最近は新規事業や新商品を検討する際にビジネスモデルをしっかり考えようという流れが一般的になってきています。単に製品開発をして、売れることを願うというプロセスでは立ち行かなくなっています。そのため、商品力以外の要素を盛り込まないと勝てないという認識が浸透してきていること自体はとても良いことだと思います。
ビジネスモデルのデザインは非常に重要なプロセスにもかかわらず、あまりその内容はブラックボックスになっており、どんなシンプルに見えるイノベーションも紐解けば、膨大な研究と緻密な計算をベースにしたデザインで出来上がっています。アップルのシンプルなデザインは妥協なきプロセスの上に成り立っているのと、同じです。
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そのぶん、ビジネスモデルをデザインする段階で苦労しているケースをよく見受けます。
その苦労のパターンには大きく二つあるようです。
一つは、ビジネスを非常に複雑なものととらえてしまい、細かい検討に終始し、全体感を見失うケースです。
残念ながら複雑なものを複雑なまま扱えるように人間の脳は出来ていません。ビジネスモデル・キャンバスなどを用いて、いったん単純化してから組み立て直し、次第に緻密にしていくというプロセスを踏むことが大切です。ビジネスをいくつかの要素に分解してから組み立てることによって、そのビジネスを立ち上げる際の検証ポイントが明確になり、緻密化もスピーディーになります。 
二つ目は、自社や他社のビジネスモデルをそのままコピペし、リアリティーが欠如するパターンです。 成功例を参考に、大まかなシステムをパワーポイント上で描いたとしても、機能するかどうかは別問題です。私たちがビジネスモデルをデザインする準備として気を付けていることは、製品システムをデザインする準備に似通っています。 
  • ビジネスの存在価値から考える
    製品システムに存在価値が必要なように、ビジネスモデルも存在する必然性がなければ、普及しない
  • ビジネスモデルの各部品は他社事例を含め大量に仕入れる
    自社や同じ業界の部品や素材だけではイノベーティブな製品が作れない
  • 各部品が機能する文脈を分析する
    パーツはあくまでもパーツであり、優れたパフォーマンスを出す条件を把握する
  • 顧客だけが得したり、自社だけが儲かるような非対称性に注意する
    システムに歪みがあるとその一点から故障する

言うまでもなく、神は細部に宿ります。

ビジネスモデルを仮説検証しながら緻密化し、具現化することは不可欠です。また、いったん作り上げたビジネスモデルは簡単に真似できるものではありません。
しかし、全体のデザインが優れていなければそもそも機能することなく終わってしまいます。
美しいビジネスモデルをもっと作っていきたい


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