日本企業は技術があるのに、国際競争に負ける。
良いモノを作っていれば売れる、と思っていたが、そんなに甘くない。
欧米に先駆けて技術を確立したのに、標準化が下手。
最近の日本企業を取り巻く悲観的な声はこんな感じでしょうか?
タイムマシン
では良い技術や、良いモノ、進んだ技術とは何でしょうか?
この答えは過去の歴史を見ると見えてきます。例えば、ルネッサンスの三大発明。火薬、羅針盤、活版印刷。いずれもこの時代にヨーロッパが世界の中心となったきっかけとなる道具です。なぜ「大」発明なのかというと、普及し、時代を象徴するほど歴史を変えたからと言うことができます。この時に発明された3つの技術は、ルネッサンスに花開き、人々に大きな影響を与え、受け継がれてきました。今でも、私たちの生活に当たり前のものとして存在しています。
普及して定着したから大発明というと、一見逆説的に感じるかも知れませんが、実はダーウィンの進化論にも同じような説明があります。たくさんある突然変異のうち、環境に適合し絶滅せずに生き残った結果が「進化」であるという見方です。ダーウィン以前の見方は、生物が環境に応じて成長した結果が、現在の生物であるというものでしたので180度異なった考え方になります。しかし、特定の閉ざされた環境に存在するガラパゴス諸島の動物たちを見たダーウィンは、そもそも多様な生物は一時存在するが、その環境にとってマッチする生物だけが絶滅を免れるという進化論を唱えました。生き残ったかどうかが、「単なる突然変異」と「進化」を分ける、と言うと良いかも知れません。
ビジネスの世界に当てはめると、突然変異に相当するのが、一つ一つの発明や技術、環境に相当するのが市場、となります。もし、未来の市場をタイムマシンで覗くことができたなら…
勝つ技術を選択し、それに賭けることができると思いませんか?
どこでもドア
実は、先ほど例に挙げた三大発明の原型は中国にあったと言われています。なのに、三大発明を完成させ、フルに活用し、世界の覇者となったのは西欧諸国だったというのも着目すべき点です。タイムマシンが仮にあっても、中国だけを見ていたのでは三大発明はするりと手からこぼれ落ちてしまいます。
活版印刷はヨーロッパという土地柄があって、はじめて日の目を見ることになります。当時の裕福な権力者には聖書を大量に複製したいニーズがあり、アジアの言語と比べるとアルファベットは文字数も少なく取り入れる際のハードルも低かったという事情が後押ししました。その結果、中国ではなくヨーロッパで広がることになったのです。
可能性のある技術を”どこでもドア”を使って、いろんな所で試すことができたなら…
その技術は市場にとって価値のある形に成長しながら、きっと普及するのではないでしょうか?
もちろん、タイムマシンもどこでもドアも(今は)存在しませんね。
では、どうしたら良いでしょうか?
時間移動については、未来を想像し、その未来から遡って今を見るしか当分できなさそうです。しかし、空間移動についてはどこでもドアほどは簡単ではないにせよ、世界中を移動することが可能になっています。とはいえ、移動に必要な時間は限られています。その限られた時間でどこを市場とみなして新しい技術を持ち込んだら良いでしょうか?そのヒントを与えてくれるのが、E.M.ロジャースが発見した普及曲線、つまりSカーブです。イノベーションがSカーブ上のどこにいるのかを把握することで、どういう市場を探るべきなのかを示唆してくれます。


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