自分の力を出し切りたい!

10月に入ってもまだまだ暑さは厳しく、季節が変わった気はしないが、
多くの企業で下期に入り、組織が変更になり、次のスタートが始まっている。
新しいスタートに際して、組織の力を高めたい、自分の力を出し切りたい!と考える方々へ
個人のチームのパフォーマンス・アップの方法をご紹介する。
人材開発の世界では良く使われるフレームワークを応用したもので、
個人・チームのパフォーマンスを最大化させるための自己認識ツールになっている。
ベン図で作られる7つの領域の何処に何が入るのか?入らないのか?を書きだす事で
自身のパフォーマンスを最大化する上での阻害要因や課題を浮き彫りにしていくものである。
さて、自身のパフォーマンスが上がる時、やる気が出る時はどの様な時だろうか?
・何より自分が好きな事に没頭して取り組んでいる時
・周囲からの期待を感じて、緊張感と使命感が高まっている時
・自分って、いけてる!と有能感を感じる時
他にもいろいろあるし、人により動機付けのきっかけは異なるだろうが、
例えば、この三つを同時に満たしたとしたら、パフォーマンス・アップは間違いないだろう。
アスリートの世界で考えれば分かり易い。
大好きな競技に打ち込み、周囲からの期待に包まれ、自身の力もそれに応えられる。
正にゴールドメダリストを生み出す状態とも言える。
そんな境地に辿り着けるのは、極一部だと思われるかもしれない。
ただ、やる気を出すための要素そのものは共通のものである。
先の三つをベン図で表現したものが以下である。
三つの輪.png
やりたい事=何より自分が好きな事に没頭して取り組んでいる時
やるべき事=周囲からの期待を感じて、緊張感と使命感が高まっている時
 やれる事=自分って、いけてる!と有能感を感じる時
『やるべき事(会社から期待されている事)をしっかり認識し、
 やりたい事(個人で成し遂げたい事)を見据え、
 やれる事(自身の強み、積上げてきた実績)を増やし向上させ、
 会社からの期待に応え、自身の夢にもつなげる。
 三つの輪の重なりを増やす事で、自身のパフォーマンスを最大化する。』
というのが基本的な考え方である。
この三つの輪の重なりから作られる七つの領域をフレームワークとして
自己認識を深めるというのが、この手法の基本コンセプトである。
下のテンプレートを使って、是非試して頂きたい。
やるべき事は、やりたい事は、やれる事は、何なのか?
そして、それらは重なりの中にあるのか?無いのか?
もちろん、空欄が出ても構わない。それも含めての自己認識である。
三つの輪テンプレ80%.png
自身で吐出してみる事が第一歩だが、そこから先は一人深めるのはなかなか難しい。
ここで有効なのが普段時間を共にする仲間との相互フィードバックである。
職場単位、プロジェクト単位、いろいろな括りが考えられるが、
新たなチームメンバーと行えばチームビルディングの効果もある。
その場合はやるべき事をチームとしてやるべき事にすると良い。
チームとしてのミッションをどう認識しているかを共有し、その違いが生じる背景を理解し、
各自の意識を揃えながらチームのミッションを深く合意する事につなげられる。
やりたい事、やれる事はメンバーの自己開示になる。
これを共有した上でチームのミッションを達成するために個人がどういう役割を担うか?
担うためにどんな能力を伸ばしていくか?を合意しながら行動計画を立てる事で実効性を高められる。
というのが進め方の概要だが、最も重要なポイントは本音が出せる安心・安全な場の確保である。更に、相互にフィードバックするための質問力も重要になる。対策として外部ファシリテーターの活用も有効だ。と言っていると試し難くなるかもしれないが、先ずは自分自身で、そして、信頼できる仲間と少人数で始める所から、是非、試して頂きたい!!
Written by 山田 竜也 on 2012-10-12

イノベーションとオペレーション

イノベーションとオペレーション
新しいアイデアが普及する過程はSカーブを描きます。
Sの形を右上に登るにつれて、ユーザーの性格が変わることはご理解いただけたのではないかと思います。
(まだ完全に理解されていない方はスーパーカー消しゴムに見る普及プロセスSカーブから自分自身のポジションを知るTech-On! ものづくりと普及率の深い関係 を参照してみてください)
このユーザーの変化に伴って、製品やサービスに求められることも異なります。こちらの記事では製品の黎明期と成熟期は2つの異なるパラダイムであることを述べました。
同じように、スタートアップと成熟した事業を持つ大企業とではほとんどのすべての点で異なります。
(企業内ベンチャーや新規事業部などは、ルール以外はスタートアップに近いと思います)

スタートアップ 大企業
資金 限られている 多い
人材 限られている 多い
設備 非常に限られている 整っている
業務プロセス トライアンドエラー 定まっている
組織体制 属人的 体系化されている
社内ルール ない 整理されている
意思決定 アドホック 組織的・体系的

 
この表に示した違いを生んでいる要因を理解することで、新規事業が失敗する多くの理由が説明できます。そのために、表の左から右、つまりスタートアップが成長して大企業なる過程を考えてみよう。
例えば、介護用ロボットのベンチャーを立ち上げたとする。すると、最初は開発するにも、前例や基準がなく試作品を作っては試し、そして直すということの繰り返しになる。製品が「正常に」動くかどうかの基準すらない。既に普及している産業用のロボットであれば、どのくらいの負荷に耐え、何年間使用されるのか、どのような環境で使われるのか、想定がある程度できる。それはスペックという名の指標が開発者に分かりやすく定義されるためである。ユーザー側が学習するという側面もあり、作り手、売り手、買い手、使い手が前提とする一定の基準は徐々に定まっていく。うまくいったパターンを組織は学習していくと言い換えることができる。
このパターンには「開発」や「営業」といった役割分担も含まれる。その役割分担が機能するための社内ルールが整っていく。
スタートアップ時には、その都度都度で何を開発し、何を売るかといった意思決定はされる。しかし、成功体験や失敗体験が経験値としてたまってくると、判断を間違わないような意思決定の仕組みができたり、暗黙のコンセンサスを求めるようになる。
事業がうまく回りはじめて会社が大きくなりだすと、最初からのメンバーの多くは「昔は何でもすばやくできていたことが、いろんな人のお伺いを立てないとできなくなった」と嘆くのは上記の過程があるためである。
大企業の論理をスタートアップにあてはめてしまう
他方で、大企業の考え方そのままでスタートアップをやると、致命的な問題が起きる。資金、人材、プロセス、ルールなど内々尽くしのスタートアップ。経験上、このような環境に放り込まれると、3つの反応がある。

  1. 行動が何も取れずに思考停止してしまう
  2. 仕組みづくりの構想のための会議を繰り返す
  3. ないなら、ないなりに開き直って動き回る

もちろんスタートアップにおける正解は3なのであるが、他の選択肢を選んでしまっている例を実に多く見かける。この違いがイノベーションとオペレーションなのである。
1は正解至上主義とでも言えるだろうか。正解への道筋がないと、思考停止、いや行動停止してしまうパターンである。すでに確立されたビジネスであれば定石は多く、正解と言えるような道筋に従っていれば失敗しない可能性は高い。これはある程度確立された事業を失敗しないように運営(オペレーション)する極意である。しかし、新しいことに取り組んでいる以上、正解かどうかはやってみた結果からしか言えないということを心掛ける必要がある。
2は巻き込まれる人も多いので、スタートアップでやってしまうと弊害が大きい。仮に仕組みを作ったとしても、試してみないからには仕組みが機能するかどうかわからないからだ。ビジネスが回り、一定のパターンが見えないと、仕組みは描くことはできないのだ。「想定外」の原発事故を除くと、日本の自然災害に対する備えが海外から高く評価されている背景には、災害の多い日本列島に長年住んできた歴史がある。それに、大企業にはふんだんにリソースがある。情報もある。そのため、打てる戦略のオプションが多い。長年そのような環境で仕事をしていると、オプションの中から「最適」なものを選ぶような思考回路が強化される。経営戦略の書籍を読むと「最適化 (optimization)」というキーワードが連発されている。これらの書籍を読むと、最適化の対義語としてイノベーションが挙げられていることが多い。イノベーションの時期では選択肢の中から選ぶような余裕はなく、選択肢そのものを創造しなくてはいけない。これがオペレーションとの違いになる。オペレーションで新たなオプションを作ってしまうと混乱する。
3のように動き回っているうちにパターンは見えてくるものだ。もちろん人によって間違いから学ぶ速度には差があるかもしれない。誰かが勝ちパターンを見つけない限りは、「良い方法」など見つかるわけがない。そのパターンを見つけるためには、トライアンドエラーが必然になる。失敗は辛く、いつ正解にたどり着けるのか、果てしなく感じるかもしれない。しかし、チーム全体が学習することを前提に活動することによって発揮できる能力は計り知れない。

Written by 津田 真吾 on 2012-10-05

コミュニケーションの原理原則?!

私は恐らく昔からコミュニケーションという領域に人一番感度が高かったであろうことに30歳前後で気づかせてもらった。そのきっかけはコンサルティングという業界に入り、他人に情報を伝え、さらには行動に移していただくという仕事を生業にし始めたことにあると思う。

“人に新たな行動を促す”というコミュニケーションゴールに至る方法を必死に考え、実践するという試行錯誤を通す中で、自分のコミュニケーションスタイルには多くの実践知と言える暗黙知があり、多くの人々はそれを実践できていないことに気づくことができた。現在は意識するしないに関わらず、常にこの原理原則に従うことができるようになった。その結果、ある条件さえ満たせば、どんな人にも自分の伝えたいことを伝えることができると自信を持って言える。逆にこの条件を満たせなければ、どんな簡単な事も伝えられないと思えるようになった。この原理原則を身につけることは、多くの事を伝えられるようになることだけでなく、伝わらない事を諦められるようになるという実は伝えることと等しく重要な気づきを与えてくれる。今回はこの実践的な原理原則をご紹介したいと思う。

コミュニケーション力をより、日本語のニュアンスで”伝える力”と定義すると、私は下記の3つの要素に分解できると考えている。

コンテンツ × プロセス × 情熱

まずコンテンツとは、伝えたい内容の力。タイムリーな話題やサプライズネタ、理解を補う情報などはこのコンテンツがもつ力。次にプロセスとは、伝え方の巧妙さ。伝える順番やストーリーなどのスキル的な要素。そして最後に情熱とはそれを伝えたいと思う話し手の内なる力。この3要素の掛け算によって”伝える力”は支配されている。

ここまでは何となく理解していただけると思う。それぞれの一つ一つの要素は、皆様が普段から意識していることそのものではないだろうか。次に考えていただきたいのは、この3つの要素を駆使して何に対応するかということである。

それこそが普段伝わらない感に悩んでいる方々には抜け落ちている事が多い要素であり、コミュニケーションの成否を握っている最大の鍵になる。それは、

 聞き手の(興味)

である。つまり、

 人は自分が興味があることしか聞かない

言い換えると、

 聞き手の興味を引きつけられないことは伝わらない

これこそがコミュニケーションにおける原理原則である。これは人間の五感すべてに当てはまることでもあり、認知科学の分野でも明らかになっていることでもある。人は意識的に見たくないものは見えなくできるし、聞きたくないことは聞こえなくできる。それは視界に入っていても、音として耳に入っていても意識的に情報を取捨選択できことを意味している。これは日常的に誰もが体感している事実であるにも関わらず、なぜかコミュニケーションという領域になったとたんに忘れ去られてしまう。なぜか自分が言ったことは、すべて聞いてもらえていると過剰にポジティブ?!になってしまう。

さらに伝える力の影響力に時間軸をつけると、その場で理解してもらうだけでなく記憶として脳内に留めていただく必要がある。こうなるとさらに”興味”という要素が不可欠になることは、実感としてもご理解いただけるのではないかと思う。

では具体的に何をするか?であるが、前述の”伝える力”の3要素を駆使して、

 聞き手の興味を引きつける

努力をすることである。会議やプレゼンテーションというシチュエーションで重要な点として、”場づくり”という言葉を使われることは多いと思う。この”場”とは無形なものであり、実体が分かりにくいものではあるが、場をつくるとは私は参加者の”興味をつくる”ということと置き換えることができると考えている。これは一対一でも一対多でも同じである。聞き手に聞くための準備を話し手が促すことである。

日常的なTipsを例で示すと話のうまい方の多くは、”枕詞(まくらことば)”を多用していることに気づくのではないかと思う。例えば、

① **さんって**が好きでしたよね?実は・・・
② 最も重要なポイントを一つ挙げるとしますと・・・
③ もうめちゃくちゃ感動した事があるんだけど・・・

これらはどれも典型的ものであるが、①はコンテンツとして相手の興味のあるテーマを選んでいる、②はプロセスとして興味をひくための工夫をしている、③は情熱の要素に着目した枕詞である。そして、長いストーリーになると、これらを複合的に使って興味を引き続けられなければ、伝えたいことは伝えられていないと思わなければならない。

コミュニケーションとは聞き手の思考や意識、心理状況と話し手がシンクロできたときに最大のパフォーマンスを発揮する

ここに、初対面同士では伝わりにくく、長く深いつきあいになればなるほど以心伝心ができるようになる本質がある。つまり、コミュニケーションのパフォーマンスを高めるためには聞き手に応じてこれら3つの要素をうまく使い分けていかなければならない事は容易に想像いただけると思う。

コミュニケーションのパフォーマンスを高めるための本質は、”聞き手の興味は何か?”という問いに対する答えを見つけることである。

次回は日常的に良くある様々なシチュエーションにおける具体的な応用例を考えてみたいと思う。

Written by 津嶋 辰郎 on 2012-09-27

対話を深める場

 今回は少し商品の歴史を紐解きながらイノベーションの視点を整理しようと思ったが、
 昨晩、とても良い場に参加できたのでテーマを変えた。
   対話
 対話という言葉は大分浸透してきたと思うが、その理解は人により微妙に違う。
 日本語で考えるならば、”対”から来る相手ときちんと向き合うというニュアンスが重要だろう。
 単なる会話、おしゃべりではなく、相手という個人の理解を重視した場となる。
 しかし、これでは、複数での対話というのがピンと来ない。
 そこでDialogという言葉で考えて見る。
 Dialogの語源はギリシャ語のdialogosである。
 この言葉は2つに分かれる。
 diaは~を通して、英語のthroughであり、logosは言葉、ロジック、意味である。
 つまり、
  その場にいる参加者の言葉やそこから発する意味を通して、
  参加者全体の中に現れる何かを共有する事が対話である。
 この対話は企業研修の中でも一つのスキルとしてとらえられている。
 そして、対話を通して企業のビジョンを構築・共有したり、
 チームビルディングを図るといった現場でも活用されている。
 が、これが一筋縄ではいかない。
 そもそも対話を出来る様な関係性が持てれば苦労しない!
 この関係性が造れずに苦労している場合がほとんどではないだろうか。
 何が一番の阻害要因か?
 私は互いに相手に貼りあっているレッテルだと感じている。
 見た目、話し方、年齢等、いろいろな属性情報で私たちは人を判断する。
 これそのものは現実社会の中において必要なものであるが、
 一度貼ったレッテルが固定化してしまうのが良くない。
 合目的な場(その人に期待される役割が事前に明確になっている場)では、
 レッテルを貼る事によって、役割・責任の明確化を図りチーム運営の円滑化を図る事が
 必要である(この場合はレッテルという言葉は使わないが・・・)
 しかし、目的を定める前のお互いの共有、全体の中に現れる何かを共有するには、
 こびり付いたレッテルはが邪魔になる。
 さて、冒頭で述べたとても良い場だが、
 ダイアログ・イン・ザ・ダーク をご存じだろうか?
 いろいろな意味を持つ場なので、詳細は是非リンク先の内容を見て欲しいが、
 一言で言うと、「暗闇エンターテイメント」である。
 「真っ暗闇の中、8人の団体が視覚障害者に導かれ様々な体験をし、
  普段自分達が感じていない世界を体験し、お互いの共感を高め合う」
 個人的には最もショックを受けた場の一つである。
 昨晩はDIALOG IM DUNKELNの発案者であるハイネッケ氏と
 DIALOG IN THE DARK JAPAN CEOの金井真介氏の対話の場に参加した。
 そこで、改めて気付いたのは、
 暗闇に入る事でレッテルが見えなくなる効果である。
 ダイアログ・イン・ザ・ダーク では健常者と視覚障碍者の関係性が狙いになっているが、
 同じ暗闇を利用する事で、健常者同士のレッテルをも見えなくする事ができる。
 既に知り合った仲間同士で合っても、全く見えないという事、
 普段とは違う不安な場に投げ込まれることでレッテルを見えにくくする事は可能だ。
 相手の世界を理解し、多様性を受け入れ、受容性を高める場として、
 是非、もっと拡がって欲しい!!
Written by 山田 竜也 on 2012-09-21

青春を再び

青春離れ

最近は若者の車離れ、テレビ離れ、CD離れ、などと様々な”○○離れ”が叫ばれていますが、これは一言でいうと”青春離れ”と言えるのではないかと考えています。
青春とは、若いからこそできる、分からないながらも、エネルギーあふれながら、理屈はないが、勢いのある時期です。心や体は発達したものの、大した経験はしておらず、空っぽな状態が生むエネルギーは凄い。一見役に立たたないと思われた青春時代の経験が後々とても役に立ったという話には限りがありません。スティーブ・ジョブスであれば、カリグラフィーを学んだりやカルトに入った経験がのちのクリエイティビティに影響したと言われています。
人は若いときは、地位や資産を持っていないため、比較的リスクを受け入れやすいという性質を持っています。あまり失うものはなく、素直にチャレンジしてみよう、やってみよう、という気になるものです。以前より「窮鼠猫をかむ」や「金持ちケンカせず」といった諺があるように、すでに有利な立場にあったり、持っているものがあれば、わざわざそれを賭して勝負をしない特性があります。「イノベーションのジレンマ」は人ではなく起業の事業規模が大きいとイノベーションが起こせなくなるというジレンマを指しています。
最近ではこういった人間の傾向や特性に対する理解が深まっており、「プロスペクト理論」などの理論が確立されています。要するに、若いときはチャレンジがしやすい環境にあり、青春状態を生むはずです。
そういえば、「青春」という言葉自体、最近あまり聞かなくなりました。なぜでしょうか?もはや死語だとするとさみしすぎます。

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Written by 津田 真吾 on 2012-09-14