Amazon Go の顧客体験は何が凄くて、何がしょぼいのか?

Written by 津田 真吾 on 2019-10-24

先日サンフランシスコのAmazon Goを体験したので、今回は3つのことを書きます。

1.アマゾンゴー(Amazon Go)は無人コンビニとして話題となってるけど、何が凄いの?
2.小売店の顧客体験ってどうなの?
3.Amazon Goは未来なの?

何が凄いの?

Amazon Goが一目ですごいと言われているのは、「レジが無いこと」です。欲しい商品を持って、外に出るだけで購入することができるというのは、まるで魔法。セルフレジが普及しつつありますが「人に会わない」という無人ではなく、「レジ精算をしない」「どうやって金額を計算しているのかわからない」「決済の瞬間がわからない」んですよね。棚から商品を選んで、店を出れば自分のものになっているというスムーズな買い物体験を提供することが話題です。小売店は「欲しいものを手に入れたい」というジョブを、オンラインとは違い、視覚的・体験的に解決する場ですので話題になるのも当然です。

小売店が片づけるジョブ

このように、小売店が存在するのは「欲しいものを手に入れたい」というジョブがあるからです。欲しいものを目で見て、手でピックアップするだけで買い物が済むというのは、他の店舗と比べるとスムーズかつ快適なプロセスとなっています。「顧客体験」というと、つい「おもてなし」や「接客」といった言葉が出てきますが、「欲しいものを手に入れたい」という機能的なジョブは機能的に優れていないと良い体験とは言えません。Amazonが言う「Frictionless」、つまり、やりたいことが「何の手間もなく」できると、顧客は何度も戻ってくるはずです。Amazonは、その購入する手間がいかにスムーズかをアピールするためにアプリやレシートに、店舗の滞在時間を記載しています。


この時はたった2分27秒しか滞在しなかった

しかし、Amazon Goを利用してみて、Friction(摩擦)は減っているものの、そこまで凄いかな?というのが正直なところです。

まず、店舗に入るのにスマホアプリを起動する必要があります。そのアプリで表示されるバーコードをゲートでかざすことで初めて店に入ることができます。

しかも、事前にアプリをダウンロードし、クレジットカードを登録するなどの手間もあります。また、購入に2分半しか掛かっていないことからもわかるように、品数は多くはなく、正直、買いたくなるようなものがそれほどあるわけではありません。

AmazonGoを体験すると、自動販売機(特にSUICA/PASMOが使えるやつ)がいかに最高な体験なのかに気づかされます。買いたいもののボタンを押し、スマホをかざすだけで買えるのですから。

AmazonGoは、普通のコンビニのセルフレジよりはシンプル。また、有人レジでの待ち時間はないけれど、袋詰めは自分でやる必要があるし、顧客体験が最高に最高ってわけではないというのが実感です。

AmazonGoは未来を象徴しているのか?

ではAmazonGoのような店舗やレジシステムは普及しないかというとそうではありません。顧客体験としては、そこまで劇的に良くなっていなかったとしても、導入する店舗にはメリットがとても沢山あるからです。

小売店が喉から手が出るほど欲しいのは「どんな顧客が何を買っているのか?」という情報です。そのために会員カードやポイントカードを発行し、購買情報と個人情報を紐づけようと躍起です。しかしAmazonはその遥か上を飛んでいきます。なにせオンラインで買っているものと、オフラインで買うものがわかるのですから。どういう商品がオンラインで買われ、どういう商品が実店舗で買われるのか?オンラインに顧客を奪われている小売店にとっては切実な状況におけるクリティカルな情報になるはずです。

Amazonはかつてオンライン書店用に開発したITシステムを、他社にクラウドサービスとして提供しました。その後、AWSとして多くの顧客がクラウドを利用できる形に商品化し、今やドル箱にしています。Amazonがこのシステムを外販するかどうかまだわかりませんが、十分に考えられる戦略です。

小売店に訪れる消費者だけでなく、小売店業のジョブを片づけることで、まだまだAmazonは成長しそうだと感じました。