カスタマーサクセスを成功させる組織

カスタマーサクセスに関する3部作の最終稿です。

その1:カスタマーサクセスとは何か?
その2:カスタマーサクセスとJobs to Be Done, Time to Value

 

前回は、カスタマーサクセスをサクセスさせるために重要な3つの要素を挙げ、最初の2つの要素について書きました。

(1)「顧客の成功」をいかに的確に捉えるか ( 顧客ジョブの把握)
(2)いかに早くその成功に近づけることができるか (タイムトゥバリュー)
(3)組織化とプロセス

今回は「組織化とプロセス」です。

 

カスタマーサクセスの組織化やプロセス化を目指す前に、一つだけ注意をするとしたら、

PMF前にカスタマーサクセスはできない

ということです。

 

しばしば、PMFに到達する前にカスタマーサクセス部隊を作っている会社を見かけますが、「1勝もする前から勝ちパターンはない」ことに気づいた方がよいと思います。

PMFして、顧客がどんなジョブのために製品を使っているのかを把握できた後に、初めてそれをパターン化したり、組織として運用することが可能になります。逆に、そのパターンがあることによって、例外が際立ち、アクションもしやすくなるという循環も生まれます。

 

タッチを決める

カスタマーサクセスの方法論として、フィットしたプロダクトと顧客に応じて「タッチ」を設定するということがまず重要になってきます。

「タッチ」というのは、顧客接点、この場合はカスタマーサクセスの濃密さ、を指す言葉です。ホテルのサービスで言えば、超高級ホテルや旅館はハイタッチです。おもてなしを提供するための接触が濃密ですね。大規模シティホテルは中くらいでしょうか。ロータッチと言えると思います。ビジネスホテルは、セルフサービスが多いです。宿泊客が自助的に過ごしやすくする工夫はされていますが、ホテルの職員が積極的に顧客に関わることはあまりありません。このように、技術を提供することで顧客が価値を最大化する支援をすることをテックタッチと呼びます。

ビジネスモデルキャンバスに精通している方には、CR (Customer Relationships)と同じことを言ってる!とすでにお気づきだと思います。

 

プロセス&KPI

組織・プロセスを考える手順としては、

顧客のKPIを知る → PMFしたプロダクト・顧客に対してタッチを決める → タッチを決める → 顧客のKPIを高めるために必要な資源と活動を定める → 活動を行うための資源を準備し、スキルを集める → 自社の活動のKPIを決め、継続的に計測する

 

タッチは利益構造を決めます。高付加価値製品は、高単価ですし、顧客企業の経営レベルが購入の意思決定をするため、ハイタッチなサポートが必要です。逆に、担当者レベルが使用するようなSaaSであれば、一人一人に個別な対応は困難です。限られた利益が一度に吹っ飛んでしまいます。したがって、技術を使い、顧客の自助的な「サクセス」を促すような活動をカスタマーサクセス部門が目指すことになります。

この新しいカスタマーサクセス部門に適切なKPIを設定することができれば、活動を修正しながら、さらに高い効果が出るようにすることができます。理想は顧客のKPIを、自社のKPIにすることですが、さすがに計測が困難かもしれません。そういうときは、サービスの活用度や利用率といった、自社でも計測可能な指標を設定します。自社KPIを顧客KPIに基づいて決めることが何よりも大切です。ついつい、「売上」のような数値を設定しまいがちですが、これでは漠然としていますし、カスタマーサクセスに取り組む前と代わり映えしません。顧客の成功と直接因果関係のある指標を設定します。

営業支援サービスなら、顧客の売上、客単価、顧客数などが顧客にとってのKPIですが、さすがにこれらを把握することは難しいかもしれません。ですが、システムに登録されている顧客候補数や、顧客増加のためのキャンペーン数などがKPIとして良いかもしれません。

BoxやDropboxのようなオンラインストレージなら、有料無料かかわらず記録されているデータの容量とか、読み書きされた回数とか、共有されているユーザ数、デバイス数などが考えられます。

Written by Shingo Tsuda on 2018-10-11