ティール組織と育てるジョブ

Written by 星野 雄一 on 2019-02-07

人材育成という経営課題は以前から変わらず存在しますが、昨今の人手不足に伴い、さらに加速しているように感じます。事実、人を育てられる部課長層の転職市場は活況のようです。ところで、その市場評価の高い!?実際に人を育てている人はどんな目的のために取り組んでいるのでしょうか?


そこには大きく3つの目的があるように見受けられます。


1つ目は会社方針である現有勢力で数多くの仕事をこなすことを達成するため人を育てるパターン。

これは義務だから致し方なくとか、自分が楽したいからという欲求に従って行動している状態です。マネージャー研修だとここにフォーカスを当てている方によく出会います。


2つ目は自らの承認欲求を満たすために人を育てるパターン。

具体的には、相手が知らない知識を伝えて「すごい」と言われたい、もしくは教えて凄さを見せつけることで囲い込んで集団のボスになりたいという欲求に従って行動しているような状態です。よく企業の中で見るパターンで、出世頭の人がよく取るスタイルです。コンサルティングファームのパートナーモデルなんかはとても分かりやすいです。


そして3つ目は相手のキャリア成長のために貢献したいので、人を育てるパターン。

これは純粋なる貢献心からの行動なので、もはや育てる立場の本人は、育てるという感覚とは違うのでしょう。ティール組織で語られている文脈はこれに近いですね。囲い込みの不毛さを感じて進化版のスタイルとして取り組んでいる人もいますが、一方で1つ目も2つ目も取り組めずにここに行き着いている人もいるようです。


結果的に伝えている知識やスキルなどは同じかもしれませんが、育てた相手が転職や抜擢されて別部署に異動するといった成長のチャンスを迎えた時にその本質が垣間見えます。人材育成の目的が義務感や囲い込みだと、今までの取り込みが無駄になったと思い、貢献心ならば素直に良かったと思えるのでしょう。


社員個々の潜在能力発揮を目指す企業が増えていくことによって、人材育成の主人公は会社ではなく、本人という本来の姿になるのでしょう。その中では「育てる」というよりは、結果的に「育つ」状態にすることが必要になっています。今後は人を育ててきた人ではなく、育つ仕組みを作り上げてきた人が重宝されるのでしょう。

余談ですが、現場のスタイルがどんどん進化を遂げる未来において、人事が研修の場を準備して、一生懸命集客に走るという姿はなくなっていくのでしょうね。