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ニューヨークでUBERとLYFTとTAXIを乗って気づいたこと(1) – イノベーション実践語録(マジックアワー)
先日、ニューヨークに行きました。 ニューヨークは、イエローキャブと言われるタクシーがよく流していて便利な街として有名です。地下鉄ももちろん便利なのですが、タクシーなら行きたい場所の玄関まで乗せて行ってくれるので、楽ですよ […]
LYFT, UBER, TAXI が片づけるジョブ
タクシーやライドシェアサービスが共通するのは「移動したい」というジョブを片づける点です。
特に、荷物を持っていてなるべく歩きたくないとき、初めての街で迷いたくないとき、暑かったり寒かったり雨だったりで外を歩くと不都合なときに、タクシーやライドシェアを「雇い」たくなります。考えてみると、乗る前にだいたい行き先は決まっているんですよね。だから、捕まえるときは「その場」に来て欲しいし、行き先はすでに決まっている「目的地」ということになります。ジョブを言い換えると、
今いる場所から、次の目的地まで楽に移動したい。
そのジョブの体験を左右するところはいくつかあることがわかります。
(1)車を呼ぶ(配車)
(2)車を待つ
(3)車に乗る
(4)行き先を告げる
(5)移動の車中
(6)降車
(7)支払い
UBERやLYFTは、この全体を新しいものに変えています。配車はアプリでGPSの位置情報を活用したものしています。待つ時間は最寄りの空車をアサインすることで短縮化するとともに、待ち時間を表示しています。車を乗る際、荷物があれば手伝ってくれますし、車内は一般的なタクシーよりもはるかに清潔です。到着までの時間も表示され、最適経路から遠回りしているかどうかが一目瞭然です。降りるときも荷物を降ろしてくれ、支払いの必要もありません。特にチップについては額を考えたり、ねだられたり、断ったりといった煩わしさからも解放されます。
スマホのアプリのUIや経路検索、最寄りの空車をマッチングしたりするIT面の特徴、「シェアリング」といった目新しい側面に目がいってしまいますが、現在地から目的地まで移動したい、というジョブに注目したLYFT対UBERの競争には期待しています。ライド全体の評価が可視化され、比べられるようになったことで、タクシーの清潔さや、ドライバーの親切さといった人的な側面にも日が当たるようになったことも注目に値します。
日本では、タクシー業界が保護されていることもあり、ライドシェアのサービスは上陸していません。その代わり、「配車アプリ」が登場しています。全国タクシーという先行者がいる中、DeNAはタクベルというサービスをリリースするなど、数多くの企業が参入しています。しかし、利用者にとっては、配車をアプリでできる程度。タクベルでは支払いも楽になったようですが、全体のプロセス、つまり移動というジョブをもっとも気持ちよく片づけてくれる会社が市場シェアをとるのではないでしょうか。消費者としても、もっとよくなることを期待したいですね。