先日書いた『「イノベーティブ」な5つ誤解』を、あるスタートアップ創業者に読んでもらった。イノベーションだけを行うスタートアップ組織の在り方としての納得感を知りたかったからだ。
彼の感想は、全般的に納得できる示唆だという点と、「要素分解」されていてわかりやすい、とのことだった。
なるほど。
単にイノベーティブな組織にしよう!という声掛けよりも、分解されているとわかりやすいし、行動指針として示しやすいということだ。
もちろん、私自身もとても明確な指針だと思って、ピサノ氏の論文を紹介したわけだけれど、こちらもこうやってどこが良いのか要素分解して教えてくれると、嬉しい。
さらに、以下のようなフィードバックをもらった。
「2番の実験とやみくもなトライの違いがわかりにくい」
確かに。
この二つの違いはニュアンスで伝わるものではないかもしれない。
なので、この二つの違いを少し言語化して掘り下げてみた。
仮説検証を目的とした実験には、 「事前の狙い」「仮説」「実験コストを下げる工夫」があるものだ。つまり、何を成し遂げるための実験なのかがはっきりしているし、その目標に対する仮説がある。さらに、目標を達成するために工夫があると、リーンに仮説検証が行える。
スコット・アンソニーもイノベーションを実行するためのコツはHOPEだと『ザ・ファーストマイル』に要素を分解して書いている。
H: Hypothesis 仮説
O: Objective 目的
P: Prediction 予測
E: Execution 実行
改めて要素分解の力を感じるとともに、「実験」と「試す」という言葉遣いの重みを感じた。