自信という要素に着目して今回で3回目になるが、そもそもなぜ”自信”という要素に着目したかというと、現在の日本における閉塞感の原因として非常に重要な要素だと考えているからである。今回は現在のビジネス環境においてこの”自信”をつけるための方法を考えてみたいと思う。

自信をつけるための心理学的なアプローチについては、ネットを検索してもいろいろ出てくる。ベストセラーとしてもよく取り上げられる1日わずか10分でとか1ヶ月でというHow to本も数多くあるが世の中そんなに甘くない。今我々が改めて受け入れなければならないのは何事も”easy come, easy go”という原理原則ではないか。
と考えると閉塞感から脱するレベルの自信をつけていくためにはずばり、

修羅場体験と成功体験

しかないと考えている。

まずここでいう修羅場体験とは、レベルは相対的であれ本人の限界まで追い込まれた状況で考え行動する経験である。これは多くの歴史上の偉人も引用している言葉であるが、私は野中郁次郎氏の著書にその神髄を見ている。私の解釈としては、人は精神的そして肉体的なの限界を経験することで、自分の限界を知ることになる。そしてその限界は誰しも自分の想像以上に高い。火事場の馬鹿力とも言われるように、極限における人の力は伊達ではなく、そう簡単に人は死にはしない?!この体験の究極の形を経験するとどうなるか?の答えについて知りたい方は、ウィルソン・ハーレル氏著書の起業家の本質を是非一読をお勧めする(何度も死の淵に向き合うという経験をすると人はこんなにも強くなれる・・・ただここまでの経験は日常においては無理だとおもうが)。

そして成功体験とは、事の大小に関わらず、目標を達成し周りに評価された経験である。いくら修羅場を体験したとしても、その結果として成功に繋がらなければ、学習効果は下がってしまう。

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自信とはこのサイクルの積み重ねでしか醸成することができない

そしてこのサイクルを回していくためには、前回ご紹介したSカーブを用いて自分のポジショニングが重要となる。自分が関わっているビジネスが現在どのステージにいるか?によって、自分自身の特性とのマッチングを考えてみて欲しい。自称変人であれば、スタートアップステージである左下のビジネスに関わっていた方がやりがいを感じるだろうし、ミーハーだと思うならば、市場成長が右肩上がりの中間のステージが最もおもしろいと感じるはずである。

つまり、修羅場体験と簡単に言っても、年齢を重ねれば重ねるほど喜んで飛び込もうとは思わなくなる。さらには好きでもないことを限界まで追い込むまで、やり続けることはできない。自分がチャレンジしたいと思うテーマであれば理想であるが、少なくとも自分に向いている、興味があるテーマでなければ到達できない領域である。つまり、自分の適性とビジネスステージの適正のマッチング極めて重要になる。

そう考えると、現在の日本全体の自信喪失の原因についてこういう見方ができないだろうか。戦後日本における右肩上がりの成長市場中心のビジネスにおいては、マス的にマジョリティーのミーハー層が活躍できるステージが多く存在した。しかし、現在のグローバル競争においては、新興国とミーハー層が活躍できる領域の取り合いが始まり、その確保が難しくなってきている。つまり、多くの人たちが、自分の適性とは異なる領域への挑戦が求められ、自信を獲得できるサイクルを回せなくなってしまている。そして、イノベーションが求められている現在、フォーカスを浴びる人材は、価値を生み出す”変人”であり、それを世の中に普及させる”教祖”である。彼らはバブル期には、好きなことしかやらないような、組織としては痛い存在だったかもしれない。しかし、現在彼らは新たなミーハー層が活躍できるステージを創出できる可能性を持っている。

話を戻すと、我々が自信を取り戻すためには、自信獲得サイクルを回せるビジネス環境を探し出す、もしくは創出することが現在の課題である。そしてより多くの人がこのサイクルを回せる環境を構築することが、今のマネジメントに求められる力量であり、現在の閉塞から脱するための方向であることは間違いない。


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