ゴミ処理でも、気持ちが大事

ゴミ処理問題を解決するとしたら、どんなアプローチを取りますか。

問題といってもいろいろありますよね。

分別が面倒くさい、お金がかかるのが嫌だ、ごみ捨て場が遠い、毎日回収してほしい。

どちらかというと、そもそもやりたくないことの処理なので、わがままな意見がいろいろ飛び出してきます。

処理という言葉が付きまとうと・・・、

どうしても、効率良くという方向性での話に終始してしまいますが、楽しくという感情的な満足や、仲間と貢献感を分かち合うといった社会的な欲求にも目を受けると、3R(Reduce, Reuse, Recycle)以外の発想が出てきます。スウェーデンでは服や靴の修理にかかる付加価値税(日本でいう消費税)を25%から12%まで下げる法案を検討中とか、Repairも加えて4Rで考える時代が来るかもしれませんね。

ゴミ箱を楽しく

The world’s deepest bin 

https://www.youtube.com/watch?v=cbEKAwCoCKw

こんなゴミ箱があったら思わず捨ててみたくなりますよね。子供が遊びでなんでも捨ててしまう懸念はありますが(^^;

ゴミ拾いをゲーミフィケーション

株式会社ピリカ 

http://corp.pirika.org/

ゴミ拾いイベントにはピッタリ、世界中で拾われているゴミが見られるのも面白いです。

自分は面白いコンセプトだ!と思ってインストールしましたが、結局アップしてません。なんとなく、ゴミの写真をアップするのに抵抗があって、しかも自分の生活空間のなかで、という辺りがネックになりました。ちょっとしたことが人の行動を喚起したり、阻害したりするものですね。

修理を通じてコミュニティづくり

Repair Cafe 

https://repaircafe.org/en/

こちらはオランダ発祥で10カ国に展開しているコミュニティ。修理して長く使うという文化は日本では受け入れられやすいですよね。江戸時代には修理ビジネスが盛んだったようですし、循環型社会という観点ではよく江戸時代のことがとりあげられます。スウェーデンの法案は消費を減退させるという懸念もある一方で修理ビジネスで雇用が生まれるという意見もあります。ただ、ものあまりの現代に、何が人々を惹きつけるかというと、お金をかけずに修理したいという機能的なジョブではなく、愛着あるものを大事にしたい、お互いに助け合いたいという、感情的・社会的ジョブのようです。

機能的、感情的、社会的と、ジョブ(人が本質的にやりたいこと)は異なります。また、こうしたジョブは何がしたいですか?と聞いたり、アンケートの質問項目からだけでは、なかなかひろえないものです。

人が本質的に解決したいこと、やりたいことを妨げている障害、ジョブにまつわるストーリーを描いて、顧客が商品・サービスを雇う仮説を立てる。こんなことをするためのポイントを押さえるワークショップを開催します。

Written by Tatsuya Yamada on 2016-10-25

仏作って魂入れず

新規事業開発部」「イノベーションセンター」「事業共創室」「◯◯イノベーション室」 ・・・このような名前の部署が最近増えています。

そして、そのような部署から相談が増えています。

よくある相談内容は、このようなもの:肝入りで部署ができて1年経ったのですが、成果があがっておらず、焦っています。この先どうしたらいいか、相談に乗って欲しい・・・ 

話を聞いてみると

  • 新規事業の組織をつくった
  • 新しいプロセスを定義した
  • 定期的なレビューがあり、報告する内容がなくなった

といったところ。

仏作って魂入れず

担当者にしてみれば、かなり切実な問題です。
なにせ新しい組織の責任者に就任したばかりで、初めてのことを任され、結果を期待されている訳ですから。
しかも、最初のプロセス設計に予算の大半を費やしていて、予算もほとんど残っていないという事態です。
なので、相談者もかなりバツが悪そうになんとかしてくれないか、という相談の仕方なのでこちらも放っておけません。

出来上がったプロセス、つまり仕組みが機能していることを証明するため、何か実プロジェクトで成果を出すことが求められます。一言で言うと、プロジェクトの「火消し」です。正確に言うと、トラブルが増えて炎上しているわけではなく、むしろトラブルすら生じていない仮死状態からの「蘇生」と言った方が正しいかもしれません。
私たちはメンバーと一緒に、新規事業プロジェクトの立案時に想定したことを聞き出し、重要かつ実現性の難しいものを問い直すことから始めます。

数回の打ち合わせである程度はブラッシュアップできたとしても、市場での検証にはかないません。仮説をベースに、市場検証を通じてビジネスプランの確度を高めるのです。この進め方については「リーンスタートアップ」や「ザ・ファーストマイル」にも書かれていますので、これ以上はここでは割愛します。

今回は、「なぜこうなったのか?」について考えてみたいと思います。

もちろん、その問題の原因は、時間とお金をつぎ込んでつくったプロセスにあります。

ですが、間違ったプロセスを設計してしまったわけではありません。理論的に間違っていない教科書からコピーされているので、プロセスは間違いようがありません。

プロセスの中身ではなく、意味

書かれたそのプロセスを読んだだけでは、その通りに「人はできない」ということなのです。人はそのプロセスの意味を、長年染み付いた従来の「仕事のやり方」に照らし合わせて理解してしまいます。書いてあることはイノベーティブでも、やっていることは昔のまま、といった感じでしょうか。とにかく、「惜しい・・・」のです。キモの部分がもやもやっとしていて、具体性が欠けていたり、誤魔化せるようになっていたりします。

例えば、「アイデア審査」というレビュー会がプロセス上規定されているとしましょう。
すると、レビューワーは「アイデア」として審査しないといけませんが、姿も形もないアイデアを評価したことなどある人は一般にいないので、混乱が起きます。その結果、既存事業のステージゲートで審査していたのと同じような観点で、同じような基準で、「切って」いくことになります。モノの生産であれば、歩留まりが悪くなったとしても品質が上がるのですが、アイデアの場合はかえって悪くなります。なぜなら、切られるのは人であり、モチベーションであり、アイデアだからです。

レビューワだけではありません。例えば、「顧客インタビュー」をして「インサイトを得る」とプロセスに定義されていても

  • 売る前から顧客を定めることができない
  • 顧客を定めても会いに行けない
  • インタビューをしたことがない
  • 聞いた言葉がインサイトにつながらない
  • 何をもってインサイトと呼ぶかわからない 

と、プロセスを初めて見た人にはその通りにはできません。

「プロセス」はしばしば「仕組み」という言い方をされるように、無機質で機械的なものだと認識されてしまう傾向にありますが、人が生かしてこそのプロセスです。あとから「蘇生」させるよりは「生きた状態」でつくりたいものです。

4コママンガは勢川びき(瀬川秀樹)さん作

Written by Shingo Tsuda on 2016-09-18

既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?

dna_result.png
ここ数年、イノベーション人材育成の活動が増えてきています。上の図はイノベーターDNA診断の結果ですが、おかげさまでこうした人材に関する面での当社への問い合わせも増えています。
どの企業も10−15年後に今の製品・サービスで稼ぎ続けられるとは思っていないでしょう。既存事業を上手く回す人材だけでなく、新規事業を作れる人材、それもイノベーティブな新規事業を生み出して将来の自社の基盤を作れる人材が必要だと考え、イノベーション人材を作ろう!イノベーションを起こす力を身につけるトレーニングを導入しようとなっています。
イノベーションというテーマへの取り組みが、R&Dや経営戦略から人材育成の観点まで活動が広がっているのは嬉しい事なのですが、育成プログラムを企画する段階で、工夫すべきと感じることがあります。それは、選抜とスキルのとらえ方です。
選抜
将来を担う人だからということで、経営幹部候補いわゆる既存ビジネスのエースが集められることが多いのですが、ここで押さえておかなければならないのが、本当に新規事業の立ち上げを任せられるかです。
エースなので当然彼ら彼女らには背負うべき事業や部署があるでしょう。既存ビジネスを守るだけでも大変なのに、将来のビジネスを考えろと言われても困るというのが参加者の本音かもしれません。そんな中で新規事業を立ち上げるための一連の知識やスキルを身につけ、日々の業務をこなしながら、新規事業の企画書を作り上げるのはけっこう辛いことです。気合を入れて最終プレゼンに臨み、パフォーマンスを発揮し、これは事業化を進めよう!という評価を得ても、「既存事業もしっかり進めてくれ!」という一言がつくと、所詮は研修かと一気に気持ちが冷めてしまいます。
新規事業を生み出す考え方を将来の経営幹部にも学ばせるという目的であれば研修として割り切るだけですが、もし、より新規事業のアイデアそのものにフォーカスするのならば、既存ビジネスのエースばかりではなく、選抜よりも自主的な手挙げでの参加を重視して参加者を募ることをオススメします。
むしろ既存ビジネスでは上手く動けていない人材にこそ任せるべきかもしれません。既存ビジネスと新規事業開発に求められるスキルセットは違うし、今失うものが無い人の方が思い切って新しいことに飛び込めます。
スキルのとらえ方
既存ビジネスを上手く行うためには理解して身につけるべき知識やスキルが沢山あります。成熟したビジネスであるほど、その量は増えていきます。一方で新規事業の立ち上げにおいて大事なスキルは行動して学習することにあります。身につけるべき知識や考え方もシンプルな原理原則が多いので机上で知識を詰め込むというより原理原則を理解して実践しながら学習するのが効果的です。
イノベーター(新規事業に飛び込める人)とそうでない人を分けるのは、知識や考え方よりも行動特性にあります。知識が足りないのではなく、分かっていても出来ない/やらないということがほとんどです。
ちなみに行動特性とは以下のようなものです。
・その場を凍りつかせるような本質的な質問を呼吸をするように自然に問い続けられるか?
 (例えば、熱っぽく技術の凄さを語っているエンジニアに、「それは誰にとって価値があるの?」と聞く)
・普段の業務と直接関わらない多様な人たちとのネットワーキングを行っているか?
 (単なる飲み会ではなく、事業機会の発見等の明確な目的をもって行っているか?)
・思いついたアイデアを既存ビジネスのしがらみをおそれずに気軽に実践できるか?
 (手間と時間のかかる承認プロセスを無視して、直感とスピード感で振る舞えるか?)
既存ビジネスの円滑なマネジメントとは反するような行動も必要になってきます。
既存ビジネスのエースにイノベーション研修を!?
「考え方を学んで欲しいのか?新規事業のアイデアが欲しいのか?」
白黒つかない、グレイな問題ですが、指針がないと中途半端な結果に終わってしまいます。
「既存ビジネスのエース、経営幹部候補が、
  イノベーターを活用するための考え方を学ぶ 」
「新規ビジネスに挑戦したい人材が、
  イノベーションを起こすための考え方と行動の機会を得る 」
プログラムのコンセプトを明確にするのが、人材育成の適切な企画づくりの第一歩です。 
Written by Tatsuya Yamada on 2016-08-18

IoTはどんなジョブを解決しているのか?

コミュニティサイクル幅9.png
 こちらの赤い自転車をご存知でしょうか?
 中央、港、千代田、江東の4区で広域実験中のコミュニティサイクルのサービスです。
 広域かつ乗捨て可能なので私もよく利用しています。今月から月会員になりました。
 今まではレンタル自転車というと、観光地などで1日貸しというイメージが強かったのですが、日々の生活や通勤に利用できるサービスとして浸透してきました。既に海外の大都市では、パリのヴェリブ (Vélib’)は2万台、台北のYouBikeは1万台と普及していますが、日本ではまだまだこれからですね。
 このコミュニティサイクルをIoTの成功事例として考えてみましょう。
 「IoTはどんなジョブを解決しているでしょうか?」
 もし、IoT無しで運営しようとすると、以下の課題を解決しなければなりません。
  • 番人が必要
  • 同じ場所に返却(or複数の番人+照会)
  • 稼働率が不明、メンテ時期不明
  • 空気圧不明、バッテリー残量不明
  • 貸し出し用鍵の管理が必要、スペアキーが必要
  • 鍵をなくすリスクあり
  • 貸し出しの際のID確認が必要
  • 貸し出しの際のデポジットが必要
  • 貸し出し時間の管理が必要
  • 代金を徴収し忘れるリスクあり
  • 番人が着服するリスクあり
  • 貸し出し場所の案内が必要
  • 等々
 けっこう面倒くさいですよね。
 自転車+IoTで自転車をスマート化することで、これらの課題を一気に解決することができます。
 IoTによる技術革新の流れは既存の製品・サービスを破壊するポテンシャルを秘めています。第四次産業革命とも称され、その経済的影響力は数百兆円とも言われていますが、現段階では多くの可能性(ホームオートメーション、監視/セキュリティ、遠隔コントロール等)が示唆されるものの、既存市場を破壊し尽くすまでの猛威は振るっていません。「何でもできそうだけれども、何をするのが良いか?」決めあぐねているのが多くの企業の現状ではないでしょうか。
 破壊的イノベーションは人間と技術の両サイドの変化によって起こります。IoTのような破壊的技術は、それによって人間が本質的にやりたいことを実現できたときに初めて爆発的な普及力を見せます。つまり、技術サイドではなく、人間が本質的にやりたいことの変化および、それを実現できないでいる障害を特定し、その障害を破壊的技術がどう取り除くかを描くことで、IoTをビジネスチャンスに変えることができます。

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 IoTを活用して、ジョブを解決し、ビジネスチャンスを作る。
 JOBSメソッドの応用セミナーも開催しております。

Written by Tatsuya Yamada on 2016-08-01

鳥人間とおっちゃんブログ 第十話 運命の?!書類審査

無事機体設計を終え、大会に向けて作業を進める毎日をすごしていた3月、突然その日がやってきた。
工房に到着すると作業テーブルとして使っていた畳一畳サイズのベニヤ板の上に一枚の葉書が届いていた。先に到着していた中尾に何かと聞くまでも無く、それが今年の大会出場の可否を決める書類審査の結果であることはすぐに分かった。自転車から飛び降りてダッシュでその文面を見ると、

専門家による厳選なる審査の結果、落選と判断させていただきました
が〜ん・・・ し〜ん・・・ ち〜ん
自分の中で完全に時間が止まった。可能性はゼロではないとは思っていたとはいえ、想定という意味では、ほぼゼロでだったためバックアッププランなんて全く考えていなかった。
まず何より思いついたのは、チームリーダーとしての責任感からか

今年一年どうしよう・・・何をしてすごそうか・・・
である。悔しいとかそんなんじゃ無く感情としてはニュートラル、頭の中が真っ白とはまさにこういう状況をさしていうのではないだろうか。
そこにもう一人のメンバーの健ちゃんがやってきた。自分達の雰囲気を見て事を察したようだ。そこには言葉は殆どなかった。三人が放心状態で作業台を囲んでいるときに、おっちゃん代表の中野さんがやってきた。
 中野:「どないしたんや?人生終わったような顔して?」
 津嶋:「いや・・・書類審査に落ちました」

 (少し沈黙)

 中野:「ほ〜ん、それで理由は聞いたんか?」

 津嶋:「理由を聞く?? 理由を聞くって言ったって、葉書での通知ですよ。」

 中野:「それやったらなおさらやろ。そんな紙っぺらでおまえらは納得するんか?おまえらの思いはそんなもんなんか?」

 津嶋:「・・・納得って言われても、どうすることもできないじゃないですか??」

 (ちょっと興奮ぎみ)


 中野:「葉書には普通連絡先が書いとるもんやろ、事務局とかなんとか・・・納得できんのんやったら電話して理由を聞いたらええやろ。」

 (確かに・・・)

 津嶋:「でもこういうのって誰に聞いたら・・・」
 中野:「そりゃぁ審査した責任者と話したいってゆ〜たらええやろ。それかプロデューサーとかなんとかいうのがおるやろが。」
 
 津嶋:「中野さんもしかしてプロデューサー知ってたりするんですか?」
 中野:「俺が知るわけないやろ」

 (沈黙)

 津嶋:「つながりますかねぇ」
 中野:「そんなん知らんわ、俺には関係ない話やからな・・・おまえらの好きにせぇ〜や。わっはっぁ〜」
この会話を通してまず自分の中で雷が落ちた・・・葉書を見たときに事務局に電話してみるなんて思いつきもしなかった。

その一方、中野さんにも試されてる・・・とも感じた。ここは引き下がるわけには行かない、「では準備してから・・・」なんて言ったらまた一蹴されるに決まっている。一度深呼吸して、工房横の中野さんの奥さんが働く事務所の電話を借りて電話してみることにした。

プルプルプル・・・
 事務局:「はい・・・読売テレビ鳥人間事務局です」

 津嶋:「あ・・・はい。え〜・・・鳥人間コンテストの書類審査に申し込んだ堺・風車の会の者ですけれども」

 事務局:「はい。いかがいたしましたでしょうか?」

 津嶋:「あ・・・本日、審査結果が届いたのですが、結果は落選ということでした。でも自分達は本気でがんばっておりまして、今年は絶対飛べるって思ってるんです。落選の理由を聞きたいと思っておりまして・・・え〜そこで審査の関係者にお繋ぎ頂きたいと思っておりまして・・・」

 事務局:「少々お待ちください」

 (少し沈黙)

 事務局:「今回の結果は大変残念なのですが、そういうお問い合わせに対しては個別に対応はしないことになっておりまして、申し訳ありませんがお引き取りいただければと思います。」

 津嶋:「え〜、そこをなんとかお願い出来ませんか?一言でもお話が聞ければ自分達も納得できると思うんです・・・お願いします。」
 
(うん?何を言っているんだか分からないがとにかく必死に食らいつくしかない)
 
 事務局:「申し訳ありません」
ガチャン・・・プー、プー、プー

 中野さん:「ど〜やった?納得できる話は聞けたんか?」

 津嶋:「いや・・・個別には対応できないということで断られました。」

 中野さん:「わっはっは〜そうか。事務局もつめたいよなぁ〜。」
 
 (そんな笑われても・・・そもそも繋がると思ってなかったんじゃぁ??)
 
 津嶋:「普通こういうのって繋がるもんなんですか?」

 中野さん:普通??・・・そんなん普通なんかあるわけないやろ。あの手この手で繋げるんや。」

 津嶋:「・・・」
(まぁ言いたいことは分かりますが・・・そんなに手の内ないし・・・)
 
 (沈黙)
 
 中野さん:「で??もう諦めたんか?」

 津嶋:「え??・・・もう1回電話しても、同じことになりそうなので・・・」
 
中野さん:「はぁ?これやからおまえらはダメなんや。プロデューサーはどこに出社しとるんや?」

 津嶋:「まぁそりゃぁテレビ局じゃないですかね。」
 
 中野さん:「せやろ・・・テレビ局にはどうやって入るんや?」
 
 津嶋:「そりゃぁ入り口からですよね・・・(なんでこんなことを聞く??・・・もしや)」

 中野さん:行ったらええやん?その入り口に。毎日待っとったら会えるやろ。おまえら学生やし、大阪に住んどるんやからそれを活かさない手はないやろ。頭は使うためにあるんや、飾りやないで」

 津嶋:「(きた〜この突っ込み)・・・ですね。ちょっと作戦考えてみます」
再び自分の中に雷が落ちた・・・。自分の枠がこの瞬間一気に吹き飛んだ。これかぁ・・・自分がずっと違和感を感じていた・・・そしてなんか重いと感じていた枠、壁、錨・・・の存在に気づいた。
会いたい人に会うための手段・・・これを外せば選択肢はいくらでも考えられるじゃないか・・・しかし、こんなん本当にうまくいくんやろか??ありなんかなぁ??不安と疑問で一杯の中、プロデューサーにどうやって会うか?それを考えることにした。
その翌日、いろいろ考えたが結果的に正面突破以外の妙案が見つからず、早朝に社員用の通用口前にでも会えるまで毎日通うしかない・・・という覚悟で、テレビ局近くに住んでいた中尾とスケジュールを考え始めていた。
その時、中野さんから奥さんから、
「津嶋くん・・・なんか今日読売テレビから電話があってね、このプロデューサー宛に電話して欲しいという事みたいよ。なんやろね?」
あらら・・・どうやら会いたかったプロデューサー宛てに電話して欲しいとのことらしい。こっちの思いが伝わったのかな??よく分からないけど、とりあえず電話してみることにした。
わぉ!どういう事の変化か分からないが、どうやら会うだけは会ってくれるらしい・・・指定された日時に中尾と二人でテレビ局に訪問することを約束することができた。
そしてその日がやってきた。二人は当時まだ18歳、有名企業の・・・しかもテレビ局で打ち合わせをするというだけでも心臓バクバクのシチュエーション。しかも自分が挑戦しようとしている番組のプロデューサーに書類審査落選の撤回交渉をする?!という極めてチャレンジングな場に臨むことになったわけである。
 二人:「こんにちは」
 プロデューサー(P):「いやぁ、よく来たね。」

(あら・・・色黒の少し強面の方ですが、想像以上にフレンドリー)

 津嶋:「今日はお時間を頂きましてありがとうございます。」
 P:「要件は分かってるよ。ただ審査は専門家の評価を元に平等に実施されているからね。その結果として、君たちの機体は不完全という判断が下されていたんだよね・・・。」

 津嶋:「どの辺りが不十分でした??図面だけでは伝えられない事が沢山あると思うので、今日は他の資料や写真も多数持参しました。これらを見て頂ければ、飛ぶ機体だということを理解頂けると思っています。」

 P:「う〜ん・・・気持ちは分かるけどね、審査は基本図面だけで行われてるんだよね。補足資料があったとしても君たちだけ例外というわけには・・・」

 津嶋:「それは分かっておりますが、よろしくお願いします(とにかく思いを伝えるしかない・・・)」

 (沈黙)

 P:「まぁね。君たちの思いは分かった。ただ同じような理由で落選しているチームは沢山あるんだよね。君たちは、たまたま大阪にいたからこうしてここに来れているけど、そう簡単にこれないチームも一杯あるんだよね・・・ただ確約はできないけど、今考えていることをすべて図面上に描いてみて。一応、内部で再検討することだけは約束するよ」

 二人:「ありがとうございます。必ず納得していただく図面に仕上げます」
お〜!!!いけるかもしれない。帰りはこれを期におっちゃんに任せっきりだった図面を自分達でやろう。短期間にCADのオペレーションをマスターしてプロデューサーをうならせる図面を描くぞ!と心に決めて、二人で大興奮で帰路についたのである。
ここからはプラント設計をしていたおっちゃんメンバーの会社に通い、CADの使い方を教わりながら、以前はA3だった図面を大型プロッターを活用してA0サイズ(841mm×1189mmの大判)の図面の中にとにかく様々な情報を盛り込んだ図面を形にしていった。この辺り目標ができたら強いのが若い力である。おっちゃんメンバーにも協力してもらいながら毎晩夜遅くまでの作業を繰り返し、期限までに自分達としても納得のいく図面に仕上げることができた。
EgretDrawing.gif
そして約束の日時に大きな図面を抱えて自信をもって再びテレビ局に伺うことになった。
プロデューサーからは、なんと!
「思いと図面は受け取りました。君たちを応援したいと思います。」
その一言の後、社会を知るための尺度の持ち方についての考えを時間を掛けてお話いただき、ご自身が担当している他の番組の見学も約束してくれた。
落選の葉書を受け取ってたどん底からの怒濤の2週間・・・正直何が起こったのか、正直自分の中でもうまく整理がつかないでいた。
ただ・・・この2週間の自分達の行動で、我々の未来が180度変わった事だけは真実である。
笑顔一杯で工房に帰った。まず何より中野さんにその結果を伝えたかった。
 津嶋:「中野さん 今年出場できるようになりました!信じられません。奇跡ですよこれ。」

 中野:「何が奇跡や?!おまえ全然わかってへんなぁ。世の中は何でも自分達と同じ人間が決めとるんや。神様が決めてとるわけやないんや。おまえらがつかんだ結果やないか・・・奇跡なわけないやろ。分かったか?」

 中野:「・・・でも良かったな。」「プロデューサーは応援するっていうてくれたんやろ。今度はおまえらがその期待に応える番やぞ。約束は守るもんやで」
この一連の出来事は津嶋自身にとって人生への向き合い方のパラダイムを大きく変えることになった。
そしてこれをきっかけにしてWindMill Clubの活動は大きく加速して行くことになる。
そして何よりこの出来事の裏には、1年半後に初めて分かった真実のサイドストーリーがある。
気になるかと思うが、それはまだまだ先の回にとっておこうと思う。 
Written by Tatsuro Tsushima on 2016-07-27