考える戦略と考えない戦略

「もうちょっと考えた方が良いんじゃないか?」

戦略上の失敗には、ちゃんと考えようよ。と誰もが思う場面がある一方で、

「考えすぎじゃない?余計なことを考えずに行動あるのみ」

考えずに動いた方が良いというアドバイスが適切な場面も存在します。

 

なぜかな〜と考えていたところ、実は、これら2つのアドバイスにはパターンがあることを発見したのです。

まず、前者のもっと考えた方がいいケースというのは、新しいことに“取り組もう”としているときや、“変わろう”と思っている時に起きるのです。「新しいことをやらなきゃ」「変わらなきゃ」というときに、あまり考えずに過去の「クセ」で行動してしまう。意識して変えることを忘れてしまったときに「考えようよ」ってなるんです。いつも行っていることは習慣化しているので、「自動操縦」モードで従来のやり方になってしまいます。新しいことにチャレンジしようとしているとき、古い習慣に抵抗するために「考え」が必要になりますね。

 

「考えすぎ」になるのは、もうチャレンジが始まっているにも関わらず、同じモードで「考え」ばかりが先行してしまうときです。動いてみないとわからないことを考えばかりが先行してしまって、余計に動けなくなる症状のことです。この症状は「何事も深く考えないと…」という思い込みがある場合に発症しやすいように見えます。考えた結果、覚悟を決めているにも関わらず、そのまま考えっぱなしというのはもったいない。「やるやる詐欺」に陥る前に動きたいところです。

とにかく一歩踏み込んでから考える習慣は大事かなと。

Written by Shingo Tsuda on 2018-02-13

超要約「ジョブ理論」

『ジョブ理論』の反響にお応えし、短時間でジョブ理論とは何かを知りたい方のための記事です。
色んなところにジョブ理論(Jobs-to-be-done)について書いてきて散らばってしまったので、反省も込めてここにまとめます。
ジョブ理論

【ジョブ理論とは?】

ジョブ理論とは、人がどのようなものを買い、どのようなものを買わないのか、を説明する理論です。
いくつかの特徴がありますが、代表的なものを挙げてみましょう。

  • ある特定の状況で人が成し遂げたい進歩を“ジョブ”と呼ぶ
  • 消費とは“ジョブ”を片づけようとして、特定の製品やサービスを“雇う”ことである
  • 人は置かれた状況によって何を“雇う”か左右される
  • “ジョブ”には機能的な側面だけでなく、感情的、社会的側面がある

クリステンセンがイノベーションの研究をしているときに、製品の特性ではなく、顧客の状況顧客が片づけるべきジョブが新しい製品が消費されるかどうかを決定づけていることを発見し、理論化しました。

例えば、「伸びてだらしなくなった髪を整えたい」という進歩をしたい忙しい男性にとっては、サービスがよくて時間もかかる床屋ではなく、QBハウスのようなシンプルで立ち寄りやすいリッチの床屋を“雇う”のです。あくまでも本人が、その状況において目指していることに適した解決策であるポイントが重要です。

 

“片づけるべきジョブ”は Job-to-be-done の訳で、以前は“片付けるべき用事”“片づけなくてはならない用事”とも訳されたことがありますが、最近はJobはジョブ、Job-to-be-doneは片づけるべきジョブで統一されています。

【ジョブとニーズって何が違うの?】

ニーズとジョブの違いは何だろう?・・・・このような疑問を持つ人は少なくありません。一つ問題は、「ニーズ」はあまり明確に定義がされていないことです。


一般的に「ニーズ」とは、「顧客が商品に向ける関心や行為などの現象」という意味で使われていることが多いようです。つまり、人の消費行動が表面化し、商品やサービスに向けられた状態を「ニーズがある」と呼んでいます。


一方で、「ジョブ」はニーズが生まれたり(生まれなかったり)する源泉です。ニーズの対象とある製品がなくても存在しますし、目にすることができます。


人はジョブを解決するために製品を雇う結果を、私たちはニーズがあると呼んでいます。そのため、新商品や新規事業を考える上では必ず顧客の「ジョブ」を捉える必要があります。「ニーズ」を見ていたのでは、結果論になってしまうのです。

【流行ってるの?】


流行ってます!


クリステンセン氏にとって4年ぶりという待望の新刊ということもあって、著書『ジョブ理論』はとても売れています。日本経済新聞でも大きく取り上げられ、ハーバードビジネスレビューが選ぶ2017年のビジネス書にも3位にランキングされています
クリステンセンの知名度だけではありません。「状況」といった定性的な情報を重視する点から、従来のデータ偏重型のマーケティングに一石を投じる形となっており、議論を巻き起こしています。過去のデータを使って未来の商品開発をすることへの閉塞感が背景にあります。
経営書中心だと思われていたクリステンセンがマーケティング(の間違い)に言及している点もあって、広告代理店やマーケティング関連企業も「ジョブ理論」を評価しているようです。


ただ、日本では今流行の手法のように見えますが、実は「ジョブ理論」という書籍が完成する前、『イノベーションへの解』にてクリステンセンは“片づけるべきジョブ”についての理論と方法論を解説しています。海外ではJTBDとも呼ばれ、親しまれている手法ですが、14年近く経った今、ようやく認知されつつあると言ってもいいでしょう。

【クリステンセン教授って誰?】

クリステンセンは『イノベーションのジレンマ』という本を書いたことで一躍有名になりました。『イノベーションのジレンマ』は、優れた企業が「破壊」される現象を分析し、イノベーションとは何か?破壊的技術とはどういうものか?なぜ大企業は成功体験に縛られるのか?を紐解いた伝説の一冊です。この「破壊」(Disrupt)という言葉や理論は、技術に依存しすぎる企業への大きな警鐘となり、世界中の経営者に読まれると同時に、シリコンバレーの起業家たちのバイブルとなりました。


『イノベーションのジレンマ』の要約はこちら

【どうやって使うの?】

ジョブ理論は、従来のマーケティングが重視するデータを重視しません。現在のマーケティングは「性別、年齢、年収、住所、職業」などのデモグラフィックなデータと消費行動を結びつけようとします。ですが、私たちがどのようなモノを買うのかということと、年齢などのデータには因果関係はありません。ジョブ理論を活用するためには、従来のデータ偏重型マーケティングから一歩身を引いて、顧客が置かれている状況や目指している進歩を捉える必要があり、そのメソッドを身に付けるために一定の訓練が必要です。
このメソッドを私たちは「JOBSメソッド」と呼んでいます。


INDEE Japanでは、新規事業のテーマ創出、新商品のコンセプト立案、新しいマーケティング提案やサービスデザイン、スタートアップの立上支援などにJOBSメソッドを活用しています。また、マーケティング調査会社と提携し、ジョブ調査も行なっています。

【もっと知るには?】

著書では、クリステンセン著『ジョブ理論』『イノベーションへの解』がオススメです。
『ジョブ理論』日本語版の解説は私、津田真吾が書かせて頂きました。


WEB記事でしたら、Biz/zineにて連載しています。


各種セミナーやワークショップでしたら、不定期ですがINDEE Japanにて開催していますので、ときどきホームページをチェックしてください。

Written by Shingo Tsuda on 2017-12-30

アジアから世界的なヘルスケア・スタートアップは誕生するか?

津田です。アジアでもヘルスケア系スタートアップが増えてきているという噂を聞きつけ、HEALTH TECH INVESTOR SUMMITとHEALTH TECH CEO SUMMITに行ってきました。

先日参加したアジア・アントレプレナーシップ・アワードでもヘルスケア系の参加が多かったので、きっと熱が高まってきているのではないかという期待と、絶賛応援中のUBIEと一緒にシンガポールまで飛びました。

 

イベントが始まってすぐにあったのは、アジアの投資環境の話です。

投資環境としては非常に伸びているとのこと。
昨年2016年は23億ドルがヘルスケアITに投資されいて、ミドルからレイターに投資できるスタートアップが増えてきている傾向に。

グローバルにも増加傾向にあり、1回あたりの調達額は米国に続いてアジアは第2位です。

このイベントは、よくあるピッチというものはなく、アジア各国からスタートアップと投資家が集まって、ビジネス環境について情報を共有したり、交流する会だったのでどんなスタートアップが参加しているのか、正直よく分かりません(笑)

ですが、ざっと見ると、遠隔治療や遠隔診断のスタートアップが発展途上の国も多く、医師の数が不足している国が多いように見えます。それは、発展途上の国も多く、医師の数が不足している国が多いためではないでしょうか。ちなみに世界の平均は国民1000人あたり1.655人、日本は1000人あたり2.297人の医師がいます。そんな中で、中国は1.456、東南アジア最大のインドネシアはたった0.204人しか医師はいません。

 

個人的な印象ではなく、どこに投資が回っているかというと、ほぼ上位4つのカテゴリーが大半を占めるとのこと。医療情報検索が1番多く、医療記録、遠隔治療・観察、医薬品販売のe-Commerceが続きます。
フィットネスや健康管理はまだまだですね。

一番役に立った情報は、各国の規制に関することでした。
諸外国は一旦規制に向けた動きを取ったものの、経済合理性に期待し、積極的にガイドラインを決める方針を取っているそうです。データの管理には注意が必要なものの、起業家が政府とも交渉しながら切り開いていくことができる環境にあると言っていいでしょう。日本について触れられていなかったのが少し悲しいですが、あまりに情報が不透明で傾向が読めないのではないでしょうか。

Galen Growth Asia以外にもヘルスケアに注目したアクセラレーション・プルグラムができていたり、これから目が離せなくなりそうです。でも、スタートアップにスポットライトを浴びせないイベントはあまり面白くないですね。

Written by Shingo Tsuda on 2017-11-19

行ってみて実感! ドバイの凄いところ

INDEE Japan設立の頃から、仲間内で話題に上っていたドバイに行ってきました。
いつもとは違う、少し軽いノリで自分が感じたドバイの凄いところをお伝えします!

テーマは、位置、水、夢、多様性、自由、そして、イノベーションです。

 

位置

先ずはドバイって何処?という人のために、ドバイはこんな所にあります。


日本から10時間40分ですが、往路は夜初の早朝着でしたので、時差的には割と快適でした。日曜の夜に移動して、月曜日に仕事して、火曜の朝便で帰れば、水曜日は朝から普通に(?)仕事ができるという弾丸ツアーも可能です。アジアのハブであるシンガポールも7時間ですから、中東はもちろんアフリカや東欧へのハブとしても、とても魅力的な位置にあります。こうした地政学的な気付きは行ってみないと分からないことの一つですね。普段から地球をいろんな角度から見る癖をつけておきましょう。

地政学ついでにもう少し拡大した地図で見てみましょう。

ペルシャ湾とオマーン湾の両方に面していることで、ホルムズ海峡を封鎖されても陸上パイプラインで抜けることができます。ドバイは7つの首長国の1つですから、実際はドバイから別の首長国であるフジャイラに抜けることになります。いずれにせよ、UAE(アラブ首長国連邦)が石油輸出の要所であることは間違いありません。実は日本はUAEのお得意様です。日系油田の約4割はUAEのアブダビにあります。また、日本の石油輸入の約24%を占め、サウジアラビアに次いで2位です。UAE結成直後の1972年から、これまでに日本がUAEに支払った輸入代金は80兆円にも登ります。これは世界最大級の政府系投資ファンドADIA(Abu Dhabi Investment Authority)の資金量にも匹敵するそうです。自国の資源を社会インフラの整備やファンドに蓄積し、次代の国家の基礎としている計画性に唸らされます。

 

行く前からこれは見なければと思っていたのが、高さ150mのドバイファウンテン

思いっきり観光ネタですが、砂漠と海(海水)しかないところで、どうやって、こんなに水の無駄遣いを!と気になっていた場所でした。
これまで60ヶ国以上の国を旅して来たなかで、一番辛いと思ったのは、水がない状況でした。温度、湿度、食事、衛生等、大抵の不自由には慣れてきたつもりだったのですが、十数年前に訪れたモンゴルのウランバートルから数百キロ西の集落でのパオ暮らし。水がないって辛い!というのを初めて実感しました。もしかしたら、水に恵まれている日本人ならではの感覚かもしれません。こうした経験があったせいもあり、ドバイファウンテンでの水の使い方にはエンターテイメントとしての感動の前に、こんな砂漠の真ん中で、なんてもったいない!という印象が強かったのですが、この水はどこから?というのを調べてみると印象は変わりました。

ドバイは水需要のほとんどを海水蒸留水で賄っていて、ドバイの造水プラントによる水の生産量はサウジアラビアに次いで世界第2位だそうです。水は日本におけるエネルギー問題と同じく、UAEでは最重要課題であり、その能力を示すことは、国力を示すこととも等しいのだと理解しました。単なるエンターテイメントではなく、社会インフラの整った国であることを示すのと、観光立国に直結するという点で眺めるとドバイファウンテンの水も違って見えてきました。水が十分ある砂漠の国であることを示す必然があるのですよね。

 

そして、ファウンテンの後ろにそびえ立つ、828mのバージュ・カリファ。

写真だとあまり高さを実感できないのですが、828m、当然634mのスカイツリーよりも高い。真下にはドバイファウンテン、ドバイモールとまさにザ・ダウンタウンです。区画としては1つにまとまっているのですが、その1ブロックがでかいです。イメージとしては、東京駅の丸の内側が丸ごとドバイモールという感じでしょうか。外は40℃越え、中は20℃台と、慣れないとこの温度差で体調を崩しそうでした。屋内がキンキンに冷えているのは暑い国ではおなじみのことですが、日差し、湿気とダブルで効いてくるドバイの街中において近代的なモールやオフィスビルはまさに人工のオアシスでした。

過酷な自然環境ではあるが、人工のオアシス(ショッピングモール)を誰もが楽しむことができる。国家が国民・住民に対して、利益を還元している。これが夢の部分です。誰もがもっと進歩できる。生活をよくすることができると、未来に対する期待感があふれていると感じました。バージュ・カリファは映画「三丁目の夕日」の頃の東京タワーなのかもしれません。この夢があるから、多くの人が惹きつけられ、本当の意味の多様性が生まれています。

 

多様性

まるでスターウォーズの世界みたい!と思いました。

そう思った理由の一つは、想像以上に多様な国籍・民族の人たちで社会が構成されていること。そして、国籍で大体の職業が決まっていること。

  • タクシーの運転手はインド人かパキスタン人、英語のなまりと見た目で区別がつく
  • セキュリティはネパール人、傭兵の延長かな
  • レストランのフロアスタッフはフィリピン人、穏やかな微笑みが受けるのは世界共通なのかもしれない
  • 日本人に近い雰囲気のカザフスタン人のホテルスタッフ
  • インキュベーションセンターで議論している人たちは様々な人種のミックス
  • 金融街には、40℃越えの中、ブラックスーツにタイを閉めた金融人という種族がいる
  • UAE人は政府系の施設に行けば会える、イミグレーションで民族衣装が多いのは演出ではない。普段着を来たUAE人が多いだけだ

国籍や文化の異なる人が集まり、それぞれの立場や得意技を活かして社会を運営している。しかも、誰もが自分の状況の中で幸せを感じている、お互いがお互いを尊重している感じがした。職業に貴賎があるわけではなく、適材適所の役割があるだけだ。報酬が同じというわけではないが、街はきれいで、物価も安く、誰もが自分なりの文化的生活を楽しめている。そう感じた。

日本で多様性という言葉を使うときには、性別、年齢、日本人/外国人というキーワードがでるが、外国人という言葉が既に多様でない。日本とそれ以外を一括りにしているからだ。日本人はもっと世界のいろいろなことに対する解像度を上げなければと思いました。そして、自分自身も個としての魅力を上げないと通用しませんね。学歴、性別、人種、年齢、いろいろと取り払った時に自分に残る魅力は何か?Diversity & Inclusionの次代は多様性や受容性を上げることばかりが語られますが、その前提として魅力的な個人であることが大切ですね。まずは自分が好きな自分になりましょう!

 

自由、イノベーション

外部から人材を引き寄せ、最先端のいろいろな実験を自由に行える環境を提供する。それに資金も提供する。

訪問したDFA(Dubai Future Accelerators)では、21世紀にもっとも重要な機会をテーマとして多くのチャレンジを進めていました。それらはまさに社会システムにおける課題で、警察、自治体、エネルギーと水といったテーマでプロジェクトが組まれていました。今回は時間がなくて訪問できなかったのですが、アブダビ市近郊の砂漠地帯では、人口約5万人、面積約6.5km2の人工都市「マスダール・シティ」の建設が進んでいます。計画が延期され、2030年を目指すようですが、CO2排出量ゼロ、再エネによる究極のエコシティを目指す意欲的な計画です。ポスト石油社会を目指すという意味では、石油に頼るアブダビでこそ行う必然のある取り組みです。

もう少し近くの施策としては、アブダビ市の北東のサディヤット島の文化地区にルーヴル・アブダビ美術館が11月オープン予定です。本当は今回の視察の候補だったのですが、オープンが延期され、残念ながら建物の外観を見るだけになりました。この文化地区には高級リゾートやゴルフコース、ニューヨーク大学アブダビキャンパス等が誘致され、石油から文化へアブダビの魅力をシフトしようとする試みのようです。

 

まとめ

オイルマネー、世界一尽くし、金持ちの国という比較的短期の経済発展ばかりの国という印象でしたが、行ってみると、壮大な計画に基づく非常に長期的な視点で魅力づくりに邁進している国だと感じました。
その成功要因は、

  • 石油で得た投資をもとに地政学的に有利な位置を活かし、アジア、ヨーロッパ、アフリカをつなぐハブとなったこと。
  • 都市として機能するために必須となるの問題を解決し、むしろ強みとして打ち出したこと。
  • 貿易、観光での強みを究極的に打ち出し、の街を作ったこと。現在もその夢を広げ続け、夢を抱く人々を集め続けていること。
  • それにより、多様な人材を呼び寄せ、それぞれの得意を活かして、誰もが稼げる社会を生み出していること。
  • この自由度の高さを活かしてイノベーションに取り組んでいること

国家レベルでこの体制を築くのは、それこそ一朝一夕では不可能ですが、株式会社ドバイと考えれば、強力なトップダウン、外部人材の活用により成功している姿だと思います。

イノベーションを生み出したい企業の皆さん、一緒にドバイ視察に行きませんか?
まだまだ未開拓の地で、ビジネスチャンスを探しましょう!

Written by Tatsuya Yamada on 2017-10-02

ジョブとペルソナの微妙な関係

先日、ジョブ調査に関するセミナーを行なったときのことです。参加者から、とっても、とっても鋭い質問が来ました。
その質問はこんな形でした。

ジョブストーリーをつくる上で、ペルソナ的な情報があるのはナゼですか?

詳しく話を聞いてみると、ペルソナがあまり役に立たなかったために、ジョブ理論(Jobs to Be Done)に興味を持ったにもかかわらず、ジョブ調査の結果としてペルソナがあることに違和感があったというのです。

とっても鋭い指摘で、私も深く唸ってしまいました。

というのも、顧客のジョブがニーズを生んでいるのであって、顧客の年齢や年収などのスペックではないからです。ペルソナを描くことで、年齢や性別、住んでいる場所や家族構成など、顧客のことが生き生きと眼に浮かぶことを目指すのですが、仮にどんなにリアルに描いたとしても、どんな消費をするか、どんなものを欲しがっているのかは、わかりません。

顧客のデモグラを把握すると、顧客のことを分かった気になるという落とし穴があります。事細かな情報を得て、人物のことを分かった気になるのですが、では何が欲しいのかが分かったかというと、そうでもない。なので、セミナーに参加してくれたといいます。

この問いによって、それまでぼんやりと感じていたことを言語化することができたので、ブログでもご紹介します。


ペルソナを描く手法が用いられているのは、「顧客像を明確に」するためです。
しかし、その弱点も同時に「顧客像しか」明確にしないことです。

ではなぜ、ペルソナをジョブストーリーにいれるのか?
第一の理由は、顧客を分かった気になることが大切だからです。どのような手法を使おうとも、他人である顧客を完全に理解することは不可能です。顧客理解という「仮説」を立てる作業を適度に終えたら、検証しなくてはいけません。いい意味で「分かった気」、つまり「仮説がある状態」にして次に進めることが大切なのです。

第二の理由は、Product-Market-Fitに到達し、スケールする時には、デモグラが役に立つからです。ジョブの特定ができていて、Problem-Solution-Fitに到達しているのなら、次は同じジョブを抱えている他の顧客候補に大量に当たりたくなります。その際、デモグラについてのイメージがあると、顧客獲得の効率が高まります。住んでいる場所、普段行くところ、普段見るサイト、使うアプリ等々のペルソナ情報がこのときに役に立ちます。顧客が多く存在するデモグラに対して告知や広告をすることが可能になります。

その顧客の年齢や性別、居住地が消費者としての行動を決めている訳ではありません。人が何を欲しがっているかを理解するには、あくまでも「ジョブ」をとらえなければいけません。つまり、商品開発する前や、マーケティングメッセージを作るにはジョブを把握することが効果的です。ペルソナがあると、そうしてつくった商品やメッセージを、なるべく多くの人に届けることができるのです。

Written by Shingo Tsuda on 2017-07-04