Unlearn to Learn

Written by 津田 真吾 on 2020-11-16

The Backwards Brain Bicycle – Smarter Every Day 133

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まずはこの動画を見てください。

私も驚きました。自転車に代表されるような「スキル」というのは、シンプルなスキルであっても実に複雑に身に付いているんだな、と。脳の学習はソフト的な面もあれば、ハード的に固定配線(ハードワイヤ)されるものもあることの証左として本当に興味深く見入ってしまいました。この実験を身をもってやり遂げたDestin Sandlinは凄いとしか言いようがありません。

さて、これを一度身に付いた動作は、なかなか忘れることができないことが改めて確認されたわけです。習慣の力は偉大過ぎます。なので良い習慣を身につけるように教育というのが存在するんですが、時代にそぐわない習慣というものもあって、特にビジネスの世界では環境の変化が早いので。ビジネスモデルは移り変わり、それぞれのビジネスの急速な習慣化が求められる一方で「変革」も同時に求められています。

既存事業で付いた癖は、新規事業に取り組もうとしても、なかなか抜けません。計画の精度にこだわったり、会議室にこもったり、顧客ではなく上司への体裁を気にしたり…

新規事業を立ち上げるための「リーンスタートアップ」や「ファーストマイル・ツールキット」など、さまざまな手法は、頭で理解するのはさほど難しくありません。不確実性の高い事業仮説を検証しながら前に進めるのですから、既存事業の数々のお作法と比べたら単純な法則で成り立っています。しかし、実行するのは難しいかもしれません。それは、自転車の操作は単純なものであるにも関わらず、実際に乗れるようになるのには練習が必要なのと似ています。

しかも一度、既存事業の「クセ」が付くと、なかなかそのクセが取れないのです。消費者としての感覚は自然に身に付いているはずなのに、提供側のややこしい論理に縛られている人も同じです。「顧客視点」「顧客中心」というのは実は単純だけれど、変な売り手の論理やクセから抜けられないだけではないでしょうか?

実際、学生と社会人と、双方にイノベーションのトレーニングを施すと、明らかに学生チームの方が学びが早いです。学生に経験がないことがプラスに働き、社会人には会社生活で身に付いてしまった「業務上のクセ」が邪魔になるからです。

動画にもありましたが、脳が若いときは学び直しが効きやすい。でも、歳を取っていたとしても、毎日のトレーニングを大切にすれば、学び直しが可能です。根気強く訓練すれば乗り越えられます。しかも心強いのは、学び直しそのものを体験すると、次の学び直しがよりスムーズにできる上に、学んだもの切り替えもより容易くなるということです。複数の言語を操る人や、複数のプログラミング言語を操る人に尋ねると、3つ目、4つ目の言語を学ぶハードルはどんどん短くなるそうです。もしかしたら「Unlearning」、つまり自分のクセからの「解放」が最も重要な生きるスキルかもしれません。

イノベーション力を強化していたら、ついでにマネジメント力が高まるという話

Written by 星野 雄一 on 2020-10-26

最近はジョブ理論も普及してきており、色々な箇所で読書会なども開催されているようです。先日、人事系の方が集まる勉強会にご縁がありジョブ理論のエッセンスをお伝えすることになりました。

 

テーマは「ジョブ理論と人材育成」。その場では最初にジョブ理論の基本をお伝えした後に、参加者の人材育成や組織開発に関するお悩みなどを題材にディスカッションをしました。そこでお話しした、ジョブ理論と人材育成という一見離れたテーマの共通項について共有できればと思います。

 
このブログを読んでくださっている方はジョブ理論をご存知の方も多いと思います。ご存じない方はこちらを参考にしてください。

 

振り返りも含めて説明すると、ジョブとは「人がある特定の状況下で望む進歩・進化」です。ジョブは「幸せでいたい」とか「健康でいたい」といったものよりも、「若い頃は運動もしていたけれども、最近はすっかり運動もせず、とうとう健康診断で指摘を受けてしまった。運動すれば良いことはわかっているが、子供もいるし、仕事も忙しいし、時間もない。限られた時間の中で効果のある運動をしたい。」といった特定の状況を含んだ具体的なものになります。

若い頃から運動は特にしていない人、健康診断で指摘を受けてない人、子供がいない人、時間にゆとりのある人は例文の方とは状況が異なり、ジョブも変わるでしょう。結果、”雇う”商品・サービスも変わってくる可能性が高いです。それを無視して、うちの商品やサービスは機能もあって性能が良い、だから多くの消費者を満足させるに違いない!と消費者に訴求してもなかなか届かないということなのです。これはプロダクトアウトと称されたり、”自分目線”と称されたりします。

 

これと同じことが人材育成でも言えます。

 

部下や後輩を指導する役割になる人は、その部下よりも豊富な経験や知識をお持ちのケースが多いですし、それを伝承することを期待されているとも思います。もちろんそれらの経験や知識は部下の役に立つのですが、「これが本質だ」「これは知っておけ」「このくらいやれないと」と自分目線で押し付けても、そのアドバイスを部下は”雇わない”ケースが多いのではないでしょうか。それは、その提案が部下にとってオーバースペックだったり、現状に合ってないからなのでしょう。部下には部下の現状があり望む進歩があるので、部下のジョブを把握し、そこにミートしたアドバイスをするということは上司のコアスキルである言えるのです。

 

人材育成は企業にとって重要なテーマだと思いますが、実際にマネジメントに携わる方には「短時間で部下を育成したい」「できれば他の人がやってほしい」といった思いもあるでしょう。そこに対してマネージャー研修では「傾聴しましょう」とか「相手の立場に立って考えましょう」と言われちょっと辛いところですよね。ただ、せっかくイノベーションを生み出したい!と思われている皆様であれば、イノベーション力を高める手段として「部下のジョブを捉える」という実践を積むのはいかがでしょうか。ジョブ理論は観察や傾聴の際の着眼点となり、より解像度高く相手を理解することに繋がりますので一石二鳥です。

創発とは単に優れたアイデアを出すことではない

Written by 津田 真吾 on 2020-10-19

「創発」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

創発とは、物理学では「発現」と訳されているEmergenceの訳語であり、意図的ではない現場から生まれるような戦略や行動のことを指します。現場からの意見やアイデアが求められる状況で使われるこの言葉には、イノベーションのヒントが込められているのです。

創発とは – コトバンク

「創発」とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない特性が、 全体として現れること。物理学や生物学などで使われる用語「emergence」(発現)が語源で、自律的な 要素が集積し組織化することにより、個々のふるまいを凌駕する高度で複雑な 秩序や システムが生じる …

「創発」を理解することで既存の枠組みや固定観念によって身動きがとりにくくなっている方もきっと身軽になると思います。


「創発」にもっとも近い概念は「ボトムアップ」です。また、ボトムアップはトップダウンの対義語であるように、創発の対義語は「意図」です。したがって、創発の条件は、まず現場発であることが挙げられます。次に、意図的ではない、というのが2つ目の条件です。

現場から意見を集めて、意外性の高いアイデアを求める取り組みは多くの企業で行われています。しかし、必ずしも上手くいっているようには見えません。その原因の一つが「意図的ではない」アイデアについてマネジメントが受け取れないからです。通常、上から戦略として降りてきたものが実行計画になり、日々のオペレーションになっているような組織ではボトムアップのアイデアは行き場所がありません。どんなに面白くて価値のあるアイデアがあっても、拾い上げる仕組みがないのです。

せっかく創発を現場に促し、現場の気づきがマネジメントに上がってきたとしてもスルーされているケースがあります。アイデアの伝え方が拙いことも一因ですが、創発を促しているのですから上手に拾っていきたいものです。


では、現場で発見された気づき(特にジョブ)やアイデアを「創発」にするにはどうしたらいいでしょうか?

もちろん、現場が多くのアイデアを出すことは必要です。しかし数を出すだけでは十分ではありません。同じモードで「創発しろ!」「アイデアを出せ!」という掛け声があっても、吸い上げて拾い上げるプロセスがなくては、途中で跳ね返ってきてしまいます。この状態を経験した現場は、最悪、「ウチの組織ではアイデアを出しても無駄だ」とあきらめモードになってしまい、二度とイノベーションの機運が高まらなくなることもあります。脅しているのではなく、こうした学習性無力感を持つ組織は珍しくありません。楽しいだけのアイデア出しワークショップに弊害があるのは、こうした影響があるからです。

創発の起きるイノベーティブな組織の多くは、組織がフラットなのは偶然ではありません。さらに、トップに創業者が残っている若い企業であればフラットにすれば済むのですが、多くの伝統的な事業会社にはゼロから事業を作り上げたメンバーや知恵が残っていないからです。その結果、どのアイデアを吸い上げ、磨き、どのように事業にしていくのかという仕事がなされずに、せっかくのアイデアが宙に浮いたり、スルーされてしまいます。

創発を根付かせようとすると、アイデアが出たあとの「イノベーション・マネジメント」は不可欠です。言い換えると、イノベーション・マネジメントは創発をつくり出すための仕掛けであり、仕組みなのです。

イノベーション・マネジメントには4つの要素があります。

  • どのようなアイデアを求めているのかを示し、募集する
  • 集まったアイデアを評価する
  • アイデアを事業仮説として育成する
  • 事業仮説から戦略上の事業として認定する

一見「創発」のように無秩序で自由な雰囲気から出てくるアイデアも、その後のプロセスにはマジメな手続きがしっかり必要です。

Innovation for Life vol.12 AIと人共存する未来のための剣道

Written by 津嶋 辰郎 on 2020-10-06


AIや機械と共存していく未来においては、剣道のような武道は益々単なる古き時代の伝統競技になっていくのか?

ドラマ半沢直樹でも注目された剣道を通して会得できることが現代社会ではもちろん未来でも益々重要になる・・・

なぜそう考えるのか?その理由についてお話してみました。

 

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“きく”を漢字で書くと・・・? ジョブインタビューのコツ!

Written by 山田 竜也 on 2020-10-06

「“きく”を漢字で書くと・・・?」と聞かれたら、
既に一つ答えを書いてしまいましたが、“聞く”が浮かびますよね。「門に耳をそば立てて中の音を聞く」と習った記憶もありますが、 “英語のHEAR” 、音として聞こえるかどうかですね。最近のオンライン会議ではこの“聞く”が上手くいかなくて、イライラする事もあります。

 

そして、もう一つは、“聴く”。コーチングやコミュニケーション系の仕事をしている人にはお馴染みの”傾聴”です。こちらは十四の心を持って相手の話に深く耳を傾けるという様な説明もありましたが、 “英語のLISTEN” 、意識して音楽や言葉の中身に深く耳を傾けるとしていう意味です。

 

そして、もう一つは、“訊く”です。これは少しニュアンスが違っていて、聞いたり、聴いたり、するためにこちらから尋ねて言葉を導くものです。 “英語のASK” になるのではないでしょうか。

 

実は、この3つを上手く使い分ける事が、相手から本音を引き出し、ジョブを探っていくときのコツになります。

 

 

そもそもジョブインタビューの目的はジョブを発見することです。“聞く”ことでデモグラ購買情報といった顧客情報は集める事はできますが、そうした情報は顧客の消費行動と相関関係があるものの、なぜ買うのか?という因果関係はわかりません。因果関係に迫るには、顧客の気持ちや性格、好みといった所にまで、意識して耳を傾け“聴く”必要があります。

しかし、それでも、顧客が特定の商品やサービスを雇う理由であるジョブにまではたどり着けません。例えば、洋服が好きで、いつもおしゃれな最先端のファッションを身に付けている人だからと言っても、全ての商品をファッション性に拘って選ぶ人は少ないのではないでしょうか。ジョブを解決する先の目的は機能的/感情的/社会的の3種類です。そのジョブの目的は何かをいろんな角度から尋ね”訊く”事で何が本音かが見えてきます。

そして、その本音は本人の口からは発せられないままの場合もよくあります。“訊く”ことで出てきた言葉を真摯に“聴く”ことでジョブの深堀りが進んでいきます。このループを回していくことがジョブインタビューのコツです。

 

 

 

では、どこまでループを回せば、ジョブを掴めるのか?

 

一つの基準は相手の感情が動く所を探す事です。具体的には、笑いが起こったり、口調が砕けたり、特徴的な言葉遣があったり、会話をしていく中で場の雰囲気が変わるような時に、相手が重要なメッセージを発している事があります。

 

経験豊富なインタビュアーは、表層的な会話にならないように、敢えて挑発的な質問をして、相手の感情を動かすようなことをすることがあります。

ジョブインタビューの場合にも、相手のリップサービスに惑わらされずに、本当の理由を探る必要があります。自社の商品に対して、「御社の製品は品質が良くて安心だからいつも買っているんです」と口では言っていても、実は本当の理由は「昔からの惰性で買っているだけ、新しいの選ぶのめんどくさい」かもしれません。昔は買った理由、もしくは、きっかけがあったけど、今は理由はないという状態です。相手の表面的な言葉だけを拾っていたら、全く違う方向に進んで行ってしまうかもしれません。

 

  • ”訊く”ことで出てきた言葉を真摯に”聴く”ことでジョブを深堀りする
  • 相手の感情の動きから重要なメッセージを読み取る

 

ジョブインタビューは最初は戸惑うかもしれませんが、実践した数だけ確実に上達します。但し、“訊く”で踏み込まずに繰り返しているだけでは、ジョブにはたどり着けませんし、上達もしません。

是非、真摯に一歩踏み込む事から始めてください。

 

先日、宣伝会議さんに取材を受けました。
『「ジョブ」と「雇用」の関係から考える顧客体験を起点としたブランドの存在意義』というテーマでジョブ理論についてマーケティング文脈で語らせてもらいました。10/9(金)に宣伝会議デジタル有料版での公開が予定されております。(https://mag.sendenkaigi.com/
山田の取材記事は、公開当日の、1日だけ無料公開となるようです。機会があれば覗いてみてください。