事業が生まれる打ち出の小づちではありません。考えてみると、「共通言語化」する前に「言語化」しないといけないんですよね。
もし新規事業を生み出したいのであれば、ワークショップでみんなで書くのではなく、まずは黙々と言葉にして書いてみてはどうでしょう。


イノベーションマネジメントの最先端から当たり前までを発信しつづけるニュースレターやってます!
登録はこちらから

Written by Shingo Tsuda on 2017-03-29