約1カ月前に開催した「産業イノベーションサミット2026」では、どんな話がされたのか?ライブで見逃した方に少しでもお伝えしたいのですが、ライブ感高く、すべてをお伝えすることはできません。ですが、現地にいて体感したことを中心にレポートします。
現場にいながら視座が高いパネリスト
しばらく興奮が収まりませんでした。何度かパネルディスカッションをやったことがありますし、「残念ながら時間切れです」というお決まりの文句で終わる流れではあったのですが、今回はほんとーにっ、もっと聞いていたかったディスカッションです。
不動産をたくさん開発した経験を引っ提げ、産業デベロッパーとしてLINK-Jというライフサイエンスのコミュニティーの立ち上げを行っただけでなく、半導体産業のコミュニティーであるRISE-A、宇宙産業のコミュニティーであるクロスユーの立ち上げに関わっていらっしゃる三井不動産の三枝さん。宇宙業界では知らない人はいないSynspectiveの創業者であり、慶応大学SDMの白坂さん。そして、まるでSFのように脳波で麻痺した指先のコントロールを取り戻すBMI装置を開発したLIFESCAPESの創業者である牛場さん。このお三方との対談ということで、かなり緊張しました。
始まってみると、緊張無用でした。
三井不動産は、不動産デベロッパーから産業デベロッパーへと進化しようとしたときに、業界の課題をしらないといけないと考え「ディープダイブ」することにしたといいます。凄いですね。まさにジョブ理論をフルに実践です。一見不動産業とは一見遠いライフサイエンスの関係者と、飛び込んでいくことで交流し、課題を拾っていったお話が聞けました。その結果、レンタルラボのような不動産事業も結果として生まれたわけです。
宇宙産業、そもそも「産業」ではなかった、と白坂さんは言います。というのも、政府の補助金が主な収入であり、水平分業がほとんど行われていない。これは産業化されていない表れとして、解説して頂きました。国のプロジェクトで合成開口レーダーを搭載した小型衛星を開発した後、こうした「技術開発」だけだと、用途が限定されてしまい、技術の持つ価値がもったいなく感じた白坂さんはスタートアップSynspectiveを立ち上げ、わずか17カ月で10億ドルの調達、そして上場まで果たしてしまいます!それも、ご自身が国の研究費以外からマネタイズすることができなけば、日本の宇宙研究は持続できない、という使命感から始まったチャレンジだったそうです。このコメントは熱かったですね。
牛場さんは、研究者一途でやってきたものの、秋葉原で部品を集めて作ったBMI装置に対して患者さんが涙を流したそうです。その涙が、急に事業化と社会実装を意識させたと語ってました。熱い!良い話ではありますが、そんな発明品作っちゃって事業化しない手はないのではないかと私は思いました。そんな牛場さんも起業すると、一気に世界が広がり、未知との遭遇。たくさんの壁にぶち当たったそうです。「夢見がち」だという批判に対しても、BMI装置を販売して効果を次々と証明していくと、徐々に研究者の間でも認められるようになり、脳卒中学会の治療ガイドラインに掲載されるようになったそうです。正しい努力は報われます!
・・・とにかく3人とも、行動力が凄い!
アイデアが良いからイノベーションが起きるという通説は有名なウソで、実は行動を通じてアイデアが磨かれていく、という説を地で行くお話をたくさん聞くことができました。
不確実性をどう捉えるか?
一番の印象は、3人ともイノベーションにつきものの「不確実性」の捉え方をポジティブに、ワクワクすることとして意味づけされている点です。一般に、「不確実性」は恐怖を喚起し、避けるべきものとして捉えられがちです。このバイアスは、イノベーションに取り組む際や、投資をする際に、慎重になりすぎたり、機会損失となってしまったりする働きをしてしまいます。しかし、皆さんの自然体の話から、新しい扉を開けた先にはワクワクが待っているはずだ、という心持ちで進んでこられた様子が見て取れました。
結果が見えないからこその挑戦。近距離で聞いていて心地よかったです。