前回はコミュニケーションの原理原則についてご紹介した。
この現実を理解した上で、下記の3ステップでコミュニケーションを行えばその成果を大きく高められる。
①目的の共有
②前提知識の共有
③本題の共有
つまり、話の本題に入る前に必ず①、②のステップを踏むということである。この2つのステップについて簡単に説明する。
【目的の共有】
まずなぜ話を聞いてもらいたいか?自分は何を聞き手に提供することができるのか?なんのために議論を行うのか?という目的の共有から始めないといけない。これこそがそもそもの聞き手の”興味”を引くために不可欠な要素である。これがうまくいけば、コミュニケーションのハードルの50%はクリアしたと行っても良い。
実際この行為は簡単なようで簡単ではない作業である。話の途中や会議の途中で、聞き手から”なるほど今日の目的はそういうことね”という発言を何度も聞いた経験はないだろうか。
【前提知識の共有】
毎日どれだけ同じ時間を過ごしていても、伝えたい本題のテーマを理解するために必要な前提知識が同じということはありえないという前提からスタートしなければならい。さらに実際は年齢、専門、性別、国籍、そしてなりより、その瞬間の”興味”など、複雑性が高まる要素が加わる。
伝える相手の立場に立ってみて、前提知識として何を補う必要があるかを想定してみることである。例えば、下記のような内容である。
・共通言語となる例え話
・本題に関する制約条件
・本題を理解するために不可欠な今までの経緯
ではこの3ステップを具体的な場面に当てはめて考えると下記のような組み立てが考えられる。
・参加者(聞き手)の多くが初見の場合
①目的の共有
②自己紹介
→単なる自己紹介だけでなく、本題に関連するエピソードを含む
③本題
・前回からの継続議論
①目的の共有
②前回の議論のポイント振り返り
③議論
・専門が異なるメンバー間
①共通の目的の設定
→利害が異なる部門が集まる場合、一つ視座を高めた共通の目的を設定する
②共通言語の構築
→フレームワークや、情報の整理方法などメンバーの思考を整えるものを設定する
③議論
特に日本語は英語と比較してハイコンテクスト、ローコンテンツと言われるように、同じ言葉から想起される理解のばらつきの幅が大きくなる。日常における”言った言わない”の原因の殆どは、この認識のばらつきによるといって間違いないと考えている。
つまり深くない間柄の日本人同士のコミュニケーションでは、一段と上記のステップが不可欠になる。これを個人として、そしてチームとして習慣化できれば確実にコミュニケーション齟齬は減っていく。是非習慣化していただきたい。