大阪の蝉が、東京の蝉よりうるさい理由

Written by 山田 竜也 on 2019-08-12

地球温暖化という言葉を最近はあまり耳にしませんが、連日の猛暑の中、真実はどこにあるかよりも、どう考えても暑い!というのが、我々の実感値ではないでしょうか。
個人的な気付きですが、暑さともう一つ実感値として感じたのが
「大阪の蝉は、東京の蝉よりうるさい」です。
昔は蝉時雨という言葉には、騒々しいだけでなく、どこか涼しげな響きもあった気がします。でも、最近はただただ暑い!うるさい!という印象で何の風情も感じません。

 

中之島                      丸の内

きっかけは最近仕事でちょくちょく行っていた大阪の都心と東京の都心での蝉の煩さの違いです。梅田から堂島を抜けて中之島辺りまで歩くと道路の照り返しで暑いのはもちろんですが、蝉の煩さで余計に煩わしさが増します。
東京も同様に少しの移動も地下に潜りたくなるぐらい暑いのですが、蝉の声はそれほど気になりません。もちろん東京にも蝉はいますし、都心の公園でもよく抜け殻を目にします。何が違うのだろう?と調べて見たら自分なりに納得のいく仮説が見つかりました。

 

「大阪の蝉が、東京の蝉よりうるさい」のは、
 ・蝉の種類が違うから
 ・一種類の蝉が支配的だから

 

実は、日本の気温の上昇により、元々南方にしかいなかったクマゼミの北限が上昇している様です。そして、大阪の都心はこのクマゼミに支配されつつあります。大阪では都市部の中心部にいくほど「シャッシャッ…」というクマゼミの鳴き声の割合が増えます。かつて大阪で最も多かった種類はアブラゼミだったが、昭和50年代後半を境にクマゼミが逆転し、都市部の大阪市では、いまや90%以上を占める様です。

そして、クマゼミが都市部で圧倒的な強さを誇る理由は、「孵化(ふか)の時期」と「クマゼミの幼虫のある“特技”」が鍵を握る可能性が浮上している様です。さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

クマゼミ                    アブラゼミ

また、セミはそれぞれ鳴く時間帯が違います。昔は、鳴く蝉の声で時間の変化を感じたものですが、クマゼミ一色になると、ある時間帯にだけ騒音の様に降り注ぐという事になります。

 

セミの種類(鳴き声)     その出現期間(時間帯)
ニイニイゼミ(チーチー……)  梅雨明け~9月、早朝から夕暮れ
アブラゼミ(ジージジー……)  7~9月、朝方と午後
ミンミンゼミ(ミーンミンミン……)  7~9月、午前中
クマゼミ(シャーシャー……)  7~9月、午前中
ヒグラシ(カナカナカナ……)  7~8月、朝か夕方
ツクツクボウシ(オーシツクツク……)  8月後半~9月、朝方と午後
 音源:www.kodomonokagaku.com

 

後退する氷河

Großer Aletschgletscher: links 1979, mittig 1991, rechts 2002

こうして写真で見ると一目瞭然ですよね。
何かに違和感を持ったら、事実を探して数字を掴むと意外な発見に辿り着くことがあります。この発見から仮説を立てるとビジネスのチャンスになることがあります。クマゼミとアブラゼミの戦いには特に解決すべきジョブはないかもしれませんが、クリステンセン教授の最新刊「繁栄のパラドックス」に登場するリチャード・レフトリー氏は発見した事実から解決すべきジョブを見つけ保険の無消費層を救うビジネスを生み出し新たな市場を開拓しました。

レフトリー氏が見つけた事実は、「自然災害による地域別の死傷者数ではバングラデシュ、パキスタン、インドが突出しているのに、これらの国々は保険金の総支出額ランキングには全く顔を出していない」というものでした。
この数字を見ても「そんなの当たり前だよ、彼らはお金が無いのだから仕方ない」と諦めてしまうのが、ほとんどの反応だと思います。しかし、レフトリー氏は「経済的余裕が無いからこそ、家族を襲う危機に対して備えを持ちたいはず」という仮説を立て、これを解決するために、これまでとは違う引受条件とチャネルで販売するMicroEnsureというサービスを開発しました。現在では20カ国以上、5,600万人超の契約者を獲得しています。

 

・違和感を感じるセンサーを持つこと
・感じたらその背景を探ってみること
・未解決のジョブを見つけたら、業界の枠に囚われずに解決策を考えてみること

一つ一つ時間はかかりますが、着実に実行し続ければイノベーションの芽を育てることができます。

 

大阪と東京を往復する機会があったら、鳴き声の違いに気をつけて見ませんか。地球環境の変化を身近に実感できるかもしれません。